2008年6月17日東京都議会本会議での築地市場関連の審議のみ都議会ホームページ速報版よりピックアップする。
なお、赤文字⇒は、小坂の分析です。
<大沢昇議員、都議会民主党>
次に、築地市場の移転問題について伺います。
この間、築地市場の移転予定地である豊洲地区について、土壌からは環境基準の四万三千倍、地下水からは環境基準の一万倍のベンゼンなどが検出されています。私の選挙区、江東区の豊洲には、現に住んでいる人も多いので、豊洲は汚染されていると宣伝されるのは、正直いっていい感じがいたしません。しかし、あえて申し上げるならば、この豊洲地区は、もはや市場の移転先として不適切ではないかと多くの都民が感じているのではないでしょうか。
こうした都民の不安や疑問が高まる中で、改めて築地市場の移転問題を検証すべきです。もちろん現在地再整備がとんざしてしまった経緯も承知していますが、アスベストへの対応なども含め、新技術や新工法はないのか、本当に種地が確保できないのか、あるいは、知事のいう外環沿いなどを含め他の移転候補地は全く考えられないのかなど、あらゆる事態を想定して多様な検討をしていくべきだと考えます。
石原知事は、五月二十三日の定例記者会見において、予算のことも含めて、これから現在地再整備が一つの検討の主題になるかもしれないし、ならないかもしれないと含みのある発言をしていますが、築地市場の移転問題に関して、知事の見解を伺います。
私たちは、万が一、豊洲での整備を進めていくにしても、築地市場の移転問題を検証する上で、土壌汚染対策費用や都の負担、事業スケジュールなどについても明らかにしていくべきだと考えます。
五月十九日と三十一日に開催された専門家会議では、地下二メートルまでの土壌をすべて入れかえることなどの対策案が示されましたが、これを受けて、各マスコミでは、平成二十四年度に予定していた開業時期が三年ほどおくれる、あるいは六百七十億円とも見積もっていた土壌汚染対策費が一千億円ないしは一千三百億円に膨れ上がるなどと報じられています。既にこれらの数字が既成事実となっているようですが、東京都は、現時点において、事業スケジュールの見込みや土壌汚染対策費用の見積もりについて、どのように試算しているのか伺います。
土壌汚染対策の費用負担について、私は、昨年六月二十一日の経済・港湾委員会において、新たに土壌汚染が見つかった場合、その処理はだれが行い、費用はだれが負担するのか、質問してきました。
これに対して、東京都は、汚染原因者の負担だと明確に答弁した上で、操業に由来するものの対策費用は、基本的に汚染原因者である東京ガス株式会社が負担すべきだと述べていました。
しかし、一方で、専門家会議が打ち出した汚染の有無にかかわらず土壌をすべて入れかえる対策では、費用のすべてを原因者に求めるのは困難であると思われます。私は、汚染者負担の原則から、東京ガスに対しても適正な負担を求めていくべきと考えますが、東京都はどのような考え方で、どのように東京ガスに負担を求めていくのか、見解を求めます。
約四十ヘクタールの敷地で地下二メートルまでの土壌をすべて入れかえるとなると、単純計算でも八十万立米の土壌を処理しなければなりません。しかし、今の社会状況において、汚染土壌をトラックに積んでどこかへ運んで処理することは、受け入れ先の理解を得られないだけでなく、積みかえや運搬の際の飛散などを心配する周辺住民からの理解をも得られにくいというのが現状であります。
専門家会議での提言を受けて、具体的な処理方法については、今後、具体的な検討がなされるのだとは思いますが、周辺住民への影響なども含め、汚染土壌の運搬や処理についてどのように考えているのか、見解を求めます。
<石原慎太郎都知事>
築地市場移転問題についてでありますが、豊洲新市場の予定地における約四千百カ所の詳細調査で、四万三千倍のベンゼンが一カ所からは検出されました。他も相当高い数値もございますけれども、そうした高濃度の汚染の範囲は、しかし、極めて限られておりまして、風評被害が懸念されますが、事実を正確に把握し、冷静に対処していくことが重要であると思います。
現在の築地市場は、老朽化、狭隘化が限界に来ているだけではなく、衛生面での課題やアスベストの問題もありまして、一刻も早い対応が必要であります。
築地市場の移転は、実に長い長い年月をかけてさまざまな案を検討し、関係者間で議論を尽くして決定したものであります。
豊洲地域の土壌汚染については、専門家会議の提言が七月に予定されております。都としては、各分野の方々からの提言を幅広く受けとめ、既存の枠にとらわれぬ、さまざまな新技術や、既に幾つかの案も出ておりますが、今まで考えられなかった工法の可能性も探りながら、早期に具体的な計画を取りまとめてまいります。
⇒自民党議員の場合と同じ答弁
<比留間英人中央卸売市場長>
築地市場移転に関する三点のご質問にお答えいたします。
まず、事業スケジュールと土壌汚染対策費についてでございます。
現在、専門家会議で土壌汚染対策について検討中であり、事業スケジュールや費用を算定できる段階にはございません。
七月には、専門家会議から提言が出される予定であり、都といたしましては、この提言を踏まえ、新技術や工法などの可能性も探りながら、食の安全と都民や市場関係者の安心を最優先にした対策を検討し、早期に具体的な土壌汚染対策や必要となる経費及び工期を明らかにしてまいります。
次に、東京ガス株式会社の費用負担についてでございます。
東京ガス株式会社は、平成十年から十四年にかけて土壌汚染調査を行い、平成十四年(2002年)及び平成十七年(2005年)に環境確保条例に基づき処理計画を提出し、土壌汚染対策を行った後、平成十九年(2007年)にすべての完了届の提出を終え、条例に基づく手続を完了しております。
その後、都の土壌汚染調査によって、新市場予定地には都市ガス製造に伴う汚染物質が存在することが確認をされております。
都は、今回の調査結果を踏まえ、新市場予定地が生鮮食料品を扱う市場用地という観点から、安全をより一層確保するため、法令が求める以上に手厚い土壌汚染対策を検討してございます。
今後、こうした経緯や操業に伴う汚染物質の存在などを総合的に勘案し、都としての対策が固まった段階で、費用負担について東京ガス株式会社と協議してまいります。
次に、汚染土壌の具体的な処理方法についてでございます。
土壌汚染対策では、汚染土壌の飛散や漏えいを防止し、安全確保に万全を期すことが必要でございます。
このため、土壌搬出の際には、散水の上、防水シートで密封するなどの措置を講じ、さらに、市街地を通過しての土壌運搬を極力減らすため、船による輸送を主体としてまいります。
⇒散水するほど、水があるでしょうか?散水の水で、地下水の水位を上げますか?また、海上投棄を考えてはいないでしょうね?
また、汚染土壌の処理に当たりましては、加熱処理や洗浄処理など汚染物質が確実に除去できる方法を採用いたしますとともに、現地で処理することも検討してまいります。
加えて、処理後の土壌についても、搬出先などを確認し、適正かつ確実に処分されるよう努めてまいります。
<大沢昇議員、都議会民主党 再答弁>
なお、知事は、豊洲の土壌汚染について、四千百二十二カ所のうち一カ所だけが高濃度のベンゼンで汚染されていると強調していますが、事実を正確に把握するというのであれば、ベンゼンで五百六十一カ所、シアンで九百六十六カ所が環境基準を超えて汚染されていることを申し上げておきたいと思います。
以上。