森の中の一本の木

想いを過去に飛ばしながら、今を見つめて明日を探しています。とりあえず今日はスマイル
  

マンガ日本の古典「和泉式部日記」

2022-03-29 10:56:21 | 漫画・マンガ・まんが

この本を図書館から受け取った時、思わず

「えっ?」となりました。

前に「吾妻鏡」を読んだ時に、続けて「平家物語」も読みたいなと思いました。ところが、カバーの内側に折り返したところにあった32巻の本の名前の紹介の所に、「和泉式部日記ー萩尾望都」を見つけてしまっては、こちらを先に読みたいと思うのは、私にとっては当然の気持ちだったと思います。萩尾先生は、どんなねっちりした平安の恋愛劇を見せてくれるのかなと、即予約したのです。

ところが受け取ってみると、作者はいがらしゆみこさん。「キャンディキャンディ」を描いた方ですね。

本には編集部から「読者の皆様へ」という、都合により作者変更のお知らせが挟まれていました。

ああ、何があったのかなぁ。編集部と方針が合わなかったのかなぁ。体調が悪くスケジュールが合わなかったのかなぁ。

いろいろと考えても、ネットで調べてもまったく分かりません。

私的には、解けないミステリーになってしまいました。

 

弾正宮を失った後、その弟君である帥宮との愛に萌える和泉式部。

その愛の物語です。

 

冒頭の部分で言葉の言い回しとか、少々引っかかるところもあって、期待値が下がってしまったのですが、それが良かったのか、読み終わってみたらなかなか面白かったなと思いました。

帥宮は、意外と周りを気にするタイプで、遅々として恋の行方は定まらず、また雨の音で門をたたく音がかき消されてすれ違ったりと、そのもどかしさも良かったかもしれません。

帥宮が門があかなかった事で、他の者が来ているのだと疑っても無理はありません。まったく触れられてはいませんが、一体この和泉式部は、何で生計を立てているのだと思ってしまうからです。幾多の男たちが文をよこすと書いてあったけれど、たぶん文だけではなく、その時にいろいろと付けてよこしているのかなと思うのですがどうでしょうか。

彼女は弾正宮の恋の為に、夫からは離縁され実家からは勘当されてしまっているのです。何かにすがらなくては、優雅に生活など出来るわけはないのですよね。

だから乳母や側近の女房達も、その恋は道徳的に如何なものでしょうかなどとは言わないのですよね。

「まったく」以下の事は、私が思った事であって、本編には本当にまったく出てきません。

 

私が一番好きだなと思ったシーンは、帥宮の宮中に招き入れられた和泉式部の為に、本妻である北の方が出て行ってしまいます。

その出て行く時に和泉式部は宮の背後に立っています。その時帥宮は二人が微笑んでいるのを見るのです。

影のせいかと彼は思うのですが、きっと北の方は、折り合いの合わない夫に対して一片の責めを負わずに(みな彼のせい)出て行けるし、和泉式部は正妻を追い出して恋の勝者です。

恐ろしくも、メデタシメデタシの終わりだったと思います。

 

その後の4年、二人は幸せに暮らしました。だけどまたも帥宮は病死。

そしてその後、彼女は藤原道長の娘、彰子に使え、その和歌の才能を存分に生かしたのは周知のとおりです。

その道長の配慮によって、再婚もするのですが、その後も恋のうわさが絶えなかったと言います。

だけれどそれが彼女の和歌を作る才能の原動力だったのでしょう。

 

まぁ、所々で「私は宮様の思うとおりに生きるだけ。」的な事を言っちゃって、責任回避をするので、あまり世の女性たちの人気は高くはならないと思いました。

 

 

だけどいつの世も恋に生きる女性の好感度は、そんなものかも知れません。

これはこれで面白かったし、分かりやすかったし、和泉式部は美しくて良かったのですが、それでも私はやっぱり萩尾氏が描いたものも読みたかったような気がします。

 

 

 

 

・・・・・


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