株式会社の終焉(資本主義の終焉と歴史の危機)法政大学 水野和夫氏 論考
中央区でも解決せねばならない問題として、医療的ケア児への保育の提供があります。
本人の病態が安定しているならば、児童発達支援だけではなく保育所においても受け入れて行き、その子の発達を集団の中でも促していくことが大切であると考えます。
待機児童解消とともに、解決を目指す必要があります。
なかなか、全国の受け入れ状況を知ることができませんでしたが、以下の毎日新聞の記事は、それを知らせてくれています。
関連ブログ
〇「平成28年度医療的ケア児の地域支援体制構築に係る担当者合同会議」H28.12.13
http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/d15a2fdb04a653cf5370c71b947e2511
〇待機児童問題解決と同時に、医療的ケア児の保育を受けられる体制整備を各自治体で!
http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/fa9bd4573dbb7fdd539316fc496ec1ad
*******毎日新聞*******
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医療的ケア児と保育所/上 「仕事、辞めるしかない」
http://mainichi.jp/articles/20161223/ddm/013/040/005000c
毎日新聞2016年12月23日 東京朝刊
医療の進歩に伴い、たん吸引や栄養剤注入など「医療的ケア」が必要な子供が増加している。こうした子の保育所入所について、全国の主要自治体の多くで入所者ゼロであることが毎日新聞の調査で分かった。「働きたくても働けない」「子供同士が遊び、成長する機会が得られない」--。孤立する親子の現状や、受け入れ準備を進める自治体の取り組みを報告する。
「働きながら子育てして、もう一人子供を産んで……思い描いていた家族計画は崩れ去りました」。東京都内に住む母親(37)は、力なく話す。
看護師として働いてきたが、長女に遺伝子疾患が見つかった。3歳になった今も首が据わらず、歩行も困難。鼻から胃に栄養剤を注入する医療的ケアが必要だ。それでも職場復帰を諦めず、主治医から「集団保育が可能」とお墨付きを得て、2014年10月に入所を申し込んだ。
●「会社休めますか」
区役所の担当者から「保育所の看護師が休みの日は仕事を休めますか」「早朝と延長保育の時間は人員不足。時短制度を利用できますか」と聞かれた。だが、勤務するクリニックも人手不足で早番や遅番もある。退職を決意すると、入所「不承諾」の通知が届いた。母親は「医療的ケアがあることで就労を制限された。子供が子供の中で生き生き過ごせるようにサポート体制を整えてほしい」と訴える。
横浜市の赤荻聡子さん(36)の次女希実ちゃん(4)は、心臓から血流をうまく送り出せない難病「左心底形成症候群」で、酸素ボンベが欠かせない。聡子さんは正社員として勤めていた会社を退職せざるを得なかった。
現在は娘を看護しながらベビーシッターとして自宅で赤ちゃんを預かる。横浜市は保育所の入所審査で医療的ケア児に対してポイント加算をしていない。聡子さんは「医療的ケアが必要な子を産んだら預け先もなく正社員を辞めるしかない。自営業だとポイントが低いし、フルタイムで働くお母さんに負ける。どうすればいいのですか」と困惑する。
●9歳以下1万人強
厚生労働省の実態調査(中間報告)によると、医療的ケア児は0~4歳が全国に約6100人、5~9歳が約4100人いて、増加傾向にある。
しかし、保育の受け皿作りは進んでいない。毎日新聞が調査した政令指定都市、道府県庁所在地、東京23区の計74自治体のうち、医療的ケア児を保育所で預かっているのは40市区。東京都品川区は受け入れない理由を「マンパワー不足」と答えた。高松市は「0歳児クラスは3人に1人の保育士が必要。公立園では看護師も保育士の一人としてカバーしてもらっているので医療的ケア児への対応は難しい」と説明した。現在は保育士も研修を受ければ特定のケアは対応可能だが、北九州市は「研修には日数が必要で、実習も大変。命の危機管理の問題につながる」と回答した。
「現時点で受け入れていない」と明言した12市区以外でも、入所児童がゼロの自治体は多かった。「個別に判断し、入所の可否を決める」と回答した高知市は「医師が集団保育を可能と判断しても、保護者が来所してケアできなければ受け入れられない」。東京都千代田区や松江市は「申し込みがなかった」と回答。しかし実際には母親が看護のために仕事を辞めていたり、相談段階で「前例がない」と難色を示されたりして、入所を諦めるしかなかったケースも多いとみられる。
