CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】資本主義リアリズム

2019-04-29 21:39:23 | 読書感想文とか読み物レビウー
資本主義リアリズム  著:マーク フィッシャー

ペーパーバックだし、面白おかしい海外小説だと思ったら、
本物の現代思想書だった
イギリスを例に挙げながら、資本主義というものが
いかに人間を、人道を踏みにじっているかと
その点についてこんこんと書いた本で
平易な言葉遣いに見えて、えらい難解なことが書かれていて
正直、半分も理解できたかどうか

鬱病を発症するのは、既に政治マターであるというのが
なかなかスリリングな展開だと慄いたのでありますが、
どうやら、実際にこの著者が鬱病を患っていて
あまつ、自殺してしまっていたようでありまして
その魂の慟哭かと思えば
なかなか、恐ろしいというか、おぞましいというか、
かすかな悲しさも覚える本でありました
資本主義という暴力が、また、その中にあるネット社会という
ダメスペースが、様々な抑圧と弾劾を呼んで、
日々、鬱病患者を発生させているというお話をあげて、
これはもう、政治的にそうされて発生している症状だと
体制を批判するというものでありました
まぁ、そういわれればそうかもだが、
なんだろうか、凄い高い視線だから、自分には理解が届かない

マルクスや、エンゲルスといったものもあげつつ、
様々な思想家たちの言を解析しながら、
資本主義リアリズムなる、現在の状況をどうとらえるか
説明と憤りとを書き連ねていたのでありました

また、広報がこれの片棒をかついでいるし
もう、それに支配されて、踏みにじられている世界というのは
おかしくてしかたないと嘆いているのも興味深かった
真実というものは割りと存在しなくて、
そういう感じという空気さえつくってしまえばいい、
また、そういう有象無象の無責任な気持ちに寄り添うばかりで
本当の批評や、議論というものが育たないという
実につまらなくなった世界を嘆いているのも面白かったのでありました

毒にも薬にもならないものばかりがあふれて、
そこで、自分が好きなことだけを言い続けるという集まりがあり
もう、何もかもが滅びればいいと、半ばなげやりになってしまいそうな考え方だけども、
そうではなく、そこで立ち上がってどうするべきか
それを吼えていた書でありまして、色々と考えさせられたのであります
怒りは人を生かすと思ったが、
それによって殺すこともあるんだな


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