CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】すみなれたからだで

2017-02-13 21:18:49 | 読書感想文とか読み物レビウー
すみなれたからだで  作:窪美澄

男女の綾を描いた短編集でした
結構赤裸々にあられもない描写が出てきて
なかなか大変だというか、趣向を凝らした行為もあったりして、
それでも、なぜかさらっとしているというか、
濃密なシーンも、ある種、思い出の発露というか、
それによって描かれる心情がメインだと
改めて、女性っぽさというか、
男子の岸からは、眺めることも叶わない彼岸を見るようでありました

女性が昔、大変な恋愛というべきか、
捉えようのない燃えるものを経験したと
それを恋情と呼ぶのだと歌うような
大切なものを訴える内容が多くて、
なんだろうか、落ち着いて、現状のとりたててという状況の裏で、
女性がみんなそう思いながら生きているとしたら
それはそれで衝撃的すぎると思うんだけども、
短編で、その一点に強くフォーカスしているのが
潔いといっていいか、一貫していたのであります

その中で、いくつか男性視点の内容もあって、
個人的には、その内、猫の話がなかなか面白くて
これもまた、メルヘンといっていいか、
ある意味ファンタジーであろうという
男女のもつれみたいなのが見てとれて
雰囲気ともに好きだと思えたのであります

感動とか、共感ではない読後でありますが、
自分の知らないものを見たという印象を受けて
読書的に満足であると、結論するメモを
おいておくのである

おんな城主 直虎  初恋の別れ道

2017-02-12 20:56:52 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」
視聴完了であります
先週とは打って変わって、ちゃんと話が進んだ
いや、でもやっぱり、朝ドラ的な歩みだな
でも面白かったからいいのである

思い切ったコミカルへの振り切りがいっそ清清しいと思うほどで、
直虎周りもなかなか面白い感じであるものの、
瀬名を使って、家康界隈までそうするようで
今年は明るい気持ちで見ていられそうだと
安心できる次第でありました
あんまり世間ウケは狙わないで、
こういうほのぼのドラマで日曜日の夜を穏やかに過ごすというのは
一定の支持があるんじゃなかろうかと
年老いてきたせいか、思うのである

内容は、またも一休さんみたいな具合で
和尚の謎賭けをキーワードにして、
本当に大切なことというのを、恋情や熱情みたいなもので
台無しにしないようにという、結構ちゃんとした教訓めいた話で
個人的には、よくできてるなと感心してしまったのである
説教臭すぎるというきらいもあるようだけど
次郎が言っている限り、そうは聞こえないんだから
これはあたりなんじゃなかろうかと
なんか、喜んでいるのでありました

実際のところ、今週も特に話は進んでないわけだけども
今川との話、尾張への出征が近づいているというのがわかり、
桶狭間はいつごろやってくるのか
ちょっと楽しみにしながら、
今川絡みなら、北条はちょっとだけ名前が出てたが
もっと武田とかと、どうのこうのがあるんじゃないかと
思ったりもしつつ
そこまで描かないのか、どうなのか楽しみにしながら
見守っていきたいのである

赤備えの井伊だから
やっぱり武田の話は入るんだよなきっと、
楽しみである

【読書】九十歳。何がめでたい

2017-02-11 18:52:28 | 読書感想文とか読み物レビウー
九十歳。何がめでたい 著:佐藤愛子

齢90にしてエッセーをしたためる
そんな感じで、意気軒昂に老いを語った本でした
かくしゃくとしているというか、
おばあちゃんコラムとでも呼びたくなるような、
世の中、成り立ち、人生様々なことへのお小言が並んで
楽しい一冊でありました

平たくいってしまうと、
昔はこうだった、というお話なのでありますけども、
言葉選びと、小言の交え方が非常にうまい
高所大所の無闇な正論ではなくて、
もっとせせこましい話題や、こまごましたことに対しての
老人的不満をぶちまけているという具合でありました

いずれやってくる老いというものに対して、
こうまで大変なのかということを
笑いを交えて教えてくれるようでもありまして、
もうちょっと年食ってから読むと
より味わい深いのかもしれないと思いつつも
大好きだという、人生相談に対する複雑な思いというか
私ならこう答える、というか、答えた、
だめだ、これでは連載が続かないみたいな
このやきもきした感じが、なんとも楽しいのであります
不思議な魅力だと思うのであった
あと、年寄りは怒りやすいのかもしれない(酷い感想だ)

ある種、高度な皮肉を年寄りだからごめんあそばせ、みたいな感じで、
古くはいじわる婆さんに出てきたような手法でやられていて、
エッセーとしての読み応えも十分であったと思うのであります

こういう頭のいいお年寄りになりたいものだと
せつせつ、思い知った一冊であります

【読書】罪の声

2017-02-10 17:57:43 | 読書感想文とか読み物レビウー
罪の声  作:塩田 武士

面白い小説だった
出だしに、こう、はっきりと書くのは久しぶりな気がしますが、
久しぶりにはっきりと、面白かったと堪能した気分を
十二分に漂わせる感じの読後であります
非常に凝ってるというか、しっかり重厚だけども、
読後に疲労感がない、上手いんだと思う
それで、作者を見てみたら、私よりひとつ下の生まれということで
そうか、そうだよなと感傷にも浸ったのだが
それはまた別の話、ともかく、面白い小説でありました

グリコ森永事件をモチーフとしたフィクションだそうで、
これはひょっとすると、小説の通り、真説が出てきたんだろうかと
思ってしまうくらい、非常によくできているというか、
その筋をなぞりながら、面白い物語になっている
大変素晴らしい内容でありました
陳腐な言い回しなら、リアルだという奴であります

事件に関わった子供に焦点をあてて、
その子供が、今になって、自分の父あるいは、親族に、
その事件の関係者がいるんじゃないかと気付く、
そこから話が始まっていき、
それとはまったく別の路線から、週刊誌が懐かしの事件特集という線で、
調査が改めて進んでみると、驚くほどの進展が見られ
その二つが交錯してと、盛り上がりもよろしく、
謎解きが、とても心地よい感じでたまらないのでありました
近く、ドラマになってほしいと思うんだが、
これフィクションだから、やるの難しいなと感じたりもする
でも、64やれたし、やれんことはないのか

登場人物の心情が、凄く理解しやすい、
とっぴなところがなくて、そう思うだろう、私でも
なんて思わされるような、ほどよさが見事で、
これは個人的な感想なので、人によっては温いとか言うかもと
感じたりもするんだが、疲れないほどよいストレスを味わいながらの
ひりひりと、真実に近づいていくのが楽しいのであります
まるで、事件を自分で追っているような
臨場感みたいなものを覚えるのだ

あとは、ベタなところでありますが
涙の展開も、嫌味が無くて、というか、
そんなに克明に描写してないのに、ありありと映るかのように
自分が物語に酔っていたと気付いたわけでありまして、
まぁ、本当に映像化したら泣くなと
思い知ったりしたのでありました

久しぶりにこれは面白いと、声を大にしたい感じで
読み終えたことをメモっておくのでありました

【映画】ザ・コンサルタント

2017-02-09 17:50:33 | ドラマ映画テレビ感想
裏の顔を持つ会計士のお話

こういう感じの触れ込みで、
これはアメコミ的なものなのかしらと思いながら
結局、実際そうなのかはわからなかったけども
充実したエンターテイメント作品を見たと
そんな感想なのであります
面白かった、アクションも凄かった、会計士なのに

キーワードといっていいのか、
サヴァン症候群的な、自閉症や発達障害をひとつの個性として、
数字にやたら強いから会計士になったんだけども、
お父さんが軍人で、弱弱しくてはいかんと、
ありとあらゆる格闘術というか、戦闘術を仕込んだおかげで、
化け物会計士が出来上がったと
そういうお話でありました
正義とか、あんまり関係ない、ふんわりと悪い奴を殺すと
そういう具合で、本当にもう、
虫けらのように人が死にまくるというのが、
久しぶりに衝撃でありました
最近、お行儀のよい作品ばっかりだったんだなと
自分を省みるのである

結構入り組んでいるというか、
・生い立ち
・今の生き方
・これまでの生き方
・なぜ追われるのか
・事件が起きる
なんていうのが、同時並行で進んでいくのですが、
これが非常にわかりやすいというか、
テンポよく、それぞれの事情がうまく連なって
一連の作品になっていくというのが見事でありまして、
なかなか楽しい、行き着く暇もないという具合

