「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

1/12締め切りです。教育振興基本計画 意見書

2010-01-06 14:57:38 | 教育

 現在、中央区教育振興基本計画検討委員会の中間報告への意見書が募集されています。

 皆様のたくさんのご意見が届けられ、中央区の教育が益々充実したものとなりますようにお願い申し上げます。

 全文は、中央区のホームページから見ることができます。
⇒ http://www.city.chuo.lg.jp/kyouikuiinkai/kentouiinkai/index.html


 以下の、ブログは、中間報告の全文掲載を行いました。図表は、掲載しておりません。

 字数が多いため、大項目Ⅰ~Ⅴ及び、Ⅳの三つの視点(1)(2)(3)で、ブログのページを分けています。

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Ⅰ 教育振興基本計画の策定について

2010-01-06 14:44:57 | 教育
Ⅰ 教育振興基本計画の策定について

1 計画策定の趣旨
 近年、社会状況は急激に変化し、物質的な豊かさや利便性を追求する風潮の中で、子どもたちの生活習慣の乱れや規範意識の欠如、学ぶ意欲や学力・体力の低下、子どもや家庭と地域社会との連帯感の希薄化など、さまざまな課題が山積しています。
 このような中、これからの新しい時代の教育の基本理念を明示する教育基本法の改正が行われるとともに、我が国の教育のあり方を見直すためのさまざまな議論がなされるなど、未来を切り拓く「教育」への社会の期待と関心はますます大きくなっています。
 次代を担う子どもたち一人ひとりと真剣に向き合い、その成長をしっかりと支えるためには、学校が本来的な機能を十分に発揮することはもとより、学校・家庭・地域がともに連携・協力できる体制を築き、それぞれの役割を十分に機能させるためのしくみづくりが必要です。
 中央区基本計画2008(平成20(2008)年2月)では、「子どもが輝く子育て・教育のまち」という本区の10年後の姿を明らかにしつつ、学校教育などの積極的な施策の推進を計画化しています。
 そこで、この「10年後の姿」を念頭に置きつつ本区教育目標の実現に向けて着実な教育施策の前進を図っていくために、「中央区教育振興基本計画」を策定すべきものと考えます。


基本計画2008における「10年後の姿」(抜粋)
* 家庭・地域・保育所・幼稚園・学校など幅広い連携が進み、子どもた
  ちは、地域全体で見守られながら健康で心豊かに成長しています。
* 子どもたちが個性と能力をはぐくみながら、確かな学力、豊かな人間
  性、健康と体力の3つの要素からなる「生きる力」を向上させるため、
  いきいきと学んでいます。
* 「教育の中央区」にふさわしい質の高い教育が行われ、地域の伝統や文
  化を誇りを持って受け継いだ若者たちが、国際社会で活躍するとともに、
  中央区の魅力を世界に発信する担い手として成長しています。


2 計画の目的および位置づけ等
この計画は、本区教育目標の実現に向け現状と課題を整理し、中央区基本計画2008などとの整合性に留意しつつ、これからの中央区の「教育」の将来方向と具体的な施策を総合的かつ体系的に明確にするものです。


(1) 目 的
 教育環境の変化と子どもの状況を的確にとらえ取り組むべき課題の整理を行い、本区がめざす教育とその実現に向けた施策を総合的かつ体系的に明らかにするとともに、あわせてその内容を区民にわかりやすく示すことを目的とします。

(2) 位置づけ
教育基本法第17条に規定される「教育振興基本計画」として位置づけます。

(3) 計画の範囲
 計画の範囲は「主に学校教育と学校教育との関連において必要とされる図書館などの社会教育分野」とし、基本的には学校教育分野の総合計画とすべきであります。
 なお、具体的な施策の推進にあたっては、生涯学習等の関連部局との連携が求められます。

(4) 計画の期間
① 基本施策
 基本施策は、教育目標の実現に向け、概ね今後10年間を通じて本区がめざす教育の方向性として掲げるものです。

② 個別施策
 個別施策は、基本施策のもと、平成22(2010)年度から26(2014)年度までの当面5年間で、計画的・重点的に取り組む具体的な施策として掲げるものです。
 なお、計画期間内においても、教育環境の変化や制度等の変更が生じた場合には必要に応じた見直しなどを行うべきです。

(5) その他
 計画の検討にあたり、児童生徒・保護者・教員に対しアンケート調査(平成21(2009)年7月)を実施しました。
 本文中に記載のある「児童生徒アンケート」「保護者アンケート」「教員アンケート」とはこの調査の結果です。


3 中央区基本計画等との関係
 本計画の策定にあたっては、「中央区基本計画2008」はもとより、次世代育成支援行動計画を包含する「第三次中央区保健医療福祉計画(平成21(2009)年3月)」などの関連計画等との整合性を図る必要があります。

(Ⅱ計画策定の背景へ続く)
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Ⅱ 計画策定の背景

2010-01-06 14:44:02 | 築地を守る、築地市場現在地再整備
Ⅱ 計画策定の背景
1 教育を取り巻く環境の変化
 子どもたちの教育を取り巻く環境は、都市化や核家族化、少子高齢化、高度情報化、国際化の進行、地球環境問題の顕在化、昨年来の金融危機と経済の低迷など、さまざまな社会経済情勢の変化の中にあって大きく変わってきています。
 こうした中、今日、子どもたちの規範意識の低下、学ぶ意欲や学力の低下、問題行動、家庭や地域社会の教育力の低下などが指摘されています。特に、平成18(2006)年の経済協力開発機構(OECD)の学力到達度調査(PISA)結果の国際比較では、我が国の子どもたちに、読解力や知識・技能等を実生活のさまざまな場面で活用する力に課題があること、学習意欲が低下していることなどが話題となりました。
 このような中、平成18(2006)年12月、約60年ぶりに改正された教育基本法では、「人格の完成」や「社会の形成者」など教育の果たすべき普遍的な役割は継承しつつ、子どもたちに変化の激しい社会を生きるために必要な能力、資質、態度をはぐくむことをめざし、これからの教育のあり方の理念と方向性が示されました。そして、あわせて地方公共団体においても国の計画を参考に「教育振興基本計画」を策定することが努力義務として規定されました。
 また、平成19(2007)年6月には学校教育法などのいわゆる教育三法の改正も行われ、翌平成20(2008)年3月には学習指導要領の改訂も行われました。新学習指導要領は、小学校については平成23(2011)年度、中学校については平成24(2012)年度からそれぞれ全面実施される予定です。(なお、同時に改訂された幼稚園教育要領は平成21(2009)年度から実施されています。)まさに、新しい小・中学校教育が出発しようとしています。
 国においては、平成20(2008)年7月に「教育振興基本計画」を策定し、今後10年間を通じて① 義務教育修了までに、すべての子どもに、自立して社会で生きていく基礎を育てる、② 社会を支え、発展させるとともに、国際社会をリードする人材を育てるという2つの基本方針
を掲げています。
 さらに、東京都においては平成20(2008)年5月に、近未来の東京のめざすべき姿とそれに向けた政策展開の方向を示す都市戦略として策定した「10年後の東京」との整合を図りながら「東京都教育ビジョン(第2次)」を策定し、① 社会全体で子どもの教育に取り組むこと、②「生きる力」をはぐくむ教育を推進することを掲げるとともに、施策展開として家庭や地域の教育力向上を支援すること、教育の質の向上・教育環境の整備を推進すること、子ども・若者の未来を応援することを示しています。


2 「教育の中央区」の推進
 江戸時代以降、日本の文化、商業、情報の中心地として発展してきた中央区は、あわせて都心に位置することから、歴史、伝統、文化と先進性とが調和するまちであり、文化施設をはじめとした各種の集積を教育資源として活用できる一方、自然環境という面では制約もあります。
 学校教育では、明治以降の歴史と伝統を有する学校が多く、しかもほとんどの幼稚園が小学校に併設していることや、最近では区全体の人口増加を背景に一部地域での児童の急増がみられるなどの特性を持っています。
 こうしたことを踏まえ、本区は「教育の中央区」を標榜し、平成11(1999)年4月には全国初となる「教育環境に関する基本条例」を制定し、子どもの教育環境について大人の責任を明確にして教育環境の維持向上に努めてきました。さらに近年では、平成16(2004)年に「中央区の教育を考える懇談会」、平成18(2006)年に「中央区学校教育検討会」、平成20(2008)年には「教育の中央区学校づくり検討会」を設置し、中央区における新しい学校・学校教育像の構築に向けた研究・検討を行い、学力向上や一人ひとりに応じた教育を推進するさまざまな中央区の実情に応じた教育施策を順次展開してきました。
 こうしたこれまでの取組を踏まえ、教育環境の変化に対応したさらなる総合的・計画的な教育改革の推進も求められています。


3 中央区の子どもの人口
(1) 新たな居住者の増加と人口増加
 中央区が全庁をあげて積極的に展開した総合的な人口回復施策と都心回帰の動きが相まって、国全体が人口減少と少子高齢化に向かう中で、本区では子育て世代を中心とした人口が急増し、子どもの人口も増加しています。

(2) 中央区の園児・児童・生徒数の推移
 平成11(1999)年度から20(2008)年度にかけての区立幼稚園園児・小学校児童・中学校生徒数の推移(図3)を見ると、幼稚園、小学校ともに園児数・児童数が伸びています。
 中学校については生徒数が減少傾向にあったものの、ここ数年は増加基調にあります。
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Ⅲ 「教育の中央区」が展開するこれからの教育の基本的な考え方

2010-01-06 14:43:31 | 教育
Ⅲ 「教育の中央区」が展開するこれからの教育の基本的な考え方
1 中央区の教育目標
 中央区教育委員会は、「次代を担う子どもたちが、心身ともに健康で、勤労と責任を重んじ、広く国際社会において信頼と尊敬を得られる人間性豊かなひととして成長することをめざす」とともに、「区民の生涯にわたる学習・文化・スポーツ活動を支援する」ため、次の「教育目標」を掲げています。
 なお、本計画は「Ⅰ-2 計画の目的および位置づけ等」で述べたとおりこの「教育目標」の実現をめざすもので、「教育目標」自体を変えるものではありません。
 また、この「教育目標」の実現に向けて、次の「基本方針」を定め教育行政を推進しています。
① 豊かな心、温かな人間関係をはぐくむ教育、
② 個性や能力を伸ばす教育、
③ 健康な体づくりの推進、
④ 文化・スポーツなどの生涯学習活動への支援
 

中央区の「教育目標」
 
  ○ 子どもたちが希望に満ち、自らの未来を切り拓いていけるように
   ・ 思いやりの心、健康な体、強い意思を持つひと
   ・ すすんで学び、考え、行動するひと
   ・ ひとの役に立つことを積極的に行うひと
                の育成に向けた教育を推進します。
 
