「豊洲新市場予定地の汚染物質処理に関する実験」結果への質問・疑問点
2010/07/23
大阪市立大学大学院特任教授・畑 明郎
1.会議資料p.1に「初期値をはじめ、実験で得られたデータは一括して扱うべきとの委員の意見を踏まえ、技術会議で一括して取り扱うことにしたため、これまで、データについては、公表を控えていた」とするなら、3月10日に中間報告と称して、データの一部を公開したことは、技術会議の結論に違反しており、謝罪すべきではないか?なお、本実験中に技術会議は開催されていないが、この委員の意見とは誰の意見か?また、「初期値については、初期値の意味合いなどについて、専門家の意見を聞いていたため、報告の時点では公表を控えた」としているが、専門家とは誰か?
2.会議資料p.4に「初期値は、既往調査値に比べて、低いものばかりではなく、初期値の方が高い実験対象区画もあった(図2.1-3)」とするが、p.3の図2.1-3を見ると「15/21=3/4は初期値が既往調査値より高く、低いものは5/21=1/4と少ない」と書くべきではないか?
3.会議資料p.8に「ベンゼン濃度の低下傾向は、昇温材を添加しないケースに比較して、昇温材を添加したケースが速いことが確認された」とするが、ベンゼンは常温でも揮発性が高く、温度を上昇させれば、揮発量が増加することも考えられるので、微生物による分解の効果と断定できないのではないか?さらに、通気をすれば、揮発量も増えるので、自然揮発の効果も考慮すべきではないか?
4.会議資料p.14に「洗浄処理後、濃縮残渣が重量比で約27~61%発生した」、p.18にも「洗浄処理後、濃縮残渣が重量比で約28~45%発生した」などとするが、濃縮残渣中の有害物質処理方法と、重量比を上回る容量比となる濃縮残渣の処分方法はどうするのか?
5.会議資料p.16に「豊洲新市場予定地には、ベンゼンを分解する微生物がいることが確認された」とするが、微生物の種類と名前は同定しているか? 同定しているのなら、明らかにされたい。
6.会議資料p.18に「ヒ素の浄化が確認されたことで、同じ洗浄処理で除去が可能な、鉛、水銀、六価クロム、カドミウムについても、十分処理が可能であると判断される」とするが、ヒ素はpHが酸性・アルカリ性を問わず、水に溶けやすいものの、鉛、水銀、六価クロム、カドミウムなどは、酸性水に溶けやすく、アルカリ水に溶けにくいので、「同じ洗浄処理で除去が可能」とは言えないのではないか?
7.会議資料p.20で「環境基準値の20万倍のベンゼン汚染土壌を作成し、浄化した」とするが、人工的に作った高濃度汚染土壌と実際の汚染土壌中のベンゼンの存在形態が異なるので、現地実証実験とはならないのではないか?
8.会議資料p.24で「地下水中の鉛を凝集沈澱処理」しているが、鉛や水銀などは水に溶けにくく、SS(浮遊粒子)状に存在するので、凝集沈澱処理は可能だが、水に溶けやすくイオン状のヒ素は凝集沈澱処理できない。豊洲は地下水中のヒ素も高濃度だが、鉛が処理できたら、ヒ素も処理できるとはならないのではないか?
以上、
2010/07/23
大阪市立大学大学院特任教授・畑 明郎
1.会議資料p.1に「初期値をはじめ、実験で得られたデータは一括して扱うべきとの委員の意見を踏まえ、技術会議で一括して取り扱うことにしたため、これまで、データについては、公表を控えていた」とするなら、3月10日に中間報告と称して、データの一部を公開したことは、技術会議の結論に違反しており、謝罪すべきではないか?なお、本実験中に技術会議は開催されていないが、この委員の意見とは誰の意見か?また、「初期値については、初期値の意味合いなどについて、専門家の意見を聞いていたため、報告の時点では公表を控えた」としているが、専門家とは誰か?
2.会議資料p.4に「初期値は、既往調査値に比べて、低いものばかりではなく、初期値の方が高い実験対象区画もあった(図2.1-3)」とするが、p.3の図2.1-3を見ると「15/21=3/4は初期値が既往調査値より高く、低いものは5/21=1/4と少ない」と書くべきではないか?
3.会議資料p.8に「ベンゼン濃度の低下傾向は、昇温材を添加しないケースに比較して、昇温材を添加したケースが速いことが確認された」とするが、ベンゼンは常温でも揮発性が高く、温度を上昇させれば、揮発量が増加することも考えられるので、微生物による分解の効果と断定できないのではないか?さらに、通気をすれば、揮発量も増えるので、自然揮発の効果も考慮すべきではないか?
4.会議資料p.14に「洗浄処理後、濃縮残渣が重量比で約27~61%発生した」、p.18にも「洗浄処理後、濃縮残渣が重量比で約28~45%発生した」などとするが、濃縮残渣中の有害物質処理方法と、重量比を上回る容量比となる濃縮残渣の処分方法はどうするのか?
5.会議資料p.16に「豊洲新市場予定地には、ベンゼンを分解する微生物がいることが確認された」とするが、微生物の種類と名前は同定しているか? 同定しているのなら、明らかにされたい。
6.会議資料p.18に「ヒ素の浄化が確認されたことで、同じ洗浄処理で除去が可能な、鉛、水銀、六価クロム、カドミウムについても、十分処理が可能であると判断される」とするが、ヒ素はpHが酸性・アルカリ性を問わず、水に溶けやすいものの、鉛、水銀、六価クロム、カドミウムなどは、酸性水に溶けやすく、アルカリ水に溶けにくいので、「同じ洗浄処理で除去が可能」とは言えないのではないか?
7.会議資料p.20で「環境基準値の20万倍のベンゼン汚染土壌を作成し、浄化した」とするが、人工的に作った高濃度汚染土壌と実際の汚染土壌中のベンゼンの存在形態が異なるので、現地実証実験とはならないのではないか?
8.会議資料p.24で「地下水中の鉛を凝集沈澱処理」しているが、鉛や水銀などは水に溶けにくく、SS(浮遊粒子)状に存在するので、凝集沈澱処理は可能だが、水に溶けやすくイオン状のヒ素は凝集沈澱処理できない。豊洲は地下水中のヒ素も高濃度だが、鉛が処理できたら、ヒ素も処理できるとはならないのではないか?
以上、