今、日本は、とてもおかしな方向に、向かおうとしています。
憲法学や立憲主義をご理解しない一部政治家が先導して、進めています。
メディアの皆さん、どうか、対抗してください。
以下、デスクのご意見に賛同します。
ネットでの表現行為で、名誉棄損罪が成立した事案(最高裁平成22.3.15)があります。
名誉棄損となるおそれのある表現行為では、
〇公共の利害に関する事実の公表であること
〇公益目的であること
〇事実が真実であること
なら、名誉棄損罪は成立しません。
あるいは、
〇公共の利害に関する事実の好評であること
〇公益目的であること
〇事実が真実でなくとも、事実が真実と信ずべき相当の理由がある場合、
その表現行為には、故意過失がなく、違法性がないとして、名誉棄損罪が成立しません。
ただ、個人であっても、特に容赦なく、ネット上の名誉棄損罪はありうることを忘れてはなりません。
ネットは、便利だけれど、その便利さゆえに、容易に深刻な名誉棄損の危害を加えうる道具です。
*****刑法*****
第三十四章 名誉に対する罪
(名誉毀損)
第二百三十条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
2 死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。
(公共の利害に関する場合の特例)
第二百三十条の二 前条第一項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
2 前項の規定の適用については、公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなす。
3 前条第一項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
(侮辱)
第二百三十一条 事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。
(親告罪)
第二百三十二条 この章の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
2 告訴をすることができる者が天皇、皇后、太皇太后、皇太后又は皇嗣であるときは内閣総理大臣が、外国の君主又は大統領であるときはその国の代表者がそれぞれ代わって告訴を行う。
************
以下、名誉棄損罪が成立した事案(最高裁平成22.3.15)を見て行きます。
<事案の概要>
被告人は,フランチャイズによる飲食店「ラーメン甲」の加盟店等の募集及び経
営指導等を業とする乙株式会社(平成14年7月1日に「株式会社甲食品」から商
号変更)の名誉を毀損しようと企て,平成14年10月18日ころから同年11月
12日ころまでの間,東京都大田区内の被告人方において,パーソナルコンピュー
タを使用し,インターネットを介して,プロバイダーから提供されたサーバーのデ
ィスクスペースを用いて開設した「丙観察会逝き逝きて丙」と題するホームペー
ジ内のトップページにおいて,
「インチキFC甲粉砕!」,
「貴方が『甲』で食事をすると,飲食代の4~5%がカルト集団の収入になります。」
などと,
同社がカルト集団である旨の虚偽の内容を記載した文章を掲載し,
また,
同ホームページの同社の会社説明会の広告を引用したページにおいて,その下段に
「おいおい,まと
もな企業のふりしてんじゃねえよ。この手の就職情報誌には,給料のサバ読みはよ
くあることですが,ここまで実態とかけ離れているのも珍しい。教祖が宗教法人の
ブローカーをやっていた右翼系カルト『丙』が母体だということも,FC店を開く
ときに,自宅を無理矢理担保に入れられるなんてことも,この広告には全く書かれ
ず,『店が持てる,店長になれる』と調子のいいことばかり。」
と,
同社が虚偽の広告をしているがごとき内容を記載した文章等を掲載し続け,
これらを不特定多数の者の閲覧可能な状態に置き,もって,公然と事実を摘示して乙株式会社の名誉を
毀損した(以下,被告人の上記行為を「本件表現行為」という。)。
<最高裁の判断>
個人利用者がインターネット上に掲載したものであるからといって,おしなべて,閲覧者において信頼性の低い情報として受け取るとは限らないのであって,相当の理由の存否を判断するに際し,これを一律に,個人が他の表現手
段を利用した場合と区別して考えるべき根拠はない。
そして,
インターネット上に載せた情報は,
不特定多数のインターネット利用者が瞬時に閲覧可能であり,
これによる名誉毀損の被害は時として深刻なものとなり得ること,
一度損なわれた名誉の回復は容易ではなく,
インターネット上での反論によって十分にその回復が図られる保証があるわけでもないことなどを考慮すると,
インターネットの個人利用者による表現行為の場合においても,
他の場合と同様に,行為者が摘示した事実を真実であると誤信したことについて,確実な資料,根拠に照らして相当の理由があると認められるときに限り,名誉毀損罪は成立しないものと解するのが相当であって,
より緩やかな要件で同罪の成立を否定すべきものとは解されない(最高裁昭和
41年(あ)第2472号同44年6月25日大法廷判決・刑集23巻7号975
頁参照)。
これを本件についてみると,
原判決の認定によれば,被告人は,
商業登記簿謄本,
市販の雑誌記事,
インターネット上の書き込み,
加盟店の店長であった者から受信したメール等の資料に基づいて,
摘示した事実を真実であると誤信して本件表現行為を行ったものであるが,
このような資料の中には一方的立場から作成されたにすぎないものもあること,
フランチャイズシステムについて記載された資料に対する被告人の理解が不正確であったこと,
被告人が乙株式会社の関係者に事実関係を確認することも一切なかったことなどの事情が認められるというのである。
以上の事実関係の下においては,被告人が摘示した事実を真実であると誤信したことについて,
確実な資料,根拠に照らして相当の理由があるとはいえないから,これと同旨の原判断は正当である。
******最高裁ホームページより***********************
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20100317094900.pdf
主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人紀藤正樹ほかの上告趣意は,憲法違反,判例違反をいう点を含め,実質は
単なる法令違反,事実誤認の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらな
い。
なお,所論にかんがみ,インターネットの個人利用者による表現行為と名誉毀損
罪の成否について,職権で判断する。
1 原判決が認定した罪となるべき事実の要旨は,次のとおりである。
被告人は,フランチャイズによる飲食店「ラーメン甲」の加盟店等の募集及び経
営指導等を業とする乙株式会社(平成14年7月1日に「株式会社甲食品」から商
号変更)の名誉を毀損しようと企て,平成14年10月18日ころから同年11月
12日ころまでの間,東京都大田区内の被告人方において,パーソナルコンピュー
タを使用し,インターネットを介して,プロバイダーから提供されたサーバーのデ
ィスクスペースを用いて開設した「丙観察会逝き逝きて丙」と題するホームペー
ジ内のトップページにおいて,「インチキFC甲粉砕!」,「貴方が『甲』で食事
をすると,飲食代の4~5%がカルト集団の収入になります。」などと,同社がカ
ルト集団である旨の虚偽の内容を記載した文章を掲載し,また,同ホームページの
同社の会社説明会の広告を引用したページにおいて,その下段に「おいおい,まと
もな企業のふりしてんじゃねえよ。この手の就職情報誌には,給料のサバ読みはよ
くあることですが,ここまで実態とかけ離れているのも珍しい。教祖が宗教法人の
ブローカーをやっていた右翼系カルト『丙』が母体だということも,FC店を開く
- 2 -
ときに,自宅を無理矢理担保に入れられるなんてことも,この広告には全く書かれ
ず,『店が持てる,店長になれる』と調子のいいことばかり。」と,同社が虚偽の
広告をしているがごとき内容を記載した文章等を掲載し続け,これらを不特定多数
の者の閲覧可能な状態に置き,もって,公然と事実を摘示して乙株式会社の名誉を
毀損した(以下,被告人の上記行為を「本件表現行為」という。)。
原判決は,被告人は,公共の利害に関する事実について,主として公益を図る目
的で本件表現行為を行ったものではあるが,摘示した事実の重要部分である,乙株
式会社と丙とが一体性を有すること,そして,加盟店から乙株式会社へ,同社から
丙へと資金が流れていることについては,真実であることの証明がなく,被告人が
真実と信じたことについて相当の理由も認められないとして,被告人を有罪とした
ものである。
2 所論は,被告人は,一市民として,インターネットの個人利用者に対して要
求される水準を満たす調査を行った上で,本件表現行為を行っており,インターネ
ットの発達に伴って表現行為を取り巻く環境が変化していることを考慮すれば,被
告人が摘示した事実を真実と信じたことについては相当の理由があると解すべきで
あって,被告人には名誉毀損罪は成立しないと主張する。
しかしながら,個人利用者がインターネット上に掲載したものであるからといっ
て,おしなべて,閲覧者において信頼性の低い情報として受け取るとは限らないの
であって,相当の理由の存否を判断するに際し,これを一律に,個人が他の表現手
段を利用した場合と区別して考えるべき根拠はない。そして,インターネット上に
載せた情報は,不特定多数のインターネット利用者が瞬時に閲覧可能であり,これ
による名誉毀損の被害は時として深刻なものとなり得ること,一度損なわれた名誉
- 3 -
の回復は容易ではなく,インターネット上での反論によって十分にその回復が図ら
れる保証があるわけでもないことなどを考慮すると,インターネットの個人利用者
による表現行為の場合においても,他の場合と同様に,行為者が摘示した事実を真
実であると誤信したことについて,確実な資料,根拠に照らして相当の理由がある
と認められるときに限り,名誉毀損罪は成立しないものと解するのが相当であっ
て,より緩やかな要件で同罪の成立を否定すべきものとは解されない(最高裁昭和
41年(あ)第2472号同44年6月25日大法廷判決・刑集23巻7号975
頁参照)。これを本件についてみると,原判決の認定によれば,被告人は,商業登
記簿謄本,市販の雑誌記事,インターネット上の書き込み,加盟店の店長であった
者から受信したメール等の資料に基づいて,摘示した事実を真実であると誤信して
本件表現行為を行ったものであるが,このような資料の中には一方的立場から作成
されたにすぎないものもあること,フランチャイズシステムについて記載された資
料に対する被告人の理解が不正確であったこと,被告人が乙株式会社の関係者に事
実関係を確認することも一切なかったことなどの事情が認められるというのであ
る。以上の事実関係の下においては,被告人が摘示した事実を真実であると誤信し
たことについて,確実な資料,根拠に照らして相当の理由があるとはいえないか
ら,これと同旨の原判断は正当である。
よって,刑訴法414条,386条1項3号により,裁判官全員一致の意見で,
主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官白木勇裁判官宮川光治裁判官櫻井龍子裁判官
金築誠志裁判官横田尤孝)
名誉棄損となるおそれのある表現行為では、
〇公共の利害に関する事実の公表であること
〇公益目的であること
〇事実が真実であること
なら、名誉棄損罪は成立しません。
あるいは、
〇公共の利害に関する事実の好評であること
〇公益目的であること
〇事実が真実でなくとも、事実が真実と信ずべき相当の理由がある場合、
その表現行為には、故意過失がなく、違法性がないとして、名誉棄損罪が成立しません。
ただ、個人であっても、特に容赦なく、ネット上の名誉棄損罪はありうることを忘れてはなりません。
ネットは、便利だけれど、その便利さゆえに、容易に深刻な名誉棄損の危害を加えうる道具です。
*****刑法*****
第三十四章 名誉に対する罪
(名誉毀損)
第二百三十条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
2 死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。
(公共の利害に関する場合の特例)
第二百三十条の二 前条第一項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
2 前項の規定の適用については、公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなす。
3 前条第一項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
(侮辱)
第二百三十一条 事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。
(親告罪)
第二百三十二条 この章の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
2 告訴をすることができる者が天皇、皇后、太皇太后、皇太后又は皇嗣であるときは内閣総理大臣が、外国の君主又は大統領であるときはその国の代表者がそれぞれ代わって告訴を行う。
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以下、名誉棄損罪が成立した事案(最高裁平成22.3.15)を見て行きます。
<事案の概要>
被告人は,フランチャイズによる飲食店「ラーメン甲」の加盟店等の募集及び経
営指導等を業とする乙株式会社(平成14年7月1日に「株式会社甲食品」から商
号変更)の名誉を毀損しようと企て,平成14年10月18日ころから同年11月
12日ころまでの間,東京都大田区内の被告人方において,パーソナルコンピュー
タを使用し,インターネットを介して,プロバイダーから提供されたサーバーのデ
ィスクスペースを用いて開設した「丙観察会逝き逝きて丙」と題するホームペー
ジ内のトップページにおいて,
「インチキFC甲粉砕!」,
「貴方が『甲』で食事をすると,飲食代の4~5%がカルト集団の収入になります。」
などと,
同社がカルト集団である旨の虚偽の内容を記載した文章を掲載し,
また,
同ホームページの同社の会社説明会の広告を引用したページにおいて,その下段に
「おいおい,まと
もな企業のふりしてんじゃねえよ。この手の就職情報誌には,給料のサバ読みはよ
くあることですが,ここまで実態とかけ離れているのも珍しい。教祖が宗教法人の
ブローカーをやっていた右翼系カルト『丙』が母体だということも,FC店を開く
ときに,自宅を無理矢理担保に入れられるなんてことも,この広告には全く書かれ
ず,『店が持てる,店長になれる』と調子のいいことばかり。」
と,
同社が虚偽の広告をしているがごとき内容を記載した文章等を掲載し続け,
これらを不特定多数の者の閲覧可能な状態に置き,もって,公然と事実を摘示して乙株式会社の名誉を
毀損した(以下,被告人の上記行為を「本件表現行為」という。)。
<最高裁の判断>
個人利用者がインターネット上に掲載したものであるからといって,おしなべて,閲覧者において信頼性の低い情報として受け取るとは限らないのであって,相当の理由の存否を判断するに際し,これを一律に,個人が他の表現手
段を利用した場合と区別して考えるべき根拠はない。
そして,
インターネット上に載せた情報は,
不特定多数のインターネット利用者が瞬時に閲覧可能であり,
これによる名誉毀損の被害は時として深刻なものとなり得ること,
一度損なわれた名誉の回復は容易ではなく,
インターネット上での反論によって十分にその回復が図られる保証があるわけでもないことなどを考慮すると,
インターネットの個人利用者による表現行為の場合においても,
他の場合と同様に,行為者が摘示した事実を真実であると誤信したことについて,確実な資料,根拠に照らして相当の理由があると認められるときに限り,名誉毀損罪は成立しないものと解するのが相当であって,
より緩やかな要件で同罪の成立を否定すべきものとは解されない(最高裁昭和
41年(あ)第2472号同44年6月25日大法廷判決・刑集23巻7号975
頁参照)。
これを本件についてみると,
原判決の認定によれば,被告人は,
商業登記簿謄本,
市販の雑誌記事,
インターネット上の書き込み,
加盟店の店長であった者から受信したメール等の資料に基づいて,
摘示した事実を真実であると誤信して本件表現行為を行ったものであるが,
このような資料の中には一方的立場から作成されたにすぎないものもあること,
フランチャイズシステムについて記載された資料に対する被告人の理解が不正確であったこと,
被告人が乙株式会社の関係者に事実関係を確認することも一切なかったことなどの事情が認められるというのである。
以上の事実関係の下においては,被告人が摘示した事実を真実であると誤信したことについて,
確実な資料,根拠に照らして相当の理由があるとはいえないから,これと同旨の原判断は正当である。
******最高裁ホームページより***********************
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20100317094900.pdf
主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人紀藤正樹ほかの上告趣意は,憲法違反,判例違反をいう点を含め,実質は
単なる法令違反,事実誤認の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらな
い。
なお,所論にかんがみ,インターネットの個人利用者による表現行為と名誉毀損
罪の成否について,職権で判断する。
1 原判決が認定した罪となるべき事実の要旨は,次のとおりである。
被告人は,フランチャイズによる飲食店「ラーメン甲」の加盟店等の募集及び経
営指導等を業とする乙株式会社(平成14年7月1日に「株式会社甲食品」から商