  ○ 子どものころから生涯を通じて、文化やスポーツなどの活動に親しむ
   ことができるよう、関係機関等と連携して生涯学習を推進します。


2 これからの中央区の教育
 現行の4つの基本方針は、言わば「知」「徳」「体」の3分野別の方針と生涯学習支援に関する方針から構成されています。
 この計画では、この現行の基本方針に共通する「教育内容」「教育の場」「家庭・地域」の3つの視点で「教育目標」実現に向けての施策の体系化を図り、現行基本方針と相まって積極的な施策の展開を図るものです。
 すなわち、本区教育目標の実現と「教育の中央区」にふさわしいこれからの「教育」のあり方について、第一に「教育内容そのものの充実」、第二に「その教育の場となる優れた学校づくり」、そして第三に「子どもたちの健全な育成は学校だけではなく家庭・地域を含む社会全体で支えるもの」という3つの視点から、今後概ね10年間の中央区の教育の将来方向を次のように整理しました。
 また、本区のほとんどの幼稚園が小学校に併設されているという地域特性をいかし、就学前教育から義務教育9年間にいたる「幼児期から小・中学校までの学びの連続性」を、3つの視点に共通するテーマとして設定すべきと考えます。

(1) 第一の視点
“「生きる力」を中心とした質の高い教育の展開”

 今日のように変化の激しい時代にあっては、予測しえないような問題が発生することも多く、社会もまたそれを構成する個人の生き方も大きく左右されることがあり、将来の展望を持ちにくい若者が増えるなど、子どもの育成環境には厳しいものがあります。
 このような時代にあっても次代を担う子どもたちが、新しい未知の課題などさまざまな荒波に遭遇してもくじけず負けずに、試行錯誤を繰り返しながらも自ら考え判断し、その解決に向けて積極的に立ち向かっていくことができる「力」を培うことがとても重要です。
 教育課程の基準となる新学習指導要領においても、次代を担う子どもたちに必要な力は、自己の未来を見据え、現実の課題に正対し、その克服に向けて自己の能力を最大限に発揮できる力、すなわち「確かな学力」「豊かな心」「健やかな体」の知・徳・体のバランスがとれた「生きる力」にほかならないと指摘しています。
 本区においても、この「生きる力」を中心とし、基礎・基本の学力の定着とそれらを活用する能力の育成、いのちを大切にし豊かな心と健やかな体を育てる「質の高い教育」を推進することが重要と考えます。
 そこで、このような変化の激しい社会において主体的に将来を創造し生きていくために、
① 基礎的・基本的な知識・技能の習得を図るとともに、それらを活用する力を高め、思考力・判断力・表現力の育成を図る「確かな学力」、② 他人を思いやる心や感動する心などの「豊かな心」、③ たくましく生きるための「健やかな体」の知・徳・体のバランスのとれた教育を推進することが望まれます。そして、この「生きる力」の育成に向けたきめ細やかな指導の一層の充実を図る中で、子どもたちの学習意欲を高めるとともに、子どもたち一人ひとりの「個性と能力を伸ばす」という質の高い教育の展開が求められます。
 また、特別な支援を必要とする子どもたちの可能性を最大限に引き出し、社会に参加し自立して生きていく力をはぐくむことも必要です。
 さらに、本区には小学校に幼稚園が併設(1園除く)されているという特色があります。
 そこで、この特色をいかし、人間形成の基礎を培う就学前教育の充実や「小一プロブレム」「中一ギャップ」等への適切な対応、「つまずきをそのままにさせない」きめ細やかな指導などをはじめとした幼・小・中の連携強化により、「幼から小」「小から中」への円滑な接続を図り、就学前教育から義務教育9年間にいたる学びの連続性を確保することが期待されます。
 この第一の視点からの基本的な施策は次のとおりと考えます。

基本施策1 確かな学力の向上
〃 2 豊かな心・社会性をはぐくむ教育の充実
〃 3 健康な体をつくる教育の充実
〃 4 特別支援教育の充実
〃 5 就学前教育の充実と幼児期からの学びの連続性


(2) 第二の視点
“「学校力」の強化と教育環境の充実による魅力ある学校づくり”

 今日、学校にはさまざまな課題の解決が求められています。それは学習指導や生活指導にとどまらず、少子化や核家族化に伴い低下傾向にある家庭教育力の向上、高層マンション居住など生活スタイルの多様化や世代間のギャップなど地域のつながりの希薄化に伴い弱まりつつある地域の教育力の底上げ、さらには自らの教育のあり方を点検・評価する機能の確立、団塊の世代の大量退職により生じた若年教員の増加に伴う指導力の維持・向上など、直面している課題はいずれもこれからの学校のあり方が問われる重要な事柄です。そして、教育の場である学校は、これら諸課題の解決なくして質の高い教育の実践は望めません。つまり、質の高い教育の展開には学校の総合的な教育力ともいえる「学校力」の向上と、そしてその教育環境の基盤となる学校づくりが不可欠であるといえます。
 そのため、学校の組織的な運営力や指導力の強化を図り、機動力を高め、学校教育の課題を解決する力となる「学校力」を強化・向上させ、学校が「信頼される場」であり続けること、そして教員の育成を充実し、高い資質と能力を備えた意欲と指導力にあふれる「信頼される教員」を育てることに向けた取組を推進すべきです。さらには、保護者や地域住民との緊密な連携・協力のもと、信頼と期待に応える学校づくりや創意ある教育活動をより推進することも求められます。
 また、子どもたちが安全に安心して過ごせる環境の整備をはじめ、施設の老朽化や環境へも配慮した適切な予防保全や改築・改修にも積極的に取り組む必要があります。
 この第二の視点からの基本的な施策は次のとおりと考えます。

基本施策1 教員の資質と能力の向上
〃 2 子どもと保護者に期待される学校づくり
〃 3 信頼される学校づくり
〃 4 良好な学校環境の充実


(3) 第三の視点
“「社会全体」で支える子どもの健全な育成”

 我が国は、学校・家庭・地域社会がそれぞれの役割をもち、子どもたちを温かく時には厳しく見守り育ててきたという歴史をもっています。しかし、近年、少子化・高齢化・都市化が加速的に進行する中で、子どもを包む家庭や地域の教育力が弱まっていることが指摘されており、ややもすると子どもの健全な育成が学校に任されているという傾向にあります。しかし、子どもの成長には学校が中心となりながらも学校・家庭・地域が緊密に連携し、それぞれの立場で教育力を発揮することが強く求められます。このことにより、子どもたちの内面に、より多くの人々から育てられ、助けられたという感謝の気持ちが生まれるとともに、学校や地域への帰属意識が育成され、さらには学習に対する意欲も高まります。そして、学校が開かれ、学校外の教育力と連携を深めることで、学校の存在もより確かなものとなります。
 国の教育振興基本計画では、社会の大きな変化等を踏まえ、地域の自発的な意志を尊重しながら新たな連携・協力のしくみを構築し、関係者が一体となって教育に取り組む必要があると示しています。本区においても、関係者のニーズを受け止めそれを教育活動に適切に反映させるなど、より積極的な地域の潜在的な力の活用が求められていると認識します。
 そこで、学校・家庭・地域の連携や交流を深め、「社会全体」の教育力で子どもたちの健全な育成を進めていく必要があります。そして、学校と地域が連携を深める中で、本区の地域人材やさまざまな教育資源を積極的に活用した教育活動のしくみづくりを推進することが求められるとともに、地域等と連携した安全・安心な環境づくりを推進することが期待されます。
 また、家庭は教育の原点です。保護者は子どもの基本的な生活習慣や社会モラルの向上などにおいて第一義的責任を有することを十分に自覚する必要がありますが庭の自主性を尊重しつつも、学校や関係機関、地域が一体となってこれを支援する必要があると考えます。そのため、家庭における教育力の向上に向け、さまざまな機会を通じた積極的な支援が望まれます。
 さらに、生涯学習・スポーツ活動のさらなる活性化をめざし、図書館機能の充実や学校施設等を利用した支援を今後も一層充実していくことが期待されます。
 この第三の視点からの基本的な施策は次のとおりと考えます。

基本施策1 地域との連携による子どもの健全育成
〃 2 家庭教育力の向上
〃 3 文化・スポーツなどの生涯学習活動への支援
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Ⅳ 3つの視点に基づき当面5年間に重点的に取り組む施策

2010-01-06 14:42:55 | 築地を守る、築地市場現在地再整備
Ⅳ 3つの視点に基づき当面5年間に重点的に取り組む施策

視点1 「生きる力」を中心とした質の高い教育の展開
1確かな学力の向上
 1 子ども一人ひとりに応じた指導の充実
 2 学習意欲の向上と学習習慣の定着
 3 土曜日や夏休み等を活用した学習機会の充実
 4 ICTの活用と情報教育の推進
 5 国際性をはぐくむ教育の推進

2豊かな心・社会性をはぐくむ教育の充実
 1 心を育てる教育の推進
 2 いじめや不登校のない学校づくり
 3 豊かな体験活動とキャリア教育・環境教育の推進

3健康な体をつくる教育の充実
 1 スポーツを通じた豊かな心と体力の向上
 2 学校における健康づくりの推進

4特別支援教育の充実
 1 社会参加に向けた「一貫した特別支援体制」の充実
 2 多様なニーズに対応した特別支援教育体制の充実

5就学前教育の充実と幼児期からの学びの連続性
 1 小学校と幼稚園・保育所の連携強化
 2 幼児教育の推進と子育て支援機能の充実
 3 カリキュラム連携型小中一貫教育の推進
 4 中学校と高等学校との連携


視点2 「学校力」の強化と教育環境の充実による魅力ある学校づくり
1教員の資質と能力の向上
 1 意欲と指導力にあふれる教員の育成
 2 教員に対するサポート体制の充実

2子どもと保護者に期待される学校づくり
 1 特色ある教育活動
 2 進路に対する不安の解消
 3 ニーズに応じた部活動の充実

3信頼される学校づくり
 1 学校情報の積極的な公開
 2 保護者や地域住民が参加する学校運営

4良好な学校環境の充実
 1 学校施設の機能の充実
 2 エコスクールの推進


視点3 「社会全体」で支える子どもの健全な育成
1地域との連携による子どもの健全育成
 1 地域の人材や学習資源を活用した教育の推進
 2 地域交流の推進
 3 子どもの居場所づくりの推進
 4 関係機関等と連携した安全・安心な環境づくり

2家庭教育力の向上
 1 子どもをはぐくむ「親力」の育成と支援

3文化・スポーツなどの生涯学習活動への支援
 1 地域の学習拠点・情報拠点としての図書館機能の充実
 2 学校施設を活用した生涯学習活動への支援

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1 「生きる力」を中心とした質の高い教育の展開

2010-01-06 14:42:32 | 教育
1 「生きる力」を中心とした質の高い教育の展開
(1) 確かな学力の向上
○ 現状と課題
 すべての子どもたちに、自らの将来を主体的に生きていくために必要な学力を身に付けさせることは、公教育の最も重要な責務です。新学習指導要領では、社会がいかに変化しようとも自ら考え、主体的に課題を解決していく力をはぐくむために基礎・基本の知識・技能の習得に加え、それらを活用して、思考力・判断力・表現力の育成を図ることが求められています。
 本区においては、これまでも学力の向上を図るため、子どもの学習状況に応じたきめ細やかな指導などさまざまな取組を図ってきました。
 しかし、平成18(2006)年に行われた経済協力開発機構(OECD)の学力到達度調査(PISA)の結果においては、科学的活用能力や数学的応用力、読解力などの学力が国際的な順位の中で下がっていることや、学ぼうとする意欲や家庭での学習習慣の低下が指摘されています。このようなことから、「活用能力」を高めることなどが教育の大きな課題となっています。
 また、平成21(2009)年度「全国学力・学習状況調査」(表1)では、本区も全国の傾向と同様に「活用」に関する問題の平均正答率が「知識」に関する問題の平均正答率より低くなっており、「活用能力」を高めることが必要であることがわかりました。本区の場合、小学校では全国平均より5~10%高いのに対し、中学校では全国平均とほぼ同程度であることから、中学校におけるさらなる学力(「知識」と「活用」)の向上が課題となっています。
 これらのことから、基礎・基本の知識や技能を確実に身に付けるとともに、それらを活用・応用することではぐくまれる思考力・判断力・表現力・コミュニケーション能力の育成を図る「確かな学力」を向上させることが必要となっています。
 児童生徒に対するアンケート調査結果の「授業の理解度」では、全体としては理解している割合が高いものの、学年が進行するにつれ理解度が低下していることから、確かな学力の育成を図るために、子どもが意欲的に取り組める学習やわかる授業を行うことなどが課題となっています。(14頁 図4・5)