さらに凄いのは、やりすぎというか
完全にオーバーキルじゃないかという殺陣の凄まじさで、
まぁ遠距離から、対戦車砲みたいな銃を使って
しかもヘッドショットで、確実に殺すという描写が
凄すぎるというか、怖すぎる
徒手空拳も異常に強くて、本当に、流れるように殺す
殺すために動くみたいなアクションが
ステキすぎて驚いたのであります
日本の殺陣に失われてきたのは、この動作じゃねぇかなと
思い知るようでもあった
派手な画面つくりもあるけど、流れるように人が死ぬのも
インパクトあるよなぁというわけである
まるで漫画なんだけども、
本当に見事でありました

そんなわけで、勧善懲悪といってしまえばそれまでなんだが、
今後というか、次回も期待できるつくりにして終わっているのが
いまどきの作品だなと思わされたわけでありますが、
JKシモンズが相変わらず上手すぎると
セッションとは違って、気弱に命乞いするシーンが
最高にキマってたと思ったりしつつ
非常に満足したので、メモっておくのでありました
面白かった、なんも考えなくてもいい映画はよい

【読書】なぜ、あなたの仕事は終わらないのか

2017-02-08 17:47:56 | 読書感想文とか読み物レビウー
なぜ、あなたの仕事は終わらないのか  著:中島 聡

なかなか耳が痛いタイトルであります
内容は、仕事における時間の使い方
発展して、人生においてもそうであるという啓蒙的な
ビジネス書でもあり、啓発書でもあるという本でありました

著者が、windows95で、右クリックを開発した人なんだそうで、
こりゃ凄い人なんだと思うわけであります
その人の、そういう生い立ちと、実際にそれを開発していたときのこと
あれこれ交えて、著者が思う時間の使い方について
かなり丁寧に書いているのであります

基本は、スタートダッシュ
ともかく最初に8割がた終わらせて、そこで判断する
いけない時は、その時点ですぐにヘルプをという
早期決断で進めるというお話もさることながら、
一日の時間の使い方も、午前中を2つに分けて、
早朝全力、昼まで8割くらい、午後は流すといった
割り切りといっていいのか、時間をもっとも有効に使える方法を
提示しているのでありました

本の中でも語っていた通り、
これができるのも、この人だからではないかと
そういう感じではあるんだけども、
そうならないためにも、この本を読み終わったら
これだけ必ずやるようにと、丁寧にリストというか
やるべきことまで記してくれるという
至れり尽くせりの本でありまして、
なるほど感銘を受けて、その勢いのまま進めたら
あるいは、そうなるのかもやもと
思ったりしたのでありました

と、書いてしまったところから判るように
私にはやはり、どうにもなかなか難しい
尻が重い内容でありまして、根幹は、これまた本に指摘されていた通り
本当にやりたいことではないからと、
そういうことに帰結するのだなと
改めて思い知らされたりするのでありました
まぁ、そりゃなぁと感じるんだが、
そういう仕事に携わるからだめだといわれても、
なかなか難しいなと、観念的といっていいのか、
価値観の部分が、どうしてもすり合わせられなかったと
そういう感想を抱きつつも
早朝と、スタートダッシュの話は
非常に有用だと思うため、やってみようと考えるのである
ここまで徹底できなくとも、
少しは自分が改善するのではと期待したい

【読書】ビートルズのデザイン地図

2017-02-07 20:33:46 | 読書感想文とか読み物レビウー
ビートルズのデザイン地図  著:石塚 耕一

美術というか、デザインの参考書というか、
授業用の読本か?と思うような内容でありました
人にすすめられて読んだのですけども、
なんと形容したらいいのか、
著者が語るビートルズの本で、
ビートルズにそこまで思い入れない自分が読むのは
違うと思わせる本であったように思うのである

美術やデザインの先生が持論を形にしたと
そういう具合なんだろうと思いますが、
各アルバムのジャケットにまつわるお話と、
そこにこめられたデザインの意義、意味みたいなものを
つらりつらりと並べていまして、
そうなのか、そうだったのねと
思ったり、不思議に感じたりしつつ読みすすめる

