CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】ライオンのおやつ

2020-06-08 21:36:59 | 読書感想文とか読み物レビウー
ライオンのおやつ  作:小川糸

いやー、あらすじ知っていたら読まないタイプの話だった
けど、読み終わって凄い感動した、泣かされた
そんな按配で、ネタバレになってしまうんじゃと
うろたえながらも書いてしまうんだが、ホスピスで最期のときを過ごす
そのお話でありました

ライオンのいえというホスピスで、
終末を待つ人たちの思い出語りと
そのきっかけとなるおやつが出てきて、
その人となりや、最期に向けて思うところが
伝わってくるというか、じんわりにじむような感じが
なんともほんわかしてんだが
死へ向うという現実というか、その姿が切ないのでありました

正直な感想をしたためておこうと思うんだが
最初のほうの快適な暮らしっぷりというか
もう、あれこれ悩みから解放された
ゆるやかな日々の描写が、正直うらやましいとも思えてしまう
何もしなくていいんだという圧倒的開放感、
誰かに遠慮をしなくていい、自分がしたいようにだけしていたらいい
そういうところで、初めて、物凄くぐっすり眠れたと
そんな描写がたまらなく羨ましく思えるのでありました
病んでるのか俺

続いて、その日々と別れてしまわなくてはならない人というものを見て、
ある日突然ではないのだけども、あっという間に、主人公の容態が
進行していってしまうというのも、
とつとつと語られていて、いきなり?みたいな感じにも思うんだが
ごく普通に過ごしている毎日が、
日々、重なっていくにつれて、前日できたことができなくなっていく
そういう喪失をゆるやかに受け入れていくような日常描写が
これまた、物凄く迫るものがあった

最期の日々とはこういうものでありたいな
そんな風にも思えるようであったんだが、
劇中わずか一ヶ月の出来事と語られるのもまた
衝撃的というか、ホスピスとはつまりそういうところなのかと
思うほどに辛くなるようでもありましたとさ

最初にいいなぁとかのんきに思った自分を
しかりつけたいという感じの
生きること、死ぬことについて向き合う姿が描かれて
なんともはや、省みるものが多くあった読書となりましたとさ
感動話は本当に苦手だ、凄く感動してしまう