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憲法16条請願権は、声を国自治体、政治に届ける大切な手段。是非利用!自民案で制限強化されぬよう監視を。

2013-08-16 16:27:27 | 国政レベルでなすべきこと
 一日一条の自民党改憲案の問題点の考察。

 8月16日は、自民党改憲案の16条の問題点を考えます。


********
日本国憲法
第十六条 何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。


自民党案
(請願をする権利)
第十六条 何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願をする権利を有する。
2 請願をした者は、そのためにいかなる差別待遇も受けない。
********

 憲法16条は、請願について規定しています。

 この条文は、いまのところ、ほぼ同じとみてよいということですね。
 日本国憲法で一項だったものが、二項に分けたということだけの違いでしょうか。

 皆様のほうで、なにか問題があれば、教えてください。

 
 自民案では、21条の表現の自由に対しての大幅な制限強化をしていることからしても、この16条の制限強化も考えているはずです。
 今後、制限強化の文言が入らないか要注意です。



 ところで、私達は、もっと「請願」を有効に使うべきと考えます。


 声を、国、自治体、政治に反映させる重要な手段です!
 政治家に頼んで、届けてもらうだけでなく、自らが届けることができます。


 なお、憲法16条で、請願した者に差別的待遇をしてはならないと現行憲法で規定しているにもかかわらず、ある自治体が、署名者や署名活動者に対し、限度を超えて戸別訪問調査をして、不当に圧力を加えたという事件が実際に発生していることは、驚きです(岐阜地判平成22.11.10、名古屋高判平成22.4.27、最三小決平成24.10.9)。
 憲法一条一条を侮ってはなりません。
 権力機関は、容易に不当な圧力を住民に対して加えることがありえます。


 憲法16条を受けて、請願を規定する法律は、

〇請願法

〇国会法(79~82条)

〇衆規(171~180条)

〇参規(162~172条)

〇自治法(124~125条)

 で、請願権行使の手続きについて規定が設けられています。

 参考までに、掲載します。


******各法律、該当部分の掲載******

〇請願法 全文
請願法
(昭和二十二年三月十三日法律第十三号)



第一条  請願については、別に法律の定める場合を除いては、この法律の定めるところによる。

第二条  請願は、請願者の氏名(法人の場合はその名称)及び住所(住所のない場合は居所)を記載し、文書でこれをしなければならない。

第三条  請願書は、請願の事項を所管する官公署にこれを提出しなければならない。天皇に対する請願書は、内閣にこれを提出しなければならない。
○2 請願の事項を所管する官公署が明らかでないときは、請願書は、これを内閣に提出することができる。

第四条  請願書が誤つて前条に規定する官公署以外の官公署に提出されたときは、その官公署は、請願者に正当な官公署を指示し、又は正当な官公署にその請願書を送付しなければならない。

第五条  この法律に適合する請願は、官公署において、これを受理し誠実に処理しなければならない。

第六条  何人も、請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。

   附 則

 この法律は、日本国憲法施行の日から、これを施行する。


〇国会法(79~82条)
第七十九条  各議院に請願しようとする者は、議員の紹介により請願書を提出しなければならない。

第八十条  請願は、各議院において委員会の審査を経た後これを議決する。
○2  委員会において、議院の会議に付するを要しないと決定した請願は、これを会議に付さない。但し、議員二十人以上の要求があるものは、これを会議に付さなければならない。

第八十一条  各議院において採択した請願で、内閣において措置するを適当と認めたものは、これを内閣に送付する。
○2  内閣は、前項の請願の処理の経過を毎年議院に報告しなければならない。

第八十二条  各議院は、各別に請願を受け互に干預しない。


〇衆規(171~180条)
 第十一章 請願

第百七十一条 請願書には、請願者の住所氏名(法人の場合はその名称及び代表者の氏名)を記載しなければならない。

第百七十二条 請願書には、普通の邦文を用いなければならない。やむを得ず外国語を用いるときは、これに訳文を附けなければならない。

第百七十三条 請願を紹介する議員は、請願書の表紙に署名又は記名押印しなければならない。

第百七十四条 議長は、請願文書表を作成しこれを印刷して各議員に配付する。
•会期末に請願の文書表を作成するいとまがないときは、本書により審査する。(衆先390)

第百七十五条 請願文書表には、請願者の住所氏名、請願の要旨、紹介議員の氏名及び受理の年月日を記載しなければならない。

  数人の連署による請願は、請願者某外何名と記載する。

  同一議員の紹介による同一内容の請願が数件あるときは、請願者某外何名と記載する外その件数を記載する。

第百七十六条 請願は、文書表の配付と同時に議長がこれを適当の委員会に付託する。

第百七十七条 裁判官の罷免を求める請願については、議長は、これを委員会に付託しないで裁判官訴追委員会に送付する。

第百七十八条 委員会は、請願についてその審査の結果に従い左の区別をなし、議院に報告する。

 一 議院の会議に付するを要するもの

 二 議院の会議に付するを要しないもの

  議院の会議に付するを要する請願については、なお、左の区別をして報告する。

 一 採択すべきもの

 二 不採択とすべきもの

  採択すべきものの中、内閣に送付するを適当と認めるものについては、その旨を附記する。

第百七十九条 委員会において、議院の会議に付するを要しないと決定した請願について、議員二十人以上から休会中の期間を除いて委員会の報告の日から七日以内に会議に付する要求がないときは、委員会の決定が確定する。

第百八十条 陳情書その他のもので、議長が必要と認めたものは、これを適当の委員会に参考のため送付する。


〇参規(162~172条)
第11章 請願

第162条 請願書は、請願者の氏名(法人の場合はその名称)及び住所(住所のない場合は居所)を記載したものでなければならない。
第163条 法人を除いては、総代の名義による請願は、これを受理しない。
第164条 請願書の用語は平穏なものでなければならない。また、その提出は平穏になされなければならない。
第165条 議長は、請願文書表を作り印刷して、毎週一回、これを各議員に配付する。
 請願文書表には、請願の趣旨、請願者の住所氏名、紹介議員の氏名及び受理の年月日を記載する。
第166条 請願は、請願文書表の配付と同時に、議長が、これを適当の委員会に付託する。
第167条 裁判官の罷免を求める請願については、議長は、これを委員会に付託しないで裁判官訴追委員会に送付する。
第168条 請願を紹介した議員は、委員会から要求があつたときは、請願の趣旨を説明しなければならない。
第169条 請願書は、議院の議決がなければ、これを印刷配付しない。
第170条 委員会は、審査の結果に従い、次の区別をして、議長に報告書を提出しなければならない。
1.採択すべきもの
2.不採択とすべきもの

採択すべきものについては、なお、次の区別をしなければならない。
1.内閣に送付するを要するもの
2.内閣に送付するを要しないもの

第171条 委員会において採択すべきものと決定した請願については、委員会は、前条第1項の報告書に付して意見書案を提出することができる。
第172条 委員会において議院の会議に付するを要しないと決定した請願については、委員会は、議長にその旨の報告書を提出しなければならない。
 前項の場合において、報告書が提出された日から休会中の期間を除いて七日以内に、議員二十人以上から会議に付する要求がないときは、同項の決定が確定する。
第173条 削除



〇自治法(124~125条)
第百二十四条  普通地方公共団体の議会に請願しようとする者は、議員の紹介により請願書を提出しなければならない。

第百二十五条  普通地方公共団体の議会は、その採択した請願で当該普通地方公共団体の長、教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会若しくは公平委員会、公安委員会、労働委員会、農業委員会又は監査委員その他法律に基づく委員会又は委員において措置することが適当と認めるものは、これらの者にこれを送付し、かつ、その請願の処理の経過及び結果の報告を請求することができる。