号変更)の名誉を毀損しようと企て,平成14年10月18日ころから同年11月
12日ころまでの間,東京都大田区内の被告人方において,パーソナルコンピュー
タを使用し,インターネットを介して,プロバイダーから提供されたサーバーのデ
ィスクスペースを用いて開設した「丙観察会逝き逝きて丙」と題するホームペー
ジ内のトップページにおいて,「インチキFC甲粉砕!」,「貴方が『甲』で食事
をすると,飲食代の4~5%がカルト集団の収入になります。」などと,同社がカ
ルト集団である旨の虚偽の内容を記載した文章を掲載し,また,同ホームページの
同社の会社説明会の広告を引用したページにおいて,その下段に「おいおい,まと
もな企業のふりしてんじゃねえよ。この手の就職情報誌には,給料のサバ読みはよ
くあることですが,ここまで実態とかけ離れているのも珍しい。教祖が宗教法人の
ブローカーをやっていた右翼系カルト『丙』が母体だということも,FC店を開く
- 2 -
ときに,自宅を無理矢理担保に入れられるなんてことも,この広告には全く書かれ
ず,『店が持てる,店長になれる』と調子のいいことばかり。」と,同社が虚偽の
広告をしているがごとき内容を記載した文章等を掲載し続け,これらを不特定多数
の者の閲覧可能な状態に置き,もって,公然と事実を摘示して乙株式会社の名誉を
毀損した(以下,被告人の上記行為を「本件表現行為」という。)。
原判決は,被告人は,公共の利害に関する事実について,主として公益を図る目
的で本件表現行為を行ったものではあるが,摘示した事実の重要部分である,乙株
式会社と丙とが一体性を有すること,そして,加盟店から乙株式会社へ,同社から
丙へと資金が流れていることについては,真実であることの証明がなく,被告人が
真実と信じたことについて相当の理由も認められないとして,被告人を有罪とした
ものである。
2 所論は,被告人は,一市民として,インターネットの個人利用者に対して要
求される水準を満たす調査を行った上で,本件表現行為を行っており,インターネ
ットの発達に伴って表現行為を取り巻く環境が変化していることを考慮すれば,被
告人が摘示した事実を真実と信じたことについては相当の理由があると解すべきで
あって,被告人には名誉毀損罪は成立しないと主張する。
しかしながら,個人利用者がインターネット上に掲載したものであるからといっ
て,おしなべて,閲覧者において信頼性の低い情報として受け取るとは限らないの
であって,相当の理由の存否を判断するに際し,これを一律に,個人が他の表現手
段を利用した場合と区別して考えるべき根拠はない。そして,インターネット上に
載せた情報は,不特定多数のインターネット利用者が瞬時に閲覧可能であり,これ
による名誉毀損の被害は時として深刻なものとなり得ること,一度損なわれた名誉
- 3 -
の回復は容易ではなく,インターネット上での反論によって十分にその回復が図ら
れる保証があるわけでもないことなどを考慮すると,インターネットの個人利用者
による表現行為の場合においても,他の場合と同様に,行為者が摘示した事実を真
実であると誤信したことについて,確実な資料,根拠に照らして相当の理由がある
と認められるときに限り,名誉毀損罪は成立しないものと解するのが相当であっ
て,より緩やかな要件で同罪の成立を否定すべきものとは解されない(最高裁昭和
41年(あ)第2472号同44年6月25日大法廷判決・刑集23巻7号975
頁参照)。これを本件についてみると,原判決の認定によれば,被告人は,商業登
記簿謄本,市販の雑誌記事,インターネット上の書き込み,加盟店の店長であった
者から受信したメール等の資料に基づいて,摘示した事実を真実であると誤信して
本件表現行為を行ったものであるが,このような資料の中には一方的立場から作成
されたにすぎないものもあること,フランチャイズシステムについて記載された資
料に対する被告人の理解が不正確であったこと,被告人が乙株式会社の関係者に事
実関係を確認することも一切なかったことなどの事情が認められるというのであ
る。以上の事実関係の下においては,被告人が摘示した事実を真実であると誤信し
たことについて,確実な資料,根拠に照らして相当の理由があるとはいえないか
ら,これと同旨の原判断は正当である。
よって,刑訴法414条,386条1項3号により,裁判官全員一致の意見で,
主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官白木勇裁判官宮川光治裁判官櫻井龍子裁判官
金築誠志裁判官横田尤孝)
野党時と与党時で、
言うこと変えていたら、政治家は信頼されません。
時代や潮流自体は、変わっていくものです。
もし、言うことを変えるのであれば、
そのことをきちんと説明していく責任があります。
法曹倫理 Spaulding caseを考える。
第1 被告弁護士の倫理的義務違反について
1、被告弁護士は、倫理的義務に違反するか
ミネソタ州最高裁判所は、原告スポールディング側提起した損害賠償請求訴訟に対して、被告側の代理人となった弁護士(以下、「被告弁護士」という。)の倫理的義務に関して、「倫理や法的義務の規定は被告に不利な事実を原告又は原告の弁護士に知らせたり裁判所に通知することを要求していないが、当時の和解が大動脈瘤を考慮したものではないことが明確になった以上、裁判所は和解を無効とすることができる。」と判示している。(和解は、無効であるということであるが、そのまま訴訟が係属して判決が出された場合は、その判決まで無効ということまでいうのかは明らかではない。また、和解がなされたときは、スポールディングは未成年であった。もし、成人であったとしたら、同様の結論であったかも不明である。)
上記判示は、倫理義務違反はないとしているが、日本の弁護士倫理の考え方に沿うのであれば、被告弁護士は、倫理的義務に反していたと私は考える。
以下、その理由を考えて行く。
2、弁護士の誠実義務
弁護士は、誠実義務を有している。弁護士法1条が、第1項で、弁護士の使命が基本的人権の擁護と、社会正義の実現にあることを宣言した上で、第2項で「弁護士は前項の使命に基づき、誠実にその職務を行い、社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない」と定められている。「弁護士倫理」(H6年制定、H17年まで弁護士の倫理の基準として機能)第4条でも「弁護士は、信義に従い、誠実かつ公正に職務を行う」と定め、この規定は、現行の弁護士職務基本規定5条「弁護士は真実を尊重し、信義に従い、誠実かつ公正に職務を行うものとする。」ということに引き継がれている。
3、被告弁護士が、倫理的義務に反することの理由について
社会正義の実現に使命があるのであれば、被告弁護士は、スポールディングに大動脈乖離があることを被告らに説明し、スポールディングのわかっている限りの病状に合わせた和解の評価をうけられるように仕向ける必要があった。それが、保険会社の一社にのみ大動脈乖離の事実を伝えたに終わっている。スポールディング自身が大動脈乖離のことを知る前に、大動脈が破裂し、死に至ることもあり得た。その場合は、被告弁護士が責められるかどうかは別にしても、大動脈乖離の情報の秘匿が、スポールディングの早期発見のチャンスを奪っていることは確かである。本当に情報の秘匿が許されるのであろうか。
さて、短期的には、保険会社は、大動脈乖離の症状をいれずにスポールディングに和解金を払うことになり、当初は、払う額自体は少なく抑えることができたであろうが、長期的には、和解が無効とされたことで、一度で和解や裁判が済むべき所、再度1審裁判所に差し戻されたのであり、時間的にも大きなロスを被ることになってしまった。
原告側が、原告弁護士も含め、大動脈乖離の情報を得るべく証拠開示をもとめることが出来たのにしないことを奇貨として、情報を秘匿せしめた被告弁護士の行動は、「代理人的性格」に重きを置くがあまり、「司法機関的性格」を忘れ、倫理的義務違反をなしたと言えるのではないか。
第2 社会は、被告弁護士のような弁護士を求めているのか
Spaulding caseでは、被告弁護士は、保険会社の費用で賄われ、弁護士の選任自体も保険会社が行っていた。
保険会社は、たとえ、弁護士倫理義務違反ぎりぎりの行動をしたとしても、被告弁護士のような、実は、短期的にでも支払う保険料を少なくすることに重点を置く弁護士を求めているのかもしれない。
いや、食うか食われるかの実社会において、被告弁護士のようなタイプのほうが、弁護士として企業にとっては望まれるのかもしれない。
それは、なぜなのだろうか。3つの要因が考えられると思う。
1、悪貨は良貨を駆逐する原理が働くため
正義や社会の公正をいくら声高に叫んだとしても、ひとや企業は、1円でも多くの利益をもたらす弁護士を良いと考えがちである。
すると、オファーも断然、被告弁護士のようなタイプに集まる。
弁護士職業も、ボランティアではなのだから、収益を上げる必要がある。それでないと、事務所費用や事務員費用が賄えず、結局、自らの事業を回せないこととなる。
大衆受けのするほうに、弁護士が流れ、ますます、社会正義や公正を目指すひとの職が減る流れは、止めようにも止まらない。
社会正義や公正に反する弁護士活動のなされることが、尊重される社会の機運や民度を挙げて行く必要がある。そのためにも、社会に対し、憲法学や法律学の基礎的な知識や法的思考方法の基本を、情報発信する不断の努力が必要であると考える。
2、倫理は、教育で芽生えさせるには限界があるため
もともと、弁護士倫理を学んでいない弁護士が、倫理に添った活動ができないし、さらに、たとえ、倫理を学んでも、知識の様に学んだからすぐ使えるものでもない。
倫理は、そのひとが生まれてからの成育環境、家庭環境、友達関係、先生との出会い、宗教観などで育まれるものである。付け焼き刀で身に着くものでは決してない。
かと言って、できないからと言って、放置してよい理由にもならない。
教育には一定の限界があるし、倫理を規定においても倫理と法律がなじまない部分もあって、法的拘束力で割り切ることができない部分が残ることとなる。
弁護士ひとりひとりのまさに、倫理観に期待するほかない。
3、党派性(「代理人的性格」)に偏重しすぎるため
依頼者の依頼に応え、依頼者の利益を最大化したいがために、倫理をも忘れて活動をすることも考えられる。
公判の攻防がし烈になればなるほど、依頼者側に有利になるように行動したくなるのがひとの嵯峨であろう。民事訴訟法2条信義誠実義務違反、弁護士職務基本規定5条真実尊重義務違反、同75条偽証のそそのかし違反となるところであるものの、証言予定者が不利な証言をしようとしている場合に、より有利な証言にかえるようにアドバイスすることもありうる話である。
しかし、弁護士は、弁護士法1条1項「公益的役割」(公益性)及び「当事者その他の関係人の依頼等によって法律事務を行うことを職務とする」(同3条1項)という「当事者の代理人としての役割」(党派性)の一見矛盾する両者のバランスを取らねばならない。すなわち、「当事者の代理人としての役割」の限界を画すものが「公益的役割」である。
従って、弁護士は、依頼者との信頼関係に基づく善管注意義務により、最大限の努力を傾注して依頼者の権利実現または利益擁護に邁進すべきだが、そのために社会的正義その他の規範に違反しまたは公益ないし公的価値に抵触することは許されない(加藤新太郎『弁護士役割論』)。弁護士として、守るべき一線を、個々の具体的なケースにおいて自ら明確にして行動する必要があるであろう。
第3 Spaulding caseでの医療倫理について
私は、医師のであり、弁護士倫理を考えることで、医師の倫理をあらためて考え直す機会を得ている。
Spaulding caseに出てくる医師の行動は、医療倫理の観点から、どうあるべきであったか。
医学分野においては、医師には、病気を治すこと(cure)だけでなく、患者のQOLを高め、その患者が社会生活を豊かに送れることができるようになるという、全人的医療(care)を他職種連携の下に達成していくことが、常に目標としてある。
しかし、残念ながら、Spaulding caseでいうのであれば、被告側の医師の行動は、あるべきケアの真逆であった。すなわち、原告の大動脈乖離を発見したのであれば、破裂すると生命の危険を来す重大疾患であるのだから、その治療を受けさせるように行動すべきであった。自分の役割は、被告側に依頼された診断をしたことで終えたとして、患者を放置することは医師として決して許されないと考える。
以上
第1 被告弁護士の倫理的義務違反について
1、被告弁護士は、倫理的義務に違反するか
ミネソタ州最高裁判所は、原告スポールディング側提起した損害賠償請求訴訟に対して、被告側の代理人となった弁護士(以下、「被告弁護士」という。)の倫理的義務に関して、「倫理や法的義務の規定は被告に不利な事実を原告又は原告の弁護士に知らせたり裁判所に通知することを要求していないが、当時の和解が大動脈瘤を考慮したものではないことが明確になった以上、裁判所は和解を無効とすることができる。」と判示している。(和解は、無効であるということであるが、そのまま訴訟が係属して判決が出された場合は、その判決まで無効ということまでいうのかは明らかではない。また、和解がなされたときは、スポールディングは未成年であった。もし、成人であったとしたら、同様の結論であったかも不明である。)
上記判示は、倫理義務違反はないとしているが、日本の弁護士倫理の考え方に沿うのであれば、被告弁護士は、倫理的義務に反していたと私は考える。
以下、その理由を考えて行く。
2、弁護士の誠実義務
弁護士は、誠実義務を有している。弁護士法1条が、第1項で、弁護士の使命が基本的人権の擁護と、社会正義の実現にあることを宣言した上で、第2項で「弁護士は前項の使命に基づき、誠実にその職務を行い、社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない」と定められている。「弁護士倫理」(H6年制定、H17年まで弁護士の倫理の基準として機能)第4条でも「弁護士は、信義に従い、誠実かつ公正に職務を行う」と定め、この規定は、現行の弁護士職務基本規定5条「弁護士は真実を尊重し、信義に従い、誠実かつ公正に職務を行うものとする。」ということに引き継がれている。
3、被告弁護士が、倫理的義務に反することの理由について
社会正義の実現に使命があるのであれば、被告弁護士は、スポールディングに大動脈乖離があることを被告らに説明し、スポールディングのわかっている限りの病状に合わせた和解の評価をうけられるように仕向ける必要があった。それが、保険会社の一社にのみ大動脈乖離の事実を伝えたに終わっている。スポールディング自身が大動脈乖離のことを知る前に、大動脈が破裂し、死に至ることもあり得た。その場合は、被告弁護士が責められるかどうかは別にしても、大動脈乖離の情報の秘匿が、スポールディングの早期発見のチャンスを奪っていることは確かである。本当に情報の秘匿が許されるのであろうか。
さて、短期的には、保険会社は、大動脈乖離の症状をいれずにスポールディングに和解金を払うことになり、当初は、払う額自体は少なく抑えることができたであろうが、長期的には、和解が無効とされたことで、一度で和解や裁判が済むべき所、再度1審裁判所に差し戻されたのであり、時間的にも大きなロスを被ることになってしまった。
原告側が、原告弁護士も含め、大動脈乖離の情報を得るべく証拠開示をもとめることが出来たのにしないことを奇貨として、情報を秘匿せしめた被告弁護士の行動は、「代理人的性格」に重きを置くがあまり、「司法機関的性格」を忘れ、倫理的義務違反をなしたと言えるのではないか。
第2 社会は、被告弁護士のような弁護士を求めているのか
Spaulding caseでは、被告弁護士は、保険会社の費用で賄われ、弁護士の選任自体も保険会社が行っていた。
保険会社は、たとえ、弁護士倫理義務違反ぎりぎりの行動をしたとしても、被告弁護士のような、実は、短期的にでも支払う保険料を少なくすることに重点を置く弁護士を求めているのかもしれない。
いや、食うか食われるかの実社会において、被告弁護士のようなタイプのほうが、弁護士として企業にとっては望まれるのかもしれない。
それは、なぜなのだろうか。3つの要因が考えられると思う。
1、悪貨は良貨を駆逐する原理が働くため
正義や社会の公正をいくら声高に叫んだとしても、ひとや企業は、1円でも多くの利益をもたらす弁護士を良いと考えがちである。
すると、オファーも断然、被告弁護士のようなタイプに集まる。
弁護士職業も、ボランティアではなのだから、収益を上げる必要がある。それでないと、事務所費用や事務員費用が賄えず、結局、自らの事業を回せないこととなる。
大衆受けのするほうに、弁護士が流れ、ますます、社会正義や公正を目指すひとの職が減る流れは、止めようにも止まらない。
社会正義や公正に反する弁護士活動のなされることが、尊重される社会の機運や民度を挙げて行く必要がある。そのためにも、社会に対し、憲法学や法律学の基礎的な知識や法的思考方法の基本を、情報発信する不断の努力が必要であると考える。
2、倫理は、教育で芽生えさせるには限界があるため
もともと、弁護士倫理を学んでいない弁護士が、倫理に添った活動ができないし、さらに、たとえ、倫理を学んでも、知識の様に学んだからすぐ使えるものでもない。
倫理は、そのひとが生まれてからの成育環境、家庭環境、友達関係、先生との出会い、宗教観などで育まれるものである。付け焼き刀で身に着くものでは決してない。
かと言って、できないからと言って、放置してよい理由にもならない。
教育には一定の限界があるし、倫理を規定においても倫理と法律がなじまない部分もあって、法的拘束力で割り切ることができない部分が残ることとなる。
弁護士ひとりひとりのまさに、倫理観に期待するほかない。
3、党派性(「代理人的性格」)に偏重しすぎるため
依頼者の依頼に応え、依頼者の利益を最大化したいがために、倫理をも忘れて活動をすることも考えられる。
公判の攻防がし烈になればなるほど、依頼者側に有利になるように行動したくなるのがひとの嵯峨であろう。民事訴訟法2条信義誠実義務違反、弁護士職務基本規定5条真実尊重義務違反、同75条偽証のそそのかし違反となるところであるものの、証言予定者が不利な証言をしようとしている場合に、より有利な証言にかえるようにアドバイスすることもありうる話である。
しかし、弁護士は、弁護士法1条1項「公益的役割」(公益性)及び「当事者その他の関係人の依頼等によって法律事務を行うことを職務とする」(同3条1項)という「当事者の代理人としての役割」(党派性)の一見矛盾する両者のバランスを取らねばならない。すなわち、「当事者の代理人としての役割」の限界を画すものが「公益的役割」である。
従って、弁護士は、依頼者との信頼関係に基づく善管注意義務により、最大限の努力を傾注して依頼者の権利実現または利益擁護に邁進すべきだが、そのために社会的正義その他の規範に違反しまたは公益ないし公的価値に抵触することは許されない(加藤新太郎『弁護士役割論』)。弁護士として、守るべき一線を、個々の具体的なケースにおいて自ら明確にして行動する必要があるであろう。
第3 Spaulding caseでの医療倫理について
私は、医師のであり、弁護士倫理を考えることで、医師の倫理をあらためて考え直す機会を得ている。
Spaulding caseに出てくる医師の行動は、医療倫理の観点から、どうあるべきであったか。
医学分野においては、医師には、病気を治すこと(cure)だけでなく、患者のQOLを高め、その患者が社会生活を豊かに送れることができるようになるという、全人的医療(care)を他職種連携の下に達成していくことが、常に目標としてある。
しかし、残念ながら、Spaulding caseでいうのであれば、被告側の医師の行動は、あるべきケアの真逆であった。すなわち、原告の大動脈乖離を発見したのであれば、破裂すると生命の危険を来す重大疾患であるのだから、その治療を受けさせるように行動すべきであった。自分の役割は、被告側に依頼された診断をしたことで終えたとして、患者を放置することは医師として決して許されないと考える。
以上
番組の取材を受けたひとが、番組の中で自分が思ったように取り上げられて放送される期待や信頼は、法的保護の対象となりうるか。
原則としては、法的保護の対象にはならないが、法的保護の対象になる場合もあると、最高裁は判事しています。
その法的保護の対象となる場合とは、
1)取材に応ずることにより必然的に取材対象者に格段の負担が生ずる場合において,
2)取材担当者が,そのことを認識した上で,取材対象者に対し,取材で得た素材について,必ず一定の内容,方法により番組中で取り上げる旨説明し,
3)その説明が客観的に見ても取材対象者に取材に応ずるという意思決定をさせる原因となるようなものであったときは,
取材対象者が同人に対する取材で得られた素材が上記一定の内容,方法で当該番組において取り上げられるものと期待し,信頼したことが法律上保護される利益となり得るものというべきである。
そして,そのような場合に,結果として放送された番組の内容が取材担当者の説明と異なるものとなった場合には,
当該番組の種類,性質やその後の事情の変化等の諸般の事情により,当該番組において上記素材が上記説明のとおりに取り上げられなかったこともやむを得ないといえるようなときは別として,
取材対象者の上記期待,信頼を不当に損なうものとして,放送事業者や制作業者に不法行為責任が認められる余地があるものというべきである。
ただし、同判決においては、横尾和子裁判長裁判官が、「事実についての報道及び論評に係る番組」の場合には、法的保護に値するものと認める余地はないと意見しています。
横尾氏の考え方も、私は、傾聴に値すると考えます。
以下、抜粋。
「裁判官横尾和子の意見は,次のとおりである。
私は,多数意見の結論に賛成するものであるが,その理由は,判示第2,2(1)
に関しては,多数意見と異なり,事実についての報道及び論評に係る番組の編集の
自律は取材対象者の期待,信頼によって制限されることは以下の理由により認めら
れないとするものである。
取材対象者が抱いた内心の期待,信頼は,それが表明されないままに取材担当者
が認識できるものではなく,また,取材の都度,その内容や程度を確認することも
報道取材の実際からして期待できるものでもない。それにもかかわらず,期待,信
頼を確認せずに番組の放送をした場合に,その内容が期待,信頼と異なるとして違
法の評価を受ける可能性があるということであれば,それが取材活動の萎縮を招く
ことは避けられず,ひいては報道の自由の制約にもつながるものというべきであ
る。
また,期待,信頼を保護することの実質は,放送事業者に対し期待,信頼の内容
に沿った番組の制作及びその放送を行う作為を求めるものであり,放送番組編集へ
の介入を許容するおそれがあるものといわざるを得ない。
さらに,多数意見も述べるとおり,放送法上の放送事業者の番組の編集は,表現
の自由の保障の下,公共の福祉の適合性に配慮した放送事業者の自律的判断にゆだ
ねられており,また編集過程においては取材された素材の取捨選択を含め番組の内
容が変更されることも当然のことと認識されているものと考えられているのである
から,取材対象者の抱く期待,信頼を法的保護に値するものと認める余地はないと
解される。
本件番組は,その内容からして上記の報道及び論評に係る番組に当たるといい得
るものであり,上述の理由により,原告の主張するような期待,信頼が侵害された
ことを理由とする主張は理由がない。」
*************************************************
最判平成20年6月12日NHK番組期待権訴訟
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080818143047.pdf
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=36444&hanreiKbn=02
事件番号
平成19(受)808
事件名
損害賠償請求上告,同附帯上告事件
裁判年月日
平成20年06月12日
法廷名
最高裁判所第一小法廷
裁判種別
判決
結果
その他
判例集等巻・号・頁
民集 第62巻6号1656頁
原審裁判所名
東京高等裁判所
原審事件番号
平成16(ネ)2039
原審裁判年月日
平成19年01月29日
判示事項
1 放送事業者等から放送番組のための取材を受けた者において,取材担当者の言動等によって当該取材で得られた素材が一定の内容,方法により放送に使用されるものと期待し,信頼したことが,法的保護の対象となるか
2 放送番組を放送した放送事業者及び同番組の制作,取材に関与した業者が取材を受けた者の期待,信頼を侵害したことを理由とする不法行為責任を負わないとされた事例
裁判要旨
1 放送事業者又は放送事業者が放送番組の制作に協力を依頼した関係業者から放送番組の素材収集のための取材を受けた取材対象者が,取材担当者の言動等によって,当該取材で得られた素材が一定の内容,方法により放送に使用されるものと期待し,あるいは信頼したとしても,その期待や信頼は原則として法的保護の対象とはならない。もっとも,当該取材に応ずることにより必然的に取材対象者に格段の負担が生ずる場合において,取材担当者が,そのことを認識した上で,取材対象者に対し,取材で得た素材について,必ず一定の内容,方法により放送番組中で取り上げる旨説明し,その説明が客観的に見ても取材対象者に取材に応ずるという意思決定をさせる原因となるようなものであったときは,取材対象者が上記のように期待し,信頼したことが法律上保護される利益となり得る。
2 放送事業者Y1の委託を受けた放送番組の制作等を業とするY2から,いわゆる従軍慰安婦問題を裁く民衆法廷を取り上げたテレビジョン放送番組の制作業務の再委託を受けたY3が,上記民衆法廷を中心となって開催したXに対して上記番組のための取材を行い,その後,Y1によって上記番組が放送された場合において,Y3の担当者が,Xに対して,上記番組が上記民衆法廷の様子をありのままに視聴者に伝える番組になるなどと説明して取材を申し入れ,上記民衆法廷の一部始終を撮影したなどの事実があったとしても,次の(1),(2)の事情の下では,上記民衆法廷をつぶさに紹介する趣旨,内容の放送がされるとのXの期待,信頼が法的保護の対象となるものとすることはできず,実際に放送された上記番組の内容が上記説明とは異なるものであったとしても,Y1~Y3は,上記期待,信頼を侵害したことを理由とする不法行為責任を負わない。
(1) Y3による実際の取材活動は,そのほとんどが取材とは無関係に当初から
予定されていた事柄に対するものであって,Xに格段の負担が生ずるものとはいえないし,Y3による当初の申入れに係る取材の内容も,Xに格段の負担を生じさせるようなものということはできない。
(2) Y3の担当者のXに対する上記説明が,上記番組において上記民衆法廷について必ず一定の内容,方法で取り上げるというものであったことはうかがわれず,Xにおいても,番組の編集段階における検討により最終的な放送の内容が上記説明と異なるものになる可能性があることを認識することができたものと解される。
(1,2につき意見がある。)
参照法条
(1,2につき)民法709条,放送法1条,放送法3条,放送法3条の2第1項,放送法3条の3第1項,憲法21条
原則としては、法的保護の対象にはならないが、法的保護の対象になる場合もあると、最高裁は判事しています。
その法的保護の対象となる場合とは、
1)取材に応ずることにより必然的に取材対象者に格段の負担が生ずる場合において,
2)取材担当者が,そのことを認識した上で,取材対象者に対し,取材で得た素材について,必ず一定の内容,方法により番組中で取り上げる旨説明し,
3)その説明が客観的に見ても取材対象者に取材に応ずるという意思決定をさせる原因となるようなものであったときは,
取材対象者が同人に対する取材で得られた素材が上記一定の内容,方法で当該番組において取り上げられるものと期待し,信頼したことが法律上保護される利益となり得るものというべきである。
そして,そのような場合に,結果として放送された番組の内容が取材担当者の説明と異なるものとなった場合には,
当該番組の種類,性質やその後の事情の変化等の諸般の事情により,当該番組において上記素材が上記説明のとおりに取り上げられなかったこともやむを得ないといえるようなときは別として,
取材対象者の上記期待,信頼を不当に損なうものとして,放送事業者や制作業者に不法行為責任が認められる余地があるものというべきである。
ただし、同判決においては、横尾和子裁判長裁判官が、「事実についての報道及び論評に係る番組」の場合には、法的保護に値するものと認める余地はないと意見しています。
横尾氏の考え方も、私は、傾聴に値すると考えます。
以下、抜粋。
「裁判官横尾和子の意見は,次のとおりである。
私は,多数意見の結論に賛成するものであるが,その理由は,判示第2,2(1)
に関しては,多数意見と異なり,事実についての報道及び論評に係る番組の編集の
自律は取材対象者の期待,信頼によって制限されることは以下の理由により認めら
れないとするものである。
取材対象者が抱いた内心の期待,信頼は,それが表明されないままに取材担当者
が認識できるものではなく,また,取材の都度,その内容や程度を確認することも
報道取材の実際からして期待できるものでもない。それにもかかわらず,期待,信
頼を確認せずに番組の放送をした場合に,その内容が期待,信頼と異なるとして違
法の評価を受ける可能性があるということであれば,それが取材活動の萎縮を招く
ことは避けられず,ひいては報道の自由の制約にもつながるものというべきであ
る。
また,期待,信頼を保護することの実質は,放送事業者に対し期待,信頼の内容
に沿った番組の制作及びその放送を行う作為を求めるものであり,放送番組編集へ
の介入を許容するおそれがあるものといわざるを得ない。
さらに,多数意見も述べるとおり,放送法上の放送事業者の番組の編集は,表現
の自由の保障の下,公共の福祉の適合性に配慮した放送事業者の自律的判断にゆだ
ねられており,また編集過程においては取材された素材の取捨選択を含め番組の内
容が変更されることも当然のことと認識されているものと考えられているのである
から,取材対象者の抱く期待,信頼を法的保護に値するものと認める余地はないと
解される。
本件番組は,その内容からして上記の報道及び論評に係る番組に当たるといい得
るものであり,上述の理由により,原告の主張するような期待,信頼が侵害された
ことを理由とする主張は理由がない。」
*************************************************
最判平成20年6月12日NHK番組期待権訴訟
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080818143047.pdf
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=36444&hanreiKbn=02
事件番号
平成19(受)808
事件名
損害賠償請求上告,同附帯上告事件
裁判年月日
平成20年06月12日
法廷名
最高裁判所第一小法廷
裁判種別
判決
結果
その他
判例集等巻・号・頁
民集 第62巻6号1656頁
原審裁判所名
東京高等裁判所
原審事件番号
平成16(ネ)2039
原審裁判年月日
平成19年01月29日
判示事項
1 放送事業者等から放送番組のための取材を受けた者において,取材担当者の言動等によって当該取材で得られた素材が一定の内容,方法により放送に使用されるものと期待し,信頼したことが,法的保護の対象となるか
2 放送番組を放送した放送事業者及び同番組の制作,取材に関与した業者が取材を受けた者の期待,信頼を侵害したことを理由とする不法行為責任を負わないとされた事例
裁判要旨
1 放送事業者又は放送事業者が放送番組の制作に協力を依頼した関係業者から放送番組の素材収集のための取材を受けた取材対象者が,取材担当者の言動等によって,当該取材で得られた素材が一定の内容,方法により放送に使用されるものと期待し,あるいは信頼したとしても,その期待や信頼は原則として法的保護の対象とはならない。もっとも,当該取材に応ずることにより必然的に取材対象者に格段の負担が生ずる場合において,取材担当者が,そのことを認識した上で,取材対象者に対し,取材で得た素材について,必ず一定の内容,方法により放送番組中で取り上げる旨説明し,その説明が客観的に見ても取材対象者に取材に応ずるという意思決定をさせる原因となるようなものであったときは,取材対象者が上記のように期待し,信頼したことが法律上保護される利益となり得る。
2 放送事業者Y1の委託を受けた放送番組の制作等を業とするY2から,いわゆる従軍慰安婦問題を裁く民衆法廷を取り上げたテレビジョン放送番組の制作業務の再委託を受けたY3が,上記民衆法廷を中心となって開催したXに対して上記番組のための取材を行い,その後,Y1によって上記番組が放送された場合において,Y3の担当者が,Xに対して,上記番組が上記民衆法廷の様子をありのままに視聴者に伝える番組になるなどと説明して取材を申し入れ,上記民衆法廷の一部始終を撮影したなどの事実があったとしても,次の(1),(2)の事情の下では,上記民衆法廷をつぶさに紹介する趣旨,内容の放送がされるとのXの期待,信頼が法的保護の対象となるものとすることはできず,実際に放送された上記番組の内容が上記説明とは異なるものであったとしても,Y1~Y3は,上記期待,信頼を侵害したことを理由とする不法行為責任を負わない。
(1) Y3による実際の取材活動は,そのほとんどが取材とは無関係に当初から
予定されていた事柄に対するものであって,Xに格段の負担が生ずるものとはいえないし,Y3による当初の申入れに係る取材の内容も,Xに格段の負担を生じさせるようなものということはできない。
(2) Y3の担当者のXに対する上記説明が,上記番組において上記民衆法廷について必ず一定の内容,方法で取り上げるというものであったことはうかがわれず,Xにおいても,番組の編集段階における検討により最終的な放送の内容が上記説明と異なるものになる可能性があることを認識することができたものと解される。
(1,2につき意見がある。)
参照法条
(1,2につき)民法709条,放送法1条,放送法3条,放送法3条の2第1項,放送法3条の3第1項,憲法21条
放送事業者に対し、放送法9条1項(裁判当時4条1項)に基づく訂正放送等を求める私法上の権利を、名誉を棄損された者は有するか。
東京高等裁判所は、私法上の権利を有すると判事しました。
「法4条1項の規定は,放送事業者の放送により権利を侵害された者は,私
法上の権利として,その放送のあった日から3か月以内にその放送事業者に対して
訂正放送を求めることができることを規定したものと解するのが相当であり,放送
事業者が請求を受けても訂正放送に応じない場合には,裁判によりその実現を求め
ることができるというべきである。」
しかし、最高裁判所は、以下のように、私法上の権利を有しないと判事しました。
→概していうと、
4条は、私法上の請求権を付与するものではなく、放送事業者に対し,自律的に訂正放送等を行うことを国民全体に対する公法上の義務として定めたものであるということ。
「法4条は,放送事業者が真実でない事項の放送をしたという理由によって,その
放送により権利の侵害を受けた本人又はその直接関係人(以下「被害者」と総称す
る。)から,放送のあった日から3か月以内に請求があったときは,放送事業者は
,遅滞なくその放送をした事項が真実でないかどうかを調査して,その真実でない
ことが判明したときは,判明した日から2日以内に,その放送をした放送設備と同
等の放送設備により,相当の方法で,訂正又は取消しの放送(以下「訂正放送等」
と総称する。)をしなければならないとし(1項),放送事業者がその放送につい
て真実でない事項を発見したときも,上記と同様の訂正放送等をしなければならな
いと定めている(2項)。そして,法56条1項は,法4条1項の規定に違反した
場合の罰則を定めている。
このように,法4条1項は,真実でない事項の放送について被害者から請求があ
った場合に,放送事業者に対して訂正放送等を義務付けるものであるが,この請求
や義務の性質については,法の全体的な枠組みと趣旨を踏まえて解釈する必要があ
る。憲法21条が規定する表現の自由の保障の下において,法1条は,「放送が国
民に最大限に普及されて,その効用をもたらすことを保障すること」(1号),「
放送の不偏不党,真実及び自律を保障することによって,放送による表現の自由を
確保すること」(2号),「放送に携わる者の職責を明らかにすることによって,
放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること」(3号)という三つの原則
