CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】スクラップ・アンド・ビルド

2022-12-28 20:55:29 | 読書感想文とか読み物レビウー
スクラップ・アンド・ビルド  作:羽田圭介

ずっと前から気になってたんだが、なかなか手に取ることがなかった一作
どんなもんかと読んだわけだが、なかなか面白く読めた
芥川賞なのに、そこまで暗くないというのがよかったと思うのである

7年前の作品とのことで、もっと前だったような気がしたんだが
内容的にはリアルタイムよりちょっと前設定くらいなんだろうか、
ちゃんと読んだら書いてありそうではあるが、
どことなし、暇つぶし描写にスマホががんがん出てこないあたり、
ちょっと前っぽいよなと思いつつ読んだのであるが
タイトルの通り、再生するお話でありました

ものすごく浅い楽しみ方としては、
筋肉がすべてを解決するという話ではと
言いたくなるような感じだが、
この筋肉を作るという作業、それがスクラップアンドビルドでもあるし、
また、精神的にも同じように一度粉々になって、また組みなおしているといえるような
成長とは異なる、組みなおしたというのがしっくりくるような
男の生き方とまでいわない、変化する姿というのが描かれていた
個人的には、結構好きだなというか、なんか当てはまるでもないが
わかる気がするという、妙な共感を刺激される内容だったと思うのだ

じいちゃんの介護というものを通しつつ、
死への接近と恐怖みたいなのも描きながら、
介護が緩慢な殺人かのような描写も、考えすぎではないかという感じでもあるけど
そう考えてしまわざるをえないくらい、自身がまた弱っているというか、
なんか壊れているという感じもして、そこから立ち直るでもないが、
新しいものへと組みなおされていく姿が、
なんとも、てんで普通の毎日でしかないのに、変化した、成長とは異なるが
変わることができたという結果を描いたように見えて
よかったと感じたのでありました

さらっとしてるし、もっと深く読み込んで、
その実を楽しめる内容なのかもと思ったりもするわけだが、
あまり深く考えず、そういうこともあると
さらっと読んでしまうのが、よい読み方だと思える作品だった