「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

組織の真のありかたを問題提起して行動するも、その組織により背後から撃たれるケース(労働法H20第2問)

2013-10-14 23:00:00 | シチズンシップ教育
 以下、司法試験労働法の問題。

 組織としては、よくある生々しい状況が浮かんできます。


 組織のことを思い、行動するも、結局は、その組織により背後から撃たれる事例。


 本問の分析の手順

1、そもそもやっていることは、組合活動にあたるのか、個人的活動か


2、組合活動としても、それは、正当性があるのか

 *ビラ配布をのぞき、違法の判断がなされてきている。

3、正当性はなかったとしても、懲戒処分の対象とするのは、いかがか


4、(懲戒)処分とするなら、どの程度のものか

 〇どの懲戒処分か
 
 〇刑事罰は

 〇損害賠償は




*********司法試験 労働法平成20年第二問****************************
http://www.moj.go.jp/content/000006417.pdf

〔第2問〕(配点:50)
次の事例を読んで,後記の設問に答えなさい。

【事例】

1 Y株式会社(以下「Y社」という。)にはA労働組合が存在し,従業員500人のうち300
人がこれに加入している。ところが,平成18年ころから,同組合の一部の組合員の間で,Y
社との協調路線を採る執行部に対する批判が高まり,数名の組合員(以下「Xら」という。)が
執行部を批判する活動をしたり,執行委員の選挙に立候補するなどの行動をとるようになって
いた。
 平成19年に至り,Xらは,「A労働組合を良くする会」を名乗り,一層の執行部批判に加え
て,Y社に対する批判をも行うようになり,同年夏ころからは,同会名義で,執行部批判及び
Y社批判を内容とするビラを,Y社に無断で,Y社施設内において従業員に配布したり,Y社
施設外で通行人等に配布し,自分たちへの支持を訴えるようになった。
さらに,Xらは,「A労働組合を良くする会」の名で開設したホームページでY社批判や組合
批判を行うようになり,Y社が業務上従業員に使用させているパソコンを利用してこのホーム
ページに書き込み等も行うようになった。

2 著しい誇張や曲解を含む悪質な会社批判のビラがまかれる,ホームページ上で会社に対する
誹謗中傷や批判が書き込まれる,会社のパソコンを業務と関係なく使用されるという状況に危
機感を抱いたY社は,Xらの行動が別紙の就業規則に反するとして,「本件行為は,就業規則に
違反する行為であり,今後同様の行為を行った場合には,本件行為と併せて,就業規則にのっ
とり,厳正な懲戒処分を行う。このような行為を直ちに中止するよう警告する。」旨の警告書を
Xらに交付した。しかし,この警告にもかかわらず事態は一向に改善されなかったので,Y社
は,Xらに対する懲戒処分を行うこととして,まず,A労働組合及びXらからそれぞれ言い分
を聴いたところ,次のとおりの回答があった。


(A労働組合の言い分)
「当組合は,会社批判のビラ配布やホームページの開設等を行っていない。Xらの行動は,当組
合の方針に基づくものでもなければ,当組合の承認に基づくものでもない。言ってみれば,これ
らは,勝手に行った個人の行為であって,当組合の組合活動ではない。よって,懲戒処分につい
て組合は関知しないし,組合として会社に対して何らかの行動を起こすことは考えていない。」


(Xらの言い分)
「我々が行った行為は,所属労働組合を本来のあるべき姿に戻すための良識ある行動である。組
合員として組合執行部批判及び会社批判が許されることは当然であり,我々の行為は,正に組合
活動である。また,我々の行為によって,会社の業務上,何らかの支障が発生したわけではない。
そもそも,ビラ配布は,企業における組合活動として当然認められるべきであり,いちいち会社
の許可が必要というわけではない。更に言えば,従来組合がビラ配布を行うにつき,必ずしも会
社の許可を得て行っていたわけではない。また,ホームページの開設はだれでも自由であるし,
そこにどのような書き込みをするかについて会社の許可など必要ない。さらに,会社のパソコン
を使って書き込みをしたからといって,業務上何らかの支障が発生したという事実はないし,他
の従業員も,会社のパソコンを使って私的にサイトにアクセスし,閲覧したり,書き込みをした
りしている事実がある。にもかかわらず,今回の我々の件についてだけ,突然,会社の許可が必
要であるとか,就業規則違反であるという言い分は,筋が通らない。」



〔設問〕
1. あなたが,弁護士として,Xらから,「懲戒処分を受けそうだ。懲戒処分には納得できないが,
労働組合は動かないので,何とか争って我々の権利を守ってもらいたい。」との相談を受けた場
合,どのような機関にいかなる法的救済を求めることができるかについて,その論拠と併せて
述べよ。
 その際,前記両者の言い分も踏まえて,いかなる法的救済が可能であるか,なぜ懲戒処分が
違法となるのかにつき,論点を挙げて考え方を述べること。また,不当労働行為を主張する場
合には,当該不当労働行為の該当条項を挙げ,なぜその条項に該当するのかも述べること。

2. あなたが,弁護士として,Y社から,「このような違法状態を認めるわけにはいかない。就業
規則の意味がなくなってしまうので,厳正な懲戒処分を行いたい。」との相談を受けた場合,X
らのどの行為を対象として,いかなる懲戒処分を科すように助言するべきか,及びその懲戒処
分を正当とする根拠について,懲戒処分を行うに当たって留意すべき点及びXらの言い分に対
する反論も指摘しつつ,述べよ。


別紙

【就業規則(抜粋)】

第60条

1 従業員が次のいずれかに該当する場合は,懲戒する。
(中略)
④ 就業時間中に会社の許可なく業務以外の行為を行ったとき。
⑤ 会社の信用を毀損し,会社を誹謗中傷する等の行為を行ったとき。
⑥ 許可なく会社の施設・設備を利用し,又は会社施設内において,集会を開き,若しくは
放送,掲示,印刷物等のちょう付,配布等をしたとき。
⑦ 業務上の指示命令に反し,職場の秩序を乱したとき。
(中略)
⑨ その他前各号に準ずる行為があったとき。
2 前項各号に該当する場合,情状により,減給,出勤停止又は懲戒解雇のいずれかの懲戒処
分を科する。

第61条

懲戒解雇処分を科する場合には,賞罰委員会を開催し,本人の弁明を聴いた上で,賞罰委員会
の答申を経なければならない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする