CLASS3103 三十三組

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【読書】禍いの科学 正義が愚行に変わるとき

2021-05-17 21:20:24 | 読書感想文とか読み物レビウー
禍いの科学 正義が愚行に変わるとき  著:ポール・A・オフィット

先日読んだゼロ号患者の話とよく似てるなと思うんだが、
より考えさせられるというか、かつて話題をかっさらった最先端が
間違いだったということが、結構あるもんだなと思わされる
アヘン、マーガリン、あたりはなるほどと思う内容だったりしつつも、
知っているというか、さもありなんと読んだのでありますが、
化学肥料の功罪については結構衝撃的で、
個人的には、ハーバーボッシュ法は、人類最大の発明発見だと思っていたのに、
その裏というか、副産物的なもので戦争犯罪に加担したことになったりと
このドラマチックな展開にはうなってしまったのであります

あとは科学思想的な問題も扱っていて、優生学とか、ロボトミーとかが、
割と科学者の暴走も含めて、集団心理が信じたいものを信じるそれに従ったと
人災的な面もあって興味深かったのでありました
最終的には、ノーベル賞受賞者たちの過ちなんかも扱っていて、
なんか、ふわっとした終わりになってしまうというか、
竜頭蛇尾的な本の構成だなとちょっと思ってしまったんだけども
おおむね面白く読めたのでよいのであります

若干古いというか、常に科学はリファインというか、検証が続けられているし
発展もしているから、マーガリンが悪いという話も古くなっていて、
実際のところ、現在のマーガリンは、悪いといわれたトランス脂肪酸量も減っているようなので
これもまた、最新のデータを参照して自分で判断しないといけないねと
思わされたりしたのでありました
ものすごく納得できて、今後も覆らないだろうと思えるのは
アヘンだけだったようにも思ってしまったんだが、
ロボトミーとか、ノリと勢いだけで人間の脳をかき回しているのが
合法的に行われていたのは狂気だと思うのだが、
許されることというのは、その時代にはごく当たり前だったんだろうと思うほど
怖いのでありました、
あとは、サッカリンについてやら、DDTについてやら、
このあたりは、現在としては功罪がまた反転していたりするようで、
自分も古い慣習にとらわれているんだなと思い知らされるのであります

ちょっとしたことに目くじらを立てるというか、
印象だけでなんかを悪く思い詰めると
そうでなければという、妙なバイアスがかかっていくという
避けようのない習性みたいなのを見て
どうやって回避するのがよいのか、考えるばかりであった

よく知らないことに振り回されてはいけない
そんな当たり前のお話であります


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