CLASS3103 三十三組

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【読書】藍を継ぐ海

2025-02-15 21:13:41 | 読書感想文とか読み物レビウー
藍を継ぐ海  作:伊与原新

直木賞とったというから長編だと思ってたら短編集だった
表題作はそのうちの一遍だったのだけど、これがすごくよかった
おっさんになったおかげで、久しぶりに涙腺にくる文章に当たって
電車の中で泣きそうになってしまった

そんなものすごく悲しい話しかというと
そういうわけでもなんでもないのだが、
ウミガメをめぐる物語でラストシーン近くの子供の姿の描写が
あまりにも生々しいというか、迫ってくる悲しさに包まれていて
本当、事故にあったみたいに涙腺をがつんとやられたのである
素朴というか、ありていな感じではあるのだが
一種の孤独や寂しさというものをダイレクトに突き付けられるようで
凄くよかった
また、その孤独が受け入れられる過程というか、具象化して氷解する瞬間のようにも思えて
すごくいいなと思って強く印象に残ったのでありました

それ以外も、地質や宇宙に関することが多く
理系の下地がある小説で、大変楽しかったわけだけども
萩焼についてとか、オオカミについてとか、理系といっても
様々なジャンルの理科が集まったような内容で
とても楽しかったし、ためになる小説だった
研究者の在り方というか、研究とはというものについて
一定の重さというか、通底したものを感じる短編ばかりで
これが芯なんだなと思いつつ読むと、
また強く楽しめるように思えたのである

過度にならない人間ドラマが多いと思っていたけど
表題作は、そこがかなり感情の方にふられた内容になってて
これが芯に迫ったというか、なんか、心に響いたと思えたのである
流石直木賞と思うことにする

人や歴史につながる、もっと深く根差したものとしての理科が詰まっていて
凄く楽しいと思えて読み終えたのでありました


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