「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

つらい最高裁決定(第三小法廷木内道祥裁判長H28.12.13)、国立市マンション建設問題訴訟

2016-12-15 18:03:57 | 街づくり
 なかなかつらい決定です。

 国立の美しい景観を守ろうとご努力された元市長が敗訴となってしまいました。

**************東京新聞*********************
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201612/CK2016121502000257.html


【社会】


マンション訴訟で元国立市長の敗訴確定 理念の行動、個人に賠償責任


2016年12月15日 夕刊





 東京都国立市のマンション建設を巡り、市が過去の訴訟で不動産業者に支払った賠償金と同額の支払いを上原公子(ひろこ)元市長に求めた訴訟で、最高裁第三小法廷(木内道祥裁判長)は、上原氏側の上告を退ける決定をした。決定は十三日付。市の請求通りに上原氏に約三千百万円の支払いを命じた、二審の東京高裁判決が確定した。


 上原氏は市長当時、市内のマンションの高さ規制の条例制定を主導。市は二〇〇〇年に、高さを二十メートル以下とする条例を施行した。これに対し、高さ四十四メートルのマンションを着工した業者が「営業妨害だ」と市を訴え、敗訴が確定した市は遅延損害金を含め約三千百万円を支払った。


 その後、一部の住民が上原氏の責任を問い、市に対し上原氏に賠償を求めるよう住民訴訟を提訴。住民勝訴の判決が確定し、市は地方自治法に基づいて、上原氏に支払いを求める裁判を起こした。


 この訴訟で、一四年九月の東京地裁判決は、上原氏は業者の営業を妨害したのではなく、景観保護という政治理念に基づき行動しており違法性は高くないと判断。業者が賠償額と同額を市に寄付して実質的な損害がないことや、市議会が上原氏への請求の放棄を議決したことなどから、「市が元市長個人に請求するのは信義則に反する」と市側の請求を退けた。


 しかし一五年十二月の高裁判決は、上原氏がマンション建設を阻止するため「市の内部情報を提供して住民運動を起こさせたり、マンションが建築基準法に違反するかのような議会答弁をした」と認定。「景観保護のため公益性があったとしても、正当化できない」とし、上原氏に対し、市が業者に支払った約三千百万円全額の支払いを命じた。


 この間、市議会では二審が始まった後の選挙で会派構成が変わり、一転して上原氏への請求権行使を求める議決をした。高裁判決は「市は最新の市議会の議決に従うべきだ」とも判断した。国立市は十五日、判決確定を受け「今後とも法令を順守し適正な事務執行に努めていく」とのコメントを出した。

◆行政萎縮させる決定


 <上原公子元国立市長のコメント> 高裁の判決は私を敗訴させる結論があり、その理由を後付けした印象だった。最高裁がお墨付きを与えたことで、「余計なことをすると上原みたいになる」と思われたら、首長のみならず行政全体を萎縮させる。地方自治の時代に逆行する決定だ。


 <国立市のマンション訴訟> 1999年、並木道沿いに計画された高層マンション建設に市民らが反対。市は並木と同じ高さに制限する条例を定めたが、業者側は条例は無効だとして市と上原公子市長(当時)を訴え、条例を適法としつつ「中立性、公平性を逸脱して業者の営業を妨害した」と市に賠償を命じる判決が確定した。その後、市が業者に払った3000万円を上原さん個人に請求するよう、一部の住民が市を相手取り提訴。東京地裁判決は訴えを認め、市はいったん控訴したものの取り下げた。市は上原さんに支払いを求め、2011年から裁判で争っていた。賠償金を受け取った業者は「賠償が目的ではない」と同額を市に寄付している。

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経済的困窮の子育てに与える影響についての一考察。

2016-12-14 23:00:00 | 子育て・子育ち

 経済的困窮の子育てに与える影響についての一考察。

自動代替テキストはありません。

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人間の脳の発達 子どもの時代はとても大切。

2016-12-13 17:08:21 | 子育て・子育ち

 人間の脳の発達

http://www.unicef.or.jp/event/report/20161204.html

 

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待機児童問題解決と同時に、医療的ケア児の保育を受けられる体制整備を各自治体で!

2016-12-13 08:35:29 | 各論:障害児保育、医...

