以下は、都市計画決定の資料です。
平成23年7月29日都市計画審議会委員は、1)環境影響評価書を遵守するということ、2)土壌汚染対策法同等レベルの土壌汚染対策を行うことの説明をうけ、それらがきちんと行われることの前提のもと、都市計画決定がなされていることがわかると思います。
そのような都市計画決定がなされているにもかかわらず、1)環境影響評価書を無視するかのような盛り土のない豊洲新市場建設がなされ、かつ、2)建物地下ピットから、土壌汚染物質(ベンゼン、水銀)が検出されたと専門家会議で報告がなされています。
2)からは、建物下で土壌汚染対策法レベルの土壌汚染対策がなされず、汚染が残置されていることが推察されます。
都市計画決定の内容が履行されていない点で、豊洲新市場建設は、環境影響評価法(条例)違反だけではなく、都市計画法違反の状態にあると考えます。
********都市計画審議会(平成23年7月29日議第7058号) 議事録抜粋 -数字- は該当ページ***********************
http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/keikaku/shingikai/pdf/giji193.pdf
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【近藤議長】 続きまして、日程第6、議第7058号を議題に供したいと思います。
藤井幹事、説明をお願いします。
【藤井幹事】 日程第6、議第7058号、東京都市計画市場、東京都中央卸売市場、
豊洲新市場の決定に関する案件についてご説明いたします。
お手元の「薄茶色表紙」の冊子の「議案・資料」105ページから108ページをご参
照ください。
この案件は、都の卸売市場計画に基づき、築地市場を豊洲地区に移転するため、豊洲新
市場の敷地の位置、区域及び面積を都市計画で定めるものでございます。
豊洲新市場につきましては、東京都環境影響評価条例の対象案件であり、今回はいわゆ
る「後合わせ」でございます。
薄茶色表紙「議案・資料」の106ページの位置図をご覧ください。
初めに、豊洲新市場の位置、区域及び面積についてご説明いたします。
豊洲新市場は、江東区豊洲六丁目地内の5街区、6街区及び7街区を敷地とし、東京地
下鉄有楽町線豊洲駅の南西約1.5キロメートルに位置しております。環状第2号線、補助第315号線及び放射第34号線支線1晴海通りの延伸部に面しており、面積は約40.7ヘクタールでございます。
次に、築地市場移転の経緯についてご説明いたします。
築地市場は、昭和10年の開場から既に75年余りが経過し、施設の老朽化、狭隘化が
著しく、流通を取り巻く環境変化への対応が困難な状況にあります。
こうしたことから、当初は、現在地で再整備を進めることとしておりましたが、平成1
3年4月の「第55回東京都卸売市場審議会」におきまして、豊洲地区を候補地として移転整備に向けた検討を進めるとの答申が出され、同年12月の「第7次東京都卸売市場整備計画」におきまして、築地市場の豊洲地区への移転を決定いたしました。
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その後、新市場の整備に向けて検討を進めた結果、平成18年に施設配置が確定したこ
とから、平成19年1月に環境影響評価手続き開始案件としてご説明申し上げ、都市計画
案と環境影響評価書案の縦覧を行いました。また、環境影響評価手続きにつきましては、
土壌汚染対策の変更を踏まえて、新たに地盤、水循環、自然との触れ合い活動の場などの評価項目を追加選定し、平成22年11月、再実施した環境影響評価書案を提出いたしました。
敷地の位置、区域、面積を定める豊洲新市場の都市計画の内容に変更はなかったことか
ら、都市計画案の再縦覧は行ってございません。
薄茶色表紙「議案・資料」の107ページの計画図をご覧ください。
豊洲新市場は、5街区、6街区、7街区の3つの街区で構成されています。
薄茶色表紙「議案・資料」の108ページの参考図をご覧ください。
環状第2号線と補助第315号線との交差点の東側の5街区には青果卸売場・仲卸売場
