<フランス民法>
「人は自己の意思によってしか義務づけられない」
→「意思が真意に基づくものでなければ、その人は、その意思によっても義務づけられない」
<ドイツ民法>
独の錯誤の規定(意思表示の三段階)
内心的効果意思×→表示 :錯誤無効
内心的意思の形成過程=動機×→内心的効果意思○→表示 :有効
表示と対応する内心的効果意思あり→表示通りの効果発生
表示と対応する内心的効果意思なし→表示通りの効果発生しない
*意思表示が錯誤を理由として無効となる場合
○表示上の錯誤 1000円を1000万円と言い間違えた
○表示上の意味の錯誤
例)
内心的意思の形成過程:「1円=1ドル」だと思った。
↓
内心的効果意思:「1円でこのお土産を買おう」(「すなわち、1ドルで買おう」まで考えたとすると動機の錯誤のみとなる。)
↓
表示:「この土産を1ドルで買います。」
*動機に錯誤がある場合(動機と内心的効果意思との間に乖離がある場合)
錯誤に該当せず、意思表示は無効とならない
<民法95条にいう錯誤>
(錯誤)
第九十五条 意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。
○表示と内心的効果意思が一致しない場合
(表示上の錯誤、表示上の意味の錯誤=動機の錯誤と紙一重)
○内心的効果意思と動機の間に乖離があったとしても内心的効果意思と表示が一致している限り、民法95条に言う錯誤に該当しない。
(動意の錯誤排除論)
<裁判所による救済>
○動機の錯誤であっても、それが表示されていれば、民法95条の適用又は類推適用の対象となりうる。(二元説)
○思い違いの対象が重要なものであること+相手方が表意者が思い違いをしていることを知りまたは知りうべき状況にあったこと。(一元説)
<民法96条にいう錯誤>
(詐欺又は強迫)
第九十六条 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
○欺罔行為→錯誤(=動機の錯誤) → 意思表示
意思表示は、無効にならない。ただし、相手方が欺罔行為という違法行為に及んでいること及び内心的効果意思の形成過程にゆがみがあることに鑑み、取り消しうるものとした。
<二重効>
民法95条、96条と同時に適用することは、もともとありえない。上記<裁判所による救済>で二重効がありうることになった。
<債権法改正>
錯誤も無効でなく、取消しうべきものとなる可能性有り。