「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

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破産直前債務者は唯一の財産を債権者以外の他者にどうせ損するならと贈与等するのを取消す制度

2014-05-01 09:20:56 | シチズンシップ教育
 以前書いた、ブログの再掲。

 本日夜、債権回収の講義において、詐害行為取消がテーマなので。


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http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/9df617902df57dd5ef6b6facdee314ab
破産直前債務者は唯一の財産を債権者以外の他者にどうせ損するならと贈与等するのを取消す制度

2013-10-26 23:00:00 | シチズンシップ教育


 民法のすごいところは、一条で、ある制度を構築し、問題解決を図っているところ。
 たった、一条で。

 詐害行為取消(破産直前に債務者は、唯一の財産を債権者以外の他者にどうせ損するならと贈与等するのを取消す)制度を定めた、以下、424条1項もそのひとつ。

 「債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした法律行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者又は転得者がその行為又は転得の時において債権者を害すべき事実を知らなかったときは、この限りでない。」

 この条文が、以下論点の解釈がなされ、詐害行為取消の制度が構築されています。



*****詐害行為取消の論点************


Ⅰ一部債権者への弁済は、詐害行為となるか?

 判例:原則=一部債権者への弁済は、原則として詐害行為とならない。

    例外=通謀または害意があれば、弁済も例外に詐害行為となる。

 理由:〇弁済は、義務的行為であるから。
    
    〇破産宣告を受けていれば、平等を厳格にするが、詐害行為取消は、この手前の時点。債権者平等が厳格には適用されない。


Ⅱ一部債権者への代物弁済は、詐害行為となるか?

 判例:(相当価格であったとしても)代物弁済は、原則として、詐害行為となる。

 理由:代物弁済では、民法482条において、債権者の承認がいる。このことは、通謀している、害意があると認定されやすい。


Ⅲ特定物債権をもって、詐害行為取消権を行使しうるか?

 判例:肯定(最高裁昭和36年7月19日大法廷判決)

    特定物引渡請求権(以下、特定物債権)といえども、その目的物を債務者が処分することにより無資力となった場合には、特定物債権者は、その処分を詐害行為として取り消すことができる。

 理由:究極において、特定物債権も損害賠償債権に変じ得るのであるから、債務者の一般財産により担保されなければならないことは、金銭債権と同様であるからである。

Ⅳ全部を取り消せるか

 (可分債権)

 判例=その金銭債権の範囲で、取消す。

 学説=全部取り消す。(理由:425条、詐害行為取消は、総債権者の利益のためにある制度である趣旨から)


 (不可分債権)

 判例=全部取消。(理由:不可分だから)

 学説=全部取消。(理由:425条、詐害行為取消は、総債権者の利益のためにある制度である趣旨から)


Ⅴ相対的取消(取消の相対効)の問題点

 1)債権者と受益者の間の判決であり、詐害行為をした債務者にもどった債権を、債務者は、自分のものでないと突っぱねることがありうる。

  しかし、実際は、突っぱねることはできない。

  どう解釈しているか→消極的理由には、債務者がいくら突っぱねようと、その債務者が用いるべき民事執行法上の制度がない。

            積極的理由:取消判決の効力は、人としての債務者(債務の主体)には及ばないが、責任財産(責任の担い手)には及ぶものとし、取消債権者は、あたかもかかる責任財産の管理権者としての立場において訴訟を追行し財産の復元を図る(奥田昌道教授)


 2)債務者は、自分のところにもどった財産を、再度、他に詐害行為として処分しうる。

  しかし、実際は、できない。

  どう解釈しているか→詐害行為取消の制度趣旨としての425条、総債権者の利益のために用いることになっているから。


以上


(詐害行為取消権)
第四百二十四条  債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした法律行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者又は転得者がその行為又は転得の時において債権者を害すべき事実を知らなかったときは、この限りでない。
2  前項の規定は、財産権を目的としない法律行為については、適用しない。

(詐害行為の取消しの効果)
第四百二十五条  前条の規定による取消しは、すべての債権者の利益のためにその効力を生ずる。

(詐害行為取消権の期間の制限)
第四百二十六条  第四百二十四条の規定による取消権は、債権者が取消しの原因を知った時から二年間行使しないときは、時効によって消滅する。行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。




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