森の中の一本の木

想いを過去に飛ばしながら、今を見つめて明日を探しています。とりあえず今日はスマイル
  

もの考える秋

2011-10-08 17:40:46 | 家族スナップ

お母さんとかおばさんとか、同じ話を繰り返す。

だから許してと言うわけじゃないが、前に書いた事を、叉ちょっと繰り返し書かせてね。いや、本当は前に書いたところがサクッと見付かれば書かないんだけれど、之だけ記事が増えたんじゃ、簡単には見付からないので。

ルート君の小学校4年の時に出た宿題。帰り道を観察して思った事を書いてきましょうと言うもの。
それで何を思ったのと私が聞くと、彼は真面目な顔で
「人は何のために生まれてくるのだろうって思った。」と言うお話。

私は親だけど、親じゃなくてもこのエピソードはきっと好きだ。10歳の子供は、高い空を見て微かに色づき始めた森の木々を見て、そして自分の事を考えたのよね。

確かに宿題の主旨とは違う展開。だけどね、こういう展開こそが教育の醍醐味のはず。しかしながら、受け止める先生側に幅広い思考のふり幅があるかどうかは時々疑問に思う。

 

ルート君は言葉のスタートも遅く、自分の気持ちの表現力に乏しいが、彼がふと感じたことを、いろいろ展開させて話したりする事が好きだ。言葉巧みなラッタ君と違って、それは滅多にはないのだけれど。

 

ルート君の哲学の秋のエピソードを思い出すと、必ずセットで思い出すのが工藤直子の「哲学のライオン」。

これも子供の中学の教科書で知った詩。

 

てつがくのライオン (フォア文庫)
工藤 直子,佐野 洋子
理論社

読めば読むほどその世界に引きずり込まれる。

ちょっとさわりだけ

「ライオンはてつがくが気に入っている

かたつむりが、

ライオンというのは、獣の王で哲学的な様子をしているものだ

と教えてくれたからだ。

きょうライオンは「てつがくてき」になろうと思った

哲学というのは坐りかたから工夫した方がよいと思われるので、

・・・・・・」

(続きはネットで検索すると出て来ます。ちょ、ちょ、ムニャムニャ)

草原で鬣が風に吹かれているライオン。

ライオンはじっとしずかにてつがくをしているのだ。

この詩を美しいと思う。

だけど面白いと思う人もいるだろう。可愛いと思う人もいるだろう。人はみんなそれぞれ。

中には、ライオン馬鹿だなぁとか、カタツムリは知ったかぶりの愚か者なんて思う少数派もいるかも。
それも良いんじゃないかなと思う。

ただこの詩を知っていると、立ったまま居眠りしている猫を見ても「瞑想する猫」って思うよ。

 

ところで昨日衣替えをしていた時にルート君が、私が何をしているのか覗きにきた。折りしもテレビではモンゴルの何かの映像。

その時ルート君はふと思った。

「チンギス・ハーンって国では英雄でも、日本から見たら単なる侵略者じゃない?」

もちろん責めてきたのは彼ではないが、ルート君の捕らえ方は蒙古と言う集団の象徴と言う意味って言う事は勝手に分かる。

蒼き狼、チンギス・ハーンは私にとってやはり英雄だ。

彼が何故英雄たるゆえんかと言うお話から、徳川家康に話が飛び、彼が知略と武力と言う暴力に暴力を重ね結果的には天下を平定した話に流れていった。

300年に及ぶ平和な時代の礎を作り、国として機能していたゆえに、次の外敵侵略に踏ん張る事が出来たのだと私は思う。そうすると、戦国の世に多くの血が流れたのは、歴史を顧みれば必要悪だったのだろうか。

 

「そう思うと、人間の歴史はおぞましきかな、悲しきかなだよね。」

「人間って言うのは牙も持たず鋭い爪も持たず薄っぺらな皮しか持っていないんだけれど、それでも食物連鎖の頂点に立ち・・・」

「その代わり知恵を持っていたんでしょ。知恵から武器を作り出したんだ。」

「そう。そしてそれでいろんな生き物を殺して食べて生きていくおぞましき生き物なんだよね。」

「それを言ったら、生き物はほとんどがそうだろう。」

なんでそう言うシステムなんだろう。思わず歴史的雑談から生物的雑談に変わっていく。

「そうよ。この世界でおぞましくないものって言ったら、思い浮かぶのは川辺で風にそよいでいる葦なんかかもね。」

「だけど『人間は考える葦』って言うんでしょ。」

「『人間は殺しむさぼり続ける葦である』、なんかこの方が、今の気分ではピンと来るね。」

「確かに。」

と言うわけでルート君との楽しい会話時間は終わったのでした。

※      ※      ※

だけど知恵を持っている人間がこの地球の上でトップに立っているというのなら、その責任は父のようなもの母のようなものなのではないのか。この地球を生きている生き物の為に守る使命があるのでは。でもやっている事はどうなんだろう・・・・って思うよ。

 


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