 医療的ケアのあることは、児童福祉法で認められた保育(幼稚園教育も)を断られる理由には、本来ありません(児童福祉法24条1項、2項/学校教育法22条)。

 待機児童問題解決と同時に、医療的ケア児の保育を受けられる体制整備もまた、求められています。

 看護師を配置し、かかりつけ医/病院と連携して支援体制を構築して、中央区も当然に医療的ケア児に保育を提供する自治体を目指していきたいです。


********毎日新聞*************
http://mainichi.jp/articles/20161213/ddm/001/040/195000c 
医療的ケア児 12市区拒否 保育所入所「安全確保困難」 毎日新聞74自治体調査



毎日新聞2016年12月13日 東京朝刊


 たん吸引や栄養剤注入などの医療的ケアが必要な子どもについて、全国の主要自治体のうち少なくとも12市区が保育所に受け入れない方針でいることが毎日新聞の自治体アンケートで分かった。今年6月の児童福祉法改正で自治体に医療的ケア児支援強化の努力義務が課されたが、全国的に保育所の受け入れ準備は進んでいない。厚生労働省も各市区町村の実態は「把握していない」という。


 アンケートは10~11月、政令指定都市、道府県庁所在地、東京23区の計74自治体を対象に実施し、全自治体から回答を得た。

 医療的ケア児を受け入れないと回答した12市区が挙げた理由は「看護師を配置できない」「安全確保が困難」「待機児童対策を優先している」など。背景には財政難や看護師・保育士確保の難しさがあるという。

 札幌、岡山、鹿児島、那覇市は「私立が受け入れ可能であれば入所できるが、公立では受け入れていない」と回答した。医療的ケア児を受け入れていても、水戸、さいたま、名古屋、神戸、高松、高知、大分市では保護者が来所してケアする必要がある。「症状に応じて判断する」という自治体も多く、堺市や松山市などは「集団保育が可能と医師が判断した場合に限る」と条件を付けている。

 調査対象の74自治体に比べ財政基盤が弱い中小自治体は、さらに対策が遅れている可能性が高く、医療的ケア児は障害者福祉の対象外となるケースも多い。厚労省は6月、医療的ケア児の保育ニーズを踏まえて対応するよう自治体に通知。13日に内閣府や文部科学省、自治体の担当者らによる会議を開き、地域で支える体制づくりについて話し合う。厚労省は医療的ケア児保育支援モデル事業を2017年度概算要求に盛り込み、自治体が看護師を雇う費用の半分を国が負担するとしている。医療的ケア児の保育所入所を巡っては06年10月、たん吸引が必要であることを理由に受け入れを拒否された東京都東大和市の女児と両親が市を提訴し、東京地裁が入所を認める判決を出し、確定している。【中川聡子、坂根真理】

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医療的ケア児を受け入れないと回答した自治体

富山市、甲府市、静岡市、徳島市、東京都文京区、墨田区、品川区、大田区、渋谷区、中野区、豊島区、板橋区

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訪問看護 長時間の訪問

2016-12-12 23:00:00 | 医療

 

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環境影響評価条例違反の違法な場所に、本当に生鮮食料品中央卸売市場開設が、科学的に可能か?第3回専門家会議

2016-12-11 09:28:35 | 築地重要

 まず、傍聴者との質疑に対しても真摯にお答えくださり、平田座長はじめ専門家会議の委員の先生方には、長時間にわたった会議に対し、心から感謝申し上げます。

 豊洲新市場土壌汚染問題の第3回専門家会議を傍聴し、現在確認されている事項を整理したうえで(第1)、築地市場の移転における土壌汚染に関連した現在の問題点を記載させていただきます(第2)。

 


第1、まず、専門家会議をふくめ、現在、確認されている点(専門家会議でも確認されている点を下線を引きます。)

 1、豊洲新市場建設は、「盛り土」のないことで、東京都環境影響評価条例の違法の問題になっている

 東京都環境影響評価条例の重大な違法の状況にある。(専門家会議私の質問でも、手続のやり直しをすると東京都回答、根拠資料:東京都作成 第二次調査報告書↓「重大な違反」を明記している。)


 その重大な違法は、都市計画決定に承継されている。(根拠資料↓ 東京都作成の豊洲新市場建設の環境影響評価書)


 2、土壌汚染対策法(11条1)項上の土壌汚染指定区域「形質変更時要届出区域」に指定がなされている (根拠↓)

 




形質変更時要届出区域は、東京都は、解除しない方針である。(私の質問に平田座長が明言)

形質変更時要届出区域に、市場開設は想定していないということが、農林水産省の姿勢である。(根拠↓)

 

 
 農林水産省は、盛り土があることで、卸売市場計画に豊洲市場を位置づけており、卸売市場法10条2号の認可の基準に合致しない違法によって、豊洲市場は、市場認可されないと考えられる(根拠:卸売市場法10条2号)。

〇卸売市場法
(認可の基準)
第十条  農林水産大臣は、第八条の認可の申請が次の各号に掲げる基準に適合する場合でなければ、同条の認可をしてはならない。
 当該申請に係る中央卸売市場の開設が中央卸売市場整備計画に適合するものであること。
 当該申請に係る中央卸売市場がその開設区域における生鮮食料品等の卸売の中核的拠点として適切な場所に開設され、かつ、相当の規模の施設を有するものであること。
 業務規程の内容が法令に違反せず、かつ、業務規程に規定する前条第二項第三号から第八号までに掲げる事項が中央卸売市場における業務の適正かつ健全な運営を確保する見地からみて適切に定められていること。
 事業計画が適切で、かつ、その遂行が確実と認められること。


