エドワード・ゴーリーの作品は、みんな気持ち悪いのかと思って読み進めてみると、実はそうでもなかったのです。
今まで『横須賀美術館にて「エドワード・ゴーリーを巡る旅」展』で読んだ「不幸な子供」「うろんな客」、また「ずぶぬれの木曜日」と「音叉」、・「金箔のコウモリ」と「失敬な召喚」を読みました。
確かに、ざわっとする感覚を感じるかもしれません。だけどその感覚のカーテンの裏側に何かが潜んでいるような感覚を感じます。
感動したり深く頷いたり・・・・・、そして癖になるのでした。
そしてこの「蟲の神」、確かに刺さる、何かが。
その手を放し、子供をさらわれてしまった子守は狂ってしまい、恐ろしい言葉をつぶやきます。
「奴らが天井をはっている音が聞こえる。」
いや、正確には
「聞こえますとも、何度でも。
奴らが 天井を歩く音。」
そこだけ読めば、まるでサスペンス。
だけど実はホラーに近い。
そして救いがないのです。
攫われたたった4歳の子供、ミリセント・フラストリィは蟲の神のいけにえに・・・・・・。
だけどやっぱり何かカーテンの裏側を考えてしまう彼の物語。
彼が描く蟲たちは、4本脚。
確かに6本足も紛れているのです。
でもこの4本足の、おぞましき蟲たちは、実は・・・・って思ってしまったり。
あとがきがいつもの通り充実していて、そこも読みごたえがあります。
ただ彼の絵は繊細で、触覚やその他もろもろ、いつも以上にザザッとした感覚に襲われます。
どなた様にもお勧めできるかと言うと、ちょっと微妙です(笑)
虫が苦手な方には、その絵が素晴らしいがために、より無理になってしまったかもです。
実はワタクシも。
初めて「うえっ」ってなりました(笑)
でもパタンと本を閉じたら、次は何を読もうかなと言う気持ちになっていたから、やっぱり彼の本は癖になるのですね。
・・・・