いかに先鋭というか、進歩的であったかというところが
ビートルズというひとつのアート作品について、
こんこんと語っているという具合でありまして、
あまり知らない自分からすれば、
そこまで凄い人たちだったのかと
いまさらながらに思い知らされたわけでありました
まぁ、確かにあれだけ、楽曲聴いてるんだから
そりゃ凄いわなと思うわけであります

アルバムジャケットのこだわりようも、
並々ならぬところがあって、プロダクトするもの
創造物である、楽曲を含めたLP盤それ自身を
アート作品と位置づけているといわしめるほどだそうで、
名うてのデザイン屋、ポップカルチャーの申し子、
サイケデリックの始祖みたいなのを
これでもかと語り盛っている内容でありまして
なかなか、ビートルズは凄かったんだなと
月並みな感想ながら、しっかりと思わされる内容でありました

面白かったかといわれると
なんか違うなというか、これは、この人の講義を聞くときの
サブ本ではないかと思ったりしつつ
困惑とともにメモっておくのでありました

【読書】告白の余白

2017-02-06 19:48:30 | 読書感想文とか読み物レビウー
告白の余白  作:下村 敦史

京都を舞台にしたミステリーでした
京都、とりわけ、京女の行き方、考え方
それそのものがミステリーだといわぬばかりに、
言葉の裏を読むことが主軸となって展開して
まぁ、なんというか疲れた
最終的な種明かし的なものが、えらい説明で出てくるんだが
なかなかどうして、これを瞬時に判断しないといけないと思うと
京女はごめん被ると思わされるのであります

高知県出身の自由を愛する男が
京都で何かあったらしい
その男の双子の弟が、その謎を解き明かしに京都へという具合で
「よそもん」の扱いから、京都内に潜む、
老舗といけずと舞妓はんの応酬が
なかなか楽しいといえば楽しい、怖いといえば怖い
そんな風に進む話でした

主題には、縛られること、囚われること
そこへの反発みたいなものがあるのですけども、
それすらも、意識に囚われているという
矛盾めいたものに突き当たったりして
なかなか面白い内容でありました

大半が京都風俗紹介のようでもあり、
風土に馴染んだしきたりめいたものや、
葵祭に関する様々なお話なんかもちりばめられていて
京都好きの人にはたまらん内容ではなかろうかと思うところ

最終的に晴れ晴れとする話でもなく、
また、うやむやと終わったようであり、
さりとて、なんとも嫌らしい話だったとも思えたりで、
種明かしをしてもしても、その本当のところまではたどり着けない
京都っぽい印象のまま終わる物語が
なかなかどうして、読み終えて疲れたと言わしめる一本でありました

最終的には女心はわからんというオチだったようにも読めるけども、
なんだろうか、打算ではないが、ロマンがないという
これもまた、男が夢見る何かをあざ笑うようで
面白いものだったとも感じるのでありました
高知の男は純朴だという内容だったのかもしれない

おんな城主 直虎  亀之丞帰る

2017-02-05 20:44:06 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」
視聴完了であります
前回からあっという間に時間が経ってという感じで
まずまず顔見世の回という具合でありました
一休さん風というか、
コミカルにキャラクタの造型を見せていく感じは
嫌いじゃないんだが、やっぱり朝ドラっぽいと
そういうイメージを持ってしまうな
そう思いながら見ているからだろうかしら

ちょっと少女マンガっぽい展開も入れつつ、
演出も、ある意味斬新で、
昨年とは違うコミカルさが、個人的には好きだと
満足しているのでありますが
いよいよもって、大河ドラマという風から
随分離れた、遠くなったと思ってしまうところ
もうちょっと重厚なシーンみたいなのは
そのうち出てくるのか、よくわかりませんが
このままでもいい気はするんだが、
やっぱり、濃厚な大河ドラマという、古くからのそれも見たいというのは
ジレンマというか、わがままであろうかと感じるところであります
長い一文になってしまった

平たくいうと、亀が育ってイケメンになってるかどうか、
それが心配であるという話だったと思うんだが、
面白かったからいいとして、個人的には、鶴と俳優逆なんじゃないかと
勝手に思ってたりしたのだけども、
どっちにしろ、線が細いよなと最近の俳優さんを見て感じるところでありました

