本日、読売新聞朝刊・各紙夕刊が、築地市場移転候補地豊洲で東京都が行った土壌汚染処理の効果実証実験に対して、批判記事が書かれておりましたので、掲載いたします。
東京都は、中間報告では、初期値も出さずに、効果が有効であったなどと、まったく科学的でない報告を出しておりましたが、今回は、人工に試料を作成したということです。
人工に作成した試料で、実験したということは、あくまで、作成条件をきちんと掲示することや、作成した結果が現地土壌と同じであることの証明が必要になります。
試験管実験を、現実に応用できるというには、それなりの説明をしていいただきたいと考えます。
****東京新聞(2010/07/20夕刊)****
築地移転調査 高濃度試料を人工作成
東京都が築地市場(中央区)の移転予定地、江東区豊洲地区で実施した土壌汚染対策の実証実験をめぐり、当初採取したサンプルの汚染濃度が想定よりも低かったため、濃度の高いサンプルを人工的に作って追加実験していたことが分かった。低濃度の実験では無害化が有効かどうか専門家以外には分かりにくいと判断したためだが、調査の実効性にも疑問を持たれそうだ。
都は三月の実験の中間報告で、サンプルの実験開始時の濃度(初期値)を明らかにしないまま、「環境基準以下に無害化できた」と有効性を強調していた。
予定地では二〇〇八年、都の調査で高濃度のベンゼンなどが検出され、都議会第一党の民主党は移転を疑問視。都は移転の説得材料にするため、二月~六月末に現地で汚染対策の実証実験を行った。
対象は、環境基準を四万三千倍上回るベンゼンや百七十倍のシアン化合物が見つかった場所など十六カ所。移転関連の予算案を審議していた都議会の開催中に行った中間報告では、先行して終了した加熱処理と洗浄処理で、基準以下に無害化できたと公表した。
この際、都はサンプルの初期値濃度を公表しなかったが、四万三千倍のベンゼンが検出された区画のサンプルの初期値は基準値の二・七倍しかなかった。ヒ素は基準値以下のケースもあった。
こうした低濃度の数値に、都は専門家の技術会議の助言を受け、ベンゼンについては二十万倍の高濃度サンプルを人工的につくり、無害化の追加実験をした。現地での効果を確かめるのが実証実験の狙いだが、都は「濃度が低くても実験の有効性に変わりはない。効果を分かりやすくする補足データのために実施した」としている。
委託業者との当初の契約額は約七億円。地中の障害物の除去などを含め、約一億四千万円を追加したという。
*****以上*****
*****毎日新聞(2010/07/20夕刊)*****
築地市場:東京都、「汚染無害化」数値隠し 移転予定地
2010年7月20日 11時46分
東京・築地市場(中央区)の移転予定地となっている江東区豊洲の土壌汚染問題対策として、東京都が6月まで実施していた汚染除去実験で20日、環境基準の4万3000倍のベンゼンが検出された区画で実験した際の土壌の汚染濃度は、基準の2.7倍に過ぎなかったことが分かった。都は3月の中間報告では実験前の汚染濃度を示さないまま「確実に汚染物質を無害化できると実証された」とアピールしていた。
同様に、ヒ素についても、実験対象の土壌の汚染濃度が元々基準値以下だったケースがあることも判明した。都は実験前のデータの公表を先送りし続け、都議会の一部会派から批判されてきた。実験前の汚染濃度が極端に低いことから、実験の有効性が疑問視されかねない事態だ。
都は、豊洲の土壌汚染物質を除去できることを証明するため、今年1月から、高濃度の汚染物質が検出された16カ所で実験を開始。ベンゼン、シアン化合物、重金属などを微生物処理などで除去するとしていた。
3月の中間報告では、6手法の実験のうち洗浄処理と加熱処理の2手法で、シアン化合物や重金属、ベンゼンを「環境基準値以下にできた」と公表した。都は実験結果の全データを、7月22日に開催する専門家による「技術会議」に提出し、評価を求めることにしている。【真野森作】