以上
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憲法16条

2013-08-15 17:43:25 | 国政レベルでなすべきこと
 一日一条の自民党改憲案の問題点の考察。

 明日、8月16日は、自民党改憲案の16条の問題点を考えます。

 16条を予告として、掲載します。

********
日本国憲法
第十六条 何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。


自民党案
(請願をする権利)
第十六条 何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願をする権利を有する。
2 請願をした者は、そのためにいかなる差別待遇も受けない。
********

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憲法15条 自民案は議会制民主主義の根幹である選挙権さえも軽視?「選挙権を保障する」文言を削除

2013-08-15 16:00:39 | 国政レベルでなすべきこと

 8月15日は、憲法15条を考えます。

 15条は、
 〇公務員が全体の奉仕者であるということとともに、
 〇議会制民主主義の根幹をなす選挙権に関して定める条文でとても重要です。

 特に3項と4項で、近代選挙の基本原則である、

1普通選挙

2平等選挙

3自由選挙

4秘密選挙

5直接選挙

 を要請しています。

 だからこそ、日本国憲法では、普通選挙を「保障する」という文言を用いています。


****************
日本国憲法
第十五条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
2 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
3 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する
4 すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。

自民党案
(公務員の選定及び罷免に関する権利等)
第十五条 公務員を選定し、及び罷免することは、主権の存する国民の権利である。
2 全て公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。
3 公務員の選定を選挙により行う場合は、日本国籍を有する成年者による普通選挙の方法による
4 選挙における投票の秘密は、侵されない。選挙人は、その選択に関し、公的にも私的にも責任を問われない。

*****************


 自民案は、一言一句気をつけて読まねばなりません。

 自民案で、15条が変えられた点は、以下。

15条1項
 国民固有の権利ということのその「固有の権利」という文言を削除しています。
 これは、わざとです。
 11条でのべましたがhttp://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/ad3650d77379d66bbf6142d8342bfefe
 人権の三つの意義のひとつ固有性を、11条及び97条で削除しています。それにあわせてこの15条の「固有の権利」という文言も犠牲になりました。
 人権の固有性、すなわち、「人権が憲法や天皇から恩恵として与えられたものではなく、人間であることにより当然に有するとされる権利であること。」という考え方を、自民党はどうも否定したいようであり、自民党案では、徹底的に人権の固有性の考え方をなくそうとしています。

15条2項
 漢字になっています。
 個人的に、「全て」の漢字は読みにくいので、「すべて」のひらがなのままでよいと思います。

15条3項
 大問題です。
 普通選挙を「保障する」という大切な文言を削除しています
 なぜ、わざわざ、削除するのか、疑問です。
 議会制民主主義の根幹である選挙権でさえも、自民党は否定したいのでしょうか。
 自民案において、ここだけでなく各人権を、弱めるように文言を巧妙に、おそらくわざとだと思いますが、置き換えています。

 また、日本国籍を有する成年者と、わざわざ「日本国籍を有する」とかぶせています。
 ここでは、その是非は述べませんが、最高裁判所の見解(最三小判平成7・2・28)によると、国政選挙は別にしても、地方議会議員選挙では、定住外国人の選挙権は、否定をしていません。
 地方の政治に判断が委ねられた部分です。
 にもかかわらず、自民案は、有無を言わさず、定住外国人の地方議会議員選挙の選挙権を奪おうとしています。
 最後に、判決文を全文掲載します。
 自民党のように安易に、定住外国人の地方議会議員選挙の選挙権を奪ってよいか、判決文を読んで考察いただければ幸いです。

15条4項
 「侵してはならない」という主体的な言い方から、「侵されない」と、なにか他人事のような表現に変えています。
 15条3項の「保障する」の文言削除と共に、自民党は、選挙権を軽視している印象を受けざるを得ません。

************************





以下、憲法15条が保障することのひとつ選挙権の大切さについて、書きます。



選挙権の大切さ。




 被選挙権の大切さ。
 立候補することの自由も保障されています。


 どのようなひとも、立候補は許されます。
 だからこそ、逆に、私達、国民の側に、きちんと選ぶ目が要求されます。



日本国憲法15条1項。
第十五条  公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。



 選挙権に、なんら制限を加えては、なりません。
 もちろん、成年被後見人にも、選挙権は保障されねばなりません。
 重病者には、在宅投票もきちんと保障されるべきだと考えます。




 一人一票の価値は、守られねばなりません。

 



 一人一票を判断する場合の裁判所の論理1と2
 




 一人一票を判断する場合の裁判所の論理3




 違法であり、本来、勝訴判決を得られるはずであるが、裁判で、敗れる論理。

行政事件訴訟法
(特別の事情による請求の棄却)
第三十一条  取消訴訟については、処分又は裁決が違法ではあるが、これを取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、原告の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮したうえ、処分又は裁決を取り消すことが公共の福祉に適合しないと認めるときは、裁判所は、請求を棄却することができる。この場合には、当該判決の主文において、処分又は裁決が違法であることを宣言しなければならない。
 裁判所は、相当と認めるときは、終局判決前に、判決をもつて、処分又は裁決が違法であることを宣言することができる。
 終局判決に事実及び理由を記載するには、前項の判決を引用することができる。


 一人一票の最高裁の論理のまとめ。






 ただすべきものをたださない国会の責任について、最高裁の考え方。
 やや弱い感じはするところではありますが。



 

*******最高裁ホームページより*****
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319120908067922.pdf

主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。


         理    由
 上告代理人相馬達雄、同平木純二郎、同能瀬敏文の上告理由について
 憲法第三章の諸規定による基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみをそ
の対象としていると解されるものを除き、我が国に在留する外国人に対しても等し
く及ぶものである。そこで、憲法一五条一項にいう公務員を選定罷免する権利の保
障が我が国に在留する外国人に対しても及ぶものと解すべきか否かについて考える
と、憲法の右規定は、国民主権の原理に基づき、公務員の終局的任免権が国民に存
することを表明したものにほかならないところ、主権が「日本国民」に存するもの
とする憲法前文及び一条の規定に照らせば、憲法の国民主権の原理における国民と
は、日本国民すなわち我が国の国籍を有する者を意味することは明らかである。そ
うとすれば、公務員を選定罷免する権利を保障した憲法一五条一項の規定は、権利
の性質上日本国民のみをその対象とし、右規定による権利の保障は、我が国に在留
する外国人には及ばないものと解するのが相当である。そして、地方自治について
定める憲法第八章は、九三条二項において、地方公共団体の長、その議会の議員及
び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が直接これを選挙するも
のと規定しているのであるが、前記の国民主権の原理及びこれに基づく憲法一五条
一項の規定の趣旨に鑑み、地方公共団体が我が国の統治機構の不可欠の要素を成す
ものであることをも併せ考えると、憲法九三条二項にいう「住民」とは、地方公共
団体の区域内に住所を有する日本国民を意味するものと解するのが相当であり、右
規定は、我が国に在留する外国人に対して、地方公共団体の長、その議会の議員等
の選挙の権利を保障したものということはできない。以上のように解すべきことは、
- 1 -
当裁判所大法廷判決(最高裁昭和三五年(オ)第五七九号同年一二月一四日判決・
民集一四巻一四号三〇三七頁、最高裁昭和五〇年(行ツ)第一二〇号同五三年一〇
月四日判決・民集三二巻七号一二二三頁)の趣旨に徴して明らかである。

 このように、憲法九三条二項は、我が国に在留する外国人に対して地方公共団体
における選挙の権利を保障したものとはいえないが、憲法第八章の地方自治に関す
る規定は、民主主義社会における地方自治の重要性に鑑み、住民の日常生活に密接
な関連を有する公共的事務は、その地方の住民の意思に基づきその区域の地方公共
団体が処理するという政治形態を憲法上の制度として保障しようとする趣旨に出た
ものと解されるから、我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居
住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものに
ついて、その意思を日常生活に密接な関連を有する地方公共団体の公共的事務の処
理に反映させるべく、法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対す
る選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではないと解
するのが相当である。しかしながら、右のような措置を講ずるか否かは、専ら国の
立法政策にかかわる事柄であって、このような措置を講じないからといって違憲の
問題を生ずるものではない。以上のように解すべきことは、当裁判所大法廷判決(
前掲昭和三五年一二月一四日判決、最高裁昭和三七年(あ)第九〇〇号同三八年三
月二七日判決・刑集一七巻二号一二一頁、最高裁昭和四九年(行ツ)第七五号同五
一年四月一四日判決・民集三〇巻三号二二三頁、最高裁昭和五四年(行ツ)第六五
号同五八年四月二七日判決・民集三七巻三号三四五頁)の趣旨に徴して明らかであ
る。
 以上検討したところによれば、地方公共団体の長及びその議会の議員の選挙の権
利を日本国民たる住民に限るものとした地方自治法一一条、一八条、公職選挙法九
条二項の各規定が憲法一五条一項、九三条二項に違反するものということはできず、
- 2 -
その他本件各決定を維持すべきものとした原審の判断に憲法の右各規定の解釈の誤
りがあるということもできない。所論は、地方自治法一一条、一八条、公職選挙法
九条二項の各規定に憲法一四条違反があり、そうでないとしても本件各決定を維持
すべきものとした原審の判断に憲法一四条及び右各法令の解釈の誤りがある旨の主
張をもしているところ、右主張は、いずれも実質において憲法一五条一項、九三条
二項の解釈の誤りをいうに帰するものであって、右主張に理由がないことは既に述
べたとおりである。
 以上によれば、所論の点に関する原審の判断は、正当として是認することができ
る。論旨は採用することができない。
 よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、
裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    可   部   恒   雄
            裁判官    園   部   逸   夫
            裁判官    大   野   正   男
            裁判官    千   種   秀   夫
            裁判官    尾   崎   行   信
-

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憲法15条 

2013-08-14 21:32:01 | 国政レベルでなすべきこと
 8月15日は、15条を考えます。

 まずは、予告として、その条文を掲載します。

****************
日本国憲法
第十五条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
2 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
3 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する
4 すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。

自民党案
(公務員の選定及び罷免に関する権利等)
第十五条 公務員を選定し、及び罷免することは、主権の存する国民の権利である。
2 全て公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。
3 公務員の選定を選挙により行う場合は、日本国籍を有する成年者による普通選挙の方法による
4 選挙における投票の秘密は、侵されない。選挙人は、その選択に関し、公的にも私的にも責任を問われない。

*****************
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小児科診療だけではなく、病児保育のニーズは、お盆でも相変わらずにあります。本日5名。

2013-08-14 12:21:23 | 小児医療
 都心の小児科事情。

 8/14のお盆の期間も、当院の病児保育室は、多くのご利用のかたがおられます。


〇江東区から、フローレンスご利用会員さんから依頼の1歳のお風邪のお子さん。

〇中央区、8/12から引き続きお預かり中、お風邪の3歳のお子さん。

〇江東区、昨日発病のお風邪の2歳のお子さん。

〇中央区、昨日発病のお風邪の1歳のお子さん。

〇荒川区、昨日発病のお風邪の11ヶ月のお子さん。
 たまたま、ネットで当院の病児保育がヒットして、ご利用。


 あたりは、お盆休みの会社も多い中、やっている会社も多い。
 子どもは時期を選ばず、お盆でも、正月でも病気になります。

 小児科診療だけではなく、病児保育のニーズは、お盆でも相変わらずにあります。
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要注意!自民案の憲法14条は、形式的平等、情け容赦ない平等を課して来ます。

2013-08-14 08:30:46 | 国政レベルでなすべきこと

 一日一条の自民党改憲案の問題点の分析。

 8月14日は、14条、平等権。

 以下、比較すると大差ないようにお感じになると思います。


*************************
日本国憲法
第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
2 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
3 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。


自民党案
(法の下の平等)
第十四条 全て国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、障害の有無、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
2 華族その他の貴族の制度は、認めない。
3 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。
*************************

 

 私も、最初、「あれっ」と思いました。

 なぜ、今までの14条に至るまで問題点が多々あったのに、ここでは「障害の有無」の追加をするもその他の変更をしなかったのだろうかと。

 日本国憲法14条≒自民党案14条 ?

 よくよく、考えると、ぞっとしました。

 

 日本国憲法が機能する人権の世界と、自民党案が機能する人権の世界では、世界が異なるのです。
 その条文だけで考えてはいけません。

 人権の総則規定12条を思い出して下さい。


****************** 
日本国憲法 
第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。 

自民党案 (国民の責務) 
第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力により、保持されなければならない。国民は、これを濫用してはならず、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない。 

******************     

 人権の世界が、まるっきり自民党案では変えられていて、「公益及び公の秩序」に反することは許されなくなっているのです。


 12条と14条を併せて考えると、 

 日本国憲法 12条+14条=「公共の福祉」のために実質的平等のルールの採用を可能にする。 (実質的平等「等しいものは等しく、等しくないものは等しくなく」の考え方。例、所得税)

 自民党案  12条+14条= 「公益及び公の秩序」に反しないように、形式的平等を課す。(形式的平等「A=B=C=D=E=F=G・・・・」の考え方。例、消費税)

 
 日本国憲法と自民党案では、意味をしている平等概念そのものが異なるのです。

 日本国憲法においては、「障害の有無」の文言をいれることはよいと思いますが、自民党案では、とても危険です。(ターゲットを増やしたかと、悪意さえ感じます。)
 すなわち、形式的平等のルール(A=B=C=D=E=F=G・・・・)を適用すると、能力のある人、資質のある人、そして、能力や資質をのばすための環境が整備されているひとが、高い成績をあげることができ、結果に大きな差が生じてしまいます。
 行きつく先は、格差社会です。
 それをよしとするぞと、自民党案は、宣言をしているのです。
 (実質的平等、形式的平等などの概念は、前のブログで基本的なところの解説をしています。)


  日本国憲法14条≠自民党案14条 !

 
 国家主義を目指す自民党案では、憲法の人権概念を、大きく覆す「公益及び公の秩序」という文言を、「公共の福祉」を削除して入れ替えており、人権規定を注意深く読んで行く必要があります。

 一体、誰を守るための憲法なのだろうか? 

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「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」の憲法学的実践、形式的平等と相対的平等、実質的平等

2013-08-14 00:00:02 | 国政レベルでなすべきこと
 自民党改憲案の問題点を考えています。

 憲法14条を考える準備として、知識の整理をします。




(かつてのブログ http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/43a9d028c76ebb79604435665c5ba078 )
***************************
「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」

 憲法では、ご存知のように、第14条
すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
○2  華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
○3  栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。
 と謳われているところです。

 平等の考え方を整理します。


 自然的事実としての不平等が世の中には存在しています。

 能力や資質の差、環境の差、人格の差などです。

 もし、形式的平等のルール(A=B=C=D=E=F=G・・・・)を適用すると、能力のある人、資質のある人、そして、能力や資質をのばすための環境が整備されているひとが、高い成績をあげることができ、結果に大きな差が生じてしまいます。
 行きつく先は、格差社会です。

 今の世の中では、基本は形式的平等のルールです。
 入試、選挙権、運賃、消費税、法律が等しく適用されること、誰でもどんな職業にもつけるということなど。

 形式的平等のルールの長所は、分かりやすい、「公平」らしく見えるという点にあります。
 ただ、背後にある不平等を隠しており、格差を無視しています。

 行きつく先には、例えば、富裕層と貧困層の間の格差が広がり、貧困層が拡大し、貧困層から脱出困難な社会ができあがることにつながります。


 そこで、どうすればよいか。

 実質的平等のルールの採用です。
 簡単に言えば、下駄を履かせ、機会を実質的に平等にすることです。

 累進課税を想像すればわかりやすいですが、同じレベルの収入のひとにかかる税率は同じですが、高い収入のひとにかかる税率は、高い税率を課しています。

 実質的平等の極端な例は、結果まで平等にすることです。(結果の平等)