に従って,放送を公共の福祉に適合するように規律し,その健全な発達を図ること
を法の目的とすると規定しており,法2条以下の規定は,この三つの原則を具体化
したものということができる。法3条は,上記の表現の自由及び放送の自律性の保
障の理念を具体化し,「放送番組は,法律に定める権限に基く場合でなければ,何
人からも干渉され,又は規律されることがない」として,放送番組編集の自由を規
定している。すなわち,別に法律で定める権限に基づく場合でなければ,他からの
放送番組編集への関与は許されないのである。法4条1項も,これらの規定を受け
たものであって,上記の放送の自律性の保障の理念を踏まえた上で,上記の真実性
の保障の理念を具体化するための規定であると解される。そして,このことに加え
,法4条1項自体をみても,放送をした事項が真実でないことが放送事業者に判明
したときに訂正放送等を行うことを義務付けているだけであって,訂正放送等に関
する裁判所の関与を規定していないこと,同項所定の義務違反について罰則が定め
られていること等を併せ考えると,同項は,真実でない事項の放送がされた場合に
おいて,放送内容の真実性の保障及び他からの干渉を排除することによる表現の自
由の確保の観点から,放送事業者に対し,自律的に訂正放送等を行うことを国民全
体に対する公法上の義務として定めたものであって,被害者に対して訂正放送等を
求める私法上の請求権を付与する趣旨の規定ではないと解するのが相当である。前
記のとおり,法4条1項は被害者からの訂正放送等の請求について規定しているが
,同条2項の規定内容を併せ考えると,これは,同請求を,放送事業者が当該放送
の真実性に関する調査及び訂正放送等を行うための端緒と位置付けているものと解
するのが相当であって,これをもって,上記の私法上の請求権の根拠と解すること
はできない。
したがって,【要旨】被害者は,放送事業者に対し,法4条1項の規定に基づく
訂正放送等を求める私法上の権利を有しないというべきである。」
*******************************************************
最高裁判所第一小法廷 平成13年(オ)第1513号等 平成16年11月25日判決
(第一審:東京地方裁判所 平成8年(ワ)第23253号 平成10年11月19日判決)
当時:放送法
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、左に掲げる原則に従つて、放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。
一 放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障すること。
二 放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。
三 放送に携わる者の職責を明らかにすることによつて、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。
(定義)
第二条 この法律及びこの法律に基づく命令の規定の解釈に関しては、次の定義に従うものとする。
(略します。)
(昭三四法三〇・昭六二法五六・昭六三法二九・平元法五五・平二法五四・平六法七四・平九法五八・平一〇法八八・平一一法五八・一部改正)
(放送普及基本計画)
第二条の二 総務大臣は、放送(委託して放送をさせることを含む。次項第一号、第七条、第九条第一項第三号、第二項第五号及び第六号並びに第六項、第三十四条第一項、第五十二条の十三第一項第四号、第五十三条第一項並びに第五十三条の十二第一項において同じ。)の計画的な普及及び健全な発達を図るため、放送普及基本計画を定め、これに基づき必要な措置を講ずるものとする。
2 放送普及基本計画には、放送局の置局(受託国内放送及び受託内外放送にあつてはこれらの放送を行う放送局の置局及び委託放送業務とし、受託協会国際放送(電波法の規定による免許を受ける無線局により行われるものに限る。以下この項において同じ。)にあつては受託協会国際放送を行う放送局の置局及び委託協会国際放送業務とする。)に関し、次の事項を定めるものとする。
一 放送を国民に最大限に普及させるための指針、放送をすることができる機会をできるだけ多くの者に対し確保することにより、放送による表現の自由ができるだけ多くの者によつて享有されるようにするための指針その他放送の計画的な普及及び健全な発達を図るための基本的事項
二 協会の放送(協会の委託により行われる受託国内放送を含む。第三十二条第一項本文において同じ。)、学園の放送又は一般放送事業者の放送(協会の委託により行う受託国内放送を除く。)の区分、国内放送、受託国内放送、国際放送、中継国際放送、受託協会国際放送又は受託内外放送の区分、中波放送、超短波放送、テレビジョン放送その他の放送の種類による区分その他の総務省令で定める放送の区分ごとの同一の放送番組の放送を同時に受信できることが相当と認められる一定の区域(以下「放送対象地域」という。)
三 放送対象地域ごとの放送系(同一の放送番組の放送を同時に行うことのできる放送局の総体をいう。以下この号において同じ。)の数(受託放送に係る放送対象地域にあつては、放送系により放送することのできる放送番組の数)の目標
3 放送普及基本計画は、第九条第一項、第二項第一号及び第五項に規定する事項、電波法第七条第三項の放送用割当可能周波数、放送に関する技術の発達及び需要の動向、地域の自然的経済的社会的文化的諸事情その他の事情を勘案して定める。
4 総務大臣は、前項の事情の変動により必要があると認めるときは、放送普及基本計画を変更することができる。
5 総務大臣は、放送普及基本計画を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを公示しなければならない。
6 放送事業者(受託放送事業者、委託放送事業者及び第九条第一項第二号に規定する委託国内放送業務又は委託協会国際放送業務を行う場合における協会を除く。)は、その行う放送に係る放送対象地域において、当該放送があまねく受信できるように努めるものとする。
(昭六三法二九・追加、平元法五五・平六法七四・平一〇法八八・平一一法一六〇・一部改正)
第一章の二 放送番組の編集等に関する通則
(昭六三法二九・章名追加)
(放送番組編集の自由)
第三条 放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。
(国内放送の放送番組の編集等)
第三条の二 放送事業者は、国内放送の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
一 公安及び善良な風俗を害しないこと。
二 政治的に公平であること。
三 報道は事実をまげないですること。
四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。
2 放送事業者は、テレビジョン放送による国内放送の放送番組の編集に当たつては、特別な事業計画によるものを除くほか、教養番組又は教育番組並びに報道番組及び娯楽番組を設け、放送番組の相互の間の調和を保つようにしなければならない。
3 放送事業者は、国内放送の教育番組の編集及び放送に当たつては、その放送の対象とする者が明確で、内容がその者に有益適切であり、組織的かつ継続的であるようにするとともに、その放送の計画及び内容をあらかじめ公衆が知ることができるようにしなければならない。この場合において、当該番組が学校向けのものであるときは、その内容が学校教育に関する法令の定める教育課程の基準に準拠するようにしなければならない。
4 放送事業者は、テレビジョン放送による国内放送の放送番組の編集に当たつては、静止し、又は移動する事物の瞬間的影像を視覚障害者に対して説明するための音声その他の音響を聴くことができる放送番組及び音声その他の音響を聴覚障害者に対して説明するための文字又は図形を見ることができる放送番組をできる限り多く設けるようにしなければならない。
(昭六三法二九・追加、平二法五四・平六法七四・平九法五八・一部改正)
(番組基準)
第三条の三 放送事業者は、放送番組の種別及び放送の対象とする者に応じて放送番組の編集の基準(以下「番組基準」という。)を定め、これに従つて放送番組の編集をしなければならない。
2 放送事業者は、国内放送について前項の規定により番組基準を定めた場合には、総務省令で定めるところにより、これを公表しなければならない。これを変更した場合も、同様とする。
(昭六三法二九・追加、平一一法一六〇・一部改正)
(放送番組審議機関)
第三条の四 放送事業者は、放送番組の適正を図るため、放送番組審議機関(以下「審議機関」という。)を置くものとする。
2 審議機関は、放送事業者の諮問に応じ、放送番組の適正を図るため必要な事項を審議するほか、これに関し、放送事業者に対して意見を述べることができる。
3 放送事業者は、番組基準及び放送番組の編集に関する基本計画を定め、又はこれを変更しようとするときは、審議機関に諮問しなければならない。
4 放送事業者は、審議機関が第二項の規定により諮問に応じて答申し、又は意見を述べた事項があるときは、これを尊重して必要な措置をしなければならない。
5 放送事業者は、総務省令で定めるところにより、次の各号に掲げる事項を審議機関に報告しなければならない。
一 前項の規定により講じた措置の内容
二 第四条第一項の規定による訂正又は取消しの放送の実施状況
三 放送番組に関して申出のあつた苦情その他の意見の概要
6 放送事業者は、審議機関からの答申又は意見を放送番組に反映させるようにするため審議機関の機能の活用に努めるとともに、総務省令で定めるところにより、次の各号に掲げる事項を公表しなければならない。
一 審議機関が放送事業者の諮問に応じてした答申又は放送事業者に対して述べた意見の内容その他審議機関の議事の概要
二 第四項の規定により講じた措置の内容
(昭六三法二九・追加、平九法五八・平一一法一六〇・一部改正)
(番組基準等の規定の適用除外)
第三条の五 前二条の規定は、経済市況、自然事象及びスポーツに関する時事に関する事項その他総務省令で定める事項のみを放送事項とする放送又は臨時かつ一時の目的(総務省令で定めるものに限る。)のための放送を専ら行う放送事業者には、適用しない。
(昭六三法二九・追加、平一一法一六〇・一部改正)
(訂正放送等)
第四条 放送事業者が真実でない事項の放送をしたという理由によつて、その放送により権利の侵害を受けた本人又はその直接関係人から、放送のあつた日から三箇月以内に請求があつたときは、放送事業者は、遅滞なくその放送をした事項が真実でないかどうかを調査して、その真実でないことが判明したときは、判明した日から二日以内に、その放送をした放送設備と同等の放送設備により、相当の方法で、訂正又は取消しの放送をしなければならない。
2 放送事業者がその放送について真実でない事項を発見したときも、前項と同様とする。
3 前二項の規定は、民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定による損害賠償の請求を妨げるものではない
***********************************************************
現行:放送法
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、次に掲げる原則に従つて、放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。
一 放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障すること。
二 放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。
三 放送に携わる者の職責を明らかにすることによつて、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。
(定義)
第二条 この法律及びこの法律に基づく命令の規定の解釈に関しては、次の定義に従うものとする。
(以下、二条は略します。)
第二章 放送番組の編集等に関する通則
(放送番組編集の自由)
第三条 放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。
(国内放送等の放送番組の編集等)
第四条 放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
一 公安及び善良な風俗を害しないこと。
二 政治的に公平であること。
三 報道は事実をまげないですること。
四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。
2 放送事業者は、テレビジョン放送による国内放送等の放送番組の編集に当たつては、静止し、又は移動する事物の瞬間的影像を視覚障害者に対して説明するための音声その他の音響を聴くことができる放送番組及び音声その他の音響を聴覚障害者に対して説明するための文字又は図形を見ることができる放送番組をできる限り多く設けるようにしなければならない。
(訂正放送等)
第九条 放送事業者が真実でない事項の放送をしたという理由によつて、その放送により権利の侵害を受けた本人又はその直接関係人から、放送のあつた日から三箇月以内に請求があつたときは、放送事業者は、遅滞なくその放送をした事項が真実でないかどうかを調査して、その真実でないことが判明したときは、判明した日から二日以内に、その放送をした放送設備と同等の放送設備により、相当の方法で、訂正又は取消しの放送をしなければならない。
2 放送事業者がその放送について真実でない事項を発見したときも、前項と同様とする。
3 前二項の規定は、民法 (明治二十九年法律第八十九号)の規定による損害賠償の請求を妨げるものではない。
***************************************************************
東京高等裁判所は、私法上の権利を有すると判事しました。
「法4条1項の規定は,放送事業者の放送により権利を侵害された者は,私
法上の権利として,その放送のあった日から3か月以内にその放送事業者に対して
訂正放送を求めることができることを規定したものと解するのが相当であり,放送
事業者が請求を受けても訂正放送に応じない場合には,裁判によりその実現を求め
ることができるというべきである。」
しかし、最高裁判所は、以下のように、私法上の権利を有しないと判事しました。
→概していうと、
4条は、私法上の請求権を付与するものではなく、放送事業者に対し,自律的に訂正放送等を行うことを国民全体に対する公法上の義務として定めたものであるということ。
「法4条は,放送事業者が真実でない事項の放送をしたという理由によって,その
放送により権利の侵害を受けた本人又はその直接関係人(以下「被害者」と総称す
る。)から,放送のあった日から3か月以内に請求があったときは,放送事業者は
,遅滞なくその放送をした事項が真実でないかどうかを調査して,その真実でない
ことが判明したときは,判明した日から2日以内に,その放送をした放送設備と同
等の放送設備により,相当の方法で,訂正又は取消しの放送(以下「訂正放送等」
と総称する。)をしなければならないとし(1項),放送事業者がその放送につい
て真実でない事項を発見したときも,上記と同様の訂正放送等をしなければならな
いと定めている(2項)。そして,法56条1項は,法4条1項の規定に違反した
場合の罰則を定めている。
このように,法4条1項は,真実でない事項の放送について被害者から請求があ
った場合に,放送事業者に対して訂正放送等を義務付けるものであるが,この請求
や義務の性質については,法の全体的な枠組みと趣旨を踏まえて解釈する必要があ
る。憲法21条が規定する表現の自由の保障の下において,法1条は,「放送が国
民に最大限に普及されて,その効用をもたらすことを保障すること」(1号),「
放送の不偏不党,真実及び自律を保障することによって,放送による表現の自由を
確保すること」(2号),「放送に携わる者の職責を明らかにすることによって,
放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること」(3号)という三つの原則
に従って,放送を公共の福祉に適合するように規律し,その健全な発達を図ること
を法の目的とすると規定しており,法2条以下の規定は,この三つの原則を具体化
したものということができる。法3条は,上記の表現の自由及び放送の自律性の保
障の理念を具体化し,「放送番組は,法律に定める権限に基く場合でなければ,何
人からも干渉され,又は規律されることがない」として,放送番組編集の自由を規
定している。すなわち,別に法律で定める権限に基づく場合でなければ,他からの
放送番組編集への関与は許されないのである。法4条1項も,これらの規定を受け
たものであって,上記の放送の自律性の保障の理念を踏まえた上で,上記の真実性
の保障の理念を具体化するための規定であると解される。そして,このことに加え
,法4条1項自体をみても,放送をした事項が真実でないことが放送事業者に判明
したときに訂正放送等を行うことを義務付けているだけであって,訂正放送等に関
する裁判所の関与を規定していないこと,同項所定の義務違反について罰則が定め
られていること等を併せ考えると,同項は,真実でない事項の放送がされた場合に
おいて,放送内容の真実性の保障及び他からの干渉を排除することによる表現の自
由の確保の観点から,放送事業者に対し,自律的に訂正放送等を行うことを国民全
体に対する公法上の義務として定めたものであって,被害者に対して訂正放送等を
求める私法上の請求権を付与する趣旨の規定ではないと解するのが相当である。前
記のとおり,法4条1項は被害者からの訂正放送等の請求について規定しているが
,同条2項の規定内容を併せ考えると,これは,同請求を,放送事業者が当該放送
の真実性に関する調査及び訂正放送等を行うための端緒と位置付けているものと解
するのが相当であって,これをもって,上記の私法上の請求権の根拠と解すること
はできない。
したがって,【要旨】被害者は,放送事業者に対し,法4条1項の規定に基づく
