Ⅰ 教育振興基本計画の策定について
1 計画策定の趣旨
近年、社会状況は急激に変化し、物質的な豊かさや利便性を追求する風潮の中で、子どもたちの生活習慣の乱れや規範意識の欠如、学ぶ意欲や学力・体力の低下、子どもや家庭と地域社会との連帯感の希薄化など、さまざまな課題が山積しています。
このような中、これからの新しい時代の教育の基本理念を明示する教育基本法の改正が行われるとともに、我が国の教育のあり方を見直すためのさまざまな議論がなされるなど、未来を切り拓く「教育」への社会の期待と関心はますます大きくなっています。
次代を担う子どもたち一人ひとりと真剣に向き合い、その成長をしっかりと支えるためには、学校が本来的な機能を十分に発揮することはもとより、学校・家庭・地域がともに連携・協力できる体制を築き、それぞれの役割を十分に機能させるためのしくみづくりが必要です。
中央区基本計画2008(平成20(2008)年2月)では、「子どもが輝く子育て・教育のまち」という本区の10年後の姿を明らかにしつつ、学校教育などの積極的な施策の推進を計画化しています。
そこで、この「10年後の姿」を念頭に置きつつ本区教育目標の実現に向けて着実な教育施策の前進を図っていくために、「中央区教育振興基本計画」を策定すべきものと考えます。
基本計画2008における「10年後の姿」(抜粋)
* 家庭・地域・保育所・幼稚園・学校など幅広い連携が進み、子どもた
ちは、地域全体で見守られながら健康で心豊かに成長しています。
* 子どもたちが個性と能力をはぐくみながら、確かな学力、豊かな人間
性、健康と体力の3つの要素からなる「生きる力」を向上させるため、
いきいきと学んでいます。
* 「教育の中央区」にふさわしい質の高い教育が行われ、地域の伝統や文
化を誇りを持って受け継いだ若者たちが、国際社会で活躍するとともに、
中央区の魅力を世界に発信する担い手として成長しています。
2 計画の目的および位置づけ等
この計画は、本区教育目標の実現に向け現状と課題を整理し、中央区基本計画2008などとの整合性に留意しつつ、これからの中央区の「教育」の将来方向と具体的な施策を総合的かつ体系的に明確にするものです。
(1) 目 的
教育環境の変化と子どもの状況を的確にとらえ取り組むべき課題の整理を行い、本区がめざす教育とその実現に向けた施策を総合的かつ体系的に明らかにするとともに、あわせてその内容を区民にわかりやすく示すことを目的とします。
(2) 位置づけ
教育基本法第17条に規定される「教育振興基本計画」として位置づけます。
(3) 計画の範囲
計画の範囲は「主に学校教育と学校教育との関連において必要とされる図書館などの社会教育分野」とし、基本的には学校教育分野の総合計画とすべきであります。
なお、具体的な施策の推進にあたっては、生涯学習等の関連部局との連携が求められます。
(4) 計画の期間
① 基本施策
基本施策は、教育目標の実現に向け、概ね今後10年間を通じて本区がめざす教育の方向性として掲げるものです。
② 個別施策
個別施策は、基本施策のもと、平成22(2010)年度から26(2014)年度までの当面5年間で、計画的・重点的に取り組む具体的な施策として掲げるものです。
なお、計画期間内においても、教育環境の変化や制度等の変更が生じた場合には必要に応じた見直しなどを行うべきです。
(5) その他
計画の検討にあたり、児童生徒・保護者・教員に対しアンケート調査(平成21(2009)年7月)を実施しました。
本文中に記載のある「児童生徒アンケート」「保護者アンケート」「教員アンケート」とはこの調査の結果です。
3 中央区基本計画等との関係
本計画の策定にあたっては、「中央区基本計画2008」はもとより、次世代育成支援行動計画を包含する「第三次中央区保健医療福祉計画(平成21(2009)年3月)」などの関連計画等との整合性を図る必要があります。
(Ⅱ計画策定の背景へ続く)