CLASS3103 三十三組

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【読書】イット・エンズ・ウィズ・アス ふたりで終わらせる

2023-12-04 20:57:13 | 読書感想文とか読み物レビウー
イット・エンズ・ウィズ・アス ふたりで終わらせる  作:コリーン・フーヴァー  

これはひょっとして、
ハーレクインロマンスジャンルなのか?
と思うような出だしから中盤にかけてだったんだが、
最終的には結構社会派な内容になって驚いたのでありました
正直なところ、感情移入できなかったんだけど、こういう事件や関係は
判断が非常に難しいものだなと思わされたのである

いわゆる家庭内暴力を扱った作品だったんだが、
そういう過程で育った女性が、世間に出て恋に落ちた時、
その相手がまた、自身の父親と同じようにDV癖のある男だったと
平たくいえばそういうお話なんだけども、
読んでいるとこの女性にも、何かしら問題というでもないが、
割と身勝手じゃないかと思うようなところもあったり、
さりとて、それによってDVが許されるわけでもないというのもわかるしと
色々思うのでありました
痴話げんかと暴力沙汰との間にどれくらいの差があるのか
それは認識の問題なのかもしれないが、そうともいいきれない
そういう判断が非常に難しいケースというのが、山ほどあって、
そしてそこに虐げられた人がいるという意味で
考えることの多い内容でありました

人間ドラマとして、登場人物の過去にそれぞれ
大きな影があり、それの影響か、そうじゃないのか、
そこは明言されないが、暗にそうであるかとも思えるもので、
過去の行いにさいなまれている現在というのが、
悲惨な暴力のらせん的なものを呼び寄せてしまうという
どうしようもない現実も描いていたのでありました

人間には善の面と悪の面があって、
でも、善の面があるから、悪の面を許すというのは違って、
さりとて、誰しもそういうものがあるのに、どこで折り合いをつけるべきか
そこに、超えてはいけないラインとしての暴力があり、
そういう状態になっていない理想的な男性、魅力的な男性というそれを許すか許さないか
被害当事者としての煩悶は、かなりつらい物があるんだろうなと思うところ
許してしまいそうになる気持ちもわかってしまうし、
それを許さないための努力というものも描かれたりして
大変なことだなと思い知る読書になったのである

引き金になる事件や出会いというのが
かなり残酷なので、一方的に暴力をふるう男が悪いというステレオではないのがよいところだけども、
これを読んでの反応が、一種のDV診断にすら使われてしまえそうな
絶妙なラインを描いていると感じたのだが
序盤の甘ったるい、お姫様気分のお話とは打って変わっての内容が
面白かったと思うのである


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