 この場合の短所は、「モラル・ハザード」が生じることです。
 がんばっても、がんばらなくても結果は同じですので、がんばる意欲がそがれる状態になります。

 例外のない平等を「絶対的平等」というのであれば、このような平等は、「相対的平等」すなわち「等しいものは等しく、等しくないものは等しくなく扱うべし」といいます。
 そして、このことが、平等原則となっています。

 
 再度、整理しますと、

 形式的平等、ペアの概念として、機会の平等そして絶対的平等があります。

 それに対して、実質的平等、相対的平等が言われ、実質的平等を突き詰め過ぎると結果の平等となります。


 日本国憲法のもと、場面場面で、形式的平等と相対的平等、一部実質的平等が保障されています。
 
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憲法14条1項、国際人権B規約、人種差別撤廃条約の重要判例:小樽市外国人入浴拒否事件

2013-08-14 00:00:01 | 国政レベルでなすべきこと
 自民党改憲案の問題点を考えます。

 14条を考えるにあたり、知識の整理をします。


(かつてのブログ http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/dccd068cfb59491b476339b6e0808f73 )
**************
憲法14条1項、国際人権B規約、人種差別撤廃条約の重要判例:小樽市外国人入浴拒否事件

憲法14条1項、国際人権B規約、人種差別撤廃条約など関連した、重要判例です。

 まず、それぞれの抜粋。



〇憲法14条1項
第十四条  すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
2  華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
3  栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

〇市民的及び政治的権利に関する国際規約(国際人権B規約)  
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kiyaku/2c_004.html

第二十六条
 すべての者は、法律の前に平等であり、いかなる差別もなしに法律による平等の保護を受ける権利を有する。このため、法律は、あらゆる差別を禁止し及び人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、出生又は他の地位等のいかなる理由による差別に対しても平等のかつ効果的な保護をすべての者に保障する。


〇人種差別撤廃条約  (抜粋)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinshu/conv_j.html#1

第1条

1 この条約において、「人種差別」とは、人種、皮膚の色、世系又は民族的若しくは種族的出身に基づくあらゆる区別、排除、制限又は優先であって、政治的、経済的、社会的、文化的その他のあらゆる公的生活の分野における平等の立場での人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを妨げ又は害する目的又は効果を有するものをいう。

2 この条約は、締約国が市民と市民でない者との間に設ける区別、排除、制限又は優先については、適用しない。

3 この条約のいかなる規定も、国籍、市民権又は帰化に関する締約国の法規に何ら影響を及ぼすものと解してはならない。ただし、これらに関する法規は、いかなる特定の民族に対しても差別を設けていないことを条件とする。

4 人権及び基本的自由の平等な享有又は行使を確保するため、保護を必要としている特定の人種若しくは種族の集団又は個人の適切な進歩を確保することのみを目的として、必要に応じてとられる特別措置は、人種差別とみなさない。ただし、この特別措置は、その結果として、異なる人種の集団に対して別個の権利を維持することとなってはならず、また、その目的が達成された後は継続してはならない。

第2条

1 締約国は、人種差別を非難し、また、あらゆる形態の人種差別を撤廃する政策及びあらゆる人種間の理解を促進する政策をすべての適当な方法により遅滞なくとることを約束する。このため、

(a)各締約国は、個人、集団又は団体に対する人種差別の行為又は慣行に従事しないこと並びに国及び地方のすべての公の当局及び機関がこの義務に従って行動するよう確保することを約束する。

(b)各締約国は、いかなる個人又は団体による人種差別も後援せず、擁護せず又は支持しないことを約束する。

(c)各締約国は、政府(国及び地方)の政策を再検討し及び人種差別を生じさせ又は永続化させる効果を有するいかなる法令も改正し、廃止し又は無効にするために効果的な措置をとる。

(d)各締約国は、すべての適当な方法(状況により必要とされるときは、立法を含む。)により、いかなる個人、集団又は団体による人種差別も禁止し、終了させる。

(e)各締約国は、適当なときは、人種間の融和を目的とし、かつ、複数の人種で構成される団体及び運動を支援し並びに人種間の障壁を撤廃する他の方法を奨励すること並びに人種間の分断を強化するようないかなる動きも抑制することを約束する。

2 締約国は、状況により正当とされる場合には、特定の人種の集団又はこれに属する個人に対し人権及び基本的自由の十分かつ平等な享有を保障するため、社会的、経済的、文化的その他の分野において、当該人種の集団又は個人の適切な発展及び保護を確保するための特別かつ具体的な措置をとる。この措置は、いかなる場合においても、その目的が達成された後、その結果として、異なる人種の集団に対して不平等な又は別個の権利を維持することとなってはならない。

第3条

 締約国は、特に、人種隔離及びアパルトヘイトを非難し、また、自国の管轄の下にある領域におけるこの種のすべての慣行を防止し、禁止し及び根絶することを約束する。

第4条

 締約国は、一の人種の優越性若しくは一の皮膚の色若しくは種族的出身の人の集団の優越性の思想若しくは理論に基づくあらゆる宣伝及び団体又は人種的憎悪及び人種差別(形態のいかんを問わない。)を正当化し若しくは助長することを企てるあらゆる宣伝及び団体を非難し、また、このような差別のあらゆる扇動又は行為を根絶することを目的とする迅速かつ積極的な措置をとることを約束する。このため、締約国は、世界人権宣言に具現された原則及び次条に明示的に定める権利に十分な考慮を払って、特に次のことを行う。

(a)人種的優越又は憎悪に基づく思想のあらゆる流布、人種差別の扇動、いかなる人種若しくは皮膚の色若しくは種族的出身を異にする人の集団に対するものであるかを問わずすべての暴力行為又はその行為の扇動及び人種主義に基づく活動に対する資金援助を含むいかなる援助の提供も、法律で処罰すべき犯罪であることを宣言すること。

(b)人種差別を助長し及び扇動する団体及び組織的宣伝活動その他のすべての宣伝活動を違法であるとして禁止するものとし、このような団体又は活動への参加が法律で処罰すべき犯罪であることを認めること。

(c)国又は地方の公の当局又は機関が人種差別を助長し又は扇動することを認めないこと。

第5条

 第2条に定める基本的義務に従い、締約国は、特に次の権利の享有に当たり、あらゆる形態の人種差別を禁止し及び撤廃すること並びに人種、皮膚の色又は民族的若しくは種族的出身による差別なしに、すべての者が法律の前に平等であるという権利を保障することを約束する。

(a)裁判所その他のすべての裁判及び審判を行う機関の前での平等な取扱いについての権利

(b)暴力又は傷害(公務員によって加えられるものであるかいかなる個人、集団又は団体によって加えられるものであるかを問わない。)に対する身体の安全及び国家による保護についての権利

(c)政治的権利、特に普通かつ平等の選挙権に基づく選挙に投票及び立候補によって参加し、国政及びすべての段階における政治に参与し並びに公務に平等に携わる権利

(d)他の市民的権利、特に、
(i)国境内における移動及び居住の自由についての権利

(ii)いずれの国(自国を含む。)からも離れ及び自国に戻る権利

(iii)国籍についての権利

(iv)婚姻及び配偶者の選択についての権利

(v)単独で及び他の者と共同して財産を所有する権利

(vi)相続する権利

(vii)思想、良心及び宗教の自由についての権利

(viii)意見及び表現の自由についての権利

(ix)平和的な集会及び結社の自由についての権利


(e)経済的、社会的及び文化的権利、特に、
(i)労働、職業の自由な選択、公正かつ良好な労働条件、
   失業に対する保護、同一の労働についての同一報酬
   及び公正かつ良好な報酬についての権利

