「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

この国は、病んでいる

2008-06-12 08:55:24 | 国政レベルでなすべきこと
朝日新聞のコラムで、
多田富雄氏が書かれたことが、連載されています。

世界的な免疫学者であり、
「能」作者、文筆家。
不幸にして、脳梗塞に倒れ、
現在、第1級の障がい者。
何とか左手だけで、パソコンを打ち、
命の言葉をつむいでいらっしゃいます。

大切な文章がありましたので、
転載します。

****引用2008/6/10朝日新聞****
 このごろ、私はこの国の行方を深く憂えています。ひと言で言えば、私には国自身が病んでいるように思われます。
 戦後の復興期には、私たちも貧しかったが、少なくとも人間らしい健康な日常がありました。そして誰もが意見をもっていた。学生だって、時には反体制の運動に走るくらい元気がありました。
 ところが最近は、暮らしの原理といえる憲法を改正する国民投票法が強行採決されても、文句も出ないし、デモらしいデモも起こらない。
 昭和の日本には社会の中心となる健全な中流が育っていました。日本はこの健全な中流に支えられていたのです。それが過剰な競争と能率主義、成果主義、市場原理主義で「格差」が広がり、もはや中流はろくに発言できなくなった。健康な社会ではなくなった。

****引用終わり****

多田氏がおっしゃいますことに、私も同感です。
このままでは、いけないと思います。
意見がなぜ、でなくなったのでしょうか?

*皆、日々の生活が忙しく、考えたり、意見したりする時間的余裕がないから。

*意見を言っても、どうせ取り上げられず、労力の無駄と思うから。

*今の政治に期待をしていないから。

*そもそも、意見を言うべき課題が見えてこないから。情報が伝わっていないから。


私なりの仮説です。

私がやるべきことのひとつは、区議会、行政で“今”行われていること、行われていこうとすることをお伝えし、皆さんといっしょに考えて行くことだと思っています。



 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

鼻血について

2008-06-12 07:35:54 | 小児医療
鼻いじりの癖の多い子どもにとって、鼻血はよくみかけます。いったん出血をみると、重大に受け止めがちになりますが、正しく処置することで止めることができます。鼻血への対応を取り上げます。

Q:鼻血は、とくにお子さんでよく見かけますね。

A:鼻の中隔の前の方に毛細血管が集まった部分があり(キーゼルバッハ部位)、多くはその部分から出血することで鼻血が起こります。
 特に子どもは、無意識のうちにも、よく鼻をいじったりひっかいたりするので、出血します。一度出血すると、しばらくの間は鼻を強くかんだくらいでも出血しやすくなります。ちなみに、「のぼせて」鼻血が出ることはありません。

Q:鼻血が出たら、どう対処すればよいですか?

A:鼻血が出たら、座って(頭を心臓より高くする)、頭を少し前かがみにします。綿球やティッシュペーパーを鼻の穴にいれ、鼻の小鼻をつまんで、10分間くらい圧迫し続けます(鼻つまみによる止血)。
 よく目頭ちかくの鼻の根元を押さえたり、後頭部や首の後ろを叩いたり、冷たいタオルで冷やすのを見かけますが、何の役にも立ちません。

Q:なかなか止まらない場合もありませんか?

A:処置が悪ければ、なかなか、とまりません。特に、つめた綿球は、早めにつめかえたりしていると、ふさがりかけていた傷口がまたあいてしまうので、いつまでたっても血が止まらないことにもなりかねません。
 寝かせたり、頭を後ろに曲げると、鼻血がのどにまわり飲み込んでしまうことになります。血液を飲み込むと気持ちが悪くなり、吐いたりもします。
 正しく処置をすると、10分間くらいで止血します。
 なかなか止まらない場合、出血部分が鼻の穴の後方にあり止血しづらい部分であることの可能性が考えられます。
 まれに、血を固まらせるための力が低下している血液の病気や肝臓の病気の場合があります。その場合は、鼻血だけでなく、体の他の部位にも出血の傾向が起こりますので、青あざが体に多く見られたりします。
 10分間圧迫しても止まりが悪い場合、耳鼻科を受診し、鼻血の出血部位を見てもらい、処置をしてもらって下さい。

Q:止血後の注意点は、何かありますか?

A:出血は、血管が損傷されて起こることですので、止血したら傷が治るのを安静に待つことが肝心です。繰り返す鼻血の出血が落ち着き傷がなおるまで2~4週間かかります。
 特に、止血直後は、激しい運動、力むこと、鼻をいじることを禁止します。できれば、入浴もさけますが、入る場合でも、ぬるめの風呂に短時間はいることとします。


Q:鼻血をよく繰り返す子もいますね。

A:鼻血を起こしやすい背景に、鼻の中隔の骨の湾曲、鼻アレルギーや副鼻腔炎、鼻の穴の部分の湿疹があることもあります。特に湿疹があると、子どもはひっかいて頻繁にかさぶたを取り、鼻粘膜を傷つけ鼻出血を繰り返します。背景疾患もきちんと治すことをしましょう。

 「はなぢ」というだけで重大に考える親御さんが多い割には、適切な止血の処置を施せる親御さんは少ないです。大部分の鼻血はきちんと処置がなされれば止血されます。止血に時間がかかったり、繰り返す場合は、耳鼻科を受診し、背景疾患があれば、その治療もきちんと受けるようにしましょう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする