「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

エビと日本人

2008-06-29 23:00:00 | 社会問題
普段何気なく食べているエビ。

その生産と流通過程には、
私達の知らない様々な問題が
あるようです。

月に一度開催の、
早稲田大学国際政治学教授坪井善朗氏のゼミ。

ゼミでの課題本は、『エビと日本人Ⅱ―暮らしのなかのグローバル化』 村井吉敬。

読みながら、感じたことを述べます。

エビとじかに接する養殖池の日雇労働者から、日本の消費者まで、少なくとも14もの段階が踏まれているという。驚くべき多くの段階がそこには、存在する。生産者の姿までは見えないでいた。養殖池の日雇労働者、一日中背ワタをとる加工場の少女たち。

今や、グローバリゼーションは、食の世界でも顕著に起こり、食の流れにも変化の兆しが見られる。20年間エビの世界一の輸入国であった日本は、一位の座をアメリカに奪われた。

エビの生産の現場で起きていることは、マングローブの林を切り開いてエビ養殖場を開発することであった。結果、マングローブ林がありさえすれば、拡大が防止ししえた津波災害が起きてしまい多くの人命が奪われてしまった。そしてマングローブ自体も「エビの自然の保育園」であったが、これがエビ養殖の“工場”に造りかえられ、適切な成育の場を奪われたエビは、逆に育たなくなってしまった。
 
日本の食糧自給率が40%をきり、日本人の食生活のあり方が、健全であるとはいい難い状況になっている。消費者である私達は、生産者の顔をみることなく、安心・安全という仮定の名のもとに、食を口にする。エビを通してみても、第三世界を中心とした生産地で起こる重金属汚染、食品につかわれる有害防腐剤・抗生剤添加がなされ、食の安全・安心は揺らいでいる。市場こそは、食の安心・安全を守る防波堤になりえた存在である。市場には、目利きといわれる仲卸がいる。魚仲卸なら魚の良し悪しを、すべての五感をつかって瞬時に判断。小売やスーパーへ、卸していく。安心安全な生鮮食料品が消費者に提供していく要の存在である。市場に生きる人たちの目が、顔の見えない生産者と消費者をつなぎ、食の安全・安心を担保してくれていたから可能であった。

第三世界の人々が豊かになり、かつ、私たちが安心・安全な食を口にすることができる理想に近づけるひとつの手段として、フェアトレードがある。生産者との直接取引で、取次ぎマージンを減らす手法である。真のフェアトレードとは、なにか。今後、一つの課題として、追っていこうと思う。

日本の農林水産業の衰退が進行してきている。日本はますます、海外への食糧の依存を強めていくことであろう。じわじわと増殖している負の連鎖をくい止める、少なくとも悪化させないようにさせるにはどうすればよいのか。食への意識が高まるきっかけづくりを、市場内部からの情報発信によりできるのではないかと私は考えている。
コメント
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