(ii)労働組合を結成し及びこれに加入する権利

(iii)住居についての権利

(iv)公衆の健康、医療、社会保障及び社会的サービスについての権利

(v)教育及び訓練についての権利

(vi)文化的な活動への平等な参加についての権利
(f)輸送機関、ホテル、飲食店、喫茶店、劇場、公園等一般公衆の使用を目的とするあらゆる場所又はサービスを利用する権利

第6条

 締約国は、自国の管轄の下にあるすべての者に対し、権限のある自国の裁判所及び他の国家機関を通じて、この条約に反して人権及び基本的自由を侵害するあらゆる人種差別の行為に対する効果的な保護及び救済措置を確保し、並びにその差別の結果として被ったあらゆる損害に対し、公正かつ適正な賠償又は救済を当該裁判所に求める権利を確保する。




 以下の重要判例が、最高裁判所ホームページに掲載されていました。

 小樽市外国人入浴拒否事件
 札幌地判H14.11.11

************最高裁ホームページ******************* 

事件番号

 平成13(ワ)206



事件名

 損害賠償等請求



裁判年月日

 平成14年11月11日



裁判所名・部

 札幌地方裁判所    



判決文
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/4384F726CF8D382149256C94001BE8D0.pdf 
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憲法で最も重要13条、加憲を要せずとも新たな人権を生み出す13条を自民案は無力化、幸福追求権の否定。

2013-08-13 20:56:16 | 国政レベルでなすべきこと

 一日一条ずつの自民党改憲案の問題点の分析。

 8月13日は、13条。

 着眼点により異なりますが、13条は、憲法の中で最も重要な条文と考えられます。2番目に大事なのは、手続き保障を定めた31条(13の数字のならびを逆にすればよい対になっています。)でしょうか。

 

 憲法学者の故芦部先生によると、「社会の変革にともない、「自律的な個人が人格的に生存するために不可欠と考えられる基本的な権利・自由」として保護するに値すると考えられる法的利益は、「新しい人権」として、憲法上保障される人権の一つだと解するのが妥当である。その根拠となる規定が、憲法13条の「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」(幸福追求権)である。」として、13条は、幸福追求権を謳っているとされています。

 「個人の尊重の原理に基づく幸福追求権は、憲法に列挙されていない新しい人権の根拠となる一般的かつ包括的な権利であり、この幸福追求権によって基礎づけられる個々の権利は、裁判上の救済を受けることができる具体的権利」であります。

 「幸福追求権からどのような具体的権利が実際に導き出されるか、そして、それが新しい人権の一つとして承認されるかどうかをどのような基準で判断するかは、なかなか難しい問題」です。

 「これまで、新しい人権として主張されたものは、

○プライバシーの権利、

○環境権

○日照権

○静穏権

○眺望権

○入浜権

○嫌煙権

○健康権

○情報権

○アクセス権

○平和的生存権

 など多数」あります。

 「最高裁判所が、正面から認めたものは、プライバシーの権利としての肖像権ぐらい」です。

 「裁判上の権利と言えるかどうかは、

○特定の行為が個人の人格的生存に不可欠であることのほか、

○その行為を社会が伝統的に個人の自律的決定に委ねられたものと考えているか、

○その行為は多数の国民が行おうと思えば行うことができるか、

○行っても他人の基本権を侵害するおそれがないかなど
 
 種々の要素を考慮して慎重に決定」しなければなりません。

(加憲すべき権利を考える場合にも、重要な考慮要素だと、私は思います。逆を言えば、安易な加憲もまた、許されません。)

 以上、「」は、『憲法 第五版』芦部 118~121ページ。

 
 


*************************
日本国憲法
第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする

自民党案
(人としての尊重等)
第十三条 全て国民は、として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公益及び公の秩序に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大限に尊重されなければならない
*************************

 さて、自民党案は、13条において、重大な過ちを犯しております。

 「公共の福祉」を、「公益及び公の秩序」に、こっそりと置き換えています。(昨日の12条でも述べました。今後、21条、22条、29条でも同様の問題が出て来ます。)

 国家主義を目指している自民党にとって、「個人」という言葉も、極力用いたくないのだと思います。これまた、「個人」から「人」に置き換えられています。

 「最大の尊重を必要とする。」この文言が「最大限に尊重されなければならない。」の置き換えはどうなんでしょうか。
 両者は、同じとみてよいのかは、判断を現時点で、保留にさせてください。
 

 少なくともわかるのは、個人の幸福追求権を謳う13条では、「個人」を「人」に置き換えてはならないし、「公共の福祉」は絶対に「公益及び公の秩序」に置き換えてはなりません。
 新しい人権が生まれる余地がなくなります。
 個人の幸福追求権が否定されます。



 ひとつだけ例を挙げます。


 肖像権が生まれた、「京都府学連事件」

 デモ行進に際して、警察官が犯罪捜査のために行った写真撮影の適法性が争われました。

 最高裁(最大判昭和44・12・24)は、

「憲法一三条は、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由
及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法そ
の他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」と規定しているのであつて、これ
は、国民の私生活上の自由が、警察権等の国家権力の行使に対しても保護されるべ
きことを規定しているものということができる。そして、個人の私生活上の自由の
一つとして、何人も、その承諾なしに、みだりにその容ぼう・姿態(以下「容ぼう
等」という。)を撮影されない自由を有するものというべきである。」

 と判事しています。


 もし、「公共の福祉」が「公の秩序」に置き換えられてしまえば、
 この判事の内容は変わることになると思います。

 自民案を許してしまった場合、 「公の秩序」が優先され、国民の私生活上の自由が、警察権等の国家権力の行使に対して保護されないことになり、肖像権は主張できなくなります。
 なぜならば、「公の秩序」が意味するものは、「国家権力からみた秩序」であるからです。

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川内博史前衆議院議員 8月23日金19時~於月島区民館(東京都中央区) 日本の重要問題について考える

2013-08-12 18:00:16 | 国政レベルでなすべきこと
 川内博史前衆議院議員が、全国どこにでも駆けつけて、勉強会を開催下さると情報発信されていました。

 ここ中央区でも是非ともということで、お願いし、下記、企画をするに至りました。

 第一報をお伝えします。


 じっくりと、日本の重要問題について、会場からの双方向のやりとりを交えながら、考えたいと思います。

 科学的根拠、データに基づき、考えたいと思います。
 資料配布も致します。約70ページと伺っています。

 これからの日本がどうなっていくのか、国政がどうなっていくのか、是非、ご一緒に考えましょう。
 お気軽にご参加ください。


       記

 『川内博史前衆議院議員と日本の重要問題について考える(仮)』
  

日時:平成25年8月23日(金)19時~

場所:月島区民館
   東京都中央区月島二丁目8番11号
  電話 03-3531-6932
https://www.city.chuo.lg.jp/sisetugaido/syukaisisetu/syukaisisetu14/index.html

交通機関:・東京メトロ有楽町線または都営地下鉄大江戸線月島駅下車9番出口 徒歩2分


テーマ:日本の重要問題について

  〇福島第一原子力発電所 一号機建屋内視察含め

  (今後、皆様のご希望を伺いながら、テーマを詰めていきます。)


   *語ってほしいテーマがございましたら、メールでご連絡下さい。
    前もって、川内氏にお伝えします。


もし、参加することがお分かりのかたがおられれば、メールでご連絡下さい。


事務局:小児科医師 小坂和輝
    メール: kazuki.kosaka@e-kosaka.jp
fax:03-5547-1166
    ℡  :03-5547-1191(クリニック兼用)



以上

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憲法12条、国家主義の自民案では基本的人権の保障は都合悪い。「公共の福祉」削除は絶対許してはならない。

2013-08-12 12:18:10 | 国政レベルでなすべきこと

 8月12日、自民党改憲案の問題点、今日は、12条。  

 自民党案の最大の問題点が、ここにあります!  

