CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】虚空の旅人

2017-06-06 21:43:00 | 読書感想文とか読み物レビウー
虚空の旅人  作:上橋菜穂子

守り人シリーズの外伝に位置づけされているそうであります
シリーズをおっかけて久しいところでありますが、
前段までが三部作として刊行されていたようで
今回は箸休めではないが、チャグムを主人公にした物語でありました
これがまた、大変少年漫画っぽい王道路線で
読んでいて楽しかったのであります

複数の氏族が集まって一国をなしている
サンガル王国の皇太子即位式へと、国の代表としてチャグムが訪れる
そこで、サンガル王国を狙う計略に巻き込まれてしまうと
まぁ、そんなお話であったわけですが、
サンガル王国の皇子との友情やら、
正義をまっとうするという気持ち、それではまかりならない政治、
一国をあずかることの厳しさみたいなのが、
非常に繊細に心情とともに描写されていて
なかなか読み応えのある内容でありました
チャグムが、えらい成長していて驚くのである

強い正義の心と、それをふりかざすことへの怖れのようなものが
だんだんと備わってきた感じが頼もしくもあり、
傍らに控えるシュガとの主従関係も面白くて、
いわゆる守り人シリーズのような冒険活劇とは異なる様相ながら
わくわくする物語だったと思うのであります

少年皇子同士の友情が、
なんだかんだ、殴り合いというでもないけども
武術から育まれるという展開が、なんともいかにもと思えて面白く
少年がこういうのを読むと、なんとも
いい気持ちで物語に没頭できそうよなと、自分の嗜好にあった話に
満足したのでありました
ベタなんだが、喧嘩みたいなのでわかりあうというのは
とても楽しく読めてしまうのである
実際には、そんなことないんだけどもね、あるのかもしらんが
私にはなかった(どうでもよい)

世界観としては、女が強く国を動かしているという内容で、
その見せ方が、言いようも無い連帯感というか、
女の世界といっていいのかわからんが、
こんなネットワークがありそうだなと思わされる話で
なんとも、うならされたというか
男世界とは異なる秩序が見られたようで面白い
そこで、その秩序を熱い気持ちで打破するというのが
今作の一番の見所だったと自分では感じたのでありますが
未来への、危機の予感を覚える内容も含めて
非常に楽しめた作品だったのでありました

最終的に王の槍とかが出てきて、
ここでバルサの名前が出てこないのが、残念でもあるような
当然でもあるようなと、不思議な気分を味わってしまったのである
もう、すっかりこのシリーズのとりこであるなと
確認した作品でもありました


最新の画像もっと見る

コメントを投稿