*****以上******
*****朝日新聞(2010/07/20 夕刊)****
無害化した土の汚染度、4万倍ではなく2.7倍 東京都2010年7月20日14時56分
築地市場(東京都中央区)の移転予定地・豊洲地区(江東区)で、土壌から汚染物質を除去する実験をした都が、「環境基準の4万3千倍のベンゼンが見つかった土壌を無害化できた」との中間報告をまとめたのに、実験時の濃度は2.7倍だったことがわかった。都は3月の報告公表時に、この事実を把握しながら明らかにしていなかった。
豊洲地区では2008年に環境基準の4万3千倍のベンゼンなどが見つかった。有害物質を除去できることを確かめるため、都は今年1月から豊洲地区で実験を開始。3月の中間報告では、4万3千倍のベンゼンが検出された地点を含む周辺の土壌を加熱処理した結果、無害化できたとした。
しかし、実験開始時の汚染濃度(初期値)は環境基準の2.7倍だった。複数地点で採取した土壌をまぜて測定したため、汚染濃度が低くなった可能性があるという。
ベンゼンの初期値が低かったため、都は豊洲での実験とは別に、環境基準の20万倍の汚染土壌を人工的につくり、加熱で除去できることを確認したという。
都は「20万倍の汚染も除去できたことから、対策の効果は確実。初期値は隠したわけではなく、専門家に意見を聴いた上で、最終報告にあわせて公表する予定だった」としている。
******以上*****
*****読売新聞(2010/07/20 朝刊)*****
築地移転、都がデータ隠し…汚染土の無害化実験
東京都が築地市場(中央区)の移転予定地となる江東区豊洲地区で行った有害化学物質の除去実験で、都は今年3月、「環境基準の4万3000倍のベンゼンが検出された土壌の無害化に成功した」と公表したが、実際は実験開始時のベンゼン濃度(初期値)が環境基準の2・7倍だったことがわかった。
「ヒ素を無害化した」とした別の地点の土壌も、実験前からヒ素濃度が基準値以下だったが、都はこうしたデータを一切明らかにしていなかった。
都が実験の中間報告を公表した今年3月、都議会では、計約1281億円の移転関連予算を審議していた。複数の都幹部は「公表していた数値より低い初期値を出すことで、実験効果の有効性が問われ、議会が混乱する恐れがあった」と語っており、都の情報公開のあり方が問われそうだ。
移転予定地では2008年の調査で、環境基準の4万3000倍のベンゼンが検出され、土壌汚染を理由に民主党など野党が移転に批判的な姿勢を強めた。このため、都が処理方法の有効性を示すとして、今年1月に実験を開始。移転予定地約40ヘクタールのうち、計16地点で土壌や地下水を採取し、加熱処理などの手法で無害化を進めてきた。
都は3月10日、4万3000倍のベンゼンを検出した土壌付近を含む5地点について「基準以下になった」と公表したが、「ベンゼンを無害化できた」とした地点の初期値は基準(1リットル当たり0・01ミリ・グラム)の2・7倍だった。08年調査時に基準の3・4倍のヒ素が検出された別の1地点も、初期値が基準を下回っていた。移転の関連予算は今年3月30日に可決している。
都は「いずれ明らかにするつもりだった。隠したわけではない」とするが、土壌汚染対策に詳しい東京農工大大学院の細見正明教授(環境化学工学)は「実験手法は正しいが、ありのままにデータを示すのが科学の常識。高濃度ベンゼンを無害化したかのような説明は誤解を招き、実験の信頼性が疑われる」としている。
◆有害化学物質の除去実験=移転予定地の江東区豊洲地区から高濃度の有害物質が見つかったため、都が処理方法の有効性を確認していた。実験の終了後、都は約586億円をかけて土壌改良工事に着手する予定で、2014年中の新市場開場を目指している。
(2010年7月20日03時03分 読売新聞)
