CLASS3103 三十三組

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【読書】時鐘の翼

2021-07-03 20:50:14 | 読書感想文とか読み物レビウー
時鐘の翼  作:ルカ・マサーリ

イタリア人作家の作品であります
第一次大戦の欧州を舞台にしたタイムパラドクスSFで、
正直このあたりの歴史とかよくわかってないから
なんともわくわくしながら読んだのであります
この頃のハンガリーとか、イタリア空軍とか、欧州東西の陣営争いと
ドイツのあり方というのが大変面白い小説でありました

また複葉機が大活躍するドッグファイトも満載で、
当時の騎士道精神や、飛行機乗りの矜持みたいなのも出てきたりして
とかくかっこいいというか、古臭いのがいいなと
活劇にしびれて読んだのであります
サボイアとか、カプローニとか、どっかで聞いた名前も出てくるしで
わくわくしてしまった

セルビア地域の紛争というのは、
現在もなお多くの問題を抱えているわけだけども、
その根本的な部分に立ち返ったような内容になっているようで、
いわゆる東欧と呼ばれる地域が、どういう勢力図であったか、
ロシアとどういう関係でいたのかというのが面白くて、
もうちょっとちゃんと読み込んだら、しっかり第一次大戦のありようというのが
見えてくるんじゃないかという、歴史小説としても面白かったと思うところ
それ以上に活劇が面白いので、そのあたりの難しい話はすっ飛ばして
がしがし読まされる感じも、またたまらなかったのでありました

最終的には、大団円となるのだけども、
結構あっさりというか、さっぱりした終わり方が
余韻もそこそこといった感じで読みやすくてよかった
テクノロジーがどうしたというのではなく、その時代の英雄的素養が
どの時代でも生きるのだという感じが心地よいし、
飛行機うんちくがふんだんにまぶされているのが楽しい小説でありました
かつて計器を使わずに風を感じて飛んでいたという
その生き方と、それだからこそという職人芸めいたもの
空戦が銃器によるものだけではないというところが一番かっこよくて
ロマンあふれる物語だったと思うのである

初出が1995年くらいになるようで、未来として出てくるのが2021年12月と今年の年末なんだと
このあたりが、ちょっと運命的で個人的に面白かったのでありました
この世界のようにはなっていないけども、なかなか、未来も楽しい


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