CLASS3103 三十三組

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【読書】「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか?

2024-10-26 20:55:35 | 読書感想文とか読み物レビウー
「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか?  著:今井むつみ

とてもいい本だった
認知科学という見地によって、コミュニケーションのキモの部分が
とてもわかりやすく書かれていて
伝えること、伝わること、その仕組みが理解できた
そんな気分になってしまう、危うい本だ
なんせこの本によって、わかりやすいというのが
認知を歪めている可能性を指摘しているのだから、もう入れ子だとか
わけわからないことはさておき、
本当に、とてもわかりやすい本で、感激したのである

前提であるスキーマの存在とか、
そうだろうなと思うところも多いのだが、
様々なバイアスが、どのように働くか、
どのタイミングでやってくるかも解説されているから
誤解を招く瞬間や、起こる要因というのがわかりやすくてよい
読んでいて、思い当たるところばかりなので、
これもまた、ある種のバイアスがかかった状態かと思いつつも読むのだが
誰かに説明する際のポイントが難しい言葉ではなく説明されていて
本当にもう、とてもよい

相関の誤解や、バックボーンの違いによって理解できないことがある
その認識を持つことの重要さと、
結局のところ、要件定義時の単語のすり合わせに似たことが
コミュニケーションというか、伝えることにとても大切であるのだが
細かくすればよいというわけでもなく、
記憶に負担をかけない程度に抽象化することとか
まぁ、ポイントはいっぱい並んでいるんだが
じゃぁどうしたらいいのかというと、当然のごとく正解はないんだなと思わされて
うなってしまうのである
が、なんか、伝えられる気がしてきたから頑張ろうと、そんな気分になった本であった

誰かを理解する、理解してもらうという
コミュニケーションのそもそもの目的を達成するためのスキルというのは
学んで損なわけがないとも思うのだけど
こういうのをうまいこと理解できたら、外国語習得が楽になったりしないかしらとか
考えたり思ったりするのである

人間の直観がおおよそ正しいというのが、
それまでのコミュニケーションで培ってきたある種の練習が、
なんとなくまずいという形を覚えているという
まさに、将棋のそれと同じということが書かれていて
本書としても、棋士へのインタビューでそのあたりの裏付けをとっていて
まさにまさにと、頷いてしまったわけだけども
その直感を鍛えるために、よく考えるも繰り返していき
より、直観を鋭くしていくことが、理解への近道だというのが
なんとも頼もしいというか、たゆまぬ努力をと思わせる内容で
とてもよかった


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