3、専門家会議、技術会議で、土壌汚染のある土地にいかに安全安心な市場をつくれるかということで、「盛り土」を入れることを提案した(第三回専門家会議内山氏発言)

4、土壌汚染調査には、環境省基準とは異なる基準を用いて、行っている。(第三回専門家会議 水谷氏質問/第一回専門家会議 岩井氏質問、丹野課長回答、)

専門家会議でのやりとり
水谷氏主張:環境省の指針に従わない土壌汚染調査であって、調査不足の地点が残っている

丹野課長主張:環境省にも、都の調査方法の了承を得ている

水谷氏主張:環境省が、自らの基準より緩いやり方を了承するとは、考えられない。

5、処理されると言われていた315号線下の土壌汚染は、残置されている

あわせて315号線下地下水位は、非常に高いところにあり、作業に危険を来すレベルにある(第三回専門家会議駒井氏指摘)


6、地下水位は、約束された1.8mが、実現されていない(第三回配布資料)

7、耐震性レベルは、レベル1である。(以前の資料で、レベル2としていたのは、誤りと岩井氏とのやりとりで、東京都が訂正)


第2、第三回専門家会議を傍聴しての、私が考える築地市場移転における豊洲新市場の問題点

1、違法な状態にある豊洲新市場の対策を検討するのであるから、「形質変更時要届出区域」を解除を目指す等、より厳格な安全基準を目指すべきである

2、建物下の土壌汚染処理ができていない可能性が示唆されるデータの公表(地下ピット空気中のベンゼン、水銀の再検出)が今回なされている。

 水銀検出があった以上は、2年間のモニタリングが必要ではないか。

 地下水位測定の場所からの水の分析で、市場敷地内の他の地域にも土壌汚染が残置がないか確認をすべきでないか

3、残置されている315号線下からの土壌汚染が、市場敷地内に入ってくるリスクがある

4、海側から地下水流入が続く可能性があり、地下水位上昇は続く

 海岸からの距離の一部の断面図だけでなく、平面で対策をした図面を出して、有楽町層との関係を示すべきである。


等々

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環境影響評価法(都同条例)規定から都市計画では、環境影響評価書は遵守されねばならない。

2016-12-10 04:18:04 | 築地重要
 豊洲新市場では、環境影響評価書で約束された建物下の盛り土がなされていません。
 
 東京都が認めている環境影響評価法の違法だけでなく、都市計画決定の違法があり、都市計画法の観点から、豊洲新市場は、違法な都市計画であると考えられます。
 すなわち、豊洲新市場の改築、移転若しくは除却がなされる必要が、都市計画法上あります。





○環境影響評価法(対象事業等を定める都市計画に係る手続に関する都市計画法 の特例)第四十二条  
2  都市計画決定権者は、対象事業等を都市計画に定めようとするときは、都市計画法 に定めるところによるほか、第四十条第二項の規定により読み替えて適用される第二十七条の評価書(次項において「評価書」という。)に記載されているところにより当該都市計画に係る対象事業の実施による影響について配慮し、環境の保全が図られるようにするものとする。


この環境影響評価法を受けての東京都環境影響評価条例の文言
 ↓

○東京都環境影響評価条例
(許認可権者への要請)
第六十条 知事は、前条第一項の規定により評価書等の写しを許認可権者に送付するときは、当該許認可権者に対し、当該対象事業の実施についての許認可等を行うに際して当該評価書の内容について十分配慮するよう要請しなければならない。
(平一〇条例一〇七・旧第二十五条繰下、平一四条例一二七・旧第三十三条繰下・一部改正)


○都市計画法 (監督処分等)
第八十一条  国土交通大臣、都道府県知事又は市長は、次の各号のいずれかに該当する者に対して、都市計画上必要な限度において、この法律の規定によつてした許可、認可若しくは承認を取り消し、変更し、その効力を停止し、その条件を変更し、若しくは新たに条件を付し、又は工事その他の行為の停止を命じ、若しくは相当の期限を定めて、建築物その他の工作物若しくは物件(以下この条において「工作物等」という。)の改築、移転若しくは除却その他違反を是正するため必要な措置をとることを命ずることができる。
一  この法律若しくはこの法律に基づく命令の規定若しくはこれらの規定に基づく処分に違反した者又は当該違反の事実を知つて、当該違反に係る土地若しくは工作物等を譲り受け、若しくは賃貸借その他により当該違反に係る土地若しくは工作物等を使用する権利を取得した者
二  この法律若しくはこの法律に基づく命令の規定若しくはこれらの規定に基づく処分に違反した工事の注文主若しくは請負人(請負工事の下請人を含む。)又は請負契約によらないで自らその工事をしている者若しくはした者
三  この法律の規定による許可、認可又は承認に付した条件に違反している者
四  詐欺その他不正な手段により、この法律の規定による許可、認可又は承認を受けた者

2  前項の規定により必要な措置をとることを命じようとする場合において、過失がなくて当該措置を命ずべき者を確知することができないときは、国土交通大臣、都道府県知事又は市長は、その者の負担において、当該措置を自ら行い、又はその命じた者若しくは委任した者にこれを行わせることができる。この場合においては、相当の期限を定めて、当該措置を行うべき旨及びその期限までに当該措置を行わないときは、国土交通大臣、都道府県知事若しくは市長又はその命じた者若しくは委任した者が当該措置を行う旨を、あらかじめ、公告しなければならない。
3  国土交通大臣、都道府県知事又は市長は、第一項の規定による命令をした場合においては、標識の設置その他国土交通省令で定める方法により、その旨を公示しなければならない。
4  前項の標識は、第一項の規定による命令に係る土地又は工作物等若しくは工作物等の敷地内に設置することができる。この場合においては、同項の規定による命令に係る土地又は工作物等若しくは工作物等の敷地の所有者、管理者又は占有者は、当該標識の設置を拒み、又は妨げてはならない。
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第1回豊洲市場における土壌汚染対策等に関する専門家会議の一端

2016-12-09 23:00:00 | 築地重要


Q、底面管理が不十分ではないか

(15頁)
○丹野課長 東京都環境局環境改善部で土壌地下水汚染対策担当課長をしております丹野と申します。よろしくお願いいたします。座って説明させていただきます。
今のご質問にございました帯水層の底面による試料採取の件でございますが、まず、中央卸売市場のほうでは、専門家会議の当時のご提言等に基づきまして、平成20年から21年にかけて、国が指定しました調査機関に委託をしまして土壌汚染の状況調査をしております。その際は表層の調査をいたしまして、さらに汚染があったところにつきましては1mごとに帯水層の底面直上まで試料採取を行っております。その後、中央卸売市場のほうから土壌汚染状況調査を実施した後の平成22年4月に土壌汚染対策法というものが改正されまして、深さ10m以内に帯水層底面がある場合、帯水層底面における土壌の試料採取を行うという規定が新たに追加されております。ということで、調査時点ではそういった規定がなかったということで、法の規定に基づいて試料の採取を行った結果、表層から1mごとに帯水層の直上までは行っているということでございます。
その後、新たに規定が追加された。調査後に新たな規定が追加されまして、それについてどのように評価するかということでございますが、まず、この土壌汚染対策法の施行規則第15条に、試料
採取が同等以上の精度を保って行われているのであれば、それをよしとするという規定がございますので、まずそれに照らしてどうかということを検討いたしました。
その結果、まず、ベンゼンの物性でございます。この帯水層の底面にたまるというのは水より重い物質が恐らくそれに該当するということでございますが、このベンゼンにつきましては水よりも軽い物質ということでございます。
それはベンゼンの物性のことだけでございますが、この豊洲の市場用地全体を見まして、特に帯水層底面のほうにベンゼンが多く出ているかというような傾向もその際に検討いたしました。そうしましたところ、特に帯水層底面のほうにベンゼンがより多く出ているというようなことではなくて、そういった傾向も私どものほうで検討いたしまして、一応この件につきましては、トータルに実は211カ所でございます。法内、新たな規定が追加されて、帯水層底面の調査をしなければいけなかったところは211カ所ございましたが、その211カ所につきましては同等以上の精度を保って試料採取が行われているという判断をいたしまして、私ども土壌汚染対策法を所管する、逆に市場を規制する立場ということで、法の届け出を市場から出されましたが、それを受理したということでございます。その結果に基づきまして、私どものほうで汚染土壌の区域指定をしたということでございます。
要は、法の施行規則等に照らし合わせて、あとベンゼンの物性なども勘案しながら、今回の件、帯水層底面調査については、その当時、法に照らして適切に行われたということで判断をしてございます。



Q、なぜ、25項目あるうちの7項目しか土壌汚染調査をしないのか

(16頁)
○中島フェロー今おっしゃっていたところ、土壌汚染対策法、確かに25物質規制されてございます。そのときに、まず最初に、当時、土壌汚染状況調査というのを行うのですが、今の名前でいいますと地歴調査といいまして、既存資料で使っていた物質が何であるかということを調べてまいります。その使用履歴があったものと、あと分解によって生成するもの、それについては土壌汚染のおそれがあるとみなして、実際に土壌なりガスを取って調べなさいとなってございます。ですから、その地歴の段階で出てくる可能性がないとなりましたものについては、それをもって土壌汚染のおそれはないということで調査は終了するという形になっております。
ですから、既存資料等を調べた結果で使用履歴がある・ない。実際にこちらは最初117条で、汚染対策法ができる前に調査されておりますので、そのとき、当時は資料等調査という名前だったと思うんですが、そこでの使用履歴を調べた上で物質は絞られているということだと思います。