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東京都は、中間報告では、初期値も出さずに、効果が有効であったなどと、まったく科学的でない報告を出しておりましたが、今回は、人工に試料を作成したということです。
人工に作成した試料で、実験したということは、あくまで、作成条件をきちんと掲示することや、作成した結果が現地土壌と同じであることの証明が必要になります。
試験管実験を、現実に応用できるというには、それなりの説明をしていいただきたいと考えます。
****東京新聞(2010/07/20夕刊)****
築地移転調査 高濃度試料を人工作成
東京都が築地市場(中央区)の移転予定地、江東区豊洲地区で実施した土壌汚染対策の実証実験をめぐり、当初採取したサンプルの汚染濃度が想定よりも低かったため、濃度の高いサンプルを人工的に作って追加実験していたことが分かった。低濃度の実験では無害化が有効かどうか専門家以外には分かりにくいと判断したためだが、調査の実効性にも疑問を持たれそうだ。
都は三月の実験の中間報告で、サンプルの実験開始時の濃度(初期値)を明らかにしないまま、「環境基準以下に無害化できた」と有効性を強調していた。
予定地では二〇〇八年、都の調査で高濃度のベンゼンなどが検出され、都議会第一党の民主党は移転を疑問視。都は移転の説得材料にするため、二月~六月末に現地で汚染対策の実証実験を行った。
対象は、環境基準を四万三千倍上回るベンゼンや百七十倍のシアン化合物が見つかった場所など十六カ所。移転関連の予算案を審議していた都議会の開催中に行った中間報告では、先行して終了した加熱処理と洗浄処理で、基準以下に無害化できたと公表した。
この際、都はサンプルの初期値濃度を公表しなかったが、四万三千倍のベンゼンが検出された区画のサンプルの初期値は基準値の二・七倍しかなかった。ヒ素は基準値以下のケースもあった。
こうした低濃度の数値に、都は専門家の技術会議の助言を受け、ベンゼンについては二十万倍の高濃度サンプルを人工的につくり、無害化の追加実験をした。現地での効果を確かめるのが実証実験の狙いだが、都は「濃度が低くても実験の有効性に変わりはない。効果を分かりやすくする補足データのために実施した」としている。
委託業者との当初の契約額は約七億円。地中の障害物の除去などを含め、約一億四千万円を追加したという。
*****以上*****
*****毎日新聞(2010/07/20夕刊)*****
築地市場:東京都、「汚染無害化」数値隠し 移転予定地
2010年7月20日 11時46分
東京・築地市場(中央区)の移転予定地となっている江東区豊洲の土壌汚染問題対策として、東京都が6月まで実施していた汚染除去実験で20日、環境基準の4万3000倍のベンゼンが検出された区画で実験した際の土壌の汚染濃度は、基準の2.7倍に過ぎなかったことが分かった。都は3月の中間報告では実験前の汚染濃度を示さないまま「確実に汚染物質を無害化できると実証された」とアピールしていた。
同様に、ヒ素についても、実験対象の土壌の汚染濃度が元々基準値以下だったケースがあることも判明した。都は実験前のデータの公表を先送りし続け、都議会の一部会派から批判されてきた。実験前の汚染濃度が極端に低いことから、実験の有効性が疑問視されかねない事態だ。
都は、豊洲の土壌汚染物質を除去できることを証明するため、今年1月から、高濃度の汚染物質が検出された16カ所で実験を開始。ベンゼン、シアン化合物、重金属などを微生物処理などで除去するとしていた。
3月の中間報告では、6手法の実験のうち洗浄処理と加熱処理の2手法で、シアン化合物や重金属、ベンゼンを「環境基準値以下にできた」と公表した。都は実験結果の全データを、7月22日に開催する専門家による「技術会議」に提出し、評価を求めることにしている。【真野森作】
