CLASS3103 三十三組

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【読書】ある行旅死亡人の物語

2023-11-08 21:05:06 | 読書感想文とか読み物レビウー
ある行旅死亡人の物語  著:武田惇志  

共同通信の記者が実際に調べた内容で、
かなり面白いドキュメンタリになっていて読み応えがあった
いわゆる身寄り不明の独居老人の死にまつわる話なんだが、
なぜか、3000万円を超える現金を所持していたということから、
どういう人物か探してみたというもので、
そのどういう人物かという部分が、謎に満ちていたり、終わってみればなんでもなかったのかもと思ったり
かなり面白いものだったのである

最終的には、この人だと特定できたのは間違いないようで、
めでたしではあるものの、その大半は謎に包まれたままで、
北朝鮮の工作員との関係だとか、そういう想像をかきたてるものもあったり、
ミステリ小説のような味わいがあってよかったんだが、
途中で、この人の旧姓「沖宗」という苗字がキーワードとしてでてきて、
その珍しい名前、あるいは、ルーツを調べる旅になったりするところが
かなり面白かった
まったくの素人で、その沖宗さんである人も、このおかげでライフワーク的になっていた
家系図制作がずいぶんはかどったようで、よかったなと
他人事ながら、幸せな気分になったりしたんだが
それはまったく余談でありつつも、それが核心へと迫る内容に肉薄していて
できすぎた物語のようでもあるが、
人間の縁って、こういうものなんだなと思い知ったようで楽しかったのである

結局、誰だったかはわかったけども、
現金や、謎の人物「田中竜次」氏、子供がいたのかいないのかとか、
謎は残ったままなのだが、それ以上の捜索はなされなかったようで、
これはこれで、何か機会があれば調べられるとさらに楽しそうだと
無責任に思うのである

けど、世の中の行旅死亡に関わらず、
こういうちょっとした謎というか、ちょっと考えただけでは絶対わからないことというのが
山のように存在しているし、それは放置されていくものなんだよなと改めて思い知るところ
たまたま、今回は3000万円というきっかけがあったので、
興味を持った人が、ここまで調べたわけだが、
そうではい場合、何もわからないまま、わかる必要もないとも思うまま
葬られていくんだなと知るのであった
今回のことも、はたして知るべきであったかといえば、法律上必要があった以上のこともなかったわけで、
この好奇心をそそるものが、人間の人生であって、
でも、それは、途絶することがほとんどのことなんだと
改めて思いいたるのでありましたとさ

単純に面白かった
けど、その裏にあるものはとても恐ろしい
何もかも忘れられるであろう部分に自分も向かっていくということが恐ろしい


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