を、西側の6街区・7街区には水産卸売場・仲卸売場を、3つの街区のほぼ中央の位置に管理施設を計画しております。
さらに、「都民に開かれた市場づくり」を実現するため、5街区と6街区にはにぎわいを創出する施設を計画してございます。
事業スケジュールにつきましては、都市計画決定手続を経た後に、土壌汚染対策工事及
び施設の整備を進め、平成26年度中の開場を目指していく予定となってございます。
次に、環境影響評価書の概要についてご説明いたします。
環境影響評価書の内容を要約いたしました「若草色表紙」A4横の資料「豊洲新市場建
設事業の環境影響評価書について(要約)」をご覧ください。
本事業の環境影響評価につきましては、東京都環境影響評価条例第92条第1項ただし
書きの規定により、事業者である中央卸売市場が行ってございます。
その1ページ目にありますように、環境影響評価条例に基づき、昨年11月、環境影響
評価書案を提出し、この評価書案に対して、本年4月20日に評価書案審査意見書を受領いたしました。
要約の2ページから10ページをご覧ください。
本案件における環境に及ぼす環境の予測・評価の項目は、「大気汚染」「悪臭」「騒音・振動」「水質汚濁」「土壌汚染」「地盤」「水循環」「生物・生態系」「日影」「風環境」「景観」「自然との触れ合い活動の場」「廃棄物」「温室効果ガス」の14項目となってございます。
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「土壌汚染」でございますが、今回、工事の施工中について予測・評価を行っており、
汚染土壌の掘削処理等に伴う土壌への影響の程度は、評価の指標とした「土壌汚染対策法」に定める基準を満足するという結論になっております。
「自然との触れ合い活動の場」でございますが、既存の自然との触れ合い活動の場に、
機能の変化及び消滅、改変の程度、並びに自然との触れ合い活動の場までの利用経路に与える影響の程度は、評価の指標とした「江東区みどりと自然の基本計画」及び「豊洲地区まちづくりガイドライン」のうち自然との触れ合い活動の場に関する方針等を満足するという結論になってございます。
また、その他の項目につきましても、適切な対応に努めるものでございます。
続きまして11ページから20ページには、4月に、知事から出された評価書案審査意
見書の内容につきまして左の欄に、審査意見書の対応につきまして右の欄に記載しております。
左の欄を見ていただくと分かりますように、審査意見書では「大気汚染」「悪臭」「騒音・振動」「水質汚濁」「土壌汚染」「地盤」「水循環」「生物・生態系」「風環境」「景観」「自然との触れ合い活動の場」「廃棄物」の12項目に関する意見があり、これらの意見などを踏まえ、環境影響評価書案の修正を行っております。
以上、都市計画を決定する上で支障はないと判断しております。
最後に意見書についてご説明いたします。
クリーム色表紙の「意見書の要旨」、31ページから36ページをご覧ください。
都市計画案を平成19年2月2日から2週間縦覧に供しましたところ、3名から3通の
意見書の提出がありました。その内訳は、反対意見が3名から3通となってございます。
意見は、31ページから36ページに記載しており、主な意見を申し上げますと、31
ページにありますように、豊洲新市場の建設用地につきましては、深刻な土壌汚染があり、食の安全を100%保障できないので、都民の台所である卸売市場にはふさわしくないという意見が出されております。
この意見に対する都の見解といたしましては、豊洲新市場予定地の土壌汚染対策につき
ましては、学識経験者から、日本の先端技術を活用することにより、人が生涯この土地に住み続けても健康への影響はないとの提言が取りまとめられていること。豊洲新市場完成後におきましても、地下水のモニタリング調査等地下水対策を継続すること。今後、事業者が土壌汚染対策を確実に実施することで、生鮮食料品を取り扱う市場用地としての安
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全・安心を十分に確保するとしていること。以上のことから、豊洲新市場の都市計画決定に支障はないと判断するというものでございます。
