CLASS3103 三十三組

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【読書】文士と骨董 やきもの随筆

2018-05-16 21:31:14 | 読書感想文とか読み物レビウー
文士と骨董 やきもの随筆  著:森 孝一

様々な文人のやきものに関する随筆を集めた本でした
オムニバスでもないが、明治から昭和にかけての文人たちが、
なんだかんだ、骨董に一家言という話で、
それこれで対立するものもあったりして
非常に興味深いというか、こういう人たちが
どこか、やばい感じのバーなんかで喧嘩してたんだろうなと
文人のなんとかという話として聞くそれこれを
思い起こさせたりしたのであります

ポイントというほどでもないですが、
やはりという感じで、民藝運動というのに反感というか
とりわけ気持ち悪いという派も当然あった様子で
その憤懣も書かれていたりして
大変面白いのでありました、このあたりはまた
別の本で勉強してみようと思うのであります

青山二郎、小林秀雄、白洲正子といった、
いかにもな昭和の荒くれ文人のほかにも、
立原白秋、井伏鱒二なんかに加えて、秦秀雄という人が
とんでもないくわせものだったようで、
このあたりの人たちそれぞれの、骨董に関する話は
もっと読んでみたいと思わされるものばかりでありました
特に、秦秀雄という人が酷い、
いかにも骨董偏屈爺という感じなんだが、
昔はこういう人が多かったんだろうなと思わされるところであります
美味しんぼの初期海原雄山は、このあたりにも
素地があるように思われてならんのでありました
魯山人が駆け出しに見えてしまうやっかいな骨董の物の怪がいっぱいいるのであります

どれもこれも、美とは何かについて
文細やかに描写といえばいいか、語っているのが楽しく、
自分の好きな盃や徳利の話なんかに加えて、
伊万里、唐津、李朝白磁、鶏龍山なんていうステキな陶磁器それぞれの名前が出てきて
わくわくさせられたのでありました
しかし時代なのか、こういった文人の中に
中国趣味があまりなくて、一世を風靡した李朝陶磁器に関するものが多く
考えさせられたのでありました
中国磁器ブームはもう少し後ということなんだろうか、
個人的に好きな、宋代の白磁、青磁の話が出てこないのが
大変残念であったけども、
どれをもってよいとするかについて、
自然であること、新しく創られたものも初期までで、
手馴れてくると作為が出てきて駄目だというのも
随分極端な話だが、なんとなくわかるようでもあって
なかなか興味深いのでありました

結局、美という、よくわからんものについて
自分の確信があって、それがどうなっているか、
自分さえよければいいのか、他人を貶めるほどか、
このあたりの攻撃性については、人間心理の何かでないかと感じたりしながら
ただただ、好きな陶磁器を眺めていたいという気持ちについては
最近になって、ようやっとわかりはじめてきた
そんな風にも思うのでありました
久しぶりに自分の盃を弄ぼうという気持ちになった
いい一冊であります
よきかなよきかな


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