義時は我が子の柔らかいぬくもりに、どれだけか救われたような気持ちになれた事ででしょう。また彼の肩に手を添える、妻、八重のぬくもりにも。その妻だって、父や兄を殺され我が子も殺されると言う人生を送ってきた人。その手のひらは多くの悲しみを知っていて、その手のぬくもりは大きなものでもあったでしょう。
夫が言いました。
「義時、帰るうちがあって良かったね。」と。
帰るうちと言うのは、そんな風に寄り添ってくれる家族がいる家を指しているのでしょう。
だから私も、「本当にそうね。」と答えました。
義時、いろいろと辛い事がいっぱいでしたね。
この物語、マンガ「吾妻鏡」にて、一応予習済みです。予習と言うのは、せっかく知らない話なのに、ネタバレを受け入れているという事なのですが、このドラマに関して言うならば、それで良かったと思っています。
じゃなければ、耐えられないからです。
あらかじめ概略ですが知っていると、残っている資料(吾妻鏡)に書かれていた事を、三谷氏がどう捌いていくのかと言う所が私的には見どころになって来て、するとその捌き方があまりに見事なんで、残酷な展開でちょっと耐えられないなと思っていた時期もあったのに、また最近では「楽しみだな。」と言う気持ちが沸き起こって来ています。
頼朝がダメだよと言っておいたのに、それでも法皇から恩賞を貰ってしまう義経。これは後の話に繋がっていく伏線ですね。
今回は義高の物語。
私は政子が言い放った
「だったら最初から大姫の許嫁にするなんて言わなきゃいいじゃない !!」に一番共鳴しました。
頼朝には最初から、「ともに平氏を倒す」なんて気持ちなど微塵もなかったわけなのですから、いずれこうなるのは運命だったわけで、それは意外と見えていた運命と言うか、軽く推測できた出来事だったと思います。それなのに大姫の許嫁として迎い入れたのです。
あほか、この男たちは。人の心を甘く見過ぎじゃって、誰でも思いますよね。
義高の処断を任された義時や政子をはじめ、三浦藤村、畠山なども皆、義高を助けようと動き出します。
一番はやはり大姫の命を懸けた助命嘆願だったと思います。
「分かった。わしの負けだ。」と言って、義高の命を助けると言った頼朝が大姫を抱きかかえようと手を差し伸べようとすると、政子がそれを止め一筆したためさせるのでした。
政子、凄いぞと思ったのもつかの間、そこに義高が討ち取られたと言う知らせが入って来るのでした。
どんなにみんなが頑張っても、彼の命はそこで尽きると言う運命からは逃れられなかったのでした。それが彼の宿命だったからでしょうか。
その時、政子が「決して許さない。」と言った事から、その義高の首を取った藤内光澄も首をはねられてしまいます。
なんだか、この人も気の毒ですよね。
首を持ち帰って来た時の、高揚とした嬉しそうな顔は、まさにしてやったりと思っていたと思うのです。それが斬首ですからね。「なぜだー!!」と叫びたくもなると言うものです。
甲斐源氏の武田信義の嫡男一条忠頼も、まったくの言いがかりでしかなかったと思うのですが、この機に乗じて誅殺してしまいます。最初から彼のことは「いずれ消えてもらう。」と頼朝は言っていましたから、思いもかけずそのチャンスが来たと言うわけでしたね。
鎌倉は恐ろしい所。
だけど義時は、もうそこでしか生きていくことは出来ません。
政子も自分が放った一言がそんなにも重要な言葉で、それによって人が一人死んだのだと、自分の立場を思い知らされるのでした。
「もうあのころとは違う。」
だけどもしもこの時、お兄ちゃん(宗時)が生きていたら、彼はどう思いどう行動していたのだろうかと、ふと思ってしまったのでした。
きっと何事も変わらなく、宗時が義時の代わりに、胸が痛くなるような仕事をやっていたのかもしれません。だけどきっと彼は姉妹や弟の心を支え続けたのではないかしら。ふと私が思ってしまったように、苦しい時には、義時、兄の名前を呼ぶといいよって、私の世界の「鎌倉殿の13人」が言うー。
が、三谷氏の世界ではそれは無い。
18回から、HPの登場人物のページがいろいろと変わっていました。
去りゆくものは消え去るのみ。
だけど、だから今回の巴の登場には嬉しいものがあり、そして和田とワシャワシャしている姿にホッとするものを感じました。
そして義仲、手紙にもその孤高の気高さが表れていましたね。
先週書き忘れてしまったのですが、芭蕉さんが何度も通い、墓も彼の隣に作らせて共に眠ると言う紹介がされた「紀行」で、私は何か救われたような気がしました。
いつか「義仲寺」に行けますように。
そして ! とうとう! 次回は壇ノ浦 !
なんかドキドキする~ !!!