○ 取組の方向
 「確かな学力の向上」を図るためには、基礎・基本の習得とその活用を図ることで高まる思考力・判断力・表現力を身に付けさせるとともに、児童・生徒一人ひとりの学習状況を踏まえた指導や学習意欲を喚起する授業の充実を図るなど、少人数指導・習熟度別指導・個別指導などのきめ細やかな指導をさらに推進する必要があります。また、学習活動やコミュニケーション等の基盤となる言語能力を高めるため、発表などの言語活動を重視した学習を充実していくことも望まれます。
 また、国や東京都の動向等も踏まえながら、少人数学級などの学級編成のあり方についても検討していくことが求められます。
 さらに、土曜日や夏休み等を活用した学習機会の拡充を一層進めることや、高度情報化社会や国際化の進展の中でたくましく生きていく力を身につけていくために、ICTを活用した学習や、広い視野をもち国際社会で活躍する人材を育成する教育を推進する必要があります。

○ 当面5年間で実施する個別施策
① 子ども一人ひとりに応じた指導の充実
 基礎的・基本的な学習の確実な定着とそこで身に付けた知識・技能を活用し、思考力や表現力等の向上を図るため、一人ひとりの学習状況および学力を把握するとともに、少人数指導・習熟度別指導・個別指導等の充実を図る必要があります。
 そのため、学習力サポートテストの結果を整理分析のうえ、一人ひとりの学力を把握し、学校での指導の充実を図る必要があります。
 中学校における少人数指導については着実に成果を挙げているところから、現行の国語・数学・英語以外の教科の拡大が望まれます。

② 学習意欲の向上と学習習慣の定着
 理科の実験・観察や各教科の調べ学習等において、子どもたちが興味関心をもち、意欲的に学習に取り組めるよう工夫をこらした指導の充実が必要です。
 そのため、理科支援員や学校図書館システムなどの積極的な活用を図り、子どもの意欲を引きだす試みなどが望まれます。また、学習力サポートテストの結果をいかし、理解度に応じた段階的なテキスト等を作成し、それを家庭学習等に役立てる工夫も子どもの学習意欲の向上と学習習慣の定着に効果があると考えます。

③ 土曜日や夏休み等を活用した学習機会の充実
 授業において学習した内容の着実な定着を図ることが基本ではありますが、土曜日や長期休業期間等を活用した一人ひとりの学習状況に応じた指導を充実していくことも必要です。
 そのため、土曜スクールや教育センターで実施する夏期集中講座では、より多くの児童・生徒が参加することができるように指導方法や実施方法の充実・改善を図るほか、基礎・基本の定着に向けた補習のみならず、外部講師等を活用した発展的な学習にも取り組むなど教育内容の幅を広げる検討が望まれます。
 また、新学習指導要領に対応した授業時間の確保を図るためには、まず土曜日や開校記念日の活用について検討し、さらに必要な場合については長期休業期間等の活用についても順次検討を進めるべきです。

④ ICTの活用と情報教育の推進
 ICT機器(校内LAN、電子黒板、プロジェクター、大型デジタルテレビ等)を効果的に活用し、子どもたちの知的好奇心を喚起する授業は、有効な方策と考えます。
 そのため、フロンティアスクール(城東小学校、常盤小学校、阪本小学校)の研究成果を踏まえ、ICT機器を効果的に活用したよりわかりやすい授業の実践と、子どもの興味関心を喚起する取組を全校に普及させていくことが期待されます。
 また、教員のICT活用研修を推進するとともに、専門業者による技術支援などICT環境のサポート体制の充実を図ることも求められます。
 さらに、子どもたちの情報を活用する能力となる「情報リテラシー」や「ネットモラル」の育成のための情報教育もあわせて推進する必要があります。

⑤ 国際性をはぐくむ教育の推進
 社会の国際化が急速に進む中、子どもたちの英語を使ったコミュニケーション能力の向上や、広い視野をもって世界で活躍できる力の育成など、国際性をはぐくむ教育は今後ますます必要とされています。
 そのため、外国人英語指導講師(ALT)の活用をはじめとして、中学生の海外体験学習などを今後も推進していく中で、さらなる充実した施策の展開が求められています。


(2) 豊かな心・社会性をはぐくむ教育の充実
○ 現状と課題
 人間は、他者や社会などとのかかわりの中で生きていくものであり、子どもたちが生涯にわたりよりよい社会生活を送るうえでの基盤として、自らを律する心やお互いを思いやる心、人間関係を築く力など、豊かな人間性や社会性を身に付けることが求められます。
 しかし、今日、公共の場で基本的なマナーを守れないなどの規範意識の低下、あるいは自己をコントロールできない子どもが増えていることが指摘されています。
 また、子どもたちにとって、いじめや不登校、暴力行為などの問題行動は、依然として深刻な問題であり、子どもたちの日常生活を不安なものにしています。とりわけ、いじめ問題では、自らの命を絶つ事件の発生や、携帯電話やインターネット等を利用した誹謗・中傷などの新しい形のいじめ・トラブルの発生など、その根絶に向けた取組が喫緊の課題となっています。
 さらに、子どもたちが成長していく過程において、豊かな自然と接することや、社会の多様な活動を体験しさまざまな人と接することは、豊かな心の育成においても、職業の選択を自ら考えていくためにも大変有意義なことです。本区は、都心に位置することから豊かな自然に接する機会が少ないため、積極的に自然と触れ合う機会をつくり出すとともに、学校の中から地球規模の環境問題に目を向けた取組なども重要であると考えます。

○ 取組の方向
 社会の中でともに生きていくためには、お互いの人権を尊重する意識やお互いを思いやる心、社会のルールを守る意識の形成が必要です。
 また、良好な人間関係を築く力の育成に向けて、子どもたちが日々の生活の中で抱える不安や悩みの把握・理解に努め、子どもや保護者との信頼関係の構築を図るとともに、スクールカウンセラー・教育相談員による教育相談を充実し、いじめや不登校、問題行動等の未然防止に積極的に取り組む必要があります。特にいじめ・不登校については、その問題の深刻さから、今まで以上に学校・保護者・地域・関係機関が連携し、いじめや不登校のない学校に向けた取組を講じていくことが望まれます。
 さらに、豊かな社会性や勤労観を身に付けさせるため、自然体験、福祉体験、職業・勤労体験などのさまざまな体験活動や交流活動の充実を図ることが期待されます。

○ 当面5年間で実施する個別施策
① 心を育てる教育の推進
 自他の生命を尊重する態度や思いやりの心、社会のルールを守るという規範意識の向上など、豊かな人間性をはぐくむ教育を推進する必要があります。
 社会の中で、子どもたちが良好な人間関係を築くための力を築いていけるよう、相手や周り人の考え、気持ち、状況を思いつつ積極的にコミュニケーションを図る力を高めていく教育を充実することが期待されます。そのため、幼稚園や学校での教育活動全体を通して、人権尊重教育や道徳教育をはじめ、ボランティア活動、異年齢の交流などにより、心を育てる教育を一層充実されることが望まれます。
 あわせて、子どもたち一人ひとりが心豊かな集団生活を送れるよう、校内秩序の保持に向けた生活指導を充実していくことも必要です。

② いじめや不登校のない学校づくり
 いじめは絶対に許されない行為であり、いじめゼロをめざした学校の取組や教育相談体制を強化するとともに、教育センターにおける教育相談や関係機関とのさらなる連携を図ることが必要です。
 また、児童会・生徒会、保護者、学校が共同して、いじめのない学校づくりの取組を推進することも望まれます。
 不登校については、その未然防止に向け、教員が子どもたち一人ひとりと真剣に向き合い、子どもの変化やサインにいち早く気付くことはもとより、その解消に向けた教育相談の充実や学校・家庭との連携強化が必要です。
 適応教室「わくわく21」においては、児童・生徒の自立に向けて、個別の教科指導や多様な体験活動、適応教室専門員やメンタルサポーターによる家庭訪問などの充実を図るなどの取組が期待されます。
 さらに、子ども家庭支援センター「きらら中央」の相談員や児童相談所の児童福祉司等との連携を深め、家庭支援も含めたケース会議や地域の支援づくりを推進していく必要があります。

③ 豊かな体験活動とキャリア教育・環境教育の推進
 自然体験、福祉体験、社会奉仕体験、宿泊体験などのさまざまな体験活動を充実し、子どもたちの豊かな社会性や人間性、さらには社会に貢献する態度をはぐくむとともに、職業・勤労体験などにより、働くことの意義や尊さを身に付けさせることが必要です。
 また、環境問題に関心を持ち、地球規模の視野で考え、身近なところから具体的に行動できるよう環境教育の推進も欠かせません。
 臨海学校やセカンドスクール、中学校の移動教室などの自然体験学習の内容の工夫や充実も望まれます。
 キャリア教育の充実を図るためには、都心区としての特性をいかした商業・産業・金融などの各事業所等との連携を強化するなど、子どもたちが幅広い職業体験を行えるような取組が望まれるとともに、小・中学校を通したキャリア教育プログラム等の研究・開発も期待されます。
 環境教育の推進には、地球環境問題を足下から考えるため、太陽光発電等の自然エネルギー利用や学校の緑化(屋上・壁面緑化、芝生化)を活用した学習、エコキャップ運動、環境リサイクルなどへの積極的な取組を推進する必要があります。


(3) 健康な体をつくる教育の充実
○ 現状と課題
 子どもたちの健やかな体をはぐくむことは、生涯にわたり健康を保ち、いきいきと生きていくための「源」であり、学校教育全体を通して健康づくりや体力づくりの充実を図ることが必要です。
しかしながら、運動する子どもとそうでない子どもの二極化や体力の低下傾向が指摘されており、こうした傾向に歯止めをかけることが全国的にも課題となっています。
 例えば、運動機能の基本である「走る」「投げる」に着目した場合、平成19年度の文部科学省「体力・運動能力調査」の50m走(表2)やソフトボール投げ(表3)では、昭和50年度の結果と比較して、全国的にも本区においても体力・運動能力が低下しているという実態があります。
 平成21(2009)年度に実施した「区立小・中学校児童・生徒体力調査」(20頁 図6)結果では、全国平均と本区を比較すると、小学生では同程度もしくはやや上回っていますが、中学生では全国平均を下回っています。
 保護者のアンケート調査結果でも、「今後、学校で力を入れてほしい教育」として、「体力向上教育」が上位にあがっています。
 また、近年の食生活を取り巻く社会環境の変化に伴い、子どもの食生活の乱れや健康への影響が懸念されます。健全な食生活は成長期の子どもの健康な心身をはぐくむために欠かせないものであると同時に、将来の食習慣の形成へ大きな影響を及ぼすものです。
 本区における、健康増進や食育推進をめざし策定した「健康中央21(平成20(2008)年3月)」や「中央区食育推進計画(平成20(2008)年3月)」においても、子どもの朝食の欠食や孤食の実態を踏まえ、健全な食生活や健康的な生活習慣の必要性を指摘しています。
 さらに、「健康中央21」によれば、本区の児童・生徒における肥満児の割合は9.5%で全国平均を下回っている状況ですが、学齢期・思春期は自らの生活習慣を確立する時期であり、健康づくりの面では大変重要な時期との指摘があります。
 教員のアンケート調査結果でも、約4割の教員が学校における食育指導の取組状況や成果に改善・工夫が必要であると回答しています(20頁 図7)。



