CLASS3103 三十三組

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【読書】0番目の患者 逆説の医学史

2021-05-15 21:14:07 | 読書感想文とか読み物レビウー
0番目の患者 逆説の医学史  著:リュック・ペリノ

医学を医者や研究者からではなく、
その患者から見ようという試みの本でした
非常に面白いというと失礼かもしれないが、興味深い
様々な医学的な発展において、
その患者こそがむしろ偉大ではないか、
その人たちの犠牲があってこその今がある
彼らを讃える必要があるのではないかと
この本は記されているわけなんだが、
言われて見れば、なるほどだと思う内容でありました

かなりの数の症例における最初の患者が記されているんだが、
それぞれの紹介が、小説仕立てというか、結構ドラマチックに描かれているのはいいんだが、
章によって、まったくテンションが違うのが、
書いている人が違うんじゃないかと思うほどだったんだが
おおむね面白かったからよいのであります

精神病の種類分類、脳への理解、癌細胞といったあたりが、
強い印象の話で驚いたというか、怖くなるほどでありました
また、薬学というか、薬を扱う企業に対して悪し様に揚げ連ねることが多くて、
皮肉をきかせた、強い憤りを感じる文体で、読んでいて重くのしかかってくるようであった
麻酔を巡る話は、結構有名なところだけども、そこに群がった様々な輩が
まぁ、なかなかどうして、みんなクズ野郎で清清しいくらいだったわ

がん細胞が、ある女性から少しだけ採取されたのに、
今に至るまでその増殖したものが使われているというのが衝撃的で、
現状2tにも登る量の細胞が使われているとか、
研究への貢献度がずば抜けていると思うのでありました

このほかも、積極的にモルモットではないが、
実験に協力した人たちや、知らず内そうなっていた患者が幾人も出てきて、
また、精神病とヒステリーなんかは、患者が可哀想でもあるんだが、
医者も結構酷いというか、このあたり、臨床実験に近い感じがあって
おどろおどろしいと感じたのでありました

まぁ、あれこれあって、医学は今に至るというのは
相変わらず知っていたはずの話なんだが、
改めて読むと、興味深さとそのおぞましさに似たものに畏敬を覚えるのでありました


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