訂正放送等を求める私法上の権利を有しないというべきである。」
*******************************************************
最高裁判所第一小法廷 平成13年(オ)第1513号等 平成16年11月25日判決
(第一審:東京地方裁判所 平成8年(ワ)第23253号 平成10年11月19日判決)
当時:放送法
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、左に掲げる原則に従つて、放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。
一 放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障すること。
二 放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。
三 放送に携わる者の職責を明らかにすることによつて、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。
(定義)
第二条 この法律及びこの法律に基づく命令の規定の解釈に関しては、次の定義に従うものとする。
(略します。)
(昭三四法三〇・昭六二法五六・昭六三法二九・平元法五五・平二法五四・平六法七四・平九法五八・平一〇法八八・平一一法五八・一部改正)
(放送普及基本計画)
第二条の二 総務大臣は、放送(委託して放送をさせることを含む。次項第一号、第七条、第九条第一項第三号、第二項第五号及び第六号並びに第六項、第三十四条第一項、第五十二条の十三第一項第四号、第五十三条第一項並びに第五十三条の十二第一項において同じ。)の計画的な普及及び健全な発達を図るため、放送普及基本計画を定め、これに基づき必要な措置を講ずるものとする。
2 放送普及基本計画には、放送局の置局(受託国内放送及び受託内外放送にあつてはこれらの放送を行う放送局の置局及び委託放送業務とし、受託協会国際放送(電波法の規定による免許を受ける無線局により行われるものに限る。以下この項において同じ。)にあつては受託協会国際放送を行う放送局の置局及び委託協会国際放送業務とする。)に関し、次の事項を定めるものとする。
一 放送を国民に最大限に普及させるための指針、放送をすることができる機会をできるだけ多くの者に対し確保することにより、放送による表現の自由ができるだけ多くの者によつて享有されるようにするための指針その他放送の計画的な普及及び健全な発達を図るための基本的事項
二 協会の放送(協会の委託により行われる受託国内放送を含む。第三十二条第一項本文において同じ。)、学園の放送又は一般放送事業者の放送(協会の委託により行う受託国内放送を除く。)の区分、国内放送、受託国内放送、国際放送、中継国際放送、受託協会国際放送又は受託内外放送の区分、中波放送、超短波放送、テレビジョン放送その他の放送の種類による区分その他の総務省令で定める放送の区分ごとの同一の放送番組の放送を同時に受信できることが相当と認められる一定の区域(以下「放送対象地域」という。)
三 放送対象地域ごとの放送系(同一の放送番組の放送を同時に行うことのできる放送局の総体をいう。以下この号において同じ。)の数(受託放送に係る放送対象地域にあつては、放送系により放送することのできる放送番組の数)の目標
3 放送普及基本計画は、第九条第一項、第二項第一号及び第五項に規定する事項、電波法第七条第三項の放送用割当可能周波数、放送に関する技術の発達及び需要の動向、地域の自然的経済的社会的文化的諸事情その他の事情を勘案して定める。
4 総務大臣は、前項の事情の変動により必要があると認めるときは、放送普及基本計画を変更することができる。
5 総務大臣は、放送普及基本計画を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを公示しなければならない。
6 放送事業者(受託放送事業者、委託放送事業者及び第九条第一項第二号に規定する委託国内放送業務又は委託協会国際放送業務を行う場合における協会を除く。)は、その行う放送に係る放送対象地域において、当該放送があまねく受信できるように努めるものとする。
(昭六三法二九・追加、平元法五五・平六法七四・平一〇法八八・平一一法一六〇・一部改正)
第一章の二 放送番組の編集等に関する通則
(昭六三法二九・章名追加)
(放送番組編集の自由)
第三条 放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。
(国内放送の放送番組の編集等)
第三条の二 放送事業者は、国内放送の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
一 公安及び善良な風俗を害しないこと。
二 政治的に公平であること。
三 報道は事実をまげないですること。
四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。
2 放送事業者は、テレビジョン放送による国内放送の放送番組の編集に当たつては、特別な事業計画によるものを除くほか、教養番組又は教育番組並びに報道番組及び娯楽番組を設け、放送番組の相互の間の調和を保つようにしなければならない。
3 放送事業者は、国内放送の教育番組の編集及び放送に当たつては、その放送の対象とする者が明確で、内容がその者に有益適切であり、組織的かつ継続的であるようにするとともに、その放送の計画及び内容をあらかじめ公衆が知ることができるようにしなければならない。この場合において、当該番組が学校向けのものであるときは、その内容が学校教育に関する法令の定める教育課程の基準に準拠するようにしなければならない。
4 放送事業者は、テレビジョン放送による国内放送の放送番組の編集に当たつては、静止し、又は移動する事物の瞬間的影像を視覚障害者に対して説明するための音声その他の音響を聴くことができる放送番組及び音声その他の音響を聴覚障害者に対して説明するための文字又は図形を見ることができる放送番組をできる限り多く設けるようにしなければならない。
(昭六三法二九・追加、平二法五四・平六法七四・平九法五八・一部改正)
(番組基準)
第三条の三 放送事業者は、放送番組の種別及び放送の対象とする者に応じて放送番組の編集の基準(以下「番組基準」という。)を定め、これに従つて放送番組の編集をしなければならない。
2 放送事業者は、国内放送について前項の規定により番組基準を定めた場合には、総務省令で定めるところにより、これを公表しなければならない。これを変更した場合も、同様とする。
(昭六三法二九・追加、平一一法一六〇・一部改正)
(放送番組審議機関)
第三条の四 放送事業者は、放送番組の適正を図るため、放送番組審議機関(以下「審議機関」という。)を置くものとする。
2 審議機関は、放送事業者の諮問に応じ、放送番組の適正を図るため必要な事項を審議するほか、これに関し、放送事業者に対して意見を述べることができる。
3 放送事業者は、番組基準及び放送番組の編集に関する基本計画を定め、又はこれを変更しようとするときは、審議機関に諮問しなければならない。
4 放送事業者は、審議機関が第二項の規定により諮問に応じて答申し、又は意見を述べた事項があるときは、これを尊重して必要な措置をしなければならない。
5 放送事業者は、総務省令で定めるところにより、次の各号に掲げる事項を審議機関に報告しなければならない。
一 前項の規定により講じた措置の内容
二 第四条第一項の規定による訂正又は取消しの放送の実施状況
三 放送番組に関して申出のあつた苦情その他の意見の概要
6 放送事業者は、審議機関からの答申又は意見を放送番組に反映させるようにするため審議機関の機能の活用に努めるとともに、総務省令で定めるところにより、次の各号に掲げる事項を公表しなければならない。
一 審議機関が放送事業者の諮問に応じてした答申又は放送事業者に対して述べた意見の内容その他審議機関の議事の概要
二 第四項の規定により講じた措置の内容
(昭六三法二九・追加、平九法五八・平一一法一六〇・一部改正)
(番組基準等の規定の適用除外)
第三条の五 前二条の規定は、経済市況、自然事象及びスポーツに関する時事に関する事項その他総務省令で定める事項のみを放送事項とする放送又は臨時かつ一時の目的(総務省令で定めるものに限る。)のための放送を専ら行う放送事業者には、適用しない。
(昭六三法二九・追加、平一一法一六〇・一部改正)
(訂正放送等)
第四条 放送事業者が真実でない事項の放送をしたという理由によつて、その放送により権利の侵害を受けた本人又はその直接関係人から、放送のあつた日から三箇月以内に請求があつたときは、放送事業者は、遅滞なくその放送をした事項が真実でないかどうかを調査して、その真実でないことが判明したときは、判明した日から二日以内に、その放送をした放送設備と同等の放送設備により、相当の方法で、訂正又は取消しの放送をしなければならない。
2 放送事業者がその放送について真実でない事項を発見したときも、前項と同様とする。
3 前二項の規定は、民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定による損害賠償の請求を妨げるものではない
***********************************************************
現行:放送法
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、次に掲げる原則に従つて、放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。
一 放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障すること。
二 放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。
三 放送に携わる者の職責を明らかにすることによつて、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。
(定義)
第二条 この法律及びこの法律に基づく命令の規定の解釈に関しては、次の定義に従うものとする。
(以下、二条は略します。)
第二章 放送番組の編集等に関する通則
(放送番組編集の自由)
第三条 放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。
(国内放送等の放送番組の編集等)
第四条 放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
一 公安及び善良な風俗を害しないこと。
二 政治的に公平であること。
三 報道は事実をまげないですること。
四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。
2 放送事業者は、テレビジョン放送による国内放送等の放送番組の編集に当たつては、静止し、又は移動する事物の瞬間的影像を視覚障害者に対して説明するための音声その他の音響を聴くことができる放送番組及び音声その他の音響を聴覚障害者に対して説明するための文字又は図形を見ることができる放送番組をできる限り多く設けるようにしなければならない。
(訂正放送等)
第九条 放送事業者が真実でない事項の放送をしたという理由によつて、その放送により権利の侵害を受けた本人又はその直接関係人から、放送のあつた日から三箇月以内に請求があつたときは、放送事業者は、遅滞なくその放送をした事項が真実でないかどうかを調査して、その真実でないことが判明したときは、判明した日から二日以内に、その放送をした放送設備と同等の放送設備により、相当の方法で、訂正又は取消しの放送をしなければならない。
2 放送事業者がその放送について真実でない事項を発見したときも、前項と同様とする。
3 前二項の規定は、民法 (明治二十九年法律第八十九号)の規定による損害賠償の請求を妨げるものではない。
***************************************************************
独占禁止法8条は、事業者団体の禁止行為を定めています。
順次見て行きます。
8条1号 一定の取引分野における競争を実質的に制限すること。
8条3号 一定の事業分野における現在又は将来の事業者の数を制限すること。
8条4号 構成事業者(事業者団体の構成員である事業者をいう。以下同じ。)の機能又は活動を不当に制限すること。
以上
*******経済法 関連記事********
独禁法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)を知る<まずは、一番基本的なところ>
カルテル、不当な取引制限、独占禁止法を理解するための基本的な事例
独禁法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)を知る<以下の事例は、独禁法違反か?>
小児科医としては、どうかな?と思います。
私達小児科医は、外来に来られるお子さんの予防接種歴は常に気にして診療をしています。
もれがないように。
そのひとりひとりの小児科医の心がけで、解決される話です。
大がかりなシステム構築にお金を消費するのであれば、他の重要な子育て支援や、B型肝炎ワクチンやおたふく予防接種等予防接種費用助成に回していただきたいと考えます。
****************************
http://www.yomiuri.co.jp/national/20140511-OYT1T50167.html
予防接種歴確認を容易に、一括管理システム構築
2014年05月12日 03時00分
予防接種を受けない人を減らそうと、厚生労働省は、全国民の接種記録を登録するシステムを作ることを決めた。
国民が過去の記録を閲覧し、接種漏れがないか確認できるほか、国や自治体が、接種の少ない世代や地域を把握し、接種を呼びかける際にも利用できる。2017年度からシステムを運用したい考えだ。
住民の接種記録は市町村が保管しているが、〈1〉住民が他の市町村に引っ越すと記録が途切れる〈2〉保管期限の5年を過ぎると記録がなくなる――などの問題がある。接種記録が書かれた母子健康手帳が親から子に引き継がれない場合もある。
システム構築のため、厚労省は今年度、記録の保管方法を紙から電子情報に切り替えるよう各市町村に促す。その後、各市町村と中核のコンピューターを連結し、接種記録を一体化して保存する。保管期限も廃止して無期限にする方向だ。
私達小児科医は、外来に来られるお子さんの予防接種歴は常に気にして診療をしています。
もれがないように。
そのひとりひとりの小児科医の心がけで、解決される話です。
大がかりなシステム構築にお金を消費するのであれば、他の重要な子育て支援や、B型肝炎ワクチンやおたふく予防接種等予防接種費用助成に回していただきたいと考えます。
****************************
http://www.yomiuri.co.jp/national/20140511-OYT1T50167.html
予防接種歴確認を容易に、一括管理システム構築
2014年05月12日 03時00分
予防接種を受けない人を減らそうと、厚生労働省は、全国民の接種記録を登録するシステムを作ることを決めた。
国民が過去の記録を閲覧し、接種漏れがないか確認できるほか、国や自治体が、接種の少ない世代や地域を把握し、接種を呼びかける際にも利用できる。2017年度からシステムを運用したい考えだ。
住民の接種記録は市町村が保管しているが、〈1〉住民が他の市町村に引っ越すと記録が途切れる〈2〉保管期限の5年を過ぎると記録がなくなる――などの問題がある。接種記録が書かれた母子健康手帳が親から子に引き継がれない場合もある。
システム構築のため、厚労省は今年度、記録の保管方法を紙から電子情報に切り替えるよう各市町村に促す。その後、各市町村と中核のコンピューターを連結し、接種記録を一体化して保存する。保管期限も廃止して無期限にする方向だ。
築地市場移転問題の裁判のご案内です。
築地市場移転候補地として東京都の行った不正な汚染地購入問題について、購入時期(H18年、H23年)に応じ二つの裁判が同時進行していますが、5月13日(10時半~)、H23年分についての公判があります。
明日、午前10時30分 東京地裁703号法廷です。
裁判後に弁護士会館で、報告会もあります。
今回の期日に際し、原告から答弁書が出されています。その内容を印刷した資料も傍聴のかた用に、原告団事務局で印刷し準備しています。裁判の内容のご理解にお役立て下さい。
なお、H18年(2006)購入分について、先日4月23日、東京高裁は「住民監査請求の時効」について「控訴棄却」の判決を出しました。
一審と同様、朝日新聞のスクープ記事より前の都議会答弁などで、都の嘘は見抜けたはずであるとする判決で住民に不可能を強いる内容の判決でした。
ただ、東京高裁は判決文中、H18年汚染地購入前後の都議会答弁が虚偽答弁だったことを認め「答弁は,東京ガスが行った対策により,本件各土地には汚染が残置していないし,新たな土壌汚染が発覚しても東京ガスが汚染対策費用を負担する旨の説明と受け止められる。」P13、さらに「答弁内容の適否は,一般的には,それ自体石原らや東京都の政治的責任等が問われるべき問題ではあるが」p14 として、「虚偽答弁」についての石原元都知事(当時)らの政治的責任に言及しました。
この指摘は今後の裁判などに大きく影響するものと考えられます。
この平成18年分公金返還請求訴訟については、高裁判決を不服として最高裁に上告しました。
引き続きご注目ください。
さて、明日が口頭弁論期日の二つ目の裁判(H23年購入分)の公判は、下記の通りです。
以下は、原告のひとり水谷さんからの案内文です。
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【転送、拡散歓迎!】「築地市場移転問題」汚染地購入裁判のご案内
■平成23年公金返還訴訟(2011年購入分)
5月13日(火)10:30~ 東京地裁703法廷
報告会(法廷終了後) 場所:弁護士会館予定(弁護士会館は地裁の隣にあります。)
H19年(2007)に都の開いた専門家会議で東京ガスによる大量の残置汚染が発覚したにも拘らず、都が東京ガス(など)から「汚染無し」の価格でH23年(2011)汚染地を購入した問題です。