Q、2年間のモニタリング

〇ただ、これがどういうふうな意味を持つのかというところでございますけれども、次に5-3の資料をちょっとごらんいただきたいと思います。5-3の資料で、一番わかりやすいのは5-3-4以降でございます。それぞれ上に汚染物質がございますけれども、そういった汚染物質が2年間モニタリングの完了後どういうふうになるかということでお示しをしてございます。そうしたところ、先ほど申し上げました区画のところで残るものも明示をしてございますが、鋼管の遮水壁の内側については、2年間のモニタリングを完了後、こうしたことで汚染がなくなっていく、有害物質の台帳から消えていくという形になってございます。


Q、地下水管理

○安間課長すみません。手短に、あと説明させていただきます。行ったり来たりで本当に申しわけございませんが、あと残る資料として資料5-5と資料6の一連の資料でございます。
資料5-5は、地下水管理システムということでおつけしてございます。現在、地下水管理システムとしましては、地下水位を管理していく機能、それから下水、集めた水を下水のほうに排水していくための排水施設、あと24時間自動運転をするシステムの機能を兼ね備えた地下水管理システムでございます。現時点ではようやくここに来て自動運転のほうを始めたところで、これで稼働がうまくいくのかどうかを今確認をしているところでございます。
それから、資料6でございますけれども、これは6-1からずっと、専門家会議を設置していただいたまでの間にやっていた調査結果をつけさせていただいてございます。後で確認いただければと思うのですが、ただ、資料6の6-1-1を、A3ですけれども、ちょっとご確認いただければと思うんです。今までモニタリングの井戸201本ありますとずっとご説明をしてございましたが、建物と重ねているような図面はなかなかございませんでした。こうした形で地下ピット部のところにどれがあるのかということをつけさせていただいております。
あと、資料の6-1-12でございますけれども、2年間モニタリングということで、2年間観測をしまして汚染が確認されなかった場合に、先ほど汚染が、モニタリングの前と後で特定有害物質がなくなるというふうなところを図面でお示ししました。それ以外に1回モニタリングというものがございます。これは2年間モニタリングと違いまして、措置が完了したもので、地下水汚染が発生していない場合に1回測定をすることでございます。これは工事の流れの中でしてございまして、結果については6―1-13以降につけてございます。いずれも調査結果としては基準をクリアしているようなものでございまして、こちらの2年間モニタリングが完了したときにあわせて環境局のほうにご報告をしようということで、データをとっていたものでございます。
あと、資料6-2以降につきましては、既に公表もさせていただいているような資料でございます。改めてデータをつけさせていただいたところでございますので、ご確認をいただければと思います。
長々と、また資料を行ったり来たりという説明をして申しわけございませんでした。
以上でございます。


Q、補助315号線下の土壌汚染

(23頁)
〇○安間課長今、座長からお話があったのは資料5-4でございます。「補助315号線の土壌汚染対策」という資料でございます。A3の資料で5-4-1、4-2、4-3でございます。
5-4-2というA3で、真ん中の資料をちょっとご確認いただければと思います。土壌汚染の状況の平面図とございます。右下を見ますと「しゅん功図」と書いてございますように、取れるところについては取ってはみたところであるんですけれども、ガスの中圧管があったり、橋脚があったりというようなところで、深いところにあるものはなかなか対策ができなかったということで、新聞報道なんかにもございましたが、こちらの区画にありますように、ベンゼン、それからシアン、それぞれ基準の700倍ですとか710倍が残っているというような報道がございました。こちらについては、こういった形で事実でございます。
ただ、残っているという中で、1枚おめくりいただきまして5-4-1でございますけれども、右下にちょっと模式的に対策の断面図とつけてございます。先ほど深いところの汚染が取れずにというお話をしましたが、「汚染土壌掘削除去」というのが真ん中ぐらい、ガス管の両側に書いてございますが、実際取れたのはA.P.+4mから1mぐらいのところにある汚染でございます。それから深いところへ行きますと、このガス管はかなり中圧管の大事な管というところがございまして、なかなか対策ができなかったところでございます。できる範囲で液状化対策をした上で、こうしたベントナイト、粘土の層をしたり、アスファルトの舗装をしたりというふうな封じ込めをしている。あわせまして、5-4-3で先ほどもご説明しましたように、揮発性物質という中で、アスファルトにべたっとくっつけることではなくて、間、空間を設けて、少し浮かした構造にして揮発性物質へのリスクをできる限り低くすることで対策をさせていただいたところでございます。