 また、生活習慣病の予防をはじめとして、将来にわたって健康な生活を送るための基本となる「食」を通した学習である食育の推進が重要です。
 そして、総合的に健康教育を充実するためには、専門知識や指導力のある外部指導者も積極的に活用しながら、学校・家庭・地域や関係機関と連携を図る取組が求められています。

○ 当面5年間で実施する個別施策
① スポーツを通じた豊かな心と体力の向上
 子どもたち一人ひとりの成長段階において、健康な心と体づくりや運動に親しむ態度、身体能力の向上など、体力増進をめざした教育の充実が必要です。
 そのため、小学校の体育指導補助員を活用した児童の関心・意欲・技能に応じた実技指導の補助などにより体育授業を充実するとともに、特色あるスポーツ活動「1校1運動」(マイスクールスポーツ)の推進など幅広い事業の推進が望まれます。
 中学生の体力向上については、体力テストの結果や新学習指導要領の保健体育に「武道・ダンス」が必修化されたことなどを踏まえ、専門的技能や能力をもつ種目別のサポーターを配置し、体育の授業、部活動等の指導の充実をめざすことが求められています。そして、これらサポーターについては、例えば、学校の支援体制を推進するしくみづくりの中で、地域の教育的指導力や技術をもつ方々を「地域の教育人材バンク」として登録するなど地域人材等の優先活用を図ることも望まれます。
 また、幼稚園においては遊びを通じた体力の向上などの取組の充実が求められています。

② 学校における健康づくりの推進
 生活習慣病の予防をはじめとした健康づくりを推進するため、学校医や保健所等の関係機関と連携した規則正しい生活を送る啓発・指導の取組を充実していくことが求められます。
 さらに、子どもの頃から生活習慣病の予防対策を進めることは大切なことです。また、健全な食生活をはぐくむため、食品の品質や安全性、アレルギーについて正しい知識・情報に基づき、自ら判断できる能力を身につけさせることも必要です。
 そのため、食育推進研究校の指定などにより食育研究を推進し、その成果等を全校に広めることも有効な取組と思われます。各学校においても、食育の全体的な計画を作成するなど、それぞれの学校における食育の取組が必要とされます。
 学校における食育推進の支援のためには、保健所等の関係機関はもとより、例えば区内の飲食店、百貨店、築地市場等との連携による特別授業の実施など、幅広い取組が求められます。
 さらに、関係機関等と連携した喫煙・薬物乱用防止教室など健康・安全に関する学習を充実することも期待されます。


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1 「生きる力」を中心とした質の高い教育の展開 (続き)

2010-01-06 14:41:47 | 教育
(4) 特別支援教育の充実
○ 現状と課題
 改正教育基本法では、国および地方公共団体は、障害のある者がその障害の状態に応じ、十分な教育を受けられるよう教育上必要な支援を講じるよう規定しています。また、国の教育振興基本計画では、幼稚園から高等学校までを通じて、障害のある子ども一人ひとりの教育的ニーズを把握し、適切な支援を行っていくことが示されています。
 本区においては、平成18(2006)年に設置した中央区特別支援教育検討委員会における報告書「中央区における特別支援教育のあり方について」に基づき、特別支援教育アドバイザーによる巡回指導、教育相談員等の派遣、学習指導補助員・特別支援教育補佐員の配置などの支援体制を推進するとともに、平成21(2009)年4月からは晴海中学校で通級指導学級を新たに開設するなど、特別支援教育の充実を図ってきました。
 しかし、一人ひとりに「生きる力」を確かに身につけさせるためには、より一層の特別支援教育の充実が必要です。特に、通常学級に在籍するLD、ADHD、高機能自閉症などの幼児・児童・生徒は、その障害特性について周囲の人々から十分に理解されず、適切な指導を受けないまま学校生活が困難になることがあります。特別支援学級の指導内容を充実するとともに、こうした幼児・児童・生徒を早期に発見し、適切な支援を行うことが課題となっています。
 そのためには、教員の気づきが最も重要です。教員のアンケート調査結果では、「特別支援教育」(図8)について30%程度が改善・工夫が必要と回答していますが、さらに教員の課題意識を向上させるとともに、学校全体で取り組む体制づくりが必要です。
 また、障害のある幼児・児童・生徒の自立や社会参加に向けて、保護者の理解を得つつ、教育、福祉、医療、保健、就労等の関係機関がそれぞれの専門性をいかし、連携して支援を行っていく体制づくりが必要です。


○ 取組の方向
 特別な支援を必要とする園児・児童・生徒に適切に対応していくためには、まず学級担任や教科担任の気づきと理解が必要であり、校内の特別支援教育コーディネーターを中心に校内体制を充実させて、継続的な研修等を進めていく不断の努力が求められます。
 そして、教員一人ひとりが特別支援教育の理解を深めるとともに、教育センターを含む学校全体で、教員を支援し対応していく体制づくりが必要です。
また、一人ひとりの障害に応じて設定された目標が、それぞれのライフステージに引き継がれ、子どもたちが社会に巣立つまでの一貫した支援を行うため、学校・幼稚園・保育園・福祉センター・保健所等が、連携しながら、幼児期からの特別支援教育を推進する必要があります。
 さらに、特別支援学級や教育センター、福祉センター等の専門的セクションの充実と統一的な理解のもとにこれらが連携して支援をしていくことが大切です。

○ 当面5年間で実施する個別施策
① 社会参加に向けた「一貫した特別支援体制」の充実
障害の早期発見・早期支援を図るとともに、就学前の幼児期から中学校卒業時まで
の各教育段階における個別の教育計画を作成し、一貫した特別支援体制を構築することが必要です。
 そのためには、教員一人ひとりの理解を深める研修を充実させるとともに、臨床心理士等の専門的な知識を有する特別支援教育アドバイザーの派遣拡大など、特別支援コーディネーターや校内委員会への支援体制を充実させる必要があります。
 また、教育、福祉、医療、保健、就労等の関係機関および関係者が専門性をいかし、幼児期から学校卒業後までの継続した相談体制の充実を図ることが望まれます。
 これまで、中央区特別支援教育検討委員会の報告書(平成19(2007)年1月)に基づ
くさまざまな施策の展開を図っていますが、特別支援教育推進計画の検討などさらなる前進が期待されます。

② 多様なニーズに対応した特別支援教育体制の充実
 発達障害を含む子どもたち一人ひとりの教育的ニーズを把握し、子どもたちの能力や可能性を伸ばすには、それぞれの障害に応じた専門的な支援が必要です。
 保護者の理解のもとに、一人ひとりに応じた教育が受けられるよう福祉センター・教育センター・医療機関等と連携しつつ適切な教育・就学相談を行うとともに、特別支援学級、特に通級指導学級の充実が求められています。


(5) 就学前教育の充実と幼児期からの学びの連続性
○ 現状と課題
 幼稚園教育においては、その充実はもとより人格形成の基礎を培う幼児教育全体の重要性が指摘されており、幼稚園と保育所との教育的機能の連携、幼稚園・保育所と小学校との連携とともに、幼児教育の質の向上を図ることが求められています。
 教員のアンケート調査結果でも、「幼稚園と保育所の連携」(図9)において、「学校(園)の取組状況」や「子どもたちの学習や活動への成果」で改善・工夫が必要という回答が多く、「幼稚園と小学校の連携」(図10)においても、「学校(園)の取組状況」や「子どもたちの学習や活動への成果」で改善・工夫が必要というが回答が多くなっています。
 東京都教育委員会が平成21(2009)年7月に実施した「東京都公立小・中学校における第1学年の児童・生徒の学校生活への適応状況にかかわる実態調査」によると、平成20(2008)年度、都内の公立小学校の約24%において、入学したての児童が、授業中に立ち歩いたり、担任の指示に従わないなどの「小1プロブレム」が起きていることが明らかになりました(25頁 図11)。本区では、小学校1年生の大規模学級(35人以上学級)に学習指導補助員を配置しているため、この問題の発生は比較的に少ない状況にありますが、こうした問題の未然防止のためには就学前教育の充実が欠かせません。
 また、同調査において、平成21(2009)年度に入学した都内の公立中学校の1年生の約80%が、「入学前に不安があった」(25頁 図12)と回答しています。このため、中学校進学時の心理的不安や学校不適応、学習のつまずきなどのいわゆる「中1ギャップ」へ対応することも必要です。
 このように幼稚園・保育所から小学校へ、そして小学校から中学校へといかに学びの連続性を確保するかが課題であります。

○ 取組の方向
 小学校・幼稚園・保育所の連携強化を図るため、幼稚園が小学校と併設(1園を除く)しているという本区の特色をいかした幼小連携教育や、相互交流を積極的に行うほか、教員と保育士との合同研修を実施するなど幅広い就学前教育の連携・充実を進めるべきです。
 また、保護者の多様なニーズに応え、教育と保育を総合的に提供できる新たな子育て支援施設「認定こども園」の整備を推進し、地域における子育て支援拠点としての機能を推進することも求められます。
 しかし、認定こども園の整備にあたっては、相当のスペースが必要になるなどの課題もあることから、小学校の改築などの機会をとらえることが適切と考えられます。
 幼児期からの学びの連続性については、小学校との連携だけにとどまらず、小学校から中学校への移行期においても学習や生活がスムーズに適応できるよう、小学校と中学校の一貫した学習カリキュラムによる指導の充実を図り、幼児教育から義務教育にいたる12年間の一貫した教育を推進することが強く求められます。
 さらに、高等学校との連携のあり方も視野に入れながら、質の高い教育に取り組むことが期待されます。

○ 当面5年間で実施する個別施策
① 小学校と幼稚園・保育所の連携強化
 幼稚園における教育と保育所における保育のそれぞれの良さを相互に理解するとともに、緊密な連携を図りながら幼児教育全体の充実が求められています。
 本区においては、多くの幼稚園が小学校に併設されている利点をいかし、幼稚園と小学校の連携をさらに深め、学びや活動の連続性をいかした取組が大切です。
 そのため、幼稚園教諭と保育士の合同研修会の開催や幼児教育パンフレットの作成など、幼稚園と保育所が協働して実施する事業を拡充することが望まれます。
 また、小学校行事への園児の参加等の相互交流事業の推進や小一プロブレムへの対応など、より円滑な接続が図れる取組が求められるとともに、園児と児童の「心と体」に着目した連携教育プログラム等の研究・開発も期待されます。