汚染地購入時、汚染要素を加えた評価をすべき財産価格審議会は審議を放棄し、評価を東京都と東京ガスの「協議」に委ねました。何のことは無い、汚染処理責任について都議会に対し「虚偽答弁」を繰り返し東京ガスに利益誘導した東京都と、利益誘導を受けた東京ガスが汚染地を評価すると言う、「お手盛り・協議」です。都と東京ガスはたった78億円の協議金で、汚染問題にピリオドを打とうとしたのです。現時点で汚染対策費用は762億円になっていますから、協議金はたったの1割程度に過ぎません。
現在まで続いている東京都による土壌汚染の隠ぺいは、これらの不正な汚染地の購入に伴って行われてきたものです。私たち市民はこれらの不正を解明するため、公金支出返還裁判をたたかっています。
土壌汚染問題では「安全宣言」の目処も立たないまま、施設工事に着手したことについて、業界の反発も相次いでいます。また流通動線や立地について、そして非民主的な計画の進め方についてなど、東京都は猛烈な批判を浴び続けています。
都の暴走を止めるためには、消費者である市民も加わり、絶えず監視を続けることが最大の力となると信じます。裁判の傍聴に是非ご参加下さい。
―――――――――― (以上報告)築地移転問題関連裁判の原告メンバー 水谷和子 連絡先 mizunoyaka@ezweb.ne.jp
築地市場移転候補地として東京都の行った不正な汚染地購入問題について、購入時期(H18年、H23年)に応じ二つの裁判が同時進行していますが、5月13日(10時半~)、H23年分についての公判があります。
明日、午前10時30分 東京地裁703号法廷です。
裁判後に弁護士会館で、報告会もあります。
今回の期日に際し、原告から答弁書が出されています。その内容を印刷した資料も傍聴のかた用に、原告団事務局で印刷し準備しています。裁判の内容のご理解にお役立て下さい。
なお、H18年(2006)購入分について、先日4月23日、東京高裁は「住民監査請求の時効」について「控訴棄却」の判決を出しました。
一審と同様、朝日新聞のスクープ記事より前の都議会答弁などで、都の嘘は見抜けたはずであるとする判決で住民に不可能を強いる内容の判決でした。
ただ、東京高裁は判決文中、H18年汚染地購入前後の都議会答弁が虚偽答弁だったことを認め「答弁は,東京ガスが行った対策により,本件各土地には汚染が残置していないし,新たな土壌汚染が発覚しても東京ガスが汚染対策費用を負担する旨の説明と受け止められる。」P13、さらに「答弁内容の適否は,一般的には,それ自体石原らや東京都の政治的責任等が問われるべき問題ではあるが」p14 として、「虚偽答弁」についての石原元都知事(当時)らの政治的責任に言及しました。
この指摘は今後の裁判などに大きく影響するものと考えられます。
この平成18年分公金返還請求訴訟については、高裁判決を不服として最高裁に上告しました。
引き続きご注目ください。
さて、明日が口頭弁論期日の二つ目の裁判(H23年購入分)の公判は、下記の通りです。
以下は、原告のひとり水谷さんからの案内文です。
**************************************************************
【転送、拡散歓迎!】「築地市場移転問題」汚染地購入裁判のご案内
■平成23年公金返還訴訟(2011年購入分)
5月13日(火)10:30~ 東京地裁703法廷
報告会(法廷終了後) 場所:弁護士会館予定(弁護士会館は地裁の隣にあります。)
H19年(2007)に都の開いた専門家会議で東京ガスによる大量の残置汚染が発覚したにも拘らず、都が東京ガス(など)から「汚染無し」の価格でH23年(2011)汚染地を購入した問題です。
汚染地購入時、汚染要素を加えた評価をすべき財産価格審議会は審議を放棄し、評価を東京都と東京ガスの「協議」に委ねました。何のことは無い、汚染処理責任について都議会に対し「虚偽答弁」を繰り返し東京ガスに利益誘導した東京都と、利益誘導を受けた東京ガスが汚染地を評価すると言う、「お手盛り・協議」です。都と東京ガスはたった78億円の協議金で、汚染問題にピリオドを打とうとしたのです。現時点で汚染対策費用は762億円になっていますから、協議金はたったの1割程度に過ぎません。
現在まで続いている東京都による土壌汚染の隠ぺいは、これらの不正な汚染地の購入に伴って行われてきたものです。私たち市民はこれらの不正を解明するため、公金支出返還裁判をたたかっています。
土壌汚染問題では「安全宣言」の目処も立たないまま、施設工事に着手したことについて、業界の反発も相次いでいます。また流通動線や立地について、そして非民主的な計画の進め方についてなど、東京都は猛烈な批判を浴び続けています。
都の暴走を止めるためには、消費者である市民も加わり、絶えず監視を続けることが最大の力となると信じます。裁判の傍聴に是非ご参加下さい。
―――――――――― (以上報告)築地移転問題関連裁判の原告メンバー 水谷和子 連絡先 mizunoyaka@ezweb.ne.jp
巨大地震が起これば、巨大津波が来ることは、予見可能であったのに、予見義務を果たさず(大川小の危機管理マニュアルは他校の丸写しで震災前に改訂しなかった。=適切な避難場所を定めていなかった。)、そして、実際、3.11で巨大津波が来た時、その津波からの災害死を避けること(裏山への避難)が可能であったのに、その結果回避義務を怠り、津波に巻き込まれた(教職員が震災直後に行政無線などで津波情報を知っていたのに、危険性の高い校庭に約45分間待機させた。=避難の意思決定の遅れと避難場所を北上川堤防沿いに選んだ。)。
市には過失があり、その過失により児童と教職員が亡くなられている以上、人災である。
以上、メディアからの情報から自分は、考えます。
市の予見義務違反、結果回避義務違反、監督義務違反に関して、裁判がひとつの真実を明らかにしてくださると思います。
私の希望をいうのであれば、同じような過ちを二度と繰り返さぬことです。
**********************************************
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201405/20140509_13014.html
大川小賠償訴訟 石巻市が争う姿勢「提訴内容納得できぬ」
東日本大震災で児童と教職員計84人が死亡・行方不明になった宮城県石巻市大川小の津波災害をめぐり、児童23人の19家族が市と宮城県に約23億円の損害賠償を求めた訴訟で、亀山紘市長は8日、河北新報社の取材に「和解はしない」と答え、争う姿勢を明らかにした。第1回口頭弁論は19日、仙台地裁で開かれる。
亀山市長は「提訴内容は納得できない。裁判でわれわれの主張をしていく」と語った。これまで遺族との話し合いの中では「子どもたちを守れなかったことに道義的責任を感じる」などと述べたが、法的責任については明言しなかった。
訴えによると、2011年3月11日の震災時は児童103人と教職員11人が在校。地震発生から津波到達までの約50分間に裏山や高台に避難できたのに、児童は校庭で待機するよう指示された。午後3時37分ごろに津波にのみ込まれ、児童74人が死亡・行方不明になり、教職員10人が死亡した。
遺族らは(1)教職員が震災直後に行政無線などで津波情報を知っていたのに、危険性の高い校庭に約45分間待機させた(2)大川小の危機管理マニュアルは他校の丸写しで震災前に改訂しなかった-などと主張している。
大川小の津波災害に関しては、第三者の事故検証委員会が「避難の意思決定の遅れと避難場所を北上川堤防沿いに選んだことが直接的要因」とする最終報告書を市に提出している。
2014年05月09日金曜日
市には過失があり、その過失により児童と教職員が亡くなられている以上、人災である。
以上、メディアからの情報から自分は、考えます。
市の予見義務違反、結果回避義務違反、監督義務違反に関して、裁判がひとつの真実を明らかにしてくださると思います。
私の希望をいうのであれば、同じような過ちを二度と繰り返さぬことです。
**********************************************
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201405/20140509_13014.html
大川小賠償訴訟 石巻市が争う姿勢「提訴内容納得できぬ」
東日本大震災で児童と教職員計84人が死亡・行方不明になった宮城県石巻市大川小の津波災害をめぐり、児童23人の19家族が市と宮城県に約23億円の損害賠償を求めた訴訟で、亀山紘市長は8日、河北新報社の取材に「和解はしない」と答え、争う姿勢を明らかにした。第1回口頭弁論は19日、仙台地裁で開かれる。
亀山市長は「提訴内容は納得できない。裁判でわれわれの主張をしていく」と語った。これまで遺族との話し合いの中では「子どもたちを守れなかったことに道義的責任を感じる」などと述べたが、法的責任については明言しなかった。
訴えによると、2011年3月11日の震災時は児童103人と教職員11人が在校。地震発生から津波到達までの約50分間に裏山や高台に避難できたのに、児童は校庭で待機するよう指示された。午後3時37分ごろに津波にのみ込まれ、児童74人が死亡・行方不明になり、教職員10人が死亡した。
遺族らは(1)教職員が震災直後に行政無線などで津波情報を知っていたのに、危険性の高い校庭に約45分間待機させた(2)大川小の危機管理マニュアルは他校の丸写しで震災前に改訂しなかった-などと主張している。
大川小の津波災害に関しては、第三者の事故検証委員会が「避難の意思決定の遅れと避難場所を北上川堤防沿いに選んだことが直接的要因」とする最終報告書を市に提出している。
2014年05月09日金曜日
あらためて、大きな一歩となった判決と思いました。
在外日本人選挙権制限規定違憲判決。
用いられた合憲性の判断基準:
目的:「やむを得ない事由」があるか
手段:「やむを得ない事由があるから」やらない
目的手段審査を用いるが、目的の部分、すなわち「やむを得ない事由」があるかどうかだけ審査し、「ある」なら、自動的に「手段としてやらないこと」は合憲。「ない」なら、「手段としてやらない」ことは違憲。
具体的には、
憲法の以上の趣旨にかんがみれば,自ら選挙の公正を害する行為をした者等の選
挙権について一定の制限をすることは別として,国民の選挙権又はその行使を制限
することは原則として許されず,国民の選挙権又はその行使を制限するためには,
そのような制限をすることがやむを得ないと認められる事由がなければならないと
いうべきである。そして,そのような制限をすることなしには選挙の公正を確保し
つつ選挙権の行使を認めることが事実上不能ないし著しく困難であると認められる
場合でない限り,上記のやむを得ない事由があるとはいえず,このような事由なし
に国民の選挙権の行使を制限することは,憲法15条1項及び3項,43条1項並
びに44条ただし書に違反するといわざるを得ない。また,このことは,国が国民
の選挙権の行使を可能にするための所要の措置を執らないという不作為によって国
民が選挙権を行使することができない場合についても,同様である。
上記判断基準を用いて、実際に違憲にした箇所の全文→判決文の「第2」の部分です。
実は、ブログ(2014-05-04 23:00:00 http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/b2e7bae5aa0bfd42e729d264e58f72a7)で、問題提起した現行の最高裁判所裁判官の国民審査の手法も、よりよいやり方があるのではと考えるところです。なぜならば、現行国民審査では、「適格と判断した裁判官に対する記載欄には○の記号を記載したかったが,国民審査法第15条の規定によって何も記載しないで投票せざるを得ない」のであり、このことは、思想良心の自由(憲法19条)や、表現の自由(憲法21条1項)及び公務員の選定する権利(憲法15条1項)を侵害しているからです。
よりよいやりかたがあるのにやらないで現行国民審査を続けることが違憲であるとして論ずるには、この判決が使えると思いました。
**********判決文の「第2」の部分の抜粋****************************
第2 在外国民の選挙権の行使を制限することの憲法適合性について
1 国民の代表者である議員を選挙によって選定する国民の権利は,国民の国政
への参加の機会を保障する基本的権利として,議会制民主主義の根幹を成すもので
あり,民主国家においては,一定の年齢に達した国民のすべてに平等に与えられる
べきものである。
憲法は,前文及び1条において,主権が国民に存することを宣言し,国民は正当
に選挙された国会における代表者を通じて行動すると定めるとともに,43条1項
において,国会の両議院は全国民を代表する選挙された議員でこれを組織すると定
め,15条1項において,公務員を選定し,及びこれを罷免することは,国民固有
の権利であると定めて,国民に対し,主権者として,両議院の議員の選挙において
投票をすることによって国の政治に参加することができる権利を保障している。そ
して,憲法は,同条3項において,公務員の選挙については,成年者による普通選
挙を保障すると定め,さらに,44条ただし書において,両議院の議員の選挙人の
資格については,人種,信条,性別,社会的身分,門地,教育,財産又は収入によ
って差別してはならないと定めている。以上によれば,憲法は,国民主権の原理に
基づき,両議院の議員の選挙において投票をすることによって国の政治に参加する
ことができる権利を国民に対して固有の権利として保障しており,その趣旨を確た
るものとするため,国民に対して投票をする機会を平等に保障しているものと解す
るのが相当である。
憲法の以上の趣旨にかんがみれば,自ら選挙の公正を害する行為をした者等の選
挙権について一定の制限をすることは別として,国民の選挙権又はその行使を制限
することは原則として許されず,国民の選挙権又はその行使を制限するためには,
そのような制限をすることがやむを得ないと認められる事由がなければならないと
- 4 -
いうべきである。そして,そのような制限をすることなしには選挙の公正を確保し
つつ選挙権の行使を認めることが事実上不能ないし著しく困難であると認められる
場合でない限り,上記のやむを得ない事由があるとはいえず,このような事由なし
に国民の選挙権の行使を制限することは,憲法15条1項及び3項,43条1項並
びに44条ただし書に違反するといわざるを得ない。また,このことは,国が国民
の選挙権の行使を可能にするための所要の措置を執らないという不作為によって国
民が選挙権を行使することができない場合についても,同様である。
在外国民は,選挙人名簿の登録について国内に居住する国民と同様の被登録資格
を有しないために,そのままでは選挙権を行使することができないが,憲法によっ
て選挙権を保障されていることに変わりはなく,国には,選挙の公正の確保に留意
しつつ,その行使を現実的に可能にするために所要の措置を執るべき責務があるの
であって,選挙の公正を確保しつつそのような措置を執ることが事実上不能ないし
著しく困難であると認められる場合に限り,当該措置を執らないことについて上記
のやむを得ない事由があるというべきである。
2 本件改正前の公職選挙法の憲法適合性について
前記第1の2(2)のとおり,本件改正前の公職選挙法の下においては,在外国民
は,選挙人名簿に登録されず,その結果,投票をすることができないものとされて
いた。これは,在外国民が実際に投票をすることを可能にするためには,我が国の
在外公館の人的,物的態勢を整えるなどの所要の措置を執る必要があったが,その
実現には克服しなければならない障害が少なくなかったためであると考えられる。
記録によれば,内閣は,昭和59年4月27日,「我が国の国際関係の緊密化に
伴い,国外に居住する国民が増加しつつあることにかんがみ,これらの者について
選挙権行使の機会を保障する必要がある」として,衆議院議員の選挙及び参議院議
員の選挙全般についての在外選挙制度の創設を内容とする「公職選挙法の一部を改
- 5 -
正する法律案」を第101回国会に提出したが,同法律案は,その後第105回国
会まで継続審査とされていたものの実質的な審議は行われず,同61年6月2日に
衆議院が解散されたことにより廃案となったこと,その後,本件選挙が実施された
平成8年10月20日までに,在外国民の選挙権の行使を可能にするための法律改
正はされなかったことが明らかである。世界各地に散在する多数の在外国民に選挙
権の行使を認めるに当たり,公正な選挙の実施や候補者に関する情報の適正な伝達
等に関して解決されるべき問題があったとしても,既に昭和59年の時点で,選挙
の執行について責任を負う内閣がその解決が可能であることを前提に上記の法律案
を国会に提出していることを考慮すると,同法律案が廃案となった後,国会が,1
0年以上の長きにわたって在外選挙制度を何ら創設しないまま放置し,本件選挙に
おいて在外国民が投票をすることを認めなかったことについては,やむを得ない事
由があったとは到底いうことができない。そうすると,【要旨1】本件改正前の公
職選挙法が,本件選挙当時,在外国民であった上告人らの投票を全く認めていなか
ったことは,憲法15条1項及び3項,43条1項並びに44条ただし書に違反す
るものであったというべきである。
3 本件改正後の公職選挙法の憲法適合性について
本件改正は,在外国民に国政選挙で投票をすることを認める在外選挙制度を設け
たものの,当分の間,衆議院比例代表選出議員の選挙及び参議院比例代表選出議員
の選挙についてだけ投票をすることを認め,衆議院小選挙区選出議員の選挙及び参
議院選挙区選出議員の選挙については投票をすることを認めないというものである。
この点に関しては,投票日前に選挙公報を在外国民に届けるのは実際上困難であり
,在外国民に候補者個人に関する情報を適正に伝達するのが困難であるという状況
の下で,候補者の氏名を自書させて投票をさせる必要のある衆議院小選挙区選出議
員の選挙又は参議院選挙区選出議員の選挙について在外国民に投票をすることを認
- 6 -
めることには検討を要する問題があるという見解もないではなかったことなどを考
慮すると,初めて在外選挙制度を設けるに当たり,まず問題の比較的少ない比例代
