CLASS3103 三十三組

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【読書】あの本は読まれているか

2020-09-07 20:48:28 | 読書感想文とか読み物レビウー
あの本は読まれているか  作:ラーラ・プレスコット

ドクトル・ジバゴというロシア、いや、ソ連の文学作品を巡った
CIAを含む西側と、ドクトル・ジバゴの作者のいる東側で
それぞれ、様々な思惑と戦いがあったことを描いた小説でありました

正直なところ、このあたりの東西冷戦構造だとか、
スターリン以降のソ連の恐怖政治について勉強不足なため、
十分に楽しめなかったという感じになったんだが、
それでも、厳しい体制下で本を書き、そこに意味が見出されるという
文学の可能性ともいえるような思想戦争があって
非常に面白かった

東側の監獄における非人道的な様子なんかもまがまがしく、
それを経て、様々な背景を背負うこととなった
ロシア系アメリカ人の生き方とか、
色々考えさせられるところも多いんだが、
それが、CIAのスパイ行為と結びついて、あげく、二重スパイだとか、
割と明るくさらりと、騙しあいと駆け引きが描かれているのが
軽妙で面白かった、なんといっていいのか、
いくつもの物語を同時に読んだような感じがする

ドクトル・ジバゴを英語翻訳して、
世界中の絶賛を得ることで、ソ連の体制批判を行おうという
崇高だか、なんだかな作戦が実行されて、
それを実行するCIAの雇われたちが、
ただのタイプライターの打ち娘だったり、
本格のスパイであったり、それが、いいように転がされていたりとか
男女、女女の縺れなんかも合わせて描かれていて
アメリカ側の物語だけで、まとめて読みたいと思うような内容でありました

それぞれの登場人物たちの最期の姿が、悲惨でもあり、
物語的でもあり、この頃のソ連というものを
臨むような景色で、印象的でありました
ついこの間といえる、いや、もしかしたら、今もそうなのか
わからないが、得体の知れない恐怖というのを
ソ連というものに感じるのであります


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