CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】潜行三千里

2020-06-23 21:31:53 | 読書感想文とか読み物レビウー
潜行三千里  著:辻政信

聞いたことある人、
その程度の知識しかないので、
この参謀が具体的にどの戦いでその知能を発揮したか
さっぱり知らないのだけども、
人によっては軍神のようでもあり、唾棄すべき外道でもあるようで
毀誉褒貶なのか、八方美人なのか、
よくわからんが、一人物であったようでありました
その人物が、敗戦後、次なる使命を背負って潜伏した数年について記した本でありました

結局何をするためにもぐっていたのか、
このあたりがポイントなんだろうなとうすうすと感じるところがあり、
結局命惜しさに逃れたという論評になってしまうであろう、
潜行の真意がよくわからないままだったのだが、
ただただ、潜行それそのものは凄く面白いというか
苦難の連続であったのが見て取れて面白い

坊主になり、医者になり、教師になりと
潜伏を繰り返していく姿と、その合間合間に見える地元の姿というのが
非常に興味深くて、一元的なため、すべて信じるわけにはいかないけども、
戦後の中国国内のドタバタというのは大変興味深いものでありました

最終的には蒋介石となんかしらのつながりを得て、
台湾から帰国するという流れだったようだけども、
その間に見てきた、国民党という腐りきった軍隊の様が非常に生々しく、
よく聞く、犬が去ったら豚が来たという言葉通りのそれこれが
はなはだ衝撃的に記されているのでありました
その中で、市井にある人は、まだ日本のほうがましだったというところからか、
いくつかの友情というか、情誼と記されるものを著者に与えるにあり、
それをありがたいとし、また、それは日本人の中にいくらか真心があったおかげであろうと
信じているという感じでありました
実際にどこまで、正しいといえるのかはわからないが、
この清廉をきわめんとするところが著者のよいところであり、
さりとて、死に際で死なず生きながらえたところが反目しているのではと
思われて嫌われるというのもわからんでもないと感じたのでありました

はからずも、台湾における蒋介石と国民党の様子も見られたのは
非常に興味深い読書になったわけだけども、
戦後、生きながらえるということの難しさについて
大変面白い読み物だったのは間違いないと思うのでありました
しかし、さらっとお経を一週間程度で何本か覚えてしまうというのは
やっぱり、地頭がよい人が参謀として活躍してたのは
間違いないのであろうなと思うのである

今で言う高級官僚になるべき人だったんだろうが、
彼をして、当時の官僚を批判しているというのもまた興味深いところだった