森の中の一本の木

想いを過去に飛ばしながら、今を見つめて明日を探しています。とりあえず今日はスマイル
  

微笑みの悪夢

2014-06-24 14:54:44 | 詩、小説

此処のところ、広島・山口の旅行の記録を書いているのですが、忘れてしまうと思うので今日は夢の話です。

いつも書くことなんだけれど、「なんだ、夢の話か。」って思わないでね。

夢の話って話している本人には面白いかもしれないけれど、聞いている方はちょっと我慢だって事が多いのは知ってます。それでも書くの起承転結のある自分の夢のストーリーが好きだからなんです。

だけれど今朝の夢はそんなものではありません。ダラダラしています。ダラダラしているけれど・・・・・

 

遠くでさわやかな音楽が聞こえてきたな・・・・・・。

あっ、目覚ましか。でも私、起きたくない。だってこの続きを見ていたいんだもの。

猫が近くに寄ってきた気配がするな。でもママはまだ起きたくないの。だって面白いんだもの。

私は夢の中でクスクス、ニヤニヤしっぱなし。目が覚める直前まで微笑んでいたのでした。

だけれど意識が完全に現実の門を開けてしまったので、仕方がないなと思って夢が残像となってまだ瞼に残っていると言うのにムクリと起きました。

と、その時気が付いたのです。

やだ、これ。

面白いと思って笑っていたけれど、悪夢じゃないの。

怖い!!

そう思ったのです。

 

長い夢でした。姑と一緒にバスに乗ったり窓のカーテンを閉めようとして他の乗客に嫌味を言われたりその後もいろいろと続くのですが、メインの部分と関係がないので省略。

私は姑と別れて、お芝居を観るために友達と待ち合わせの劇場にやって来ました。

初めて来たこぢんまりとした劇場で、どこが入り口か分かりづらく、ここかしらと来てみたところはどうも裏口だったようです。だけどそこにはかなりの人がそのドアの前に立っていました。

それで私はそこに居た人に近づいていき聞きました。

「入り待ちですか?」

するとそこに居た中年の女性は、ぶっきらぼうに

「そう。だけどあなたが思ってる人じゃないわよ。」

あなたの、つまり私が思った人というのは多分天海祐希さんです。

「主役じゃない人の入り待ちなんだ。」と私は思いました。でもなんだかソワソワしているみんなの様子に、もうすぐ来るんだわ、じゃあ私もさり気なく待っていようかなと思ったのです。なんたってミーハーですから。

するとそんな私の気持ちが伝わったのか、先ほどの女性が

「あらっ、ダメよ。ここで待つことが出来るのは招待状を貰った特別な人だけなのよ。」と言いました。

招待状がないと出来ない入り待ちなんて凄いなと思いながら、そこを立ち去ろうとしました。人の群れから離れて歩き出すと、後ろから

「待って!」と鋭い声がしました。

振り向くと、ガードレールに寄りそう様に立っていたのは、真っ青なワンピースを着た女性でした。髪はセミロングで綺麗に内巻きにセットされていました。

その女性は、バッグから何か紙切れを出すと、さっと私に差し出しました。

驚いてそれを受け取ると、近くに居た若い女性が

「かっこいい、シャッチョッ!!」と言いました。

それでこの青いワンピースの女性が、この劇場のオーナーですごすご行こうとする私に招待状をくれたのが分かりました。

そして、

「私は他の用があるから、これで失礼するわ。」とその女性は颯爽と立ち去って行きました。

まだ全然若いのに、シアターのオーナーなんてかっこいいよなと、私は感動しましたが、受け取った招待状は白い封筒に入っているわけでもなくA4の紙にその半分に切った紙をホッチキスで添付したお知らせのようなものでした。

俳優さんのスケジュールやみんなの感想が書いてあるようでしたが、面倒なのでちゃんとは読みませんでした。ただA4の紙の半分の方に書かれた言葉は印象的でした。

「☓☓☓☓☓さんは、私達にとって特別な大事な女優さんです。みんなで彼女が喜ぶように盛り立てていきましょう。そしてそれによって私達も幸せになりましょう。」

私はその言葉に、何か特別な愛のようなものを感じたのかもしれません。

 

その時ざわめきが起きました。

見ると往来の向こうから黄色いドレスを着た華やかな女性が歌いながらやって来ました。その人を見て、ああ、あの人だったのかと思いました。あの人はこんなに人気があったのかとちょっと驚きました。