特に語るべくものもないけども、
早いところ、歴史というか、物語が動いてほしいと
待ちわびるばかりであります

【読書】華麗なる微狂いの世界

2017-02-04 12:32:12 | 読書感想文とか読み物レビウー
華麗なる微狂いの世界  著:平山 夢明

微妙に狂った人たちとの対談を収録した、
これ発刊して大丈夫なのかという一冊でした
氏の小説の中のような世界が、まぁ、めまぐるしいというか
狂おしい形で記されていました、怖いよう

ストーカー、自傷癖、女装趣味、自称姫などなど、
メンヘラから、メンヘルまで、幅広く怖いというか、
狂ってんじゃないかと思わされる人たちとの
愉快というか、おぞましい会話が収録されていました
ちょっとした、文章の見世物小屋という様相で
見る人が見たら、なんとか侵害的なもので
だめになるんじゃないかと思うようなできばえであります

エログロナンセンス、なんでもこいという内容で、
いわゆる下ネタもわんさか出てくるので、
あまり頭を使わないで読むべき本でありましたが、
頭を使いようもない様々な事件というか、
理解できない行動と衝動とがちりばめられていて
なかなか、世界は広いと思い知らされるものであります

個人的に、犬猫を愛撫する話が衝撃的で、
中学生、高校生くらいの時分にこの話を知っていたら、
まぁ教室でヒーローだなと思うような
濃厚な、バカ男子学生嗜好が山盛りで面白かった
電車の中で読むべきではない一冊であります

ストーカーの被害や、メルヘン世界の住人の話など、
よくあると話に聞くけども、
実態はどうなのかというところに、
近づけているのか、これも実は虚構なんだろうかと
わからなくなるような凄まじさに脱帽で、
こういう世界と、積極的にお近づきになろうという氏のスタイルに
畏敬を覚えるようでありました

最近記憶力がへたってきたから、
読んだ内容を覚えてられないと思ってましたが、
ここまで強烈だと忘れられないものだなと
現在、恐怖に近いものを覚えているのであります
面白かった

【読書】ブスの本懐

2017-02-03 20:33:31 | 読書感想文とか読み物レビウー
ブスの本懐  著:カレー沢薫

ブスというテーマで一冊書いてみた
そんな感じで、著者本人も語るとおり、
何一つ残らないエッセーというか、コラムというか、
読み物でありました
一言でいうと、酷い、何が酷いのかというと、なんだろう
そう、ゲシュタルト的な崩壊を催す感じで、
ブスについて、こんこんと語ったというか、
もうブスとつければ、なんでもいいやみたいな
かなりいい加減な心持で紡がれている文章で
凄いなと、感心してしまったのであります

ブス大喜利みたいな感じで、
ありとあらゆる「○○ブス」というテケトーなテーマを与えられて、
それにまつわるような、実際は関係ないようなということを
つらつらと何本も書いているという文章でありまして
これはこれで、凄いことだなと思うわけだけども、
誰のためでもない、みんなが不幸になる悪口を並べているようでもあり、
賽の河原のような、地獄を見たように感じるのであります

個人的に、この本は男性が読んではいけないのだと、
心強く思わされたのでありまして、
ことあるごとに、というか、女と書いて「ブス」と読む、
そういう訓読みだか、音読みだかが存在するんじゃないかと
それくらい安売りされるブスという言葉を浴び続けて、
気付いてみると、そこらで見かける女性も、
なんとかというブスではなかろうかと、そんな風に見えてきて
非常によろしくない、大変よくない、危ない、この本

読んでいるだけならば、非常にくだらなくて、
一笑を得るものなのでありますが、
「動かざること山の如きブス(顔は武田信玄)」とかいう、
畳み掛けてくるブス談義フレーズが、
本当にもう、身体にというか、精神に悪いと思わされつつ
ブスという非業の生き方みたいなのを
連綿と、まぁ、これでもかと思いつくままの
悪し様で綴ってあって、なんとも哀しいでもないが、
どうともいえぬ感情を抱いてしまったのでありました

面白かったけども、本当にもう、得るものがない本であった
これが褒め言葉になるんだから、恐ろしい一冊である

【読書】読書は格闘技

2017-02-02 19:15:36 | 読書感想文とか読み物レビウー
読書は格闘技  著:瀧本 哲史

本を読むことは格闘技であると
題名の通りの内容の持論を解説しつつ、
本と格闘する様を見せるものでありました

読書とは、本に書いてあることを鵜呑みにするのではなくて、
そこにある理論なり、哲学なり、思想なりと
戦うことにあるんだという話でありまして、
まぁ、だらだら読むんじゃなくて、読んで考えて、
自分なりの答えなり、疑問なりを紡いで
ややもすれば、本に書いてあることを論破せよと
そこまで過激ではないものの
読書への取り組み方について、一考させる内容でありました
確かにその通りだ、漫然と読んでると、全然よろしくないと思ってた

