CLASS3103 三十三組

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【読書】ゴリラ裁判の日

2023-11-06 21:06:56 | 読書感想文とか読み物レビウー
ゴリラ裁判の日  作:須藤古都離

SFというジャンルでよいと思うのだが、
こういうのも面白いなと、感激して読んだのである
裏読みではないけど、色々なメタファーのようなものを意識して読むと
ちょっと疲れてしまうので、そうではなく、
ごくごく単純に、物語として、喋るゴリラが裁判を戦うという
ある種アメリカのドラマのようなものを想定しながら読んで
大変楽しめたのでありました
まぁ、終わってから、じっくりと、どういうことだったろうかと考えたわけだが
最初は、そういうのナシで、ただ物語を楽しむのがよいと思えた

カメルーンのジャングルに生まれたゴリラが、
研究所の人とのふれあいの中で手話を覚えて、意思疎通ができるようになった

そんなことから、アメリカの動物園へと引き取られ
そこで事故が起きて、それが裁判になるという筋書きで
この裁判ものとしての面白さもかなりよいのだが、
常にイレギュラーとして、原告がゴリラであるという事実が横たわるというのが
大変興味深くて面白い、そういうのを受け入れたうえでの法律論的なものだったり、
ゴリラは結局動物で、動物をどう思っているかという人間のそれであったりとか、
まぁ、ありそうな、あるいは、起こりそうなことが描かれていて
そこに気負いというか、こういう思いにさせようとかいう
著者の何かが隠れているわけではなくて、
純粋に、手話でコミュニケーションできるゴリラがいた場合にどうなるかを
ただただ描いているだけといえるような感じがすごくよかったのであった

最終的には、ゴリラが神を信じている(というか、聖書を読んだ)というのが
ある種の決め手になったり、ならなかったりという感じなんだが
このあたりまで読むと、これはゴリラということになっているけど、
やっぱり人間だよなと思わされるというか、
多分、ゴリラでは、ここに描かれた主人公のような思索が伴わないんだろうと思わされたりするのであった

とはいえ、楽しく読めて、途中でプロレスラーにゴリラがなっていたり
そこでガッツを取り戻したりという、スポ根めいた展開にもなったりと
飽きがなくてよかったと思うところ
気になるところが、色々と置き去りにされているというか、
伏線と思ったけど、回収されなかったものがあったように見受けられたのだけども
まぁ、大団円だし、とてもよかったと思える感じで
何よりも、こういうものにありがちな、説教臭さがなかったのが
一番よいとこだったと思うのでありました


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