ある理論○翼団体である甲が、小中学生が多数利用する夏休み期間中に、青年の家の宿泊利用を申請したが、A県教育委員会は、A県青年の家条例8条1号、2号に当たるとして利用を拒否処分(以下、「本件処分」という。)した。
参考条文
(地方自治法)
第二百四十四条 普通地方公共団体は、住民の福祉を増進する目的をもつてその利用に供するための施設(これを公の施設という。)を設けるものとする。
2 普通地方公共団体(次条第三項に規定する指定管理者を含む。次項において同じ。)は、正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならない。
3 普通地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはならない。
(A県青年の家条例)
第1条(目的)
団体生活を通じて県内の青少年の健全な育成を図るため、県の青年の家(以下『青年の家』という。) を設置する。
第2条(事業) 青年の家は、前条の目的を達成するため、次の事業を行う。
(1) 施設の利用に関すること。
(2) 青少年団体の活動の相談及び指導に関すること。
(3) 青少年の団体生活の指導及び研修に関すること。
(4) 青少年指導者の講習に関すること。
(5) 前各号のほか、目的を達成するために必要な事業
2 前項第1号の施設の種類は、宿泊室、研修室、レクリエーシヨンホールその他県教育委員会(以下『委員会』という。) が定める施設とする。
第3条(使用) 青年の家を使用しようとする者は、委員会の承認を受けなければならない。
第8条(使用の不承認) 次の各号の一に該当するときは、委員会は使用を承認しない。
(1) 秩序をみだすおそれがあると認めたとき。
(2) 管理上支障があると認めたとき。
(3) 前各号のほか、委員会が必要と認めたとき。
************************
I甲側弁護士の主張
1,条例文面審査
条例8条が過度に広範で違憲
2,法令違憲
集会の自由を侵害し、条例は違憲
3、適用違憲
1)表現内容規制
本件処分によって、理論○翼団体である甲の集会の自由(憲法21条)が侵害された。
すなわち、甲のパブリックフォーラム(公共施設)を用いて、思想の勉強会を行う自由が侵害された。
これは、思想による差別であり、憲法14条にも反し違憲である。
2)具体的危険性がない
集会の自由を規制する具体的危険性はない。
II 県側の反論
1,文面審査
施設の利用には、県の広い裁量権が認められている。
施設の利用目的達成のためには、ある程度の広範な文面は、許容されるべきである。
2,法令違憲
集会の自由といえども、表現内容中立規制として、規制すべき場合がある。
3,適用違憲
1)表現内容規制
思想による差別ではなく、表現内容中立規制にともなう間接的付随的な制約として、制限される。
2)抽象的危険で足りる
青少年の利用に資するためには、抽象的な危険で足りる。
理論○翼団体が泊まることで他団体との衝突がありうるし、昨年に他団体と議論があった
III 自分の考え
1,文面審査
条例の趣旨に照らして解釈し、裁量の逸脱が生じるなら違憲である。
2,法令違憲 LRAの基準
表現内容中立規制は、過度な規制となることが多く、結果として、表現内容を過度に制限することにつながる可能性が高いため、より制限的でない手段(LRA)がないか検討すべきである。
利用を許可、不許可とするのではなく、許可をしても、利用団体名を出さなくさせるとか、利用棟を完全に分離するとか、食事時間を分けるとか、リーダーズミーティングに参加しなくてよくさせるなど、とりうる制限的でない手段がある。
よって、本件条例は、違憲である。
3,適用違憲
1)表現内容規制
2)抽象的危険
表現内容規制につながりかねないため、個別具体的に、規制によって失われる利益と得られる利益を比較衡量して判断すべきである。
失われる利益を判断するに当たっては、
○団体の属性
○企画された集会の内容
○他の取り得る手段の有無
○拒否されることで、団体の活動への影響
○拒否されることで、一般人に与える栄養
を総合的に検討するとともに
得られる利益を判断するに当たっては、
○夏休みに利用する青少年の保護
○トラブルの生じる抽象的危険性(青少年の保護であるため、具体的危険でなく、抽象的危険で判断すべき)
○他団体の活動への影響
○今後の利用客に与える影響
○無駄な行政コスト削減
を総合的に検討し、
比較衡量すべきである。