 「公共の福祉」が「公益及び公の秩序」に、こっそりと置き換えられています。  
 この置き換えだけは、絶対にゆるしてはなりません。  
 憲法12条、13条、22条、29条及び21条が狙われています。  

 自民党案に、賛同する憲法学者や裁判官など法律の専門家は、誰一人としていないと思います。  
 特に、この削除・置き換えには、賛同するものなどいないはずです。自信を持っていいます。  
 おられれば、そのかたを後学のため教えていただきたいほどです。  

 条文一つに一つ以上の問題点を抱える自民党改憲案であり、憲法のていをなしていないのですが、もし、ひとつだけしか問題点をあげることができないような極端な表現の自由の制約を受けた場合、私は、やむを得ずに、この「公共の福祉」の文言の削除と、それに代わる「公益及び公の秩序」の置き換えは、絶対に許してはならないと答えます。  

 やや、乱暴な書き方をしますが、  

 「公益」=「国のため、国家のために」で、片づけられます。  

 「公の秩序」=権力機関により、権力機関の論理・都合で、片づけられます。  

 「公共の福祉」=人権と人権のぶつかり合いを、二重の基準論、比較衡量論を用い、均衡のとれた解決を見出していきます。  



******************
日本国憲法
第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

自民党案 (国民の責務)
第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力により、保持されなければならない。国民は、これを濫用してはならず、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない。

******************    

 「公共の福祉」の概念は、前のブログhttp://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/11adf6d04c55152a6546d1681e84426fで、基礎知識で整理をしたところです。  

 一部抜き出します。    

 人権があるから、私たちは、何をやっても許されるというわけではなく、人権が制約される局面があります。  

 次の3つの場合が想定されます。

1)権利行使が他者に害を与える場合。

2)権利行使が他者の正当な権利ないしは利益と衝突する場合。

3)権利行使が社会全体の利益にとってマイナスになる場合。    


 それぞれの場合を具体例を挙げてみます。

1)権利行使が他者に害を与える場合。  
政治団体の街宣車がフルボリュームで、音楽を流すことは、彼らの表現の自由の行使ではあるが、市街地の平穏を乱し、市民に不快感を与えていることから、他者に害を与えている。人権は、まず、他者に迷惑をかけてはならない、という制約がある。

2)権利行使が他者の正当な権利ないしは利益と衝突する場合。  
マスコミが、有名人のプライバシーや名誉を傷つける報道を行う場合は、マスコミの表現の自由(報道の自由)と有名人のプライバシーが衝突する。表現の自由もプライバシーもともに、極めて重要な人権である。

3)権利行使が社会全体の利益にとってマイナスになる場合。  
空港や高速道路を建設する際には、その用地を買収しなければならないところ、地権者が用地買収に協力してくれない場合は、建設が遅れ、社会全体に大きな不利益を与える場合がある。  

 このような人権の制約を掛けねばならないときに、用いられるのが、「公共の福祉」による人権の制限です。  


 現行憲法で、「公共の福祉」の制限がついている条文は、12条・13条・22条・29条。

*****日本国憲法*****
第十二条  この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。


第十三条  すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。


第二十二条  何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
○2  何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。


第二十九条  財産権は、これを侵してはならない。
○2  財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
○3  私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

***************  

 これら条文において、自民案は、22条以外の3つは、絶対にやってはならないのにもかかわらず、「公共の福祉」を「公益及び公共の秩序」に置き換えています。  

 そして、22条では、はぶいてはならないのに、「公共の福祉」を省いています。  

 さらに、重大問題なのは、21条に、「公共の福祉」さえついていなかった条文に、「公益及び公共の秩序」を新たに導入しています。後に21条のところで触れますが、表現の自由を国家権力が制約し、言論弾圧ができる体制づくりを着々と進める素地を作っています。


****自民案*****
(国民の責務)
第十二条
この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力により、保持されなければならない。国民は、これを濫用してはならず、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない。

(人としての尊重等)
第十三条
全て国民は、人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公益及び公の秩序に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大限に尊重されなければならない。


(表現の自由)
第二十一条
集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、保障する。
2 前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない。〔新設〕
3 検閲は、してはならない。通信の秘密は、侵してはならない。


(居住、移転及び職業選択等の自由等)
第二十二条
何人も、居住、移転及び職業選択の自由を有する。    ←「公共の福祉」の文言が落ちています。ここでは、落としてはなりません!
2 全て国民は、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を有する。


(財産権)
第二十九条 財産権は、保障する。
2 財産権の内容は、公益及び公の秩序に適合するように、法律で定める。この場合において、知的財産権については、国民の知的創造力の向上に資するように配慮しなければならない。
3 私有財産は、正当な補償の下に、公共のために用いることができる。

**********  

 公共の福祉削除の狙い撃ちは、かなり意図的であり、悪質です。  
 単に言葉だけとか、そんな生易しい問題ではありません。  

 11条でのべた、「ナチスに学べ」という麻生発言の意図が、ここにも表れています。
 麻生氏が、「だから、静かにやろうやと。憲法は、ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気づかないで変わった。あの手口学んだらどうかね。 わーわー騒がないで。本当に、みんないい憲法と、みんな納得して、あの憲法変わっているからね。」と発言されたことの真意が、この「公共の福祉」の削除でも出ています。  

 と言いますか、麻生氏の「ナチスに学べ」という発言を聞いたとき、瞬時に、この自民党案の「公共の福祉」の削除に思い当たりました。
 麻生氏が、本心で発言していることが、たやすく想像できました。
 
 日本国憲法における基本的人権の制約する文言である「公共の福祉」が、「だれも気づかない手口」で削除され、代わりに「公の秩序」に置き換えられています。

 

 いつも冷静に書いているつもりですが、「公共の福祉」の削除だけは、冷静さを保つのに苦労します。  

 皆さん、私達の幸せが奪われないように、声を挙げて下さい。

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人権と公共の福祉による制限(一元的内在的制約説)、比較衡量論・二重の基準論の考え方

2013-08-12 00:00:01 | 国政レベルでなすべきこと
 自民党改憲草案の問題点の分析。
 12条、13条に入って行く場合、その問題点を理解する前段階として、知っておくべき知識を整理しておきます。

 最も大事なのは「公共の福祉」という概念の理解です。


 芦部『憲法』第6章 一 人権と公共の福祉 に関連しています。

(かつてのブログ http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/33390458deb2934ce75fe02eaf1c303e)
*********************
Q君
 人権が制約される局面として、どんな場合がありますか。


A先生
 次の3つの場合に想定されます。
1)権利行使が他者に害を与える場合。
2)権利行使が他者の正当な権利ないしは利益と衝突する場合。
3)権利行使が社会全体の利益にとってマイナスになる場合。

 それぞれの場合を具体例を挙げてみます。

1)権利行使が他者に害を与える場合。
 政治団体の街宣車がフルボリュームで、音楽を流すことは、彼らの表現の自由の行使ではあるが、市街地の平穏を乱し、市民に不快感を与えていることから、他者に害を与えている。人権は、まず、他者に迷惑をかけてはならない、という制約がある。

2)権利行使が他者の正当な権利ないしは利益と衝突する場合。
 マスコミが、有名人のプライバシーや名誉を傷つける報道を行う場合は、マスコミの表現の自由(報道の自由)と有名人のプライバシーが衝突する。表現の自由もプライバシーもともに、極めて重要な人権である。

3)権利行使が社会全体の利益にとってマイナスになる場合。
 空港や高速道路を建設する際には、その用地を買収しなければならないところ、地権者が用地買収に協力してくれない場合は、建設が遅れ、社会全体に大きな不利益を与える場合がある。


Q君
 憲法で、公共の福祉の制限がついている条文とは。


A先生
12条・13条・22条・29条

第十二条  この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

第十三条  すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

第二十二条  何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
○2  何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。

