森の中の一本の木

想いを過去に飛ばしながら、今を見つめて明日を探しています。とりあえず今日はスマイル
  

横須賀美術館にて「エドワード・ゴーリーを巡る旅」展

2024-08-16 09:04:44 | お出掛け日記

8月14日、息子君二人と出掛けてまいりました。

今までエドワード・ゴーリーの本や絵を見たことがあったか否かと、私は考えました。

絵は見たことがあったような無いような・・・・。

だけど摩訶不思議な緻密な絵のストーリーを知って、かなりの衝撃を受けました。

と言うことは、私はきっと彼の事を知らないで今まで生きて来たのだと思います。

 

なにかいろいろと衝撃的!

でもなんか癖になる・・・・。

 

自分へのお土産に、またもファイルを買いました。

ふと、お友達にもと頭に思い浮かびましたが、「いやいや、これは人にはあげ辛い。」と思って止めたのです。

ましてはお孫ちゃんが生まれたばかりの星子さんになんて、絶対に差し上げられません。

だってこのちょっと頼りなげで可愛らしい女の子の出てくる本のタイトルは「不幸な子供」なんですもの。

 

その本の挿絵の展示を流れだけで見て行っても、ストーリーは分かるような気がします。

しかし頭の中で思い描いた物語を、その絵に当てはめようとすると、途中で数度訂正を入れなければなりません。

つまり人は自分の生活で培ってきた生活を通して、物語を作ってしまうのではないかと、自分の事ですが思ってしまいました。

 

下にリンクした本の紹介ですが、そこに書いてある紹介文も凄いんですよ。

確認してもらいたいとは思いますが、そこには「おぞましい小動物があちこちで蠢く、掛け値なしの悲劇。トレードマークの微細な線画で、圧倒的な背景を描き込み一人の少女の不幸を悪趣味すれすれまでに描いた傑作!」とあるのですよ。

「悪趣味すれすれ」・・・!!

凄い(笑)

 

裕福な軍人の父を持つ、シャーロット。だけどその父がアフリカで戦死して・・・・

そこからが不幸の連続。母はショックで亡くなり、たった一人の肉親の叔父さんも頭の上にレンガが落ちて来て死に、弁護士は彼女を寄宿学校に入れてしまいます。孤児である彼女に対しての寄宿学校での先生の態度も酷く、他の生徒からもいじめられます。

ここから以下の()の中の言葉は、絵を見ながら甘っちょろい最初に思ったことです。

あとからの解説で、ここで「小公女」の物語を連想した人も多いのではないかとありました。

(私もちょっと思いました^^)

だけどシャーロットは隠れたり泣いてばかり。そしてとうとうその寄宿学校を脱出します。

(アクティブじゃん。やったね。)

だけど彼女はそれが精いっぱいで、道端で倒れてしまいます。そこに男がやって来て・・・

(優しい男の人に声をかけてもらったのね。)

彼女の首にかかっていた家族の写真が入っているロケットを盗んでいきました。また別の男がやって来て、彼女を抱えて連れていきます。

(親切な男が助けてくれて、また別の物語が始まるのね。)

男は彼女を別の男に売り渡してしまいます。

(その別の男と生活しながら、違う物語が始まるのかしら。)

彼女は最低の食事と水で生き永らえながら、ペーパーローズを作れと命令されて、それを作り続けます。男は幻覚を見るような男でした。

(心を閉ざした男と少女の物語とか・・・・・やっぱりそんな話ではないか。)

シャーロットは徐々に目が見えなくなってしまいました。

その頃、実はシャーロットの父は生きていて帰還し、彼女を探し始めます。

(そう思っていたわ !!最後は感動の再会を果たすのね。)

だけど・・・・

なんたって「悪趣味すれすれ」ですからね(;^_^A

 

「不幸な子供」のあらすじがここまでなのも悪趣味かもしれませんが、ネタバレをしてはいけないかなと思ってここまでにしました。

気になる方は一番下に書いておきますので、お読みください。

 

人にはあげられないなと思ったシャーロットのファイル。私は少々の苦しみには負けないと言う自戒を込めて買い求めました。

上の物語の不幸の本当のはじまりは、父の戦死じゃないと私には思えたのです。夫が死んだ連絡に寝込み衰弱して死んでしまった母親の死が、子供の最大の不幸のはじまりです。守らなくてはならない者がいると言うのに、何をやってるんだこの人はと、思ってしまいました。

たんなる1ページの脇役です。そうは思えませんでした。

きっとこの物語は、人それぞれに思うところが違うのかも知れませんね。

 

ここに展示されている絵の本のコーナーもあって、絵の内容も分かるので、とっても良かったと思いました。

緻密な線画。引込まれました。

2000年4月15日に、彼は心臓発作で亡くなったのですが、75歳でした。

今までにない世界観です。かなりエドワード・ゴーリーと言う人に興味もわきました。

 

 

↓ 本も1冊買ってきました。Aから始まるアルファベットの本ですが、良い子も悪い子も関係なく、子供たちがひどい目にあう話です。

 

↓ 美術館で読みました。訳の分からない話だなと思っていたら、最終ページで「ああ、なるほど~。」と笑ってしまいました。

 

↓ 三枚だけ絵があって、その先が滅茶苦茶気になっている私です。そのうち絶対に読もうと思っています。

 

横須賀美術館は2回目です。

前回は2022年の8月31日に訪問しました。

夏の終わりの一人旅《横須賀美術館☆運慶展》

 

 

上の企画展も良かったので行って良かったです。

その他にも

 こちらの大作も、凄く良いなぁと思いました。

同時開催の芥川沙織さんの作品もインパクトがありました。サラ~っと見てしまったのですが、なんと生誕100年だったのですね。若い人の作品なのかと思ってしまいました。ある種の見逃しと言って良いかもしれません。

 

最後に「不幸な子供」のネタバレの最後の部分です。

私的には、自身の目でその1行を確かめられた方が、心に残ると思います。

でもそこまではと思われる方の方が多数だと思いますので、書いておきますね。

 

ある日妄想と幻覚に苦しむ男が完全に狂ってしまうと、シャーロットはそこから逃げ出します。だけど目があまり見えなくなってしまった彼女は車道に飛び出し、車に轢かれてしまうのです。

そうですよ。あなた様が思った通り。その車は彼女を探して街中を走る彼女の父の車だったのです。

彼女を抱きかかえて,「シャーロット!!」と泣き叫ぶとか思うでしょう。

違うんですよ。そんなのまだ甘々なんですよ。

シャーロットがあまりに変わり果てていて、父はそれが我が子だと分からなかった・・・・・

という最後。

心に突き刺さりますよね。

 

 


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