Q、都の判断でできるか
○質問者岩井と申します。
インターネットを見ていらした方からの質問なんですけれども、よろしいでしょうか。1級建築士の水谷さんからの質問です。
先ほど丹野さんという女性の方がおっしゃっていたことに対するベンゼンの帯水層の底面調査をやらないという判断は東京都独自でできるんでしょうかということと、国の環境省では、ベンゼンの帯水層の底面調査はやると決めているということです。
あと、5街区の追加調査では、ベンゼンが帯水層を突き抜けて下のほうまで行っているというご指摘がありました。
それから、もし今後ほかのところから申請を受けた場合、東京都が帯水層の底面調査をやらないという指導をするんですかという質問を受けました。それについて、すみません、お答えいただけますでしょうか。

○平田座長 これは東京都の判断だと思いますので、丹野さん、よろしいですか。
○丹野課長 まず、帯水層の底面採取の先ほどの私が申し上げた解釈のところでございますが、基本的に土壌汚染対策法につきましては自治事務ということで、各都道府県の知事のまず判断ということになっております。ここの解釈につきましては環境省とも当然協議をいたしました上で、当時もそれで判断というか、最終的なことで行っておりますので、東京都が法の自治事務を担っている立場ということと、あと環境省ともその点については協議をさせていただいた上でそういう判断をしたということでございます。
それと、あと私どもは法に基づく指導の中で、しなくてもいいとか、しないとか、そうしたことの指導は一切いたしません。ただ、調査をしなければいけないということがあれば、それは調査命令ということを発出するという権限を持っておりますので、そういったことで調査命令を出すことになります。
○質問者では、今のお答えでは、調査命令を出すか出さないかは東京都の全て判断にかかるということなんでしょうか。
○丹野課長 東京都ということで、都知事のほうに事務は全ておりておりますので、東京都の判断ということになります。
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フリースクールなど学校以外の場で学ぶ不登校の子どもの支援を目的にした教育機会確保法 成立!

2016-12-08 09:37:03 | 教育
 休眠預金の資金活用の法律成立とともに、重要な法律の成立です。

 まだまだ、充実をすべきところがありそうですが、まずは、成立されたわけであり、中央区でもこの法律をいかせればよいと考えます。

**********************

不登校の子の学び、国や自治体が支援 教育機会確保法が成立

2016年12月8日05時00分

 フリースクールなど学校以外の場で学ぶ不登校の子どもの支援を目的にした教育機会確保法が、7日の参院本会議で可決、成立した。不登校の子の教育機会の確保のため、国や自治体が必要な財政支援に努めることなどが盛り込まれている。

 同法ではほかに、不登校の子どもが学校以外の場で行う「多様で適切な学習活動」や、個々の子どもの「休養の必要性」を踏まえ、国や自治体が子どもや親に情報提供するなどとした。また、義務教育を受けられなかった人向けに、自治体が夜間中学などで就学できるような措置をするとしている。同法の内容は来年2月までに順次、施行される見込み。

 超党派の国会議員連盟が昨年まとめた当初の法案は、不登校の子がフリースクールや家庭などで学ぶことも義務教育と認める内容だった。これに対し、自民党内から「学校に行かないことを助長する」などの反対が出たほか、共産党などにも慎重論があった。不登校の子や保護者の支援団体からも異論があり、同法は義務教育と認める部分を削るなど、当初案から大幅に内容が変わった。
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留年、退学、浪人、落選、不合格は、破滅じゃないと、確信します。 

2016-12-08 09:21:27 | こども達へのメッセージ

 退学、浪人、落選、不合格、それぞれを経験し、自分も多くの失敗人生です。

 その各人にとっての事情はあろうかとは存じますが、留年は、破滅じゃないと考えます。確信します。あせらなくて、よい。

 自分がそれでもやってこれたのは、その時々において、すばらしい友達に恵まれたこと、だから、いまでも、彼らに感謝しています。

********************
http://digital.asahi.com/articles/ASJC73SXPJC7PLZB00D.html 
留年は破滅じゃない 京大生への励まし、ネットで話題に
波多野陽2016年12月7日22時58分

 京都大が留年する学生に向けてウェブサイトに掲載している一文が話題となっている。留年は「破滅」ではないと励まし、授業に通うための方法も助言する。「留年に限らず、生きづらさを感じる人に有効なアドバイス」とネット上でも話題を呼んでいる。

 タイトルは「留年について」。書いたのは京大教授で臨床心理学者の杉原保史・学生総合支援センター長(55)。約30年、学生らの悩み相談を担当。相談者は年約700人で年々増加している。昨年11月にカウンセリングルームのサイト(https://www.gssc.kyoto-u.ac.jp/counsel/ryunen.html)を更新した際、「悩んだら読んでほしい」と掲載した。