と、まぁ、すでに無批判な受け入れをしてしまっているわけですが、
とりあげている本が、比較的新しいものも多くて、
ここ10年くらいの間で話題になったビジネス書も含んでいるので
時事ではないが、なかなか楽しく論評が読めて楽しい
そうかと思えば、古典もちゃんと並べてみたりして
そもそも、本がどういう過程で書かれたのかを考えると
より深く楽しめるという話で、
マキャヴェリの君主論が、マキャヴェリ自身の就職活動用のエントリーシートだったとか
新しい視点を与えられて楽しめるのでありました

一点、不思議というか、あれっと思ったところでは
誰もが知っている読書対象に、国語の教科書が出ていたんだが、
そこで「山月記」というものが紹介されていたんだけども、
俺、それ知らない、読んだことない
なんてあっけにとられたりしたのでありました
誰もが習う教科書に載ってるというふれこみで、
それでもあらすじを書いておこうと、書いてくれていたんだが
それを読んでも、知らない話しだとしか思えず
なんというか衝撃だったのであります
こう考えると、みんなが読んでいる本というのが
いかに存在しえないものかと思い知らされるわけである

個人的に、国語の教科書で感動したのは、
漱石の「それから」と山田詠美の「ひよこの瞳」だったんだが、
なんだろう、よろしくない高校を出たばっかりに
水準に達していないんだろうかと、いらぬ不安を覚えるのである

さておいて、ともかくも、本を読むとき
それを批判する目というほどでもないが、
鵜呑みにせず、自分の血肉とする読み方をしましょうというのには
いたく感激したというか、そあるべきだなと
珍しく思い知った感じがしたので、
最近、つらつら考えなしに書いている感想文を
真面目に書くようにしようかと
思うだけ、思っておくのでありました

【読書】たとえる技術

2017-02-01 17:41:21 | 読書感想文とか読み物レビウー
たとえる技術  著:せきしろ

たとえ話の作り方について書いた本
といっていいのでありましょうか、
簡単な言葉遊び、言葉選びについて、
ヒントを集めたような本でありました

○○のような××

こういう時に、どう考えて作っていくとよいか、
また、これを使うことで、どんないいことがあるかしら、
あるいは、こんないいことをするために使っていこうとか
あれこれと視点を変えながら、面白そうな、
理解を深めそうな、印象に残りそうな言葉を選んでいく技術について
つらつら書かれていたのであります

大半が、たとえ話の例という、妙な日本語なれども
それで埋められているので、あんまり本を読んだという感じでないけども
なかなか楽しい、あれこれ考えてみたくなる内容であります
「赤い」ということをどう例えるかというのも、
モノに例えてみたり、物語からもってきたり、関係ないものから引っ張ってきたり
あれこれ手をかえて、品を変えていくことで
オリジナリティあふれる赤い色が見えてくるというのは
なるほどわかる、と思わされるところであります

いくつかは、納得いかないというか、
そのたとえは違うんじゃないかと思う部分もあったけど
それはおいといて、あくまで技術として、
こうやって考えるといいですよという
ヒント集として読めば、非常に有益であったように感じるのでありました

ところどころ大喜利の回答みたいなのになっていましたが、
おおむね楽しく読めるというか、個人的にぴたっと来たのが
「嫌なアイドル」という単語を考えていくときに、
アイドルを、人間、生き物、この世界の何かと
シフトアップというか、ずらしていくことで、
それぞれの嫌なところを考えて、アイドルに戻して例えるというのが
ちょっと使ってみたい、というか
完全に大喜利じゃないかと思ったんだが、
こういうのをぱぱっと出せるようになると
なんとなし、会話が楽しくなりそうですねと
人並みの意見を覚えたりしたのでありました

使うことはないかもと思いつつも、
印象的で、冗長にならないフレーズは
ほしいなぁと思ってしまうのである
よい読み物であった