NPO法人フローレンスは「障害児保育園ヘレン荻窪」(東京都杉並区)を2年前にオープンさせ、医療的ケア児10人を預かる。入園するために杉並区に引っ越してきた家族もいるという。
●集団生活機会奪う
遠藤愛園長は「同世代の子から受ける刺激は発達に欠かせない。集団生活の中で子どもはより成長する」と指摘する。声を出せなかった子供が話せるようになったり、口に物を入れるのを嫌がっていた子供が、他の子が食べる姿を見て積極的に食べるようになった事例もあったという。遠藤園長は「医療的ケアのために親が就労機会を奪われたり、子が保育園から排除されたりしないように、どう支えるか考えるのが社会の責務」と話す。ニーズが多いことから、フローレンスは7月に豊島区で2園目を開園した。来年2月には世田谷区でもオープンする。【坂根真理、中川聡子】
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医療的ケア児と保育所/下 支援へ動き始めた自治体
http://mainichi.jp/articles/20161224/ddm/013/040/014000c
毎日新聞2016年12月24日 東京朝刊
改正児童福祉法で自治体に医療的ケア児支援の努力義務が課されたのは今年6月。その後も区市町村の姿勢は、保護者が粘り強く訴えて活動するかどうかで左右される傾向が強い。子供のケアに追われて社会から孤立し、行政と交渉する余裕がない保護者も多い中、どうすれば支援制度を確立できるだろうか。
●保育士が研修受け
東京都目黒区は現在、2人の医療的ケア児を区立保育所で預かっている。たん吸引が必要な金井梢ちゃん(4)が医療的ケア児として初めて入所したのは2012年。区立ひもんや保育園で看護師がケアに当たり、非常勤の保育士1人が追加で配置された。園長以下の保育士10人が2日間の研修と実地訓練を受け、都内の公立保育所で初めて、保育士も医療的ケアができる「登録事業者」となった。看護師は慢性的な人手不足状態。目黒区は、保育士がケアできる態勢を整えるのが合理的と判断した。落合勝・保育課長は「医療的ケア児を特別扱いしている意識はない。子供たちも梢ちゃんを違和感なく受け止め、ともに成長している」と、統合保育の手応えを語る。
梢ちゃんの父洋さん(43)は介護福祉士。「どうすれば医療的ケア児の保育が可能なのか、行政や園と一緒に考えたい」と訴え続けてきた。自身の経験は「要医療的ケア児の親の会」メンバーと共有している。当事者による活動が広がり、受け入れに動き出す自治体も増え始めた。「制度として確立していく」。練馬区議会で今年2月、保育課長が療的ケア児の保育所受け入れを進めると明言した。今年度と来年度は各4人の枠を確保。0歳児を預かる区立保育所には既に看護師が配置されているため、うち4園を指定し、医療的ケア児が入所した場合は看護師を1人追加する。今年は「集団保育可能」と判断された児童1人が入所した。
「お腹がポカポカ温まるね」。3歳の女の子に声をかけながら栄養剤を注入するスタッフたち=東京都杉並区天沼3の障害児保育園ヘレン荻窪で、坂根真理撮影
川崎市は七つの区ごとに拠点保育所を整備。看護師を配置し、たん吸引、導尿、経管栄養注入の3種類のケアが可能になった。今年度は2人が入った。堺市は公立保育所で8人を受け入れ、専属の看護師を配置。延長保育も利用可能となっている。東京都世田谷区は18年度から拠点園を作る方向で検討中。渋谷区は受け入れ可能な保育施設の開設に向け準備を始めた。墨田区や文京区も受け入れ態勢を検討している。
●疲弊する保護者
医療的ケア児を持つ東京都中央区の女性が今年10月、首都圏の同じ立場の保護者23人にアンケートしたところ、19人が「集団生活を経験させたい」と回答した。「役所から『医療的ケア児の保育は負担』と言われショックを受けた」「ストレスが限界。虐待に走りそう」「死んだ方が楽という考えがよぎる」と切実な声も寄せられた。社会的支援が不足する中、医療的ケア児の親たちは家庭での過大な負担に疲弊している。ある父親は、役所の担当者と話し合った際、「前例がないから」と受け入れに向けた検討すら渋られ、他の自治体への転居まで促された。「育児の負担が大きい中で、多くの保護者は行政とのやり取りに疲れ果て、入所を諦めてしまうのが現実ではないか」と憤る。本来こうした厳しい立場の親子こそ優先的に救うのが行政のあるべき姿と考えるからだ。
●障害児だからこそ
一方、大津市は1970年代に障害の早期発見・早期療育を進める「大津方式」を始めた。審査で認められた障害児は、親の就労要件なしに保育所に入所できる。医療的ケア児も96年に受け入れ開始。保育所にも幼稚園にも入らずに小学校入学を迎える障害児は数人しかいないという。すべての市立保育所に保健業務に専念する看護師1人が常駐し、医療的ケア児が入れば看護師1人を追加で配置する。担当者は「必要な配慮をした上で、集団生活の中で成長する場を保障するのが市の役割」と説明する。【中川聡子、坂根真理】