表選出議員の選挙についてだけ在外国民の投票を認めることとしたことが,全く理
由のないものであったとまでいうことはできない。しかしながら,本件改正後に在
外選挙が繰り返し実施されてきていること,通信手段が地球規模で目覚ましい発達
を遂げていることなどによれば,在外国民に候補者個人に関する情報を適正に伝達
することが著しく困難であるとはいえなくなったものというべきである。また,参
議院比例代表選出議員の選挙制度を非拘束名簿式に改めることなどを内容とする公
職選挙法の一部を改正する法律(平成12年法律第118号)が平成12年11月
1日に公布され,同月21日に施行されているが,この改正後は,参議院比例代表
選出議員の選挙の投票については,公職選挙法86条の3第1項の参議院名簿登載
者の氏名を自書することが原則とされ,既に平成13年及び同16年に,在外国民
についてもこの制度に基づく選挙権の行使がされていることなども併せて考えると
,【要旨2】遅くとも,本判決言渡し後に初めて行われる衆議院議員の総選挙又は
参議院議員の通常選挙の時点においては,衆議院小選挙区選出議員の選挙及び参議
院選挙区選出議員の選挙について在外国民に投票をすることを認めないことについ
て,やむを得ない事由があるということはできず,公職選挙法附則8項の規定のう
ち,在外選挙制度の対象となる選挙を当分の間両議院の比例代表選出議員の選挙に
限定する部分は,憲法15条1項及び3項,43条1項並びに44条ただし書に違
反するものといわざるを得ない。
******最高裁ホームページより******
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52338&hanreiKbn=02
事件番号
平成13(行ツ)82
事件名
在外日本人選挙権剥奪違法確認等請求事件
裁判年月日
平成17年09月14日
法廷名
最高裁判所大法廷
裁判種別
判決
結果
その他
判例集等巻・号・頁
民集 第59巻7号2087頁
原審裁判所名
東京高等裁判所
原審事件番号
平成11(行コ)253
原審裁判年月日
平成12年11月08日
判示事項
1 公職選挙法(平成10年法律第47号による改正前のもの)が在外国民の国政選挙における投票を平成8年10月20日に施行された衆議院議員の総選挙当時全く認めていなかったことと憲法15条1項,3項,43条1項,44条ただし書
2 公職選挙法附則8項の規定のうち在外国民に国政選挙における選挙権の行使を認める制度の対象となる選挙を当分の間両議院の比例代表選出議員の選挙に限定する部分と憲法15条1項,3項,43条1項,44条ただし書
3 在外国民が次回の衆議院議員の総選挙における小選挙区選出議員の選挙及び参議院議員の通常選挙における選挙区選出議員の選挙において在外選挙人名簿に登録されていることに基づいて投票をすることができる地位にあることの確認を求める訴えの適否
4 在外国民と次回の衆議院議員の総選挙における小選挙区選出議員の選挙及び参議院議員の通常選挙における選挙区選出議員の選挙において投票をすることができる地位
5 国会議員の立法行為又は立法不作為が国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受ける場合
6 平成8年10月20日に施行された衆議院議員の総選挙までに国会が在外国民の国政選挙における投票を可能にするための立法措置を執らなかったことについて国家賠償請求が認容された事例
裁判要旨
1 平成8年10月20日に施行された衆議院議員の総選挙当時,公職選挙法(平成10年法律第47号による改正前のもの)が,国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民が国政選挙において投票をするのを全く認めていなかったことは,憲法15条1項,3項,43条1項,44条ただし書に違反する。
2 公職選挙法附則8項の規定のうち,国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民に国政選挙における選挙権の行使を認める制度の対象となる選挙を当分の間両議院の比例代表選出議員の選挙に限定する部分は,遅くとも,本判決言渡し後に初めて行われる衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙の時点においては,憲法15条1項,3項,43条1項,44条ただし書に違反する。
3 国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民が,次回の衆議院議員の総選挙における小選挙区選出議員の選挙及び参議院議員の通常選挙における選挙区選出議員の選挙において,在外選挙人名簿に登録されていることに基づいて投票をすることができる地位にあることの確認を求める訴えは,公法上の法律関係に関する確認の訴えとして適法である。
4 国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民は,次回の衆議院議員の総選挙における小選挙区選出議員の選挙及び参議院議員の通常選挙における選挙区選出議員の選挙において,在外選挙人名簿に登録され ていることに基づいて投票をすることができる地位にある。
5 国会議員の立法行為又は立法不作為は,その立法の内容又は立法不作為が国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白な場合や,国民に憲法上保障されている権利行使の機会を確保するために所要の立法措置を執ることが必要不可欠であり,それが明白であるにもかかわらず,国会が正当な理由なく長期にわたってこれを怠る場合などには,例外的に,国家賠償法1条1項の適用上,違法の評価を受ける。
6 国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民に国政選挙における選挙権行使の機会を確保するためには,上記国民に上記選挙権の行使を認める制度を設けるなどの立法措置を執ることが必要不可欠であったにもかかわらず,上記国民の国政選挙における投票を可能にするための法律案が廃案となった後,平成8年10月20日の衆議院議員総選挙の施行に至るまで10年以上の長きにわたって国会が上記投票を可能にするための立法措置を執らなかったことは,国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるものというべきであり,国は,上記選挙において投票をすることができなかったことにより精神的苦痛を被った上記国民に対し,慰謝料各5000円の支払義務を負う。
(1,2,4~6につき,補足意見,反対意見がある。)
参照法条
憲法15条1項,憲法15条3項,憲法41条,憲法43条1項,憲法44条,公職選挙法第4章の2 在外選挙人名簿,公職選挙法42条,公職選挙法49条の2,公職選挙法附則8項,公職選挙法(平成12年法律第62号による改正前のもの)21条1項,公職選挙法(平成10年法律第47号による改正前のもの)42条,住民基本台帳法15条1項,行政事件訴訟法4条,国家賠償法1条1項
全文
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319120718970813.pdf
在外日本人選挙権制限規定違憲判決。
用いられた合憲性の判断基準:
目的:「やむを得ない事由」があるか
手段:「やむを得ない事由があるから」やらない
目的手段審査を用いるが、目的の部分、すなわち「やむを得ない事由」があるかどうかだけ審査し、「ある」なら、自動的に「手段としてやらないこと」は合憲。「ない」なら、「手段としてやらない」ことは違憲。
具体的には、
憲法の以上の趣旨にかんがみれば,自ら選挙の公正を害する行為をした者等の選
挙権について一定の制限をすることは別として,国民の選挙権又はその行使を制限
することは原則として許されず,国民の選挙権又はその行使を制限するためには,
そのような制限をすることがやむを得ないと認められる事由がなければならないと
いうべきである。そして,そのような制限をすることなしには選挙の公正を確保し
つつ選挙権の行使を認めることが事実上不能ないし著しく困難であると認められる
場合でない限り,上記のやむを得ない事由があるとはいえず,このような事由なし
に国民の選挙権の行使を制限することは,憲法15条1項及び3項,43条1項並
びに44条ただし書に違反するといわざるを得ない。また,このことは,国が国民
の選挙権の行使を可能にするための所要の措置を執らないという不作為によって国
民が選挙権を行使することができない場合についても,同様である。
上記判断基準を用いて、実際に違憲にした箇所の全文→判決文の「第2」の部分です。
実は、ブログ(2014-05-04 23:00:00 http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/b2e7bae5aa0bfd42e729d264e58f72a7)で、問題提起した現行の最高裁判所裁判官の国民審査の手法も、よりよいやり方があるのではと考えるところです。なぜならば、現行国民審査では、「適格と判断した裁判官に対する記載欄には○の記号を記載したかったが,国民審査法第15条の規定によって何も記載しないで投票せざるを得ない」のであり、このことは、思想良心の自由(憲法19条)や、表現の自由(憲法21条1項)及び公務員の選定する権利(憲法15条1項)を侵害しているからです。
よりよいやりかたがあるのにやらないで現行国民審査を続けることが違憲であるとして論ずるには、この判決が使えると思いました。
**********判決文の「第2」の部分の抜粋****************************
第2 在外国民の選挙権の行使を制限することの憲法適合性について
1 国民の代表者である議員を選挙によって選定する国民の権利は,国民の国政
への参加の機会を保障する基本的権利として,議会制民主主義の根幹を成すもので
あり,民主国家においては,一定の年齢に達した国民のすべてに平等に与えられる
べきものである。
憲法は,前文及び1条において,主権が国民に存することを宣言し,国民は正当
に選挙された国会における代表者を通じて行動すると定めるとともに,43条1項
において,国会の両議院は全国民を代表する選挙された議員でこれを組織すると定
め,15条1項において,公務員を選定し,及びこれを罷免することは,国民固有
の権利であると定めて,国民に対し,主権者として,両議院の議員の選挙において
投票をすることによって国の政治に参加することができる権利を保障している。そ
して,憲法は,同条3項において,公務員の選挙については,成年者による普通選
挙を保障すると定め,さらに,44条ただし書において,両議院の議員の選挙人の
資格については,人種,信条,性別,社会的身分,門地,教育,財産又は収入によ
って差別してはならないと定めている。以上によれば,憲法は,国民主権の原理に
基づき,両議院の議員の選挙において投票をすることによって国の政治に参加する
ことができる権利を国民に対して固有の権利として保障しており,その趣旨を確た
るものとするため,国民に対して投票をする機会を平等に保障しているものと解す
るのが相当である。
憲法の以上の趣旨にかんがみれば,自ら選挙の公正を害する行為をした者等の選
挙権について一定の制限をすることは別として,国民の選挙権又はその行使を制限
することは原則として許されず,国民の選挙権又はその行使を制限するためには,
そのような制限をすることがやむを得ないと認められる事由がなければならないと
- 4 -
いうべきである。そして,そのような制限をすることなしには選挙の公正を確保し
つつ選挙権の行使を認めることが事実上不能ないし著しく困難であると認められる
場合でない限り,上記のやむを得ない事由があるとはいえず,このような事由なし
に国民の選挙権の行使を制限することは,憲法15条1項及び3項,43条1項並
びに44条ただし書に違反するといわざるを得ない。また,このことは,国が国民
の選挙権の行使を可能にするための所要の措置を執らないという不作為によって国
民が選挙権を行使することができない場合についても,同様である。
在外国民は,選挙人名簿の登録について国内に居住する国民と同様の被登録資格
を有しないために,そのままでは選挙権を行使することができないが,憲法によっ
て選挙権を保障されていることに変わりはなく,国には,選挙の公正の確保に留意
しつつ,その行使を現実的に可能にするために所要の措置を執るべき責務があるの
であって,選挙の公正を確保しつつそのような措置を執ることが事実上不能ないし
著しく困難であると認められる場合に限り,当該措置を執らないことについて上記
のやむを得ない事由があるというべきである。
2 本件改正前の公職選挙法の憲法適合性について
前記第1の2(2)のとおり,本件改正前の公職選挙法の下においては,在外国民
は,選挙人名簿に登録されず,その結果,投票をすることができないものとされて
いた。これは,在外国民が実際に投票をすることを可能にするためには,我が国の
在外公館の人的,物的態勢を整えるなどの所要の措置を執る必要があったが,その
実現には克服しなければならない障害が少なくなかったためであると考えられる。
記録によれば,内閣は,昭和59年4月27日,「我が国の国際関係の緊密化に
伴い,国外に居住する国民が増加しつつあることにかんがみ,これらの者について
選挙権行使の機会を保障する必要がある」として,衆議院議員の選挙及び参議院議
員の選挙全般についての在外選挙制度の創設を内容とする「公職選挙法の一部を改
- 5 -
正する法律案」を第101回国会に提出したが,同法律案は,その後第105回国
会まで継続審査とされていたものの実質的な審議は行われず,同61年6月2日に
衆議院が解散されたことにより廃案となったこと,その後,本件選挙が実施された
平成8年10月20日までに,在外国民の選挙権の行使を可能にするための法律改
正はされなかったことが明らかである。世界各地に散在する多数の在外国民に選挙
権の行使を認めるに当たり,公正な選挙の実施や候補者に関する情報の適正な伝達
等に関して解決されるべき問題があったとしても,既に昭和59年の時点で,選挙
の執行について責任を負う内閣がその解決が可能であることを前提に上記の法律案
を国会に提出していることを考慮すると,同法律案が廃案となった後,国会が,1
0年以上の長きにわたって在外選挙制度を何ら創設しないまま放置し,本件選挙に
おいて在外国民が投票をすることを認めなかったことについては,やむを得ない事
由があったとは到底いうことができない。そうすると,【要旨1】本件改正前の公
職選挙法が,本件選挙当時,在外国民であった上告人らの投票を全く認めていなか
ったことは,憲法15条1項及び3項,43条1項並びに44条ただし書に違反す
るものであったというべきである。
3 本件改正後の公職選挙法の憲法適合性について
本件改正は,在外国民に国政選挙で投票をすることを認める在外選挙制度を設け
たものの,当分の間,衆議院比例代表選出議員の選挙及び参議院比例代表選出議員
の選挙についてだけ投票をすることを認め,衆議院小選挙区選出議員の選挙及び参
議院選挙区選出議員の選挙については投票をすることを認めないというものである。
この点に関しては,投票日前に選挙公報を在外国民に届けるのは実際上困難であり
,在外国民に候補者個人に関する情報を適正に伝達するのが困難であるという状況
の下で,候補者の氏名を自書させて投票をさせる必要のある衆議院小選挙区選出議
員の選挙又は参議院選挙区選出議員の選挙について在外国民に投票をすることを認
- 6 -
めることには検討を要する問題があるという見解もないではなかったことなどを考
慮すると,初めて在外選挙制度を設けるに当たり,まず問題の比較的少ない比例代
表選出議員の選挙についてだけ在外国民の投票を認めることとしたことが,全く理
由のないものであったとまでいうことはできない。しかしながら,本件改正後に在
外選挙が繰り返し実施されてきていること,通信手段が地球規模で目覚ましい発達
を遂げていることなどによれば,在外国民に候補者個人に関する情報を適正に伝達
することが著しく困難であるとはいえなくなったものというべきである。また,参
議院比例代表選出議員の選挙制度を非拘束名簿式に改めることなどを内容とする公
職選挙法の一部を改正する法律(平成12年法律第118号)が平成12年11月
1日に公布され,同月21日に施行されているが,この改正後は,参議院比例代表
選出議員の選挙の投票については,公職選挙法86条の3第1項の参議院名簿登載
者の氏名を自書することが原則とされ,既に平成13年及び同16年に,在外国民
についてもこの制度に基づく選挙権の行使がされていることなども併せて考えると
,【要旨2】遅くとも,本判決言渡し後に初めて行われる衆議院議員の総選挙又は
参議院議員の通常選挙の時点においては,衆議院小選挙区選出議員の選挙及び参議
院選挙区選出議員の選挙について在外国民に投票をすることを認めないことについ
て,やむを得ない事由があるということはできず,公職選挙法附則8項の規定のう
ち,在外選挙制度の対象となる選挙を当分の間両議院の比例代表選出議員の選挙に
限定する部分は,憲法15条1項及び3項,43条1項並びに44条ただし書に違
反するものといわざるを得ない。
******最高裁ホームページより******
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52338&hanreiKbn=02
事件番号
平成13(行ツ)82
事件名
在外日本人選挙権剥奪違法確認等請求事件
裁判年月日
平成17年09月14日
法廷名
最高裁判所大法廷
裁判種別
判決
結果
その他
判例集等巻・号・頁
民集 第59巻7号2087頁
原審裁判所名
東京高等裁判所
原審事件番号
平成11(行コ)253
原審裁判年月日
平成12年11月08日
判示事項
1 公職選挙法(平成10年法律第47号による改正前のもの)が在外国民の国政選挙における投票を平成8年10月20日に施行された衆議院議員の総選挙当時全く認めていなかったことと憲法15条1項,3項,43条1項,44条ただし書
2 公職選挙法附則8項の規定のうち在外国民に国政選挙における選挙権の行使を認める制度の対象となる選挙を当分の間両議院の比例代表選出議員の選挙に限定する部分と憲法15条1項,3項,43条1項,44条ただし書