② 幼児教育の推進と子育て支援機能の充実
 幼稚園への教育活動支援のため小学校体育指導補助員が、体を動かすことの楽しさや体力づくり・健康づくりを推進することを目的として、幼稚園の園児との遊びやさまざまな活動を通したサポートを行うことも本区の特色をいかした効果的な取組です。
 また、多様な保育ニーズに対応するため、幼稚園と保育所機能を合わせ持つ認定こども園の整備や幼稚園の保育サービスの充実を図る預かり保育の拡充を行うことも期待されます。
 なお、幼稚園教育を中心に保育サービスも提供する幼稚園型の「認定こども園」については、小学校改築をとらえた開設が望まれます。現在晴海二丁目で計画されている区立の保育所型「認定こども園」についても連携支援を行っていくべきです。

③ カリキュラム連携型小中一貫教育の推進
 小学校と中学校の連携・交流を進めるため、小・中あわせて9年間の連続した一貫性のある効果的な学習カリキュラムを策定するとともに、中学校と同一学区域内の小学校が一貫教育を試行実施する「カリキュラム連携型小中一貫教育モデル事業」の取組を積極的に推進し、将来的には区内全体へ拡大していくことが求められます。

④ 中学校と高等学校との連携
 中学校から高等学校への学びの連続性を踏まえた中学校教育の推進に配慮するとともに、現在行われている区内の高等学校と区立中学校の交流をさらに促進しつつ、より有効な連携のあり方について検討協議が進められることが期待されます。
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2 「学校力」の強化と教育環境の充実による魅力ある学校づくり

2010-01-06 14:41:26 | 築地を守る、築地市場現在地再整備
2 「学校力」の強化と教育環境の充実による魅力ある学校づくり
(1) 教員の資質と能力の向上
○ 現状と課題
 学校教育において、子どもたちにとって最大の教育環境は教員であり、子どもたち一人ひとりの性格や能力に応じてその可能性を伸ばしていくことが教員の使命です。子どもの教育の直接の担い手として、その後の人格形成にも大きな影響を与える教員の役割は大変重要であり、絶えず指導者としての資質・能力の向上に努めることが求められています。
 また、団塊世代の教員の大量退職に伴う新任教員の大量採用時期(図13)を迎え、いかに新任教員の育成を図り、質の高い教育を維持していくかが課題となっています。特に、変化の激しい時代にあって、子どもたちに「生きる力」を身につけさせるためには、教員自身が高い資質と能力を兼ね備えていることが不可欠です。そのため、教員に対する研修の充実とそれをサポートする体制を整備することが強く望まれます。
 保護者のアンケート調査結果では、「区の教育で新規に実施またはより充実すべき施策」(28頁 図14)として、「教員の資質・指導力の向上」(43.8%)を求めるものが最も多くなっています。そうした保護者の期待に応えるためにも、常に教育の専門家としての資質・能力を研き、指導力を向上させることが大変重要です。


○ 取組の方向
 教員の資質と指導力を向上させるOJTや職層に応じた研修等の充実・強化を図るとともに、教員のモチベーションアップに向けた取組を検討するなど、意欲と指導力にあふれた質の高い教員養成に積極的に取り組む必要があります。
 また、教員が一人ひとりの子どもと真剣に向き合う時間の確保に努めるとともに、校務の効率化を図る取組やメンタルヘルスの保持など、教員がよりよい教育を実践していくための校内・外の支援体制づくりを積極的に推進していく必要があります。
 さらに、教員や学校、子ども、保護者の総合的な教育支援機関としての役割をもつ教育センター機能の充実・拡大の検討にも取り組むべきです。

○ 当面5年間で実施する個別施策
① 意欲と指導力にあふれる教員の育成
 教員の資質・指導力の向上を図るため、学校内においても組織的に研修を行い、教員としての身につけるべき資質と指導力を高める必要があります。さらに、教育センターにおける研修機能の強化を図ることも重要です。
 そのため、職層に応じた研修を充実するとともに、初任者から経験年数10年以下の教員については、重点的に授業力を向上させるための研修が求められるとともに、経験豊富な元教員の活用も視野に入れ検討すべきです。
 また、新学習指導要領に対応した授業を実践するため、各教科等の授業における「活用型の授業」の展開に向けた指導法研修会等の実施が期待されます。
 さらに、優れた指導力をもつ教員を「メンタティーチャー」として育成・認定し、若手教員等に対して、指導助言の役割を果たす本区独自の教員指導力向上システムの構築など新たな取組も求められます。なお、「メンタティーチャー」として資質・指導力をより向上させるためには、専用の研修や研究支援等も必要です。
 授業力向上研究モデル校の指定などにより、効果的な授業力向上に関する研究を推進し、その成果等を全校に広めることも有効な取組と思われます。

② 教員に対するサポート体制の充実
 教員が子どもたちの学習やさまざまな活動にきめ細やかに向き合い、教材研究をしっかり行うための時間の確保をはじめ、多様な学校の課題に対応する教員への支援、校務を効率的・円滑に進める体制づくりなどを推進する必要があります。
 その一助として、校内LAN等の整備やOA保守等のヘルプデスク機能の充実などを検討していくことが望まれます。
 また、学校での課題解決を促進するため、教育センター機能を充実・拡大し、教育分野の専門性を有するアドバイザー派遣を拡充するなど、学校支援体制の強化に向けた検討が望まれます。
 さらに、いわゆるモンスターペアレントなどの学校に対する苦情対応について、学校での組織的な取組を基本としつつも、教育委員会あげての支援の強化が必要です。

(2) 子どもと保護者に期待される学校づくり
○ 現状と課題
 子どもが1日のうちで多くの時間を過ごす学校は、子どもたちにとって元気にいきいきと生活や学習ができる場でなければなりません。
学校生活についての児童生徒アンケート調査結果では、「学校は楽しい」(図15)「自分のクラスは楽しい」(図16)と思うとする回答がともに88.0%である一方、「学校に行きたくないと思うときがある」(31頁 図17)が43.1%あります。教員が一人ひとりの子どもと真剣に向き合うなど、学校が子どもたちにとって心の居場所となるように努めることが大切です。
 また、本区では区立小学校に通う児童の卒業後の進路として、私立中学校を希望する児童が多く、児童生徒のアンケート調査結果では、「小学校卒業後の進路選択」(31頁 図18)において、区立中学校への進学希望が約33%であるのに対し、私立中学校への進学希望は約35%であり、国立大学の付属中学校・公立の中高一貫校とあわせると約半数が区立中学校以外への進学を希望しています。
 さらに、保護者のアンケート調査結果(31頁 図19)でも、小学校6年生の保護者の4割弱が私立中学校への進学を希望しています。
 こうした状況から、義務教育の重要な役割を担う公立学校として、子どもには「行きたい」と、保護者には「我が子を通わせたい」と望まれる魅力ある学校づくりが、とりわけ中学校で求められていると考えられます。

○ 取組の方向
 子どもと保護者に期待される学校であるためには、まず、意欲と指導力にあふれる教員がいて質の高い教育を行うことが第一です。そして、それに加え子どもたちの実態や地域の実情に応じた創意工夫による特色ある教育活動を展開すること、部活動を充実させること、さらに地域との連携を推進することなどの取組により、児童・生徒、保護者、地域にとって魅力ある学校づくりを推進する必要があります。
 また、学校行事をはじめ、子どもたちの主体的活動、学級づくりや友だちづくりなどを通して、子どもたちが「楽しい」と感じる学校づくりも大切な取組です。

○ 当面5年間で実施する個別施策
① 特色ある教育活動
 学校・幼稚園は、それぞれの子どもたちの実態や地域の実情に応じ、学力向上の取組や感性・情操をはぐくむ教育、文化・伝統等の地域に根ざした活動、心と体を育てる体験学習など、創意工夫をいかした特色ある教育活動を展開することにより、魅力ある学校づくりを推進する必要があります。
 そのため、特色ある学校づくりのより効果的な実施方法や、子どもたちが「楽しい」と感じる学校づくりについての検討組織を設置し、取組を計画的に推進することも効果的であると考えます。

② 進路に対する不安の解消
 小学生の早い段階から区立中学校の説明機会を設けるとともに、中学校体験入学の拡大や入学説明会等の充実を図ることも有効な取組のひとつと考えられます。
 また、中学生にあっては、生徒一人ひとりの進路に対するニーズを把握し、十分な進路情報やきめ細やかな進路面談などを行う指導が期待されます。
 さらに、進学希望先の学校調べや訪問、職業体験などキャリア教育の充実をはじめ、小・中学校を通じたキャリア教育プログラム等の研究・開発などにより、自身の生き方について自己決定が図れる進路学習を推進することも期待されます。

③ ニーズに応じた部活動の充実
 個性の伸長を図り、豊かな人間関係を学ぶ機会となる中学校の部活動を充実し、安定的な運営を確保するとともに、あわせて部活動の活性化を図る必要があります。
 そのため、学校への支援体制を推進するしくみづくりの中で、専門的な知識・技術および指導能力を有する指導員を外部から募り、「地域の教育人材バンク」として登録し、学校に情報提供を行うなどの取組が求められます。
 また、子どもたちが希望する部活動ができるよう、学校間の合同部活動の検討など、部活動の選択の幅と質を充実させることも期待されます。


(3) 信頼される学校づくり
○ 現状と課題
 教育にとって、家庭や地域社会の協力が不可欠であることから、保護者や地域住民などが情報や課題を教員と共有しながら、学校と協力して子どもをはぐくむ体制づくりが必要です。
 国は、地域に開かれ信頼される学校を実現するため、教育に対する理解と識見のある地域関係者や学識経験者が、学校運営に関し意見を述べることができる学校評議員制度の導入や、学校の教育活動と学校運営の状況等を評価する学校評価の実施を推進しています。
 本区においては、平成18(2006)年度から学校評議員制度を全校で導入するとともに、平成20(2008)年度から「中央区学校評価ガイドライン」に基づき、保護者・生徒アンケートの取組も含めた学校評価を実施しています。
 しかし、こうした取組の認知度は低く、保護者のアンケート調査結果でも、「学校(園)評価や学校(園)評議員制度による取組」を「知らない」という回答が多く(図20)、今後、こうした取組の認知度を向上させていくことが課題となっています。
 また、学校の教育活動等の情報公開など適切な説明責任を果たし、保護者や地域住民から信頼される学校運営を行うことが課題となっています。公立学校は地域とともに歩む学校づくりが基本であり、保護者や地域住民との連携・協力を十分に図りながら学校づくりを進めていくことが重要です。

○ 取組の方向
 信頼される学校であるためには、学校と家庭・地域がともに信頼しあえることが必要であり、そのため相互に理解し協力しあう関係の構築が望まれます。
 各学校・幼稚園は、指導方針や教育活動等の情報を積極的に公開し、家庭や地域から理解と協力を得られる取組を行う必要があります。また、学校評議員制度や学校評価制度を積極的に活用し、自律的・継続的に学校運営の改善を行うマネジメントサイクルを確立することによって、学校・保護者・地域が同じ目標のもと、園児・児童・生徒をともにはぐくむ教育の推進が望まれます