 文章はまず、京大では学生の2割が留年するデータを示し、特別なことではないと切り出す。

 《これだけの人がするということは、留年や退学は単に個人の失敗ではない。大学というシステムは一定数の留年や退学を生むようにできています》

 さらに留年を繰り返す学生の行動や考え方をパターン化し、アドバイスをしている。例えば、留年が心の重荷となり、単位のための勉強に忙殺されている学生にはこう伝える。

 《心から笑う、ちょっとした贅沢(ぜいたく)を味わう。小さなことでもいいので、日々を楽しみましょう》

 留年を隠して周囲から孤立したり、「卒業しなければ破滅」と悲観的に考えたりすることも避けるよう促す。授業に行くのがおっくうになった学生には、朝、缶コーヒーを買いに行く習慣をつけることを勧める。家から直接大学に行くよりも心理的に楽だという。

 《コーヒーを飲み終わると、そこから大学に行くことはさほど苦痛ではなくなるのです》

 いよいよ大学に居続けることを悩む人には、アップル社を起業したスティーブ・ジョブズ氏ら大学を中退して活躍した著名人を例に、語りかけている。

 《大学をやめるという選択肢を検討することは無駄ではないはず。その上で続けるという選択は、より積極的で能動的なものになるでしょう》

 そして、文はこう締めくくられている。

 《人生の岐路で、絶対に失敗のない決断などありえません。迷って当たり前、たじろいで当たり前です。必要ならば一緒に考えましょう》

 留年した人以外にも、このアドバイスは胸に響いたようだ。特に今秋以降にネットで拡散し、ツイッターなどのSNSでも話題を集めている。「生きづらさを感じる全ての人に有効なアドバイス」「共感できる」「留年した時の自分に読ませたかった」などと、好意的な反応が目立つ。

 京大の男子学生(24)は1年の留年を経験したが、今春に希望企業への就職を決めた。友人からこの文章を教えてもらい、共感したという。「やりたいことを真剣に考えた結果の留年なら後で肯定できる。失敗した学生の目線に立った文章で、救われる人は多いと思う」と話す。

 杉原さんは「反響に驚いたが、それだけ世の中にしんどい人が多いのでしょう。自己責任という言葉が定着して久しく、自分を責めてしまいがちな時代。悩みを一人で抱え込まないでと伝えたい」と語る。(波多野陽)

*******京大HP****************
https://www.gssc.kyoto-u.ac.jp/counsel/ryunen.html 

学生さんへ

留年について
 高校生までは、留年(原級留置)は、全日制の普通科の高校であれば、たいていの学校においては1パーセントにも満たない少数の生徒のことであろうかと思います。
 けれども、大学ではそうではありません。文部科学省の学校基本調査によれば、4年制学部を4年で卒業するのは、入学者のおおよそ8割弱です。超過して在籍せずに4年で退学したり、それ以前の学年ですでに退学している学生もいますので、残りの約2割のすべてが5年目に突入するわけではないのですが、それでも高校の場合と比べれば桁違いに多くの学生が既定の年限を超えて在籍します。留年も含めてとにかく卒業までこぎ着ける人は、入学者のおおよそ9割です。
 京都大学においても事情はほぼ同じです。ただし学部により留年の発生率はかなり違っており、入学定員の3割台に上る学部もあれば、1割台に留まる学部もあります。けれども、大学全体ではおおよそ2割の学生が留年しています。
 これだけの数の人が留年したり、退学したりするということは、留年や退学は、単に個人の失敗としてのみ捉えられるべきものではないということです。つまり、現在の日本の社会において大学というシステムは、一定数の留年や退学を生み出すようにできているものなのだということです。
 そこには、大学入学に至るまでの進路相談やキャリア教育の体制、大学の入試のあり方、カリキュラムのあり方、修学支援体制、転学科・転学部制度、編入学制度、大学での進路相談やキャリア教育の体制、企業の採用のあり方など、数多くの要因が多重に関与しています。そうした理解に立った上で、留年に取り組み、進路選択をしていきましょう。


留年を繰り返させる行動や考え方のパターン
 もちろん、海外留学その他の自己研鑽、あるいは介護、病気療養など、何らかの目的や事情があって、意図的・計画的に留年する人もあるでしょう。その一方で、学業面で困難を覚えたり、修学への意欲や意義を見失ったりして、不本意に留年してしまう人もあります。
 不本意に留年してしまったとき、その留年がさらに留年を呼ぶという悪循環をもたらすことがあります。留年してしまったら、いかにこの悪循環に陥らないか、もし陥ったならそこから抜け出すかに意識的に注力することが大切です。そのために、以下のような状態に陥ってはいないか、チェックしてみてください。