同じく反対意見といたしまして、32ページに、世界のブランド「築地市場」を守り、
「現在地での再整備」を図るべきという意見が出されております。
この意見に対する都の見解といたしましては、現在地再整備につきましては、かつて工
事着手後、営業への深刻な影響から再整備が頓挫しており、再検討の中においても、仮にすべてが順調に運んでも十数年かかるという事実が明らかにされていることから、都といたしましては、築地市場の再整備問題にかかわる過去25年にわたる経緯や、都民・国民生活への影響、財政面等もあわせて総合的に判断し、築地市場の豊洲移転を進めていくこととしたというものでございます。
他に事業施行に関する反対意見といたしまして、33ページに、中小事業者が切り捨て
られる計画であり、消費者にとってもなくてはならない鮮魚等の品質評価機能を完全になくすものであるという意見、また、場外市場で生計を立てていた人たちの暮らしはどうなるのかという意見が出されております。
これらの意見に対する都の見解といたしましては、中小事業者等の方からの要望を踏ま
えて、すべての市場業者にとって利便性の高い市場となるよう施設を計画しております。
築地市場の伝統的な品質評価機能である、いわゆる「目利き」を担う小規模な仲卸業者等への要望にも十分配慮し、競争力の強化や取引拡大等、事業の活性化に寄与してまいります。
また、場外業者につきましては、築地の食文化の継承や東京の新たな観光拠点の創造と
いう観点から千客万来施設を整備していくこととしております。
その際、場外業者のうち、移転を希望する方につきましては、受け入れることを視野に
入れ整備していくと中央卸売市場より聞いていることから、豊洲新市場の都市計画決定に支障はないと判断するものでございます。
最後に、本都市計画に対する関係区の意見でございますが、江東区からは、7月27日
に行った区の都市計画審議会答申を踏まえまして、次の4つの意見を付して豊洲新市場の都市計画決定は妥当との回答を受領しております。
4つの意見として、1つ目は、「食の安全・安心の確保の観点から土壌汚染対策の確実な実施による汚染土壌の無害化、地震による液状化対策をはじめとする防災対策等防災基盤の整備に万全を期されたい」。2つ目といたしまして、「地下鉄8号線整備に向けた取り組
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み等、公共交通機関整備によるアクセス向上に努めるとともに、十分な駐車台数の確保及び車両待機スペースの確保による交通渋滞・路上駐車防止、交通事故の防止なども含めた総合的な交通対策を講じられたい」。3つ目といたしまして、「千客万来施設につきましては、魅力あふれる東京の新たな観光名所とすべく、新市場と一体となったにぎわいの場となるよう整備されたい」。4つ目といたしまして、「新市場の整備にあたっては、『豊洲グリーンエコアイランド構想』に定める環境まちづくりの方針に最大限配慮されたい」でございました。
この意見に対しましては、中央卸売市場より、土壌汚染対策や防災基盤の整備につきましては、「土壌汚染対策等を確実に実施し、また液状化対策をはじめとする防災対策を行うことで生鮮食料品を取り扱う市場用地として食の安全・安心を十分に確保する」。2番目の総合的な交通対策につきましては、「公共交通機関の充実に向けて、周辺の開発状況や需要動向を見極めながら、区をはじめとする関係機関と連携して検討を進めるとともに、交通渋滞・駐車場対策につきまして、共同配送などの利用促進などにより自動車交通量や必要駐車台数の削減を図るなど、総合的な交通対策を講じいく」。3番目の千客万来施設によるにぎわいの創出につきましては、「『食』を中心とする東京の新たな観光拠点として、千客万来施設を整備することで豊洲地区のにぎわい創出にも貢献する」。4番目の環境まちづくりにつきましては、「『豊洲グリーンエコアイランド構想』の視点を踏まえ、護岸と一体となった緑地や屋上緑化、水辺の環境に配慮した施設計画、太陽光発電システムの導入等、さまざまな取り組みを推進していく」と聞いてございます。
こうしたことから、豊洲新市場の都市計画決定には支障はないと判断するものでございます。
以上で説明を終わります。
【近藤議長】 ありがとうございました。