3 在外国民が次回の衆議院議員の総選挙における小選挙区選出議員の選挙及び参議院議員の通常選挙における選挙区選出議員の選挙において在外選挙人名簿に登録されていることに基づいて投票をすることができる地位にあることの確認を求める訴えの適否
4 在外国民と次回の衆議院議員の総選挙における小選挙区選出議員の選挙及び参議院議員の通常選挙における選挙区選出議員の選挙において投票をすることができる地位
5 国会議員の立法行為又は立法不作為が国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受ける場合
6 平成8年10月20日に施行された衆議院議員の総選挙までに国会が在外国民の国政選挙における投票を可能にするための立法措置を執らなかったことについて国家賠償請求が認容された事例
裁判要旨
1 平成8年10月20日に施行された衆議院議員の総選挙当時,公職選挙法(平成10年法律第47号による改正前のもの)が,国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民が国政選挙において投票をするのを全く認めていなかったことは,憲法15条1項,3項,43条1項,44条ただし書に違反する。
2 公職選挙法附則8項の規定のうち,国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民に国政選挙における選挙権の行使を認める制度の対象となる選挙を当分の間両議院の比例代表選出議員の選挙に限定する部分は,遅くとも,本判決言渡し後に初めて行われる衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙の時点においては,憲法15条1項,3項,43条1項,44条ただし書に違反する。
3 国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民が,次回の衆議院議員の総選挙における小選挙区選出議員の選挙及び参議院議員の通常選挙における選挙区選出議員の選挙において,在外選挙人名簿に登録されていることに基づいて投票をすることができる地位にあることの確認を求める訴えは,公法上の法律関係に関する確認の訴えとして適法である。
4 国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民は,次回の衆議院議員の総選挙における小選挙区選出議員の選挙及び参議院議員の通常選挙における選挙区選出議員の選挙において,在外選挙人名簿に登録され ていることに基づいて投票をすることができる地位にある。
5 国会議員の立法行為又は立法不作為は,その立法の内容又は立法不作為が国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白な場合や,国民に憲法上保障されている権利行使の機会を確保するために所要の立法措置を執ることが必要不可欠であり,それが明白であるにもかかわらず,国会が正当な理由なく長期にわたってこれを怠る場合などには,例外的に,国家賠償法1条1項の適用上,違法の評価を受ける。
6 国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民に国政選挙における選挙権行使の機会を確保するためには,上記国民に上記選挙権の行使を認める制度を設けるなどの立法措置を執ることが必要不可欠であったにもかかわらず,上記国民の国政選挙における投票を可能にするための法律案が廃案となった後,平成8年10月20日の衆議院議員総選挙の施行に至るまで10年以上の長きにわたって国会が上記投票を可能にするための立法措置を執らなかったことは,国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるものというべきであり,国は,上記選挙において投票をすることができなかったことにより精神的苦痛を被った上記国民に対し,慰謝料各5000円の支払義務を負う。
(1,2,4~6につき,補足意見,反対意見がある。)
参照法条
憲法15条1項,憲法15条3項,憲法41条,憲法43条1項,憲法44条,公職選挙法第4章の2 在外選挙人名簿,公職選挙法42条,公職選挙法49条の2,公職選挙法附則8項,公職選挙法(平成12年法律第62号による改正前のもの)21条1項,公職選挙法(平成10年法律第47号による改正前のもの)42条,住民基本台帳法15条1項,行政事件訴訟法4条,国家賠償法1条1項
全文
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319120718970813.pdf
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こども元気クリニック・病児保育室
中央区月島3-30-3
電話 03-5547-1191
小坂和輝
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新聞に意見広告で名誉が棄損されたとして、その新聞社に反論意見広告を無料掲載を求めることができるかどうか。
最高裁は、表現の自由を守るために、成文法で制度化されていない反論権は認められないと判事しています。
ある意味、道理が通っていると思います。
反論権が安易に認められると、新聞社が意見を載せることに、委縮効果が働いてしまう。
その委縮効果こそ、表現の自由にとって大きなマイナスです。
以下、理由の該当部分。
***********************************
サンケイ新聞意見広告事件
最高裁昭和62年4月24日
新聞の記事に取り上げられた者が、その記事の掲載に
よつて名誉毀損の不法行為が成立するかどうかとは無関係に、自己が記事に取り上
げられたというだけの理由によつて、新聞を発行・販売する者に対し、当該記事に
対する自己の反論文を無修正で、しかも無料で掲載することを求めることができる
ものとするいわゆる反論権の制度は、記事により自己の名誉を傷つけられあるいは
そのプライバシーに属する事項等について誤つた報道をされたとする者にとつては、
機を失せず、同じ新聞紙上に自己の反論文の掲載を受けることができ、これによつ
て原記事に対する自己の主張を読者に訴える途が開かれることになるのであつて、
かかる制度により名誉あるいはプライバシーの保護に資するものがあることも否定
し難いところである。しかしながら、この制度が認められるときは、新聞を発行・
販売する者にとつては、原記事が正しく、反論文は誤りであると確信している場合
でも、あるいは反論文の内容がその編集方針によれば掲載すべきでないものであつ
ても、その掲載を強制されることになり、また、そのために本来ならば他に利用で
きたはずの紙面を割かなければならなくなる等の負担を強いられるのであつて、こ
れらの負担が、批判的記事、ことに公的事項に関する批判的記事の掲載をちゆうち
よさせ、憲法の保障する表現の自由を間接的に侵す危険につながるおそれも多分に
存するのである。このように、反論権の制度は、民主主義社会において極めて重要
な意味をもつ新聞等の表現の自由(前掲昭和六一年六月一一日大法廷判決参照)に
対し重大な影響を及ぼすものであつて、たとえ被上告人の発行するD新聞などの日
刊全国紙による情報の提供が一般国民に対し強い影響力をもち、その記事が特定の
者の名誉ないしプライバシーに重大な影響を及ぼすことがあるとしても、不法行為
が成立する場合にその者の保護を図ることは別論として、反論権の制度について具
体的な成文法がないのに、反論権を認めるに等しい上告人主張のような反論文掲載
請求権をたやすく認めることはできないものといわなければならない。
なお、放送
法四条は訂正放送の制度を設けているが、放送事業者は、限られた電波の使用の免
許を受けた者であつて、公的な性格を有するものであり(同法四四条三項ないし五
項、五一条等参照)、その訂正放送は、放送により権利の侵害があつたこと及び放
送された事項が真実でないことが判明した場合に限られるのであり、また、放送事
業者が同等の放送設備により相当の方法で訂正又は取消の放送をすべきものとして
いるにすぎないなど、その要件、内容等において、いわゆる反論権の制度ないし上
告人主張の反論文掲載請求権とは著しく異なるものであつて、同法四条の規定も、
所論のような反論文掲載請求権が認められる根拠とすることはできない。
***********************************
事件番号
昭和55(オ)1188
事件名
反論文掲載
裁判年月日
昭和62年04月24日
法廷名
最高裁判所第二小法廷
裁判種別
判決
結果
棄却
判例集等巻・号・頁
民集 第41巻3号490頁
原審裁判所名
東京高等裁判所
原審事件番号
昭和52(ネ)1852
原審裁判年月日
昭和55年09月30日
判示事項
一 人格権又は条理を根拠とするいわゆる反論文掲載請求権の成否
二 新聞紙上における政党間の批判・論評の意見広告につき名誉毀損の不法行為の成立が否定された事例
裁判要旨
一 新聞記事に取り上げられた者は、当該新聞紙を発行する者に対し、その記事の掲載により名誉毀損の不法行為が成立するかどうかとは無関係に、人格権又は条理を根拠として、右記事に対する自己の反論文を当該新聞紙に無修正かつ無料で掲載することを求めることはできない。
二 新聞社が新聞紙上に掲載した甲政党の意見広告が、乙政党の社会的評価の低下を狙つたものであるが乙政党を批判・論評する内容のものであり、かつ、その記事中乙政党の綱領等の要約等が一部必ずしも妥当又は正確とはいえないとしても、右要約のための綱領等の引用文言自体は原文のままであり、要点を外したものといえないなど原判示の事実関係のもとでは、右広告の掲載は、その広告が公共の利害に関する事実にかかり専ら公益を図る目的に出たものであり、かつ、主要な点において真実の証明があつたものとして、名誉毀損の不法行為となるものではない。
参照法条
憲法21条,民法1条,民法709条,民法710条,民法723条,刑法230条ノ2
判決文全文
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319122540616306.pdf
最高裁は、表現の自由を守るために、成文法で制度化されていない反論権は認められないと判事しています。
ある意味、道理が通っていると思います。
反論権が安易に認められると、新聞社が意見を載せることに、委縮効果が働いてしまう。
その委縮効果こそ、表現の自由にとって大きなマイナスです。
以下、理由の該当部分。
***********************************
サンケイ新聞意見広告事件
最高裁昭和62年4月24日
新聞の記事に取り上げられた者が、その記事の掲載に
よつて名誉毀損の不法行為が成立するかどうかとは無関係に、自己が記事に取り上
げられたというだけの理由によつて、新聞を発行・販売する者に対し、当該記事に
対する自己の反論文を無修正で、しかも無料で掲載することを求めることができる
ものとするいわゆる反論権の制度は、記事により自己の名誉を傷つけられあるいは
そのプライバシーに属する事項等について誤つた報道をされたとする者にとつては、
機を失せず、同じ新聞紙上に自己の反論文の掲載を受けることができ、これによつ
て原記事に対する自己の主張を読者に訴える途が開かれることになるのであつて、
かかる制度により名誉あるいはプライバシーの保護に資するものがあることも否定
し難いところである。しかしながら、この制度が認められるときは、新聞を発行・
販売する者にとつては、原記事が正しく、反論文は誤りであると確信している場合
でも、あるいは反論文の内容がその編集方針によれば掲載すべきでないものであつ
ても、その掲載を強制されることになり、また、そのために本来ならば他に利用で
きたはずの紙面を割かなければならなくなる等の負担を強いられるのであつて、こ
れらの負担が、批判的記事、ことに公的事項に関する批判的記事の掲載をちゆうち
よさせ、憲法の保障する表現の自由を間接的に侵す危険につながるおそれも多分に
存するのである。このように、反論権の制度は、民主主義社会において極めて重要
な意味をもつ新聞等の表現の自由(前掲昭和六一年六月一一日大法廷判決参照)に
対し重大な影響を及ぼすものであつて、たとえ被上告人の発行するD新聞などの日
刊全国紙による情報の提供が一般国民に対し強い影響力をもち、その記事が特定の
者の名誉ないしプライバシーに重大な影響を及ぼすことがあるとしても、不法行為
が成立する場合にその者の保護を図ることは別論として、反論権の制度について具
体的な成文法がないのに、反論権を認めるに等しい上告人主張のような反論文掲載
請求権をたやすく認めることはできないものといわなければならない。
なお、放送
法四条は訂正放送の制度を設けているが、放送事業者は、限られた電波の使用の免
許を受けた者であつて、公的な性格を有するものであり(同法四四条三項ないし五
項、五一条等参照)、その訂正放送は、放送により権利の侵害があつたこと及び放
送された事項が真実でないことが判明した場合に限られるのであり、また、放送事
業者が同等の放送設備により相当の方法で訂正又は取消の放送をすべきものとして
いるにすぎないなど、その要件、内容等において、いわゆる反論権の制度ないし上
告人主張の反論文掲載請求権とは著しく異なるものであつて、同法四条の規定も、
所論のような反論文掲載請求権が認められる根拠とすることはできない。
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事件番号
昭和55(オ)1188
事件名
反論文掲載
裁判年月日
昭和62年04月24日
法廷名
最高裁判所第二小法廷
裁判種別
判決
結果
棄却
判例集等巻・号・頁
民集 第41巻3号490頁
原審裁判所名
東京高等裁判所
原審事件番号
昭和52(ネ)1852
原審裁判年月日
昭和55年09月30日
判示事項
一 人格権又は条理を根拠とするいわゆる反論文掲載請求権の成否
二 新聞紙上における政党間の批判・論評の意見広告につき名誉毀損の不法行為の成立が否定された事例
裁判要旨
一 新聞記事に取り上げられた者は、当該新聞紙を発行する者に対し、その記事の掲載により名誉毀損の不法行為が成立するかどうかとは無関係に、人格権又は条理を根拠として、右記事に対する自己の反論文を当該新聞紙に無修正かつ無料で掲載することを求めることはできない。
二 新聞社が新聞紙上に掲載した甲政党の意見広告が、乙政党の社会的評価の低下を狙つたものであるが乙政党を批判・論評する内容のものであり、かつ、その記事中乙政党の綱領等の要約等が一部必ずしも妥当又は正確とはいえないとしても、右要約のための綱領等の引用文言自体は原文のままであり、要点を外したものといえないなど原判示の事実関係のもとでは、右広告の掲載は、その広告が公共の利害に関する事実にかかり専ら公益を図る目的に出たものであり、かつ、主要な点において真実の証明があつたものとして、名誉毀損の不法行為となるものではない。
参照法条
憲法21条,民法1条,民法709条,民法710条,民法723条,刑法230条ノ2
判決文全文
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319122540616306.pdf
カルテルという経済法上の違法、また、会社法上、株主が会社の違法に巨額な損害賠償を、和解の形で認めさせている。
上記2点が、目に止まりました。
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http://www.yomiuri.co.jp/national/20140507-OYT1T50085.html
住友電工の株主代表訴訟、5億2千万円で和解
2014年05月07日 15時58分
住友電気工業(大阪市)の2件の価格カルテル事件を巡り、計約88億円の課徴金を納めた同社の株主が当時の経営陣に同額の損害賠償を求めた株主代表訴訟は7日、経営陣側計22人が同社に解決金5億2000万円を支払うことを条件に、大阪地裁で和解が成立した。
株主代表訴訟の和解額としては、住友商事(同)の銅不正取引を巡る和解金4億3000万円(2001年)を上回り、過去最高。
2件に関する訴訟は別々に起こされたが、その後、審理が併合された。今回の和解条項では、解決金の支払い期限を7月末としたほか、再発防止策として弁護士3人でつくる外部委員会を設け、カルテルの原因を調査、報告することも盛り込まれた。
株主は関西在住の男性。訴状などによると、住友電工は2005~09年、同業他社と光ケーブルの価格カルテルを結んだとして、10年5月に公正取引委員会から約67億円の課徴金納付命令を受けた。自動車用電線「ワイヤハーネス」でも価格カルテルを同業他社と結んだとして、12年1月に公取委から約21億円の課徴金納付命令を受け、いずれも全額を納付した。
上記2点が、目に止まりました。
*******************************
http://www.yomiuri.co.jp/national/20140507-OYT1T50085.html
住友電工の株主代表訴訟、5億2千万円で和解
2014年05月07日 15時58分
住友電気工業(大阪市)の2件の価格カルテル事件を巡り、計約88億円の課徴金を納めた同社の株主が当時の経営陣に同額の損害賠償を求めた株主代表訴訟は7日、経営陣側計22人が同社に解決金5億2000万円を支払うことを条件に、大阪地裁で和解が成立した。
株主代表訴訟の和解額としては、住友商事(同)の銅不正取引を巡る和解金4億3000万円(2001年)を上回り、過去最高。
2件に関する訴訟は別々に起こされたが、その後、審理が併合された。今回の和解条項では、解決金の支払い期限を7月末としたほか、再発防止策として弁護士3人でつくる外部委員会を設け、カルテルの原因を調査、報告することも盛り込まれた。
株主は関西在住の男性。訴状などによると、住友電工は2005~09年、同業他社と光ケーブルの価格カルテルを結んだとして、10年5月に公正取引委員会から約67億円の課徴金納付命令を受けた。自動車用電線「ワイヤハーネス」でも価格カルテルを同業他社と結んだとして、12年1月に公取委から約21億円の課徴金納付命令を受け、いずれも全額を納付した。