CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

絶望名人カフカの人生論

2012-05-10 22:00:19 | 読書感想文とか読み物レビウー
絶望名人カフカの人生論  著:フランツ・カフカ

カフカの本かと思いきや、
カフカの書簡などから、いくつか拾ってきた
いわゆる、オムニバスお言葉集であります(そんな単語無い)
いかに後ろ向きな考え方をしていたのか、
そういうのがありありと伝わってくるような
ステキな言葉たちが並んでいる
なかなか、赴き深い本なのでありました

拾われた言葉について、訳者の人が
あれこれと注釈をつけるというスタイルでありまして
まぁ、考えてみると、孫子を呼んでみよう系の本とかも、
よーはそういうことだよなと思わされるのですが、
今回のこれについては、あまりにも当たり障りないというか、
なんか、この注釈だったらいらないんじゃないかなと
そう思ってしまうほど薄いそれでありましたが、
それゆえか、簡単に読めるというか、
そのカフカそのものの言葉を味わい深く眺められるというのは
ステキでありました

さて、カフカ
よく知らなかったんですが、相当に後ろ向きな人だったようで、
変身という小説をいつだったかに、本ではなく、
演劇で見て衝撃を受けたのを思い出すところでありますが
なんというか、ずいぶんとかわいそうな人だったそうでありますね
あの小説は、まんま、カフカの人生だったのかと
読んでから驚愕を覚えるわけなのでありますが
今でいうところの、新型うつ病だったんじゃないのかと
そう思わなくもないような
なんというか、矛盾を抱えている様が
この本によれば、微笑ましいというか、そう見て取れる
それは絶望的な状況なのかもだなぁと思ったりもするものの
そのよくわからない不安にさいなまれている様が、
カフカの面白さなんだろうかなと、
ピエロを見るように思ってしまうのでありますところ

なんか、間違ったカフカ観を覚えてしまった気がせんでもないですが
かなり後ろ向きな言葉が並んでいて、明日生きる勇気が沸いてくると、
いわゆる下を見て安心するといったそれのようなことを
堪能できるステキな本でありました

どの言葉と拾うでもないですが、
自分を他人のように扱い罵倒している系が、
なんというか、自分にそっくりじゃないかと
癒してくれて最高でありましたとさ