CLASS3103 三十三組

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【読書】老子と上天 神観念のダイナミズム

2017-12-18 21:18:31 | 読書感想文とか読み物レビウー
老子と上天 神観念のダイナミズム  著:浅野 裕一

老子に関する研究の新しい本でありました
かなり難しい、なんとなしで勉強というか
本を読み出した身分で読むべきではなかった
ほぼ、学術書ではなかろうか
そう思うくらい、ちゃんと老子という哲学について
考察を連ねておりました

老子という切り口ながらも、中国古代における
思想史というか、どう統治をするべきか
政治までも含めた、人倫のありかたを
道教も含めて語った本でありました

知らないというのは恐ろしいことで
殷周革命なる言葉がありまして、殷からどうして周が興ったか
それについての解説と歴史背景の説明
現状のテキストというか、見つかった断片から
考察される内容についてが興味深く
殷が周に滅ぼされたのではなくて、
殷の中に周という国があって、そこが乗っ取ったと
そういう感じではなかろうかとのお話でありました

ここで、老子に連なる前の多神教的なものが出てまいりまして
それでは困ると、一神教めいたものを周は掲げたおかげで
殷との差別化をはかり、統治にも影響を及ぼしたと
ただ、それでは人倫がうまくまとめられず
結局、吸収して、様々な神が存在するようになり
その下地が、天や世界、宇宙といったものを
定義、あるいは考察していくようになっていって
そのひとつの答えとして、老子のあり方が出てきたと
まぁ、そんなわけでありました

さらには、黄帝のお話と、老子のかかわりであったり
対孔子、儒教との折り合いなんかも出てきて、
老子がいつ成立したものかということまで含めて
非常に深く、難しい内容で記されていたのでありました
時代を特定していくところでは、
膨大な知識というか、物証をもとに推測して、
写本や、そのあり方なんかまで考えたりして
推論が、飛躍しないようにつとめながら
地道に時代を埋めていくような作業で頭が下がるというか
こういう仕事も大変だなと、いらぬことを感じたのでありました

と、読み終わってみて、老子の新たな何かを身につけたかといえば
さっぱりわかっていないのはいつもの通りで、
ここまできたら、いっそ、ちゃんと老子を一度読むべきでないかなと
台湾に遊びにいくために、廟の勉強をしようから
随分遠いところまできたものだなと
自分自身を思い返すのでありました
ともあれ、楽しいのでよいのである


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