皆様から、貴重なご意見をいただき、それらも参考にしながら、私自身の骨子案に対しての考え方・意見を書きます。
私の考え方・意見を書きますが、実際の審議は、三月にはいってからです。今後とも、皆様のご意見をお待ちいたしております。
以下、意見・考え方を述べます。
現在、中央区内のあちらこちらで、大規模開発がなされ、住環境や教育環境の悪化、コミュニティの崩壊を来たそうとしています。
そういう中で、「中央区・区民・開発業者の三者での協議」や「開発内容の指導」を盛り込んでいる条例ができることは、高く評価したいと考えます。“大きな前進”だと思います。
しかし、この条例を区民福祉の向上に寄与し、真に意味のあるものとするために、以下の意見を述べます。
1)このような“基本”条例を作る場合、「プロセス」を大事にしていただきたい。
「まちづくり協議会」などでも、骨子案を提示し、「パブリックコメント」も実施し、まちの意見を十分に聞いた上で、案をまとめていただきたいと考えます。
それらを経ず拙速に条例を提案するのではなく、区民の意見を、行政側も幅広く反映する努力をお願い申し上げます。
2)「まちづくり基本条例」という条例名と、条例の書かれている内容が一致していない。(例えば、「大規模開発に関するまちづくり条例」のように、条例名の訂正をお願いします。)
「まちづくり≠大規模再開発」です。大規模再開発だけがまちづくりではありません。(大規模開発は、まちづくりの「必要条件」であるかもしれませんが、「十分条件」ではありません。)
景観・まちなみを守ること、現状を保存しながら更新していくこと、バリアフリーを推進していくこと、多くの視点が必要です。
この骨子案に書かれているのは、大規模開発についてだけであり、そのほかの視点はかかれていません。
骨子案の内容にあった条例名にするのであれば、「大規模開発に関するまちづくり条例」などの名前に改めるべきです。
もし、このままの「まちづくり基本条例」という“大上段に構えた”条例名で行くのであれば、「大規模開発」の視点以外に、網羅的に、その他の視点(小規模建築物や戸建ての建て替え・修繕、歴史的建造物保存、景観保護、バリアフリーの促進、防災面に配慮したまちづくり、コミュニティの形成、などなど)も網羅的に入れ、総合的に記述する必要があります。
3)「区民」や「区民等」の定義を明確にする必要があります。
例えば、
区民:住所を有する者
区民等(第8の2にあり):区内に住所を有する者、区内の居住者及び滞在者ならびに土地または建築物などの所有者または占有者(区内で住み、学び、働く人とその法人、企業、団体等)
4)区民の義務だけでなく、権利をまず掲げるべきであります。
「第6 区民の責務 区民は、第1の目的を達成するために区長が実施する施策に協力するものとする。」とあり、あたかも、区長にまちづくり施策についての専制権を与え、それに区民が協力しなければならないと読め、一見「翼賛政治」とられかねない条文が書かれています。
この点をご指摘する方々が、少なからずいらっしゃいました。
誤解なきようにするためには、この部分の文章は、もう少しふくらみをもたせ丁寧に書くことが求められます。
また、「区民の義務・責務」を掲げる前に、まず、「区民の権利」を掲げながら、「義務」を掲げる必要があるのではないでしょうか。
例えば、「中央区民は、健康で文化的な、そして、安全かつ快適な生活を営む権利を持っている。さらに、歴史・文化・自然を大切にし、よりよい生活住環境を、未来に引き継ぐ責務を有している。」のような「区民の権利」を合わせながら「責務」を書くように訂正をお願いいたします。
5)区長の責務として、まちづくりの情報をきちんと区民に提供していっていただきたい。
「第4 区長責務 3 区長は、区民の理解と協力を得るために、まちづくりに関する必要な情報を区民に提供するものとする。」と条例に謳っている以上、今後は、「まちづくり協議会の開催の案内」、「まちづくり協議会での話し合われた内容」の区民への周知を行う体制をきちんとつくるようにお願い申し上げます。
6)この条例で謳っている内容が、開発業者により守られなかったときの「担保」をきちんとつくってください。
もし、この条例で謳われている内容が、開発業者で守られていなかった場合、その状況を区民が相談できる窓口や機関を設置したり、従わない開発業者がいないようになんらかの「担保(例えば、業者名の公表制度)」を持つようにお願いいたします。
7)庁舎内の各部間の連携をきちんと持つことを謳うようにお願いいたします。
「第4 区長責務 5 区長は、まちづくりを進めるため、国、東京都その他の関係機関(以下「国等」という。)との緊密な連携を図るとともに、必要に応じ、国等に対して適切な施策又は必要な措置を講じるよう要請するものとする。」とあり、国や東京都、その他関係機関との連携をとることを謳っている点は、評価いたします。
ただし、「縦割り行政の弊害」をきたさないようにするためにも、もっとも大事な中央区庁舎内での各部の連携をきちんととることを謳っていただけるようにお願いいたします。
以上、
*****骨子案******
中央区まちづくり基本条例(仮称)骨子(案)
第1 目的
この条例は、開発事業が中央区(以下「区」という。)のまちづくりに重要な役割を果たすことを踏まえ、まちづくりについての基本となる事項を定めることにより、もって中央区基本構想(平成10年6月中央区議会議決第76号)が示す区の将来像の実現に寄与することを目的とするものとする。
第2 基本理念
1 まちづくりは、都心区としての魅力の創出、定住の促進及び地域環境の改善に資するものでなければならないものとする。
