原作は 『オール讀物』(文藝春秋)2011年11月号に掲載された続編「さやゑ歌麿」。
前作の「だましゑ歌麿」が面白かったので期待度も高かったです。
でもこれ、推理部分がすごく面白いというのではないような気がします。
私的見所は「相棒」メンバーの違った役どころ。
そそっかしくない幸子さんやずれていない陣川君、一癖無さそうな官房長、こうなったら暇か課長も米沢さんも出しちゃって欲しかったなあ。‥・・てな訳にはいかないですね^^
違った役どころという意味では、ダントツ水谷さんの、沈着冷静な右京さんとは違った、切れまくった感じの芸術家肌の歌麿、結構ツボでした。
特にラストの牢獄の歌麿、凄かったですねえ。
思わず、本当の歌麿はどんな人だったのか検索してしまいましたよ。
喜多川歌麿→こちら
牢獄の中の歌麿からは反骨の精神がメラメラと伝わって来ましたが、実際には・・・・
うーむ。
なんかワクワクするような想像力を刺激するものがありますね。もう少し彼の物語の続編を見たいところです。高橋先生よろしくお願いしますと言っておきましょう。
「だましゑ歌麿」の登場人物から派生した物語もたくさんあるんですね。
だましゑ歌麿 (文春文庫) | |
高橋 克彦 | |
文藝春秋 |
春朗合わせ鏡 (文春文庫) | |
高橋 克彦 | |
文藝春秋 |
もう一つの見所は、鶴亀の襖絵の仕上がりですよね。
ほんとうに見事でした。女将から依頼が来た時、本筋よりラストにどんな絵を見せてくれるのかが楽しみでした。
いつもテレ朝美術さんは、素晴らしいと思ってしまいます。奥行きのある襖絵で女たちはイキイキしていました。
そしてあのからくり絵は凄かったですね。
「兄さん、兄さんがいる・・・」
思わずジーンとしました。
でも私・・・ちょっと・・・
いくら歌麿の作品でも殺されてしまった女たちの供養で、彼女たちの絵と言うのは、遊郭の天井絵としてはどうなのってちょっと思ってしまいました。女将としてはスペシャルなお客様をここで饗したり、見せたりして元を取ろうとしてたと思うのに(私的考えでは)、ちょっとまずくないのかなあなどと・・・
いや、それとも余計話題性が増すのかしら。
って、そんな事思うほうが不純だったかな(^_^;)
オマケのように書いてしまいますが、画家とモデルの感情のスレ違いから物語が展開していくという件は、なんとなく好きでした。描き終わった時には、画家の愛は燃え尽きてしまうのに、モデルだった女性の方にはその思いが募っていく。なんとなく残酷なような気もします。
ああ、そうそう。
葵小僧はほんとうに居た人なんですってね。
最初、吟味の時間が異常に短かったのは、何か権力の圧力か手抜きなのかと思いましたが、平蔵の説明を聞いて納得しました。調べて表沙汰になったら、助かった命さえまた失いかねない時代だったと思います。だけどやっぱりそれが悲劇のもとでもあったのですよね。
葵小僧→こちら
ちなみに前回の「だましゑ歌麿」の感想は→こちら