5/31開催の第7回専門家会議を傍聴してきた。
会議の内容を、
一言で言うと、
「土壌汚染調査は、不十分であった。
不十分ではあったが、豊洲の場所では、
食の安全・安心は守れないことは判明した」
ということ。
そして、これは、
「食の安全安心の問題」とともに、
「日本の土壌汚染の問題」に繋がっていた。
すなわち、豊洲の土壌汚染の問題は、
日本全体の問題なのである。
土壌汚染調査を土壌汚染対策法に則らない方法で調査し、
その不十分な調査で、
学校、公園とともに、一番土壌などの問題が
あってはならないもののひとつ、
生鮮食料品を扱う市場を移転されたとしよう。
この悪しき前例を作ってしまうと、
日本全国、不十分な土壌汚染の調査のままに、
開発が進められ、
目に見えない形で、
汚染土壌としてある有害化学物質が
ゆっくりと人間の体を侵し、
がんや生まれる子へ奇形の影響を与えることになるであろう。
専門家会議にもどる。
会議のポイントは、三点。
①土壌汚染調査は不十分
②食の安心は守れない
(安心とは、心配がなく心が落ち着くこと)
③食の安全さえも、守れない
(安全とは、生命を脅かすことのない状態)
それぞれみていく。
①土壌汚染調査は不十分
今回出された4122箇所の土壌汚染調査は不十分であり、
かつ、これから出される土壌汚染調査(絞込調査)も不十分
)有楽町層の地層を調査していない。
質疑では、この層は不透水層といわれるが、実際は、泥のようなもので、
汚染物質は浸透していくことが考えられるという内容のものがあった。
これに対し、十分な回答を専門家会議は返していない。
)土壌汚染対策法にそっていない。
土壌汚染対策法にそうなら、10m四方間隔の土地を
1mの深度で、深度10mまで調査する必要がある。
4122箇所の今回の調査は、深度方向のサンプリングは、たったの2箇所。
一箇所は、表層土壌。もう一箇所は、地下水部分のみ。
)シアン化合物調査をおこなっていない。
シアン 966箇所 全体4122箇所の23.4%の地下水で検出。
地下水で検出してはならないシアン化合物が検出されている。
環境基準を上回っているのであるが、絞込調査では、
環境基準の十倍という設定をつくって、
(「検出してはならない」ものの10倍は、
「検出してはならない」だと私は思うが。)
シアン検出箇所966箇所すべてが絞込調査の対象にはなっていない。
②食の安心は守れない
(安心とは、心配がなく心が落ち着くこと)
今回、RBCAの手法(欧米の健康リスクの評価方法らしい)にて、
ベンゼンガス、シアンガスが、地上に噴出し、かつ、健康被害を、
ベンゼンの場合は、がんを引き起こす可能性が、あるという証明がなされた。
“可能性がある”以上、食の安心はない。
地下水は、環境基準を達成することを目指すと、
専門家自体が、その重要性を認めている。
しかし、地下水汚染対策は不十分なまま(環境基準に達しないまま)、
特に、根源となるベンゼン、シアン化合物を地下水に
残しながら、建設計画を立てるというのである。
③食の安全さえも、守れない
(安全とは、生命を脅かすことのない状態)
上で書いたが、
RBCAの手法(欧米の健康リスクの評価方法らしい)にて、
ベンゼンガス、シアンガスが、地上に噴出し、かつ、健康被害を、
ベンゼンの場合は、がんを引き起こす可能性が、あるという証明がなされた。
専門家が、では、どの値まで下げれば、健康被害の可能性がなくなるかを
計算している。
その値を目指し、土壌改良をするというのである。
果たして、科学の証明通りに、
実際に技術的に土壌改良ができるのかどうかが問題である。
)土壌改良の技術が本当にあるのか?
)地下水の改良の技術が本当にあるのか?
)汚染土壌100万m3の処理
汚染土壌が100万m3にも上るという。
どこに捨てるのか?捨てられる地域の了承は得られるのか?
海に捨てて、海を汚すのか?
)地下水水位の管理は果たして可能か
地下水位をAP+2m(海水面から2mの高さ)で管理するといっている。
この基準が、専門家会議の1つの大事な仮定である。
現状では、地下水位は、AP+4m!!
どうやって、下げるのか。
土壌入れ替え後、再度、上昇しては来ないだろうか?
計算通り、地下水位を管理できるという技術を証明すべきである。
)人為的な問題
そもそも、専門家が提言した厳しい基準に対し、都なり、現場は従う意志はあるのか。
都知事の5/23の記者会見の一部を引用するが、
****5/23記者会見****
【記者】豊洲の質問なんですけれども、先日の専門家会議の中で、平田(健正)座長、専門家会議の座長の方が、今の土地に対して新しい技術、知事は先日の会見の中でも新しい技術、今のお話でも新しい発想とかいうことをすべきだ、そういう可能性もあるかもしれないとおっしゃったんですけれども、専門家会議のほうとしては、そういう新しい方法論をそこで試すにはあまりにもリスクが高いというのを、先日、私どもの会見の中で出てきているんですね。
【知事】だれが?
【記者】専門家会議の平田座長です。
【知事】ああ。
【記者】そういう発想については?
【知事】その専門家会議の座長ったって、その人の専門性というのは相対的にどんなものかわかりませんからね。もっとほかの、つまり可能性もですね、技術的なことをリサーチするのは私たちの責任だと思いますよ。いたずらに金かけることで済むものじゃないからね。
*****引用終わり******
専門家会議の提言がたとえ正しかったとしても、
その提言とおりの厳しい基準にそった形の
工事なり土壌改良なりができて初めて、食の安全が守られる。
なのに、トップである知事が、
このような発言をして、
専門家会議の専門家を、専門家と思っていない以上、
その提言を守ってくださるとは、
到底思えない。
トップがこれであれば、
現場はなおさらではないか。
日本ではないと思うが、手抜き工事が万が一なされれば、
ベンゼンガス、シアンガスが健康被害を起こすであろう。
)土壌改良後の土壌再調査
上記人為的な問題も含めれば、
土壌改良がきちんとなされたか、
土壌改良工事後に、
再度、土壌調査をし、
環境基準達成を公表すべきである。
土壌改良後に改良されたという証明なしに、
工事を進めることは、どうも腑に落ちない。
以上、
「ヘンリー定数」「シアン化合物」「錯体」など
かつて、学生時代聞いた内容を思い出しながらの、
専門家会議の内容に、必死についていっての分析であり、
私自身、分析が甘い部分があるかもしれない。
頼れる専門の方々に、これからも相談指導をうけ、
分析を深めて行く所存です。
*このブログは、科学的視点、医師の視点から書いたつもりです。
同じ会議を傍聴していた新聞記者の書いた内容は、以前の
ブログ6/1で、
掲載しました。新聞記者の視点とは、異なっているのは、
私自身認めますので、合わせてごらん頂き、評価して下さい。