CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】樹木希林 120の遺言 ~死ぬときぐらい好きにさせてよ

2020-06-29 20:56:06 | 読書感想文とか読み物レビウー
樹木希林 120の遺言 ~死ぬときぐらい好きにさせてよ  著:樹木希林

樹木希林さんが様々な場所で語った言葉と、その前後のやりとりを収録した本でした
あまり広範囲という印象ではなく、若い頃の言葉が数点と
あとは癌が発覚してからのものが大半といったところで、
やはり、そのあたりではっきりと死や老いというものを意識していたのか、
それに関する金言が多かったように思うのでありました

鋭く突き刺さる言葉という感じではないけども、
ありきたりではないが、そういうものかもなという言葉が、
樹木希林の言葉というだけで重みが全然違うように思ってしまう
そんなところがいくつも見えたりして面白かった

若い頃のこととかほとんど知らなかったのだけども、
かなり破天荒だったのは間違いないようで
結構危ない橋を渡ってきた人なんじゃないかと
一種の狂気めいたものを言葉の端々から感じたのでありました
語る言葉の中にもあったけども、
役者というのはいやらしいものだという、
人間がひねくれていないとできないような内容を語っていて
まさにその通りを通して、それでいて、
恨まれても殺されるほどではなかった、そういう感じじゃなかろうか
自分のような軽い人間が近づくと
とんでもないことに巻き込まれてしまいそうな
一種の恐怖を覚えるような人であったように感じるのであります

案外、といっていいのか、夫婦生活の不思議も語られていて
夫婦と呼べる期間がほとんどなかったようだけども、
離婚しないで、ロックンロールしていた感じが
面白おかしいというか、そこを語る言葉は
何か面白みみたいなのを感じて、愛なんて軽々しく語れない何かを
そこに見出していたかのような語りがよかったのであります

なんだかんだ、この夫婦の関係を綴った言葉が、
ほかの老いだの、生き方だのよりも、
よほど含蓄のある、よい言葉だったように思えたのは
自分が結婚してないからなんだろうか
こういうのが、なんとも言い表しがたいが愛情というものかもしれんと
そんな説得力を覚えたのであります

癌となって、命のきりが見えたというところから
随分吹っ切れて生きていた感じが
言葉の通りだったのか、あるいは、やはりその狂気のままだったのか
危ういというか、怖さのようなものを抱えて
一人の人間として生きていたんだという
強い意志を感じたのでありました

若い頃の写真とかが、凄いいい表情の写真ばっかりで
そのあたりを見るだけでも価値ある読書になった