「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

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憲法26条 自民党案の問題点 きちんと子ども達に学習権を保障してほしい、国のための教育ではなく。

2013-08-26 18:21:44 | 国政レベルでなすべきこと
 一日一条ずつの自民党改憲案の問題点の考察。

 8月26日は、憲法26条。

 教育を受ける権利を保障するとても重要な条文です。
 子ども達にとって、最も重要な条文といってもよいかもしれません。

 念のため、書きますが、この条文が義務として定めているのは、子ども達が義務で勉強しなければならないことや学校へ行って勉強する義務ではありません
 子ども達に教育を受けさせる義務、勉強できる機会をつくる義務が、親や国にあることを定めています


 そのことを、憲法学者故芦部先生は、

 「教育を受ける権利は、その性質上、子どもに対して保障される。その権利の内容は、子どもの学習権を保障したものと解される。
  子どもの教育を受ける権利に対応して、子どもに教育を受ける責務を負うのは、第一次的には親ないしは親権者である。26条2項が、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ」と定めているのは、そのことを明示している。また、教育を受ける権利の社会権としての側面として、国は、教育制度を維持し、教育条件を整備すべき義務を負う。この要請を受けて、教育基本法および学校教育法等が定められ、小・中学校の義務教育を中心とする教育制度が設けられている。」(『憲法第5版』岩波書店 264ページ)と書かれています。

 教育権の所在については、教育内容について国が関与・決定する権能を有するとする説(国家の教育権説)と、子どもの教育について責任を負うのは、親およびその付託を受けた教師を中心とする国民全体であり、国は教育の条件整備の任務を負うにとどまるとする説(国民の教育権説)の争いがあります。
 最高裁判例は、両説「極端かつ一方的」であるとして否定し、教師に一定の範囲の教育の自由の保障があることを肯定しながら、その自由を完全に認めることは、1)児童生徒には教育内容を批判する能力がなく、2)教師に強い影響力があること、3)子どもの側に学校・教師を選択する余地が乏しいこと、4)全国的に一定の水準を確保すべき要請が強いことなどから、許されないとし、結論としては、教育内容について、「必要かつ相当と認められる範囲において」決定するという、広汎な国の介入権を肯定しています(学説の批判有り)。(旭川学力テスト事件最高裁大法廷判決昭和51.5.21)

 憲法26条2項で謳う、義務教育の無償については、一般に、「授業料不徴収」の意味であると解されています。1963年以降、教科書は無償で配布されています。

 
 憲法上、よく問題になるのは、義務教育や高校教育ですが、26条は、生涯教育、家庭教育、社会教育も含んでいます


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日本国憲法
第二十六条 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
2 すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。

自民党案
(教育に関する権利及び義務等)
第二十六条 全て国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、等しく教育を受ける権利を有する。
2 全て国民は、法律の定めるところにより、その保護する子に普通教育を受けさせる義務を負う。義務教育は、無償とする。
3 国は、教育が国の未来を切り拓(ひら)く上で欠くことのできないものであることに鑑み、教育環境の整備に努めなければならない。〔新設〕
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 さて、自民党案との比較、自民党案は、1項と2項は大きく変えてはいませんが、3項を新設しています。
 とても残念な条項の新設です。
 その新設された3項では、鑑みることを、自民党は取り違えていませんか。
 何のための教育ですか?国のための教育ですか?


 日本のひとりひとりの子どもが、その子の個性や可能性を十分に伸ばし、人生に役立つ知識技能を身に着ける教育をすることが大切なのではないでしょうか。
 ですから、まず、鑑みるべきことは、「教育が、個人が人格を形成し、社会において有意義な生活を送るために不可欠であること」でしょう。

 日本の学校で教育を受けた優秀な人材が、国の未来を切り拓いたとしても、それは、間接的付随的な効果であり、そのことを直接に期待するのは、教育の目的をはき違えていると思います。
 資源のない日本が世界で太刀打ちするためには、教育こそ大切なことはわかるとしても、そのことを憲法の条文に盛り込む前に、もっともっと大切な個人の人格形成に寄与する教育について盛り込むべきだと考えます。

 小中高と、国のために勉強した経験のあるかた、どれだけおられるでしょうか。
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行政法2-1 行政行為の効力

2013-08-26 01:27:45 | シチズンシップ教育

行政行為の効力

○公定力:行政処分は、無効な場合を除き、正規のルートで取り消されない限り、すべての者を拘束し、何人も処分を効果がないものと取り扱うことができないこと。

 判例のいいかた→百選6版71事件(最三小判昭和30年12月26日民集9巻14号2070頁)「行政処分は、たとえ違法であっても、その違法が重大かつ明白で当該処分を当然無効ならしめるものと認むべき場合を除いては、適法に取り消されない限り完全にその効力を有する」

○不可争力:不服申立期間または出訴期間を経過した後は、無効の場合を除き、その行政行為の行為を争うことが出来なくなる効力。

 判例では→百選6版74事件(最三小判昭和42年9月26日民集21巻7号1887頁)の田中意見参照

○不可変更力:行政行為は、原則として、行政庁の職権によって、取り消したり、変更したりすることが可能だとされているが、例外的に、行為の属性として(例えば、紛争の遮断を目的とする異議決定・審査採決のような争訟遮断行為など)、行政庁の職権による取消・変更な許されない行為の効力。

 判例では→百選6版73事件(最一小判昭和29年1月21日民集8巻1号102頁)の判旨及び解説参照


○執行力:判決などの債務名義を得ることなく、行政行為自体を根拠として、法律の定めるところにより、その行政行為の内容を強制し、実現しうる力。

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