失われる利益が、得られる利益より大きいにも関わらず、本件処分をすることは、適用違憲である。
参考条文
(地方自治法)
第二百四十四条 普通地方公共団体は、住民の福祉を増進する目的をもつてその利用に供するための施設(これを公の施設という。)を設けるものとする。
2 普通地方公共団体(次条第三項に規定する指定管理者を含む。次項において同じ。)は、正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならない。
3 普通地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはならない。
(A県青年の家条例)
第1条(目的)
団体生活を通じて県内の青少年の健全な育成を図るため、県の青年の家(以下『青年の家』という。) を設置する。
第2条(事業) 青年の家は、前条の目的を達成するため、次の事業を行う。
(1) 施設の利用に関すること。
(2) 青少年団体の活動の相談及び指導に関すること。
(3) 青少年の団体生活の指導及び研修に関すること。
(4) 青少年指導者の講習に関すること。
(5) 前各号のほか、目的を達成するために必要な事業
2 前項第1号の施設の種類は、宿泊室、研修室、レクリエーシヨンホールその他県教育委員会(以下『委員会』という。) が定める施設とする。
第3条(使用) 青年の家を使用しようとする者は、委員会の承認を受けなければならない。
第8条(使用の不承認) 次の各号の一に該当するときは、委員会は使用を承認しない。
(1) 秩序をみだすおそれがあると認めたとき。
(2) 管理上支障があると認めたとき。
(3) 前各号のほか、委員会が必要と認めたとき。
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I甲側弁護士の主張
1,条例文面審査
条例8条が過度に広範で違憲
2,法令違憲
集会の自由を侵害し、条例は違憲
3、適用違憲
1)表現内容規制
本件処分によって、理論○翼団体である甲の集会の自由(憲法21条)が侵害された。
すなわち、甲のパブリックフォーラム(公共施設)を用いて、思想の勉強会を行う自由が侵害された。
これは、思想による差別であり、憲法14条にも反し違憲である。
2)具体的危険性がない
集会の自由を規制する具体的危険性はない。
II 県側の反論
1,文面審査
施設の利用には、県の広い裁量権が認められている。
施設の利用目的達成のためには、ある程度の広範な文面は、許容されるべきである。
2,法令違憲
集会の自由といえども、表現内容中立規制として、規制すべき場合がある。
3,適用違憲
1)表現内容規制
思想による差別ではなく、表現内容中立規制にともなう間接的付随的な制約として、制限される。
2)抽象的危険で足りる
青少年の利用に資するためには、抽象的な危険で足りる。
理論○翼団体が泊まることで他団体との衝突がありうるし、昨年に他団体と議論があった
III 自分の考え
1,文面審査
条例の趣旨に照らして解釈し、裁量の逸脱が生じるなら違憲である。
2,法令違憲 LRAの基準
表現内容中立規制は、過度な規制となることが多く、結果として、表現内容を過度に制限することにつながる可能性が高いため、より制限的でない手段(LRA)がないか検討すべきである。
利用を許可、不許可とするのではなく、許可をしても、利用団体名を出さなくさせるとか、利用棟を完全に分離するとか、食事時間を分けるとか、リーダーズミーティングに参加しなくてよくさせるなど、とりうる制限的でない手段がある。
よって、本件条例は、違憲である。
3,適用違憲
1)表現内容規制
2)抽象的危険
表現内容規制につながりかねないため、個別具体的に、規制によって失われる利益と得られる利益を比較衡量して判断すべきである。
失われる利益を判断するに当たっては、
○団体の属性
○企画された集会の内容
○他の取り得る手段の有無
○拒否されることで、団体の活動への影響
○拒否されることで、一般人に与える栄養
を総合的に検討するとともに
得られる利益を判断するに当たっては、
○夏休みに利用する青少年の保護
○トラブルの生じる抽象的危険性(青少年の保護であるため、具体的危険でなく、抽象的危険で判断すべき)
○他団体の活動への影響
○今後の利用客に与える影響
○無駄な行政コスト削減
を総合的に検討し、
比較衡量すべきである。
失われる利益が、得られる利益より大きいにも関わらず、本件処分をすることは、適用違憲である。