2 区民、開発事業を行う者(以下「開発事業者」という。)及び区長は、地球温暖化防止、ユニバーサルデザインの推進等の時代の要請に応えるまちづくりに協調して取り組まなければならないものとする。
第3 定義
1 この条例において「区民」とは、区の区域内(以下「区内」という。)に住所を有する者をいうものとする。
2 この条例において「建築」とは、次に掲げるものをいうものとする。
(1) 建築基準法(昭和25年法律第201号。以下「法」という。)第2条第13号に規定する建築
(2) 法第2条第14号に規定する大規模の修繕
(3) 法第2条第15号に規定する大規模の模様替
(4) 法第87条第1項に規定する建築物の用途の変更
3 この条例において「開発事業」とは、次に掲げるものをいうものとする。
(1) 都市開発諸制度の活用による建築
(2) 敷地面積3,000平方メートル以上の建築
4 この条例において「都市開発諸制度」とは、次に掲げるものをいうものとする。
(1) 都市計画法(昭和43年法律第100号)第8条第1項第3号の高度利用地区
(2) 都市計画法第8条第1項第4号の特定街区
(3) 都市計画法第12条の5第3項に規定する再開発等促進区を定める地区計画
(4) 総合設計(法第59条の2 第1項に規定する特例をいう。)
(5) 都市再生特別措置法(平成14年法律第22号)第36条第1項の規定による都市再生特別地区
5 この条例において「建物所有者等」とは、次に掲げる者をいうものとする。
(1) 建物の所有者(建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号)第2条第2項に規定する区分所有者を含む。)
(2) マンションの管理の適正化の推進に関する法律(平成12年法律第149号)第2条第3号に規定する管理組合
第4 区長責務
1 区長は、地区計画を始めとする都市計画等の適切な運用を図りながら、地域特性に応じたまちづくりを進めなければならないものとする。
2 区長は、まちづくりに関する施策を講じる上で、第7の1から3までに規定する事項を反映しなければならないものとする。
3 区長は、区民の理解と協力を得るために、まちづくりに関する必要な情報を区民に提供するものとする。
4 区長は、必要があると認めるときは、開発事業者(建物所有者等を含む。以下第5の2において同じ。)に対し、当該開発事業について報告を求め、調査を行うとともに、必要な改善措置を講じるよう指導しなければならないものとする。
5 区長は、まちづくりを進めるため、国、東京都その他の関係機関(以下「国等」という。)との緊密な連携を図るとともに、必要に応じ、国等に対して適切な施策又は必要な措置を講じるよう要請するものとする。
第5 開発事業者の責務
1 開発事業者は、開発事業が地域のまちづくりに大きな影響を及ぼすことを深く自覚し、積極的に地域貢献を果たすよう努めなければならないものとする。
2 開発事業者は、第4の4の規定による報告を行い、及び調査に協力するとともに、第4の4の規定による指導の内容を実現するために必要な措置を講じなければならないものとする。
第6 区民の責務
区民は、第1の目的を達成するために区長が実施する施策に協力するものとする。
第7 開発計画への反映
1 開発事業者は、開発計画を策定する際、(1)から(4)までに掲げる事項を反映するものとする。
(1) 緑化の推進、省エネルギーに資する設備の設置その他の環境対策に関すること。
(2) 避難の用に供する広場の設置、防災備蓄倉庫の設置その他の防災対策に関すること。
(3) 駐車場の設置、駐輪場の設置その他の交通対策に関すること。
(4) 建築物の形態の配慮その他の良好な景観の形成に関すること。
2 開発事業者は、開発計画を策定する際、当該開発事業を行う地域特性に応じて、(1)から(5)までに掲げる事項を反映するものとする。
(1) 保育所の設置、幼稚園の設置その他の子育て支援に関すること。
(2) 特別養護老人ホーム(老人福祉法(昭和38年法律第133号)第20条の5に規定する特別養護老人ホームをいう。)の設置、介護老人保健施設(介護保険法(平成9年法律第123号)第8条第25項に規定する介護老人保健施設をいう。)の設置その他の高齢者福祉に関すること。
(3) 障害者グループホーム(障害者自立支援法(平成17年法律第123号)第5条第16項に規定する共同生活援助を行うための施設をいう。)の設置、障害者ケアホーム(障害者自立支援法第5条第10項に規定する共同生活介護を行うための施設をいう。)の設置その他の障害者福祉に関すること。
(4) 集会場の設置、広場の設置その他の地域活動の支援に関すること。
(5) 観光案内所の設置その他の観光支援に関すること。
3 開発事業者は、1及び2に掲げるもののほか、区長が特に必要と認める事項について、開発計画に反映するものとする。
4 開発事業者は、1から3までの規定により反映された開発計画について、当該開発事業を行う地域の区民に説明を行い、その理解を得るよう努めなければならないものとする。
第8 協議
1 区民、開発事業者及び区長は、まちづくりを推進するための基本である相互理解の増進に努めるものとする。
2 区長は、開発事業が行われる地域に資するよう、当該地域の区民等と当該開発事業について協議を行うものとする。
3 区長は、2の規定による協議の結果及び区が実施するまちづくり施策を踏まえ、開発事業者と協議するものとする。
4 区長は、必要があると認めるときは、区民及び開発事業者との三者により協議を行うことができるものとする。
第9 施行期日
この条例は、平成22年10月1日から施行するものとする。
*****以上*****