第二十九条  財産権は、これを侵してはならない。
○2  財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
○3  私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。


Q君
 一元的外在的制約説とは何ですか。

A先生
 人権に内在する制約ではなく、公共の福祉という、「社会全体の利益や要請」を理由にして人権の制約を正当化する説です。

 いわば、人権を制約する側の公権力が、国民に有無を言わせずに、公共の福祉を人権制約の「ジョーカー(切り札)」として用いることを可能にする説であります。
 切り札としての人権の逆であると考えるとわかりやすいです。
 この考え方をとると、容易に人権制約が正当化される恐れがあります。

Q君
 一元的外在的制約説をとった場合、「ひいては、明治憲法における「法律の留保」のついた人権保障と同じことになってしまわないか」とはどういう意味ですか。

A先生
 法律の留保は、法律に根拠がある限り人権をかなりの程度、制約することができますが、この一元的外在的制約説でも、公共の福祉という言葉を根拠にすれば、人権を制約することができることを意味します。



Q君
 内在・外在二元的制約説とは何ですか。


A先生
 以下、三つの考え方です。
1)12・13条は訓示的規定で裁判規範にならない。
2)22・29条と社会権は公共の福祉による制限(外在的制約)を受ける。
3)上記以外の人権は、内在的制約のみを受ける。



Q君
 一元的内在的制約説とは何ですか。

A先生
 以下の考え方です。
 1)公共の福祉とは、人権相互の矛盾・衝突を調整するための実質的公平の原理である。
   注 社会権でさえも、それを厚く保障すると他者の経済的自由と衝突する。
     税率のアップは、財産権の行使を制約するからである。
 2)公共の福祉は、すべての人権に内在する。
 3)自由権を各人に公平に保障するために人権制約を根拠づけるときは、必要最小限の規制を認める。
 4)社会権を保障するために、自由権を規制するときは、必要な限度の規制を認める。


Q君
 比較衡量論と公共の福祉はどういう関係にあるのですか。

A先生

 比較衡量論は、人権相互の矛盾衝突の調節という公共の福祉原理を具体化し、人権の限界を明確にするために存在します。(芦部憲法�P208)


Q君
 比較衡量論における、A「それ(ある自由)を制限されることによって得られる利益」とB「それを制限しない場合に維持される利益」を、判例ではどのように認定していますか。


A先生
 博多駅事件(判例集�-4-33)を具体的に考えてみます。

 Aの「制限されることによって得られる利益」は、公正な刑事裁判の実現です。

 一方、Bのそれを制限しない場合に維持される利益は、「報道の自由」であり、ひいては、「将来の取材の自由が妨げられるおそれ」であります。

 なお、判例は、報道の自由そのもの妨げられるとは述べていません。


Q君
 比較衡量論の問題点とは、


A先生
 比較の基準が明確ではなく、また、何を利益として拾い上げるかが、裁判所の裁量にゆだねられていることです。

 たとえば、上述の博多駅事件で、Bの利益を判例は、将来の取材活動が妨げられるおそれとしているが、報道の自由そのものとか、取材活動ができなくなるという不利益というように重くとることもできるはずであるが、判決では、狭くとっています。

 さらに、国の利益が重く認定される可能性があることです。
 そうすると、結局は、法律の留保論=一元的外在制約説と、実質的に変わらない論理構成になってしまいます。



Q君
 二重の基準論とは?


A先生
 「裁判所が議会の制定した法律の合憲性を審査する場合には、表現の自由を制約する立法と経済的自由を制約する立法では、異なる態度で挑むべきである」という理論です。


Q君
 二重の基準論を用いた場合、表現の自由以外の一般的な自由は、合憲性の推定を受けると言われています。
 「合憲性推定」とは?


A先生
 合憲性の推定とは、立法府の下した判断に合理性があるということから来ています。
 これは、選挙を経て、民意が反映され、国会という公開された場所で十分な討論を経て成立した立法には、おそらく、関与する行政の立法作業も含めて、ある程度の合理性が存在するであろうと、推定できるという姿勢です。
 逆に言えば、裁判所は高度な経済問題などには、審査能力や判断能力が十分でないことが指摘できます。


Q君
 では、表現の自由には、合憲性の推定が働かず、裁判所は違憲が疑われる立法については、厳しく審査すべきであるとされています。
 なぜですか。

A先生
 表現の自由は、傷つきやすく、かつ、いったん傷つくと自己回復が困難であることからきています。

 傷ついた表現の自由は、萎縮し収縮する方向に進んでいきます。

 治安維持法ができる前は、治安維持法についての批判をすることが可能であるが、いったん同法制定されると、表現の自由を収縮・萎縮させる同法に対する批判をすることが禁じられることから、表現活動がさらに、収縮する方向に進んでいきました。


Q君
 二重の基準論の考え方に関連して、裁判所の役割を考え直すと。


A先生

 裁判所は、以下の三点について基本的な役割を担うものであると考えられます。

 �選挙権・政治的表現の自由のような民主主義の基盤を維持するために必要な自由を保障する。
 �マイノリティーの権利を保障する。マイノリティーは、票も政治資金もなく、政治過程において発言力がないから。
 �信教の自由・思想良心の自由のような、人格的生存に係る権利を保障する。


以上


*****小坂メモ*****
 

�テキストP101~P102の�の記述の意味を説明しなさい。
 表現の自由中では、政治的表現の自由・集会結社の自由が最も厳しい基準(厳格審査)で審査すべきものであり、表現内容中立規制がこれに続く(中間審査)。しかし、わいせつ表現・プライバシーを侵害する表現・差別的言論・商業的言論(CMや広告など)などに対する規制立法は、厳格な審査はなされない。一方、経済的自由のうち、消極的規制については、表現の自由の表現内容中立規制と同程度の審査基準が適用する。テキストの意味は、この部分は、表現の自由と経済的自由の審査基準は重なっていることを指す。
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憲法11条、国家主義を目指す自民案では、基本的人権の保障は都合が悪いようです。特に人権の固有性。

2013-08-11 19:34:52 | 国政レベルでなすべきこと

 一日一条ずつ、自民党改憲案の問題点を考えています。

 昨日から、第三章の人権規定「国民の権利及び義務」に入りました。


************
日本国憲法
(基本的人権の享有)
第十一条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。


自民案
(基本的人権の享有)
第十一条 国民は、全ての基本的人権を享有する。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利である。
************

 今日は、憲法11条。11条は、人権保障の総則的規定です。
 基本的人権の享有主体と、基本的人権の保障の意義についてうたっています。

 すなわち、基本的人権の享有主体は、国民であり、基本的人権の保障の意義が、その固有性、不可侵性、普遍性があるがゆえに保障すべきものと意義づけられるとしています。

 固有性:人権が憲法や天皇から恩恵として与えられたものではなく、人間であることにより当然に有するとされる権利であること。

 不可侵性:人権が、原則として、公権力によって侵されないこと。行政権はもとより、立法権も、さあらに憲法改正権も侵すことはできない。

 普遍性:人権は、人種、性、身分などの区別に関係なく、人間であることに基づいて当然に享有できる権利であること。


 日本国憲法の条文を見ることで再度確認します。


第十一条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない普遍性)。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利不可侵性)として、現在及び将来の国民に与へられる固有性、人間が生まれながらに有するということ)。


 自民党案を次に。

第十一条 国民は、全ての基本的人権を享有する。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利である。


 私は、基本的人権を守るという真摯な思いが、自民党案に感じられません。
 それは、重要な文言を削除しているからです。

1)基本的人権の「普遍性」が自民案では弱まっている
現行憲法
国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない
 ↓
自民案
国民は、全ての基本的人権を享有する