しかし派手な登場の仕方です。舞台衣装まで着けて歌いながら来るなんて、これじゃあ招待状なんかいらないじゃないと思いました。誰だって彼女と彼女のパーフォマンスを見ることは容易なことです。

彼女の歌っている歌は英語で知らない曲でした。だけれど私の周りに居た人たちはみんな彼女に合わせて嬉しそうに歌っていました。この人たちに紛れて、まったくわからないのでは悪いかなと思って、私は目を泳がせながら口パクで歌っているふりをしました。

すると近づいてきたその女優さんは、凄く優しい顔をして

「みなさま、お幸せですか。」と聞きました。

「はーい」「はーい」とみんなが言いました。

 

誰かを好きでいるということは幸せなことだなと、私は思いました。

 

「あちらで」と、彼女が優雅に手で指し示しながら言いました。

彼女の指差す方向で、みんなで写真撮影をしましょうと言ったのです。

 

実はその時、私は待ち合わせの友達が気になっていて写真はいいかなと思っていたのでした。ところが彼女が指し示した手の方向には、なんと彼女がいるではありませんか。と言っても、友人はこちらを向いているわけではなかったのですが、そこにいる人の横顔を見ててっきり彼女だと思って、飛んでいきました。

「あの」と肩に手をかけると、まったく別な人だと分かりました。

「あっ」と思ったけれど、後の祭りです。写真を撮るための列に押し出されてしまいました。

ちょっと友人には待ってて貰おう。

あまりない折角の経験だし。

と私は思いました。

 

この女優さんのファンの人達は凄く優しい人たちばかりでした。そして派手な人も多かったです。なぜなら主役の彼女を食ってしまうのではないかと思うような派手なコスプレで、真っ赤な中世風のドレスを着ていたりするんです。

 

写真を撮る時のひな壇の順番の時にも、何故か私の前の人だけ背の高い人で、ちょっと顔が隠れちゃうなと思っていたら、前の人が気がついて席を変わってくれたりしたのです。なんだかみんな知らない人ばかりなのに、居心地のいいグループだと思いました。だけれど、ふと隣を見ると、ざっくりと私の横から誰もいなくなっていました。がらっと空いた席に、どうしたんだろうと不安に思っていると、ざわざわとやじうまの人たちがやって来て、そしてその人たちが楽しそうに笑い出しました。

何が起きてるのかとよく見ると、そのやじうまの中の人混みから、どういうからくりに成っているのか人がスゥっと浮かび上がり、そのひな壇にくるくるっと回ってストンと着地するのです。着地したかと思うとぱっと消えてしまい、また別の人が同じことをするのです。スゥ、くるくる、パッです。

スゥ・くるくる・パッと、それが延々と続きます。その人たちはさっきまで私の横に並んでいた人たちだったのです。そして皆、顔は無表情なのに手を大きく広げたり、頬に可愛らしく手を当てたり、それなりにパフォーマンスをしていくので、次の人はどうするんだろうと飽きないのです。

写真はどうするんだろう。友達は怒っているかしら。そんなことを思いながら私は楽しくてずっと見ていたいような気分になっていました。だけれど心の片隅では、まさか私の順番は回ってはこないわよねと不安にも思っていたのです。だけれどこれは用意周到に準備されたイベントだったのだとようやく気がつきました。なぜなら彼女たちはいつそんな時間があったのか、皆黒い服に着替えていたのです。さっき席を譲ってくれた人が順番が来たらしく、そっと人混みの中に行くのが見えました。私は小さく手を振って「頑張って」と合図をしました。彼女は真面目な顔をして小さく頷きました。

 

遠くで心地よい音楽が聞こえてきました。

温かい体温が私の皮膚の近くに近寄ってきました。柔らかい猫の毛の感触が頬に触れました。

 

そして私は、仕方がないなと思いながら目を覚ましたのです。

ムクリと起き上がって、あっと私は気が付きました。

 

あの女優さん・・・・

もう既に亡くなっている女優さんだったのでした。

 

 

※      ※       ※

体調がちょっと悪い時に見るのは悪夢ー。

でも夢の中に何かメッセージがあるのかなと考えたりするのは、私だけじゃないと思います。

だけど私は暗黒の中世に生まれたら、色付きの夢を見たということで魔女裁判にかけられちゃうかもね。

 

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