○ 当面5年間で実施する個別施策
① 学校情報の積極的な公開
 学校ホームページや学校広報誌の充実と学校公開の拡大を図り、開かれた学校づくりと学校の教育活動の公開を推進する必要があります。
 そのため、学校の教育活動や本区の教育施策の実践状況をきめ細かく報告できるよ
う、学校ホームページの内容の充実を図るとともに、ホームページや学校広報誌作
成を支援する体制を充実することが望まれます。また、土曜日を活用した学校公開などの取組の充実も望まれます。

② 保護者や地域住民が参加する学校運営
 幼稚園や学校の評議員会の効果的な活用や学校評価の充実により学校運営を改善
するなど、保護者や地域と協働しながら信頼される学校づくりを推進する必要があります。
 そのため、学校評議員の意見などの公表や、保護者会等を活用して学校評価結果の説明を行うなど、より積極的な説明責任に取り組むことが望まれます。
 また、学校評価システムについては、その目的や学校改善の必要性を各教員が自覚し、評価結果をさらなる改善につなげるマネジメントサイクルの浸透・定着を図る取組を推進するとともに、客観的立場で学校活動や学校評価システムの機能状況等を評価する第三者評価の導入についても検討することが望まれます。


(4) 良好な学校環境の充実
○ 現状と課題
子どもたちが質の高い空間で学ぶことができるとともに、安全に安心して学校(園)生活が送れるよう、良好な学校環境の充実に向けた取組は大変重要です。
本区の学校は昭和初期に建てられた校舎等が多く老朽化も進行しているため、計画的な改修・改築等の施設整備を行うことが課題となっています。
 校舎の耐震化はもとより、全校の出入口の電子ロック化、緊急地震速報システムの整備、あるいは学校施設・設備の改修などに取り組み、保護者のアンケート調査結果(図21)で高い評価を得ているものの、防災・防犯面など学校の安全環境向上にはハード・ソフト両面での取組が引き続き必要です。
 さらに、近年、地球温暖化などの環境問題が世界共通の課題となっていることから、学校施設においても環境に配慮した施設の整備が望まれます。

○ 取組の方向
 経年劣化に対応した保全改修や改築を適切に実施するとともに、それらを契機とし各種機能の充実をはじめ、安全・安心面や環境面にも配慮した取組が必要です。
また、ハード面のみならず新型インフルエンザ等にも対応した危機管理マニュアルなどの作成も望まれます。

○ 当面5年間で実施する個別施策
① 学校施設の機能の充実
 計画的な学校施設の予防保全や改修を契機として、防災面や防犯面での安全環境の整備はもとより、新学習指導要領の実施に向けた理科・保健体育などの設備や学習機器を整備する必要があります。
 老朽化した中央・明石・明正小学校の改築にあたっては、それぞれの学校の特性に応じた特色ある整備を着実に進めるとともに、防災拠点や地域コミュニティの核としての機能の充実も必要です。
 また、子どもたちの安全を確保するため、各幼稚園・学校の学校防災計画を新型インフルエンザなどの感染症予防対応等も包含した危機管理マニュアルとして作成し直し、災害時のみならずさまざまな危機に対し的確かつ迅速な行動がとれるよう再整備することが求められます。

② エコスクールの推進
 校舎等の改築や予防保全・改修に合わせ、教育的観点からの子どもへの指導も含め、各学校の状況にあわせた創意工夫を行い、「中央区環境行動計画(平成20(2008)年3月)」や「中央区緑の基本計画(平成21(2009)年3月)」の趣旨を踏まえた緑化の推進や、自然エネルギーの利用などに取り組むエコスクールの推進に努める必要があります。
 屋上緑化や壁面緑化・芝生化、学校ビオトープの設置や太陽光発電などの自然エネルギーの利用や省エネルギー設備の導入を推進し、環境に配慮した学校施設の整備が求められます。
 また、それらを活用した環境教育の取組もあわせて求められます。
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3 「社会全体」で支える子どもの健全な育成

2010-01-06 14:41:04 | 教育
3 「社会全体」で支える子どもの健全な育成
(1) 地域との連携による子どもの健全育成
○ 現状と課題
 近年、地域の教育力の低下が指摘される中、改正教育基本法では、学校・家庭・地域住民等が教育におけるそれぞれの役割と責任を自覚し、相互の連携・協力に努めることを規定しており、子どもたちの健全な育成をはぐくむためには、学校だけでなく社会全体で取り組むことが求められています。
 本区では、地域の多くの方々にゲストティーチャーとして学校の教育活動への協力・参画を得るなど、学校と地域が互いに結びつきを強めてきましたが、豊かな経験や豊富な知識をもった人材をより積極的に活用するしくみづくりや、文化・芸術・歴史・伝統工芸・産業などの分野で活躍されている方々との連携をさらに推進することが求められます。
 教員のアンケート調査結果では、「学校(園)は地域の教育力を活かしていますか」(38頁 図22)において約90%が「思う」と回答しているとともに、「どのように活かしているか」(38頁 図23)では大半が「生活科や総合的な学習の時間」と回答しており、本区においては地域の人材の活用が比較的進んでいると思われます。
しかし、30代の子育て世代を中心とした新たな住民層の流入や高層マンション居住等による生活スタイルの変化により、地域コミュニティと学校との結びつきは変化しつつあり、コミュニティの再構築等を求める声も少なくありません。
 保護者のアンケート調査結果では、「地域活動への参加頻度」(38頁 図24)において「あまり参加していない」「全く参加していない」という回答が半数近くあり、その理由(39頁 図25)として「参加したいが時間がないから」「参加したいが機会や方法がわからないから」といった回答が多くなっています。保護者が地域活動に参加しやすいしくみをつくり地域との交流を深めることで、地域の教育力をいかした子どもたちの健全育成を推進するという点で課題があるといえます。
 本区においては、平成17(2005)年4月から学校施設を活用して、地域の協力を得ながら放課後や週末に子どもたちが安全に安心して過ごせる「子どもの居場所づくり」に取り組んでいますが、さらなる拡大と児童館における学童クラブとの役割分担などについて課題があります。
 近年、全国各地で子どもが被害者となる凶悪犯罪が続発し、子どもたちの安全を脅かしています。本区では、関係機関と連携し危険情報を保護者に配信する「こども安全安心メール」を実施するなど子どもの安全確保に努めています。今後も引き続き、学校と家庭、地域、関係機関が、安全指導や安全体制において十分に連携し、地域全体で子どもたちの安全を見守ることのできる環境づくりや体制づくりを推進していくことが重要です。

○ 取組の方向
 地域人材のさらなる活用を図るとともに、日頃の活動の中で培った知識や技能・文化を地域の子どもたちに伝承できるしくみづくりの充実や、PTA、青少年対策地区委員会等の社会教育関係団体の自主的な活動の支援などを推進する必要があります。
 また、学校行事や学校を利用した地域行事等を通じて、学校が地域活動や区民交流の場としての役割を果たすなど、地域の核となる学校づくりを推進することが望まれます。
 地域や関係機関等と学校が緊密に連携し、総合的な子どもの安全・安心な環境づくりを推進していく必要があります。
 さらに、区全体で防犯教育や安全教育の取組を強化するなど、子どもの防犯、非行防止、インターネット上の有害サイトへの接触防止等の対策を講じることも望まれます。

○ 当面5年間で実施する個別施策
① 地域の人材や学習資源を活用した教育の推進
 地域の教育力を学校の教育活動などに積極的に活用し、学校支援体制を強化していくことが求められています。
 そのため、学校を支援する人材として、学習活動や部活動、環境美化などに協力していただける地域の多様な人材や学校ボランティア・サポーター等を登録し活用できるしくみづくりの推進が必要です。
 また、各方面で活躍されている人材を講師として、地域の文化・歴史・風土などをさまざまな角度から学び、地域理解を深めるための学習の展開も望まれます。
 さらに、子どもたちにより身近なものとして地域の理解と郷土への愛着心をはぐくむため、本区に関係する歴史・文化・伝統・産業等に貢献した偉人やその取組に着目した区独自の副読本の作成なども期待されます。

② 地域交流の推進
 地域のコミュニティの拠点となる学校づくりを推進するとともに、学校行事や学校を利用した地域行事等の際には、子どもや保護者がより多く参加できるよう積極的に呼びかけるなど、地域住民の交流推進を支援する必要があります。また、地域住民の交流の活性化などにより、地域の教育力を向上する必要もあります。
 学校行事のみならず、例えば子どもフェスティバルやわんぱく相撲、もちつき大会、盆踊り大会などの各団体の行事等に積極的に参加することによって、子どもの体力向上や健全育成はもとより、世代間交流を通じた社会性を身に付けていくことが期待されます。そのため、青少年対策地区委員会、青少年委員、民生・児童委員、主任児童委員、PTA、町会・自治会等とのさらなる相互協力・連携を推進し、地域交流の活性化を図ることが望まれます。

③ 子どもの居場所づくりの推進
 学校施設を活用し、子どもが安全に安心して過ごせる子どもの居場所「プレディ」については、学校改築にあわせた整備を図るなど、条件の整った小学校から順次拡大していくことが求められます。また、子どもの居場所を活用した児童と地域の多世代とのふれあいをさらに図っていくことも必要です。
 学童クラブとの役割分担あるいは将来的な統合の是非については、それぞれの子どもの事情などに着目した子ども本位の観点からの検討が望まれます。

④ 関係機関等と連携した安全・安心な環境づくり
 所轄警察署や関係機関等と連携した各学校におけるセーフティ教室(非行・犯罪被
害防止学習)の実施など、子ども自身の危険回避能力を育成する必要があります。
 また、登下校中や放課後における地域ぐるみの安全パトロールや、緊急時に逃げ込める避難場所としての「こども110番」など、学校・家庭・地域・関係機関との連携強化のもと、安全・安心な環境づくりをさらに推進する必要があります。

(2) 家庭教育力の向上
○ 現状と課題
 家庭教育は、すべての教育の出発点であり、子どもがしつけや基本的な生活習慣、倫理観、社会的なマナーを身に付ける上で大変重要な役割を担っています。
改正教育基本法では、保護者が子どもの教育の第一義的責任を有し、必要な生活習慣の習得、自立心の育成、心身の調和のとれた発達を図るよう努めることと、国および地方公共団体が、家庭教育の自主性を尊重しつつその支援策を講ずるよう努めることを規定しています。
 近年、少子化や核家族化の進行などにより、家庭の中で子育ての知識を得る機会が少なくなり、子育ての知識を得られずに不安や育児ストレスを抱え、地域で孤立している親や子育てに無関心な親などが増加しているといわれています。
 平成19(2007)年度に実施した「中央区保育需要・子育て支援調査に関する実態調査」においても、子育てに関する不安や負担の第1位に、「子どもの教育に関すること」があげられています。(図26)
 すべての親が、自信をもち安心して家庭での子育てや教育を行えるよう、親自身の「学び」や「成長していける場や機会」を設けることが必要です。
 また、家庭の教育力の低下とともに、子どもに基本的な生活習慣や自立心、社会性などが身についていないといった問題が指摘されています。保護者のアンケート調査結果(42頁 図27)では、家庭教育で重点を置いていることとして、「あいさつをする」「うそをつかない」「約束を守る」などが上位にあがっています。
 教員のアンケート調査結果では、「子どもの生活指導上の問題」(42頁 図28)として、「繰り返しの指導にもかかわらず指導の効果がない」(55.2%)、「保護者の協力が得られない」(45.4%)と感じている教員が多くいることがわかります。
 子どもの教育において、学校と家庭が互いに信頼関係を築き、ともに子どもの指導にあたることが重要であり、日頃から連携・協力する姿勢を強化することが望まれます。


