CLASS3103 三十三組

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【読書】剣客商売 隠れ蓑

2023-07-24 21:05:01 | 読書感想文とか読み物レビウー
剣客商売 隠れ蓑  作:池波正太郎

前回の新妻とは打って変わって、小兵衛中心の話ばかりだが、
これこそ剣客商売といった感じで、すごくよかった

老人が暇を持て余して、世直しでもないが、
ちょっとした助けをすると、まぁそういう大枠ではあるものの、
いわくや、いわれ、ある種の因縁がめぐった話が多くて、
過去の弟子にまつわる事件を扱っていて、
どれも、なかなかに面白かったのでありました
大治郎のところの弟子も順調にというか、
これもまた、小兵衛がうまく助けともわからぬほどの手を差し伸べたりしながら
大方大団円という感じに落ちていくので、読んでいてすごく気持ちがよい

そこそこの大名の怪しからん話であったり、
しょーもないいざこざなんかを見事に納めるといった感じで、
割と笑い話として読めるものが多かったのも、
殺伐としていなくて、健康的な内容だと思ったのである

とはいえ、大活躍の小兵衛の強さがずば抜けていて
河童と間違えられたのはさておき、その鮮やかな剣筋と、
どうやったかわからないが、気づけば、どう、と倒れた音のみとなる殺陣描写が好きで
読んでいるこっちが「ぬうん」とか言って昏倒してしまいそうになるのがよい
くだくだチャンバラ描写しなくても、その強さと剣技が、
さらっとした文章だけで伝わる、見えるようにすら思えるのが
やはり筆力の違いだなと感嘆したのでありました
どの表現がという、言葉面の問題ではなく、
殺陣全体の流れというのが流麗そのもので、文章の走りがそれを見事に表していると
つくづくほれぼれするのでありました

表題作は、仇とはを考えさせられる内容なんだが、
見事な人情劇になってて、かなり感動したし、
なにより末期の一撃のかっこよさが見事で、しびれるほどよかった
因縁とそれを見届ける秋山父子の姿が見えるようでもあって
なんというか、素晴らしいと思ったのでありました

くだくだ感想を書くべきものではないと思いつつも
面白さに、あれこれ語ってしまう駄文を連ねてしまうのであった


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