 単に享有するだけでなく、享有を妨げられないところに意味があると思います。
 自民案では、こっそりと重要文言を落としています。

2)基本的人権の「固有性」が自民案では、ない。
現行憲法
現在及び将来の国民に与へられる。
 ↓
自民案
(削除)

 憲法以前に、私たちは人間として固有の権利をもっています。それを文字で表したのが、憲法です。「実定的な法的権利」として確認したのが憲法です。
 「人間の固有の尊厳に由来する」のが基本的人権です。

 このような重要な「固有性」の観念を、自民案では削除しています。
 考えられないことです。

 なお、このことは、単に文言を整理していたら、たまたま落ちたとかいうレベルの話ではなく、自民案では意図して行っていることが分かります。

 日本国憲法が、人権を、「信託されたもの」であるとして人権の固有性を謳った重要な憲法97条も、自民案では、こっそり削除しています。

現行憲法97条
第九十七条  この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。
 ↓
自民案
(97条自体を削除)

3)麻生氏の「ナチスに学べ」発言が意図していたものが、憲法11条、97条にも表れています。
 麻生氏が、「だから、静かにやろうやと。憲法は、ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気づかないで変わった。あの手口学んだらどうかね。 わーわー騒がないで。本当に、みんないい憲法と、みんな納得して、あの憲法変わっているからね。」と発言されたことの真意が、憲法11条の変更、97条の削除でも出ています。

 日本国憲法における基本的人権の重要な観念である「固有性」が、自民案では、「誰にも気づかないような手口」で、落とされています。

以上



 いままで、1条から11条まで自民案を見て来て分かることは、

 自民案は、

○象徴天皇制を否定する

○戦争の放棄を否定する

○基本的人権の保障よりも、国家主義

 その意図が含まれているということを私は強く感じます。

 基本的人権の保障は、私たちひとりひとりに直接影響が出る話です。
 第三章に入り、特に注意して自民案の問題点を、考えて行きたいと思います。

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8月10日中央区主催東京湾大華火祭観客動員約65万人 救護活動の振り返り

2013-08-11 10:24:43 | 医療

 開業来、ほぼ毎年、続けていることのひとつに、東京湾大華火祭の医療協力があります。
 今年は、去年に引き続き「豊海会場救護所」に出動。

 出動のときにいつも頭に置いておくのは、大災害時のひとがたくさん集まった場のシミュレーションです。


 まず、教えていただきたいことがあります。

【今後の現場救護活動の参考に教えて下さい。】
8月10日東京湾大華火祭が中央区主催で開催。救護所に医師として出動。救急搬送10台以上なされたと思います。
1)受け入れ先病院で混乱は生じたでしょうか?
2)中央区周辺では、通常の救急搬送要請に時間がかかるような事態は生じたでしょうか?
ご存知の方がおられれば、状況をメール(kazuki.kosaka@e-kosaka.jp)などで教えていただければ幸いです。



 昨日2013年8月10日は、最も救護所が荒れた年のひとつだったと感じます。




 振り返りとして、今後の安全安心な花火大会運営の考える参考に記載します。

 ⇒は、今後の対応の有り方等


 〇救護所水銀血圧計が故障していた。クリニックに戻り、血圧計をもってきて対応。
  ⇒使用機材に故障等ないか事前のチェックを。

 〇去年に引き続き、「豊海公園入口だれでもトイレ」閉じ込め事故発生。
  去年は、閉じ込められていたドアを開けたら、誰もいなかった。
  今年も、一度、閉じ込められていたドアを開けたら、誰もいなかった。
  再度、閉じ込められていたドアを開けたら、泥酔した女性が倒れており、救急搬送。
  ⇒二年連続「閉じ込め」のトラブルが発生し、実際に閉じ込められていたひとがいたわけであり、絶対に使用禁止とできるようなさらなる対応が必要。

 〇過換気症候群の患者、多し。
  ⇒安定剤効用の内服薬も常備することの是非。
   ペーパーバッグはするとして(効果の是非の議論はあるとしても、効く患者がいることも確か)。

 〇毎年、気にはなっているが、中央区会場から救急搬送は10台以上あった。
  ⇒1)受け入れ先病院の受け入れ態勢は大丈夫であったか?通常救急診療に支障をきたさなかったか?

   2)花火大会中から終了後2時間経過の間とくに、通常の救急搬送要請で、時間がかかる事態は生じなかったか?

  ⇒救急搬送と転機の記録が集計されたものの点検を。

  ⇒もし、受け入れ先病院や通常の救急搬送要請に、影響が出ているようなら、現場救護所で、もう少し、治療介入をすることも考えてもよいかもしれない。
   過換気症候群、軽度脱水などの急病者への点滴治療の介入。
   華火大会の対応のために、通常の重症急病者のリスクを高めるわけにはいかない。

 
 〇担当の豊海会場が落ち着いたため、21:30に会場を離れ帰宅。その後、所属消防団の分団長から携帯に21:56電話があり、晴海会場で急病人がいるとの連絡。救急搬送依頼をするが小一時間待っているとのこと。急きょ、現場に向かうが、同時に救急車も到着し、引き渡し。
  ⇒豊海が落ち着いていても、他会場にも気を配ること。

 〇豊海会場には、高齢者クラブ招待席もあり、そこからの搬送者一名あり。
  ⇒このような暑い日は、とりようがないが、なんか策はないか。

 〇OS-1ドリンクを置いたのは正解。
  ⇒今後は、OS-1ゼリーも。見回り消防団に、「OS-1ゼリー」や「うめぼし」を持っていただき、熱中症、脱水などの急病者対応に、使っていただいてはどうか。

*****以下、資料***********










 



以上

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認知症男性、線路内列車接触事故で死亡 電車遅れで遺族に損賠命令 720万円 9日名古屋地裁判決上田哲裁判長

2013-08-11 10:02:30 | NPO・地域力

 ひっかかるため、掲載します。

 認知症の夫であり父は、列車にひかれています。
 ご家族は、被害者でも有られます。

 一方的な過失責任が家族にだけあるのだろうか。(判決文を読んでいませんが、過失相殺してこの結果なのか?)

 ひとが線路内に入っているのを避けることができなかった列車運転手の過失責任、ひとが線路内にはいったことを見逃した駅員の過失責任、ひとが入らないように防護措置を講じるべきJR東海側の過失責任、認知症のひとが危険な場所にはいらないように見守る社会の責任…
 さまざまなセーフティーネットが機能しなかったことにより生じた不幸な事件のような気がいたします。

 こころからご冥福をお祈り申し上げます。



*****日経新聞(2013/08/11)****
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFD0902J_Z00C13A8CN8000/ 
認知症男性、線路に入り死亡 電車遅れで遺族に損賠命令
2013/8/10 2:12

 認知症の男性(当時91)が線路内に立ち入り電車と接触した死亡事故で、家族らの安全対策が不十分だったとして、JR東海が遺族らに列車が遅れたことに関する損害賠償を求めた訴訟の判決で、名古屋地裁(上田哲裁判長)は9日、男性の妻と長男に請求全額にあたる約720万円を支払うよう命じた。

 判決によると、男性は2007年12月、愛知県大府市のJR共和駅の線路に入り、東海道本線の列車と衝突して死亡。男性は同年の2月に「常に介護が必要」とされる「認知症高齢者自立度4」と診断されていた。

 上田裁判長は、同居していた妻が目を離した隙に男性が外出し、事故が発生したとして「妻には見守りを怠った過失がある」と認定。別居している長男についても「事実上の監督者」とし、「徘徊(はいかい)を防止する適切な措置を講じていなかった」とした。

 男性の家族らは、妻は事故当時85歳で、常時監視することが不可能だったなどと主張。しかし上田裁判長は、介護ヘルパーを依頼するなどの措置をとらなかったと指摘。「男性の介護体制は、介護者が常に目を離さないことが前提となっており、過失の責任は免れない」とした。

********************

コメント (3)
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