*****以上******
*****朝日新聞(2010/07/20 夕刊)****
無害化した土の汚染度、4万倍ではなく2.7倍 東京都2010年7月20日14時56分
築地市場(東京都中央区)の移転予定地・豊洲地区(江東区)で、土壌から汚染物質を除去する実験をした都が、「環境基準の4万3千倍のベンゼンが見つかった土壌を無害化できた」との中間報告をまとめたのに、実験時の濃度は2.7倍だったことがわかった。都は3月の報告公表時に、この事実を把握しながら明らかにしていなかった。
豊洲地区では2008年に環境基準の4万3千倍のベンゼンなどが見つかった。有害物質を除去できることを確かめるため、都は今年1月から豊洲地区で実験を開始。3月の中間報告では、4万3千倍のベンゼンが検出された地点を含む周辺の土壌を加熱処理した結果、無害化できたとした。
しかし、実験開始時の汚染濃度(初期値)は環境基準の2.7倍だった。複数地点で採取した土壌をまぜて測定したため、汚染濃度が低くなった可能性があるという。
ベンゼンの初期値が低かったため、都は豊洲での実験とは別に、環境基準の20万倍の汚染土壌を人工的につくり、加熱で除去できることを確認したという。
都は「20万倍の汚染も除去できたことから、対策の効果は確実。初期値は隠したわけではなく、専門家に意見を聴いた上で、最終報告にあわせて公表する予定だった」としている。
******以上*****
*****読売新聞(2010/07/20 朝刊)*****
築地移転、都がデータ隠し…汚染土の無害化実験
東京都が築地市場(中央区)の移転予定地となる江東区豊洲地区で行った有害化学物質の除去実験で、都は今年3月、「環境基準の4万3000倍のベンゼンが検出された土壌の無害化に成功した」と公表したが、実際は実験開始時のベンゼン濃度(初期値)が環境基準の2・7倍だったことがわかった。
「ヒ素を無害化した」とした別の地点の土壌も、実験前からヒ素濃度が基準値以下だったが、都はこうしたデータを一切明らかにしていなかった。
都が実験の中間報告を公表した今年3月、都議会では、計約1281億円の移転関連予算を審議していた。複数の都幹部は「公表していた数値より低い初期値を出すことで、実験効果の有効性が問われ、議会が混乱する恐れがあった」と語っており、都の情報公開のあり方が問われそうだ。
移転予定地では2008年の調査で、環境基準の4万3000倍のベンゼンが検出され、土壌汚染を理由に民主党など野党が移転に批判的な姿勢を強めた。このため、都が処理方法の有効性を示すとして、今年1月に実験を開始。移転予定地約40ヘクタールのうち、計16地点で土壌や地下水を採取し、加熱処理などの手法で無害化を進めてきた。
都は3月10日、4万3000倍のベンゼンを検出した土壌付近を含む5地点について「基準以下になった」と公表したが、「ベンゼンを無害化できた」とした地点の初期値は基準(1リットル当たり0・01ミリ・グラム)の2・7倍だった。08年調査時に基準の3・4倍のヒ素が検出された別の1地点も、初期値が基準を下回っていた。移転の関連予算は今年3月30日に可決している。
都は「いずれ明らかにするつもりだった。隠したわけではない」とするが、土壌汚染対策に詳しい東京農工大大学院の細見正明教授(環境化学工学)は「実験手法は正しいが、ありのままにデータを示すのが科学の常識。高濃度ベンゼンを無害化したかのような説明は誤解を招き、実験の信頼性が疑われる」としている。
◆有害化学物質の除去実験=移転予定地の江東区豊洲地区から高濃度の有害物質が見つかったため、都が処理方法の有効性を確認していた。実験の終了後、都は約586億円をかけて土壌改良工事に着手する予定で、2014年中の新市場開場を目指している。
(2010年7月20日03時03分 読売新聞)
****以上*****