CLASS3103 三十三組

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【読書】妻の終活

2020-12-28 20:50:44 | 読書感想文とか読み物レビウー
妻の終活  作:坂井希久子

長く連れ添った妻が先立つ、それに右往左往する
「昔ながらの」男の物語でありました
悔恨と反省というわけでもないけど、
ある世代以上の男性は、当然のようにこういう価値観であろうと
自分も、少なからず当てはまりそうだと
寒気でもないが、妻という存在を何と考えているか
突きつけられる物語でありました

ま、私結婚してないから関係ないのだけどもね

さておき、内容は奥さんが末期がんであると発覚して、
そこから、夫が右往左往というか、醜く、あるいはいっそ可愛らしい、
そんな風にも見えるほど、何もできない現実に戸惑い、
怒り散らし、結局は自分を変えていくしかないと
気付いていくというか、変化していく姿が
克明に描かれているのでありました
実際は、こんなにうまくいくことはないだろうし
なんともやるせないのだが、
根幹は、そこではなくて、妻という存在を失う寸前まで消費し続けているという
その事実でなかろうかと感じるのであります

どうしてそこまで、尽くすことができるのかと
娘たちも思うところがあったりというのが
リアルなんだろうというか、このごろの考え方でもあるなと
思わされたりするんだが、いつからこうなったんだろうかと、
幸い、その立場でも、世代でもないので被害にあってないながら、
当事者たちは、その前の人たちが当たり前にしてきた現実と
異なってきていると、どう気付くことができたんだろうかなと
思ってしまうのであります

結局昔から、そういう扱いであっても
愛と呼ぶべきなのか、なんらかの形で
夫婦というものがあったのだろうと思うんだが
不思議といえば不思議だと感じるばかりなのでありました

外で働いているという大義名分にしがみつき
それに意味がないということを受け入れるというのが
一大事業に思える男性というのが、
切ないというか、可哀想であるなと
この世代の人たちには、忸怩たるといえばいいのか
消化しきれない思いがあるのではとも思わされたのでありました

最後は美しい夫婦の姿のひとつが示されたようでもあって
非常によかったと思いつつ、心にずんときた小説でありました


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