○ 取組の方向
 次世代を担う子どもたちが、豊かな心で、元気に明るく輝いていくためには、保護者の子どもを育てていく力、すなわち「親力」が必要であり、その強化のための支援が望まれます。
 区長部局と緊密に連携し、地域家庭教育推進協議会が行う家庭教育学習会のほか、学校・PTA・子育てサークルなどが行う子育て講座等の学習機会へのより参加しやすい実施方法等を工夫するとともに、ライフステージに応じた課題別の講座の実施など、きめ細やかな家庭教育の取組を推進する必要があります。また、子どもの望ましい基本的な生活習慣の育成に向けた取組の普及啓発や、学校・家庭・地域が連携し社会ルールを守ろうとする環境づくりなどにも取り組むことが期待されます。

○ 当面5年間で実施する個別施策
① 子どもをはぐくむ「親力」の育成と支援
 学習会等を通じて子育てする力の育成を図るとともに、子どもの望ましい基本的な生活習慣の育成を目的とした「子どもの生活リズムの向上」の普及啓発を積極的に展開する必要があります。
 また、子どもたちの発達段階に応じた幼児期から義務教育修了時までに育てたい規範意識の向上を図る指針等を作成するなど、学校・家庭・地域が連携した社会ルールを守ろうとする環境づくりを推進することも効果的な取組と思われます。
 家庭教育学習会や講演会に加え、就学説明会や保護者会等の機会を活用した取組や、地域に出向く学習会の実施など、学校と関係機関が連携した日常的な保護者への働きかけを行い、親が子どもと真剣に向き合うことなど子育てする力「親力」を高めることが求められます。
 また、保護者への相談体制の充実を図るため、教育センターの相談体制の充実や保護者への「親力」セミナーなどを実施することも期待されます。

(3) 文化・スポーツなどの生涯学習活動への支援
○ 現状と課題
 国の教育振興基本計画では、改正教育基本法の規定を踏まえ、子どもから大人まで誰もが生涯を通じて、いつでもどこでも学習することができ、その成果を適切に生かせる社会の構築をめざした環境を整備することが示されました。
 本区においては、急速な人口増に伴い、区民の自発的な団体活動や区主催の生涯学習講座・スポーツ教室などへの参加が増えています。また、団塊の世代が退職期を迎えたことにより、多くの生涯学習への参加が見込まれます。
 そのため、それぞれのニーズに応じて学べる適切な学習施設の整備や学習機会の提供が求められます。
 また、生涯学習の観点から、地域の情報拠点・学習拠点としての図書館機能の充実を図り、地域の教育力の向上に努めるとともに、学校図書館との連携を充実し、子どもたちが生涯を通じて読書に親しむ素地を培うための読書環境の充実も望まれます。
 さらに、子どもから高齢者まで各層の地域住民が、学校施設をスポーツなどの地域活動の有効な場所としてさらに活用できるよう努めることも必要です。

○ 取組の方向
 生涯学習活動の推進に向け、図書館を地域の情報拠点・学習拠点ととらえ、教養や職務能力を向上させるための学習や情報収集の場として、区民がいつでも利用できるよう図書館サービスを充実させるとともに、社会の高度情報化に対応した機能充実を図ることも望まれます。
 また、「中央区子ども読書推進計画」に基づき、すべての子どもが自ら進んで読書に親しめるよう学校・家庭・地域が連携し、積極的に読書活動を推進する必要があります。
 さらに、学校施設等の開放を通じたスポーツ・レクリエーションや生涯学習活動の支援を充実することも望まれます。

○ 当面5年間で実施する個別施策
① 地域の学習拠点・情報拠点としての図書館機能の充実
 生涯学習の中心的施設として、図書館機能の一層の充実はもとより、特に本区の中央図書館である京橋図書館の移転整備については、できる限り早い時期での着実な推進が求められます。
 また、子どもの読書活動を推進するための取組の充実や学校図書館の支援を通じた活動も図書館の重要な役割です。

② 学校施設を活用した生涯学習活動への支援
 区民の生涯学習活動の活性化と、地域のスポーツ・レクリエーション活動振興のため、学校教育に支障のない範囲で、学校施設および校外学園施設をより一層開放し、生涯学習活動の積極的な支援を行う必要があります。
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Ⅴ 教育振興基本計画の実現に向けて / 用語解説

2010-01-06 14:40:20 | 教育
Ⅴ 教育振興基本計画の実現に向けて
1 国や東京都への積極的な働きかけ
(1) 教職員の人事権の移譲
 特別区長会では、特別区が長期的視点を持ち、地域の実情に応じた学校教育を推進できるよう、区立小・中学校教職員の人事権や学級編成・教職員定数などの権限および必要な財源を併せて特別区へ移譲することを、国の施策および予算に関する要望の中で求めています。これは、区および学校が主体性を発揮し、地域特性に応じた独自性のある教育活動を展開するためには不可欠なものです。
 今後も、引き続き都区のあり方検討委員会などの動きに注視しながら、国および東京都に対して人事権の移譲を強く働きかけていくことが求められています。

(2) 学級編成や教職員の配置の弾力的な運用
 学校現場では、子どもや保護者の多様なニーズに対応するため、新学習指導要領の趣旨を踏まえた「個に応じた指導」の充実が強く求められています。また、少人数学級の動向、少人数指導や小学校の教科担任制の導入などの教育課題にも直面しています。
 全国市長会等から地方分権改革推進委員会へ「学級編成・教職員定数の決定」について要望がなされているように、これらの課題に柔軟かつスピーディーに対応するため、「学級編成や教職員配置の弾力的な運用」について東京都に引き続き強く求めていくべきです。


2 教育委員会活動のさらなる充実に向けて
 教育委員会は、我が国の地方教育制度の根幹をなすものであり、自治体における教育行政を推進する大きな責任を負っています。しかし、地方分権改革推進委員会ではそのあり方の見直しが指摘されています。
 また、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正により、教育委員会の責任体制の明確化、教育委員会の体制の充実、教育における地方分権の推進等が規定されました。
 学校教育が、子ども・保護者・地域住民から信頼されるためには、地方教育行政の中心的な担い手である教育委員会が、より高い使命感をもって責任を果たしていく必要があります。
 保護者はもとより多様な地域住民の意向を学校経営に反映し、地域の実情に応じた学校づくりを推進するため、さまざまな視点から学校の進める教育活動を支援する必要があります。
 各学校間の連携や、学校と地域との連携の「橋渡し」としての役割を果たすなど、責任ある教育委員会活動が望まれます。

(1) 教育委員会による点検評価
 「教育に関する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価」は、教育委員会が所管する施策および主要事業を対象として、その実績や効果等について自己評価を行うとともに、学識経験者の知見を活用した第三者による評価が行われています。また、評価結果は議会へ報告するとともに、広く区民に公表されています。
 評価の結果はもとより、公表により寄せられた意見等は、その後の施策に反映させるなどマネジメントサイクルを構築し、教育行政のより透明性を高めることが必要です。

(2) 教育委員会活動の活性化
 教育委員会定例会等の会議の活性化はもとより、これまで以上に教育委員が学校・幼稚園を訪問し、教員との意見交換も含め教育現場の課題などの実態把握や理解に努めていかなくてはなりません。また、教育委員会活動の周知と地域の方々との議論を深めるため、積極的にまちに出ていくいわば「まちかど教育委員会」とでも言うべき活動も大切です。
 さらに、教育を取り巻く環境の変化等を適時・適切に把握するため、教育委員の研修会等の充実を図り、レイマンコントロールという教育委員会制度の趣旨を踏まえらも、常にその資質の向上に努めることが望まれます。



用語の説明
1 学習到達度調査(PISA)(4頁)
 経済協力開発機構(OECD)が、義務教育修了段階の15 歳(高校1 年生)を対象に実施する知識や技能を実生活でどの程度活用できるかを評価する国際調査 平成12(2000)年に第1 回調査が行われ、以後3 年毎に実施されている。

2 教育三法(4頁)
 「学校教育法」、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」、「教育職員免許法及び教育公務員特例法」のこと
 この教育三法の改正案が平成19(2007)年6 月20 日に可決・成立し、同月27 日に公布された。

3 学習指導要領(4頁)
 学校教育法施行規則の規定に基づいて、文部科学大臣が定める小・中・高等学校などの教育課程に関する基準
 小・中学校の新しい学習指導要領は、平成20(2008)年3 月に改訂され、21(2009)年度から一部先行実施し、小学校は23(2011)年度、中学校は24(2012)年度から全面実施される。

4 幼稚園教育要領(4頁)
 学校教育法施行規則の規定に基づき、文部科学大臣が定める幼稚園の教育課程に関する基準
 新しい幼稚園教育要領は、平成20(2008)年3 月に改訂され、21(2009)年度から全面実施されている。

5 小一プロブレム(9頁)
 小学校に入学したばかりの小学校1年生が集団行動が取れない、授業中に座っていられない、話を聞かないなどの状態が数か月継続する状態
 これまでは1か月程度で落ち着くと言われていたが、これが継続するようになり就学前の幼児教育が注目されだした。

6 中一ギャップ(9頁)
 小学校から中学校に進学したときに、学習や生活の変化になじめず、いじめや不登校などの様々な困難を抱えてしまう生徒が増える現象

7 学校力(10 頁)
 高い資質能力を備えた教師が自信を持って指導に当たり、保護者や地域も加わって学校が生き生きと活気ある活動を展開できる学校の教育力(新しい時代の義務教育を想像する(答申)平成17(2005)年10 月26 日中央教育審議会)
 学校教育が抱える課題の複雑化、多様化に対応するため、組織的、機能的に学校運営が行われる力(平成19(2007)年度文部科学白書)

8 読解力(13 頁)
 自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、効果的に社会に参加するために、書かれたテキストを理解し、利用し、熟考する能力

9 ICT(14 頁)
Information and Communications Technology の略。情報技術によるコミュニケーション活用も含めた情報通信関連技術

10 学習力サポートテスト(15 頁)
 中央区がこれまでの到達度診断テストに代わり平成21(2009)年度から実施した基礎的・基本的な学習内容の定着状況と問題解決能力等の調査
 区立小学校4年生から6年生、区立中学校全学年を対象とし、各学校での個に応じた指導の充実や教員の指導力の向上と、児童・生徒の学習の動機付けに活用する。

11 理科支援員(15 頁)
 小学校5・6年生の理科の授業で、実験観察の準備、後片付け、教員の学習指導の補助やサポートを行う支援員

12 土曜スクール(15 頁)
 小学校の4年生から6年生の希望する児童および中学校の全学年の希望する生徒を対象に、基礎的・基本的な内容の確実な定着を図ることをねらいとした区独自の補習指導
 土曜日に年間16~18 回程度、小学校では、国語・算数、中学校では、国語・数学・英語を中心に実施

13 校内LAN(15 頁)
 LANとはローカルエリアネットワーク(Local Area Network)の略で、学校内のコンピュータをネットワークで接続したシステム(通信網)
 校内LANを導入することで、教員の別々のパソコン同士でデータ等を共有したり、子どもたちの学習成果を保存・発表するなど活用できる。

14 フロンティアスクール(15 頁)
 中央区の小学校における教育課題を先行的に研究・開発を行うフロンティアスクールを指定。
 研究成果を全小学校に反映させて中央区全体の教育活動の向上を図る。

15 情報リテラシー(15 頁)
 情報と情報手段を主体的に選択し活用する基礎的な資質や能力
 狭義にはコンピュータのような情報機器の活用能力の意味に使われるが、広義には紙媒体も含むあらゆる情報手段の活用能力を意味する。

16 ネットモラル(15 頁)
 インターネットや携帯電話などのネットワークを介したコミュニケーションを行う上で必要なモラル

17 外国人英語指導講師(ALT)(16 頁)
 Assistant Language Teacher の略 教師と協力して授業を行う外国人講師
本区において、小学校では英語に親しみ、英語学習への関心や意欲を持たせるよう外国語活動に配置し、中学校では教科指導の一貫として配置している。

18 スクールカウンセラー(17 頁)
 学校で、生徒・保護者のいじめ、不登校、生徒の悩みなどの相談・カウンセリングを行う臨床心理士等の専門性を有するカウンラー

19 適応教室「わくわく21」(18 頁)
 区内在住、在校の不登校およびその傾向にある児童・生徒が、いろいろな活動を通して心のふれあいを経験し、新たな活力を見出していけることを目的として、教育センターにおいて実施している教室

20 適応教室専門員(18 頁)
 不登校やその傾向にある児童・生徒が、適応指導教室「わくわく21」において、個別の学習や様々な活動を行うために、配置されている指導的専門員

21 メンタルサポーター(18 頁)
 不登校や心理的な問題を抱え、ケアを必要とされる児童・生徒に対して、心のケア、学習支援、話し相手などを行うことを目的として、家庭や適応教室「わくわく21」、学校に派遣している本区独自の施策によるサポーター
 臨床心理士の資格を有する者又はその資格取得予定の大学生・大学院生があたる。

22 児童福祉司(18 頁)
 児童相談所に配置される職員
 児童の福祉に関する相談に応じ、専門的技術に基づいて助言指導、児童福祉施設入所への援
助などを行っている。

23 キャリア教育(18 頁)
 各学校段階の児童生徒に対し、将来、自分にとって最もふさわしい進路や進学希望校等を主体的に選択し、その後の職業生活の中で自己実現を図るために必要な知識・技能・態度・価値観などを、学校内外のあらゆる活動を通じて、組織的・計画的に育成しようとする教育

24 セカンドスクール(18 頁)
 小学校4年生を対象に区立柏学園を活用し、豊かな自然と地域の特性を生かした学習や体験活動を実施している2泊3日の宿泊行事

25 エコキャップ運動(18 頁)
 ペットボトルのキャップを回収して再資源化することで二酸化炭素を削減し、キャップの再資源化で得た売却益を開発途上国の子どものワクチン代として寄贈する運動特定非営利活動法人エコキャップ推進協会が推進している。

26 食育(19 頁)
 生涯を通じた健全な食生活の実現、食文化の継承、健康の確保等が図れるよう、自らの食について考える習慣や食に関するさまざまな知識と食を選択する判断力を楽しく身に付ける教育の取組

27 1校1運動(マイスクールスポーツ)(21 頁)
 本区の各小学校がそれぞれ、縄跳び、一輪車、持久走などの種目を重点的に取り組むスポーツとして掲げて、児童の体力向上・増進を目指した取組

28 特別支援教育(22 頁)
 従来の特殊教育の対象の障害だけでなく、LD、ADHD、高機能自閉症等を含めて障害のある児童生徒の自立や社会参加に向けて、その一人ひとりの教育的ニーズを把握して、適切な教育や指導を通じて必要な支援を行うこと

29 特別支援教育アドバイザー(22 頁)
 幼稚園・小中学校に、心理の専門家や医師等を定期的に派遣し、通常の学級に在籍する発達障害等のある、あるいはその疑いのある幼児・児童・生徒や、特別支援学級に在籍する児童・生徒に対して、望ましい教育的対応についての専門的な助言を行うアドバイザー

30 LD(22 頁)
 Learning Disabilities の略 学習障害
 基本的には全般的に知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち、特定のものの習得と使用に困難を示す様々な状態を指すものである。その原因として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推測されるが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではないとされている。

31 ADHD(22 頁)
 Attention-Deficit/ Hyperactivity Disorder の略 注意欠陥/多動性障害
 年齢あるいは発達に不釣り合いな不注意さ、衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたすもの7歳以前に現れ、その状態が継続し、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される。

32 高機能自閉症(22 頁)
 3歳位までに現れ、他人との社会的関係の形成の困難さ、言葉の発達の遅れ、興味や関心が狭く特定のものにこだわることを特徴とする行動の障害である自閉症のうち、知的発達の遅れを伴わないもの
 中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される。

33 特別支援教育コーディネーター(22 頁)
 特別支援教育の実施に向けて、校内委員会及び校内研修の運営や担任への支援、関係者及び関係機関等との連絡調整、保護者の相談窓口、専門的な情報提供などの役割を担う教員

34 臨床心理士(22 頁)
 臨床心理学にもとづく知識や技術を用いて、人間のさまざまな心理的問題を解決する専門家

35 通級指導学級(23 頁)
 小中学校の通常の学級に在籍し、言語障害、難聴、弱視、情緒障害、病弱などのある児童生徒を対象として、通常の学級以外の教室の場で、障害に応じた指導を行う学級のこと
 一週間で8時間以内で行われる場合が多い。

36 認定こども園(25 頁)
 就学前の子どもを、保護者の就労の有無にかかわらず受け入れ、幼児教育・保育を一体的に提供する機能と、地域におけるすべての子育て家庭を対象とした支援を行う機能を有する施設

37 カリキュラム連携型小中一貫教育モデル事業(26 頁)
 小・中学校の連携・交流を進めるため、小・中学校で連続した一貫性のあるカリキュラムの策定等を行い、そのカリュキュラムに基づき一貫した教育を推進するモデル事業。

38 OJT(28 頁)
 On-the-Job Training の略。職場の上司(先輩)が部下(後輩)に対し、仕事の現場で実務に携わりながら必要な知識・技術・態度などを計画的・継続的に指導し、修得させること

39 メンタティーチャー(28 頁)
 指導力に優れた実践をもつ教員を「中央区メンタティーチャー」として認定・育成し、若手教員等に対して、教科の指導方法や模範授業、教材開発、学級経営等の指導・研修講師・助言の役割を果たす本区独自の教員指導力向上システム

40 ヘルプデスク(29 頁)
 学校からパソコンの使用方法等の問い合わせや要望、トラブル時の対処などを一元的に対応する窓口のこと

41 モンスターペアレント(29 頁)
 学校や教育委員会に対して理不尽な要求を繰り返し、学校運営に支障をきたすような保護者をモンスターにたとえた語

42 中高一貫校(30 頁)
 中学校からエスカレーター式に試験することなく、併設している高等学校に進学し、6年間の教育を行うシステムを持つ学校中学校と高等学校の教育を一貫教育で行う中等教育学校もこれに含まれる。

43 学校評議員制度(33 頁)
 平成12(2000)年4 月に学校教育法施行規則等の一部改正により、地域住民の学校運営への参画の仕組みを制度的に位置付けるものとして導入された制度
 本区では、幼児・児童・生徒、保護者および地域住民の期待に応え、特色ある学校づくりと開かれた学校づくりを推進するため、全小・中学校および幼稚園に設置している。評議員は、学校(園)長の推薦等に基づいて教育長が委嘱し、校(園)長の求めに応じて学校運営に関する意見を述べることができる。

44 学校評価(33 頁)
 平成19(2007)年度に学校教育法等が一部改正され、各学校は教育活動その他学校運営の状況について評価を行い、その結果に基づき学校運営の改善を図るため必要な措置を講ずることにより、教育水準の向上に努めなければならないとされた。本区においては平成20 年度から、前年度の評価結果を踏まえた目標の設定、自己評価、保護者や学校に関わりのある地域関係者等による自己評価を踏まえた学校関係者評価、評価結果の公表と教育委員会への報告を行い、各学校が組織的・継続的な改善を図る学校評価システムを実施している。

45 マネジメントサイクル(33 頁)
 教育施策においては、目標を明確に設定し(Plan)、実施し(Do)、その成果を客観的に検証し(See)、その結果を改善して次の教育施策に反映させる(Action)という循環サイクル

46 第三者評価(34 頁)
 学校の教育に関して学識経験者等の高い識見を有し、学校との関係を持たない第三者が、学校の取組みや学校経営・運営について、統一的基準により評価をすること

47 エコスクール(36 頁)
 太陽光発電等の自然エネルギーの活用や壁面等の緑化を進め、環境への負荷の低減を図った学校

48 ビオトープ(36 頁)
 学校の敷地内に、地域在来の生き物が暮らすことのできる草地や池などの空間を復元する取組で、環境教育の教材として活用している。

49 青少年対策地区委員会(39 頁)
 地域における青少年の健全育成のための自主団体として、連合町会単位に19 地区委員会が設置されている。それぞれの地区委員会は、青少年問題協議会で審議決定した施策の実施に協力するとともに、地域の実情に応じた各種の施策を実施するほか、各地域における青少年関係諸団体等の活動についての連絡調整も行っている。

50 子どもの居場所「プレディ」(40 頁)
 子どもの健全育成を図るため、保護者の就労状況にかかわらず、放課後や土曜日、長期休業日などに子どもが安全に安心して過ごせるよう、小学校の施設を活用した子どもの居場所を開設している。

51 親力(42 頁)
 次世代を担う子どもたちが、豊かな心で、元気に明るく輝いていくために重要となる「保護者の子どもを育てていく力」(第三次中央区保健医療福祉計画 平成21(2009)年3 月)

52 地域家庭教育推進協議会(42 頁)
 中央区の家庭教育を推進するため平成16(2004)年に教育委員会と学校関係者・PTA・青少年委員・児童委員等により設立された団体
保護者が家庭教育について学ぶと共に、地域全体で家庭教育を支援するために家庭・学校・地域の連携を進めている。

53 中央区子ども読書推進計画(44 頁)
 「子どもの読書活動の推進に関する法律」(平成13(2001)年)に基づき、中央区における今後5 年間の子どもの読書活動の推進に関する施策の取り組みを示すため、平成20(2008)年3月に策定した。

54 地方分権改革推進委員会(45 頁)
 平成19(2008)年4 月に地方分権改革推進法に基づき、内閣府に設置された機関で、内閣総理大臣に対し、地方分権改革推進計画の作成のための具体的な指針の勧告と必要に応じて地方分権改革の推進に関する重要事項について意見を述べる役割を担っている委員会

55 レイマンコントロール(46 頁)
 教育の専門家ではないが一般的な学識や経験が豊かで人格が高潔な方々による管理

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稲田堤のマジックアワー

2010-01-06 13:36:34 | 街づくり
 日本には、たくさんの美しい景色があります。
 その景色が、とても映えるのが、夕暮れ時の“マジックアワー”

 稲田堤のマジックアワーです。
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