(1)留年を家族や友人に隠そうとする
 恥ずかしいこと、不名誉なことと感じられるから、あるいは怒られると予想するから、などの理由で、しばしば留年の事実は家族に対して隠蔽されます。友人に対しても隠されます。そのことは、留年した学生を周囲から切り離し、孤立化させていきます。これはたいていの場合、心理的にも、社会的にも、重荷になります。誰にでも言うようなことではありませんが、人を選んで、自分の状況を打ち明けてみましょう。打ち明けてみたら、肩の荷が軽くなっているのに気がついたという人が多いです。

(2)一挙に挽回しようとする
 留年すると、不足した単位を一挙に挽回しようとあせるあまり、たくさんの科目を登録するという履修パターンになりがちです。制度上の限界まで登録する人もしばしば見られます。けれども、多くの科目を履修するには、それだけ多くの学習が必要です。体力も能力精神力も必要です。あせって手を広げすぎた結果、どれも十分に集中して学習できず、結局、壊滅的な結果になる人を見かけます。1日2コマ、週に10科目ぐらいに絞り込んで登録し、受講する方が、結局は着実であることが多いのです。

(3)日々の楽しみを自分に与えない
 「留年している自分には日々の生活を楽しむ権利などない」と考えて、苦痛な勉強をすることだけに専念するような生活をしている人を見かけることがあります。そのように潤いのない生活を続けていると、いったい何のために勉強しているのか分からなくなってくるかもしれません。心から笑うとか、ちょっとした贅沢を味わうとか、がんばった自分にご褒美を与えるとか、留年して以来、そういった時間がほとんどないという人としばしば出会います。小さなことでもいいので、日々を楽しみましょう。

(4)卒業しなければ生きていけないと考える
 「卒業しなければ破滅だ」「卒業しなければ生きていけない」というような、極端な悲観的考えを固く抱いている人を見かけることがあります。しかし、後でも述べるようにストレートで卒業し、就職した人も3割ぐらいは3年以内に離職しているのです。留年、中退、退職などは、人生において多くの人が経験するごく普通の出来事です。こうした出来事に不寛容な社会は、チャレンジを抑制する社会であり、不健全な社会です。いつでもやり直しがきくような社会をみんなでともに作っていきましょう。それに、こうした極端な悲観的考えは、あせりをもたらし、かえって修学意欲を窒息させてしまうのではないでしょうか。

(5)時期尚早に「来年からがんばろう」と考える
 まだあきらめるのは早いのに、まだ試験期間は終わっていないのに、「もう無理だ」「どうせ通らない」などと考え、そして「来年からがんばろう」と決心するということはないでしょうか。より小さなレベルでは、まだ授業は終わっていないのに「今日の授業は、もう遅刻だし、今さら行っても仕方がない。明日からがんばろう」と考えるということはないでしょうか。たとえ不完全でも、たとえ中途半端でも、たとえみっともなくても、とにかく今、行動することが大事です。それを避けて、早々と諦め、未来のいつか行動するための美しい計画を立てるというパターンに陥っていませんか。

(6)自分は他の学生より明確に劣っていると考える
 白か黒かを割り切って考えるように、留年していない(と思われる)周りの学生と留年してしまった自分との間にシャープな境界線を引き、周りの学生は「優秀」で、自分は「劣等」だと考えてしまう人をよく見かけます。現実には、白と黒の間に多様なグレーが連続的に存在しているように、周りの学生と自分との間にもそれほど明確な境界線は存在しないのです。不安は人を二分法的な思考へと駆り立てます。それに加えて、孤立してしまうと、実は周りの学生の多くも実は講義内容をあまりよく分かっていないというような情報は入ってきにくくなります。そのことを理解してください。


留年脱出のためのちょっとした工夫
(1)朝、部屋から外に出るまでが苦痛な人
 朝、起きて、部屋を出るまでが最大の難関だという人がしばしばいます。一旦出かけてしまえば、大学に行くことはずっと容易になるのだけれども、部屋から出るのがおっくうで、部屋でダラダラしてしまうのです。心の中では大学に行かないとと考えながら、ダラダラ過ごします。そうすると嫌なイメージが湧いてきて、ますます出かけるのが嫌になってしまう。1時間、2時間と時間だけが過ぎていき、「明日から頑張ろう」という結果になるのです。
 もし、あなたがこのようなパターンに陥っているのなら、とにかく、朝、出かける習慣をつけることが大切です。ちょっとした工夫でこのパターンから抜け出た人がいます。その人は、朝、起きたら、とにかく近所の自販機まで行って缶コーヒーを買って飲むことにしたのです。出かけるときには、大学に行くことは考えず、ただ缶コーヒーを飲みに行こうと考えます。そして、缶コーヒーを飲み終わると、その時、そこから大学に行くことはさほど苦痛ではなく、すっと行けるのです。
 しばらくそれをウィークデーに毎日続けていると、それが習慣になり、大学に行くことが自然とできるようになったと言います。
 1日130円、1ヵ月で3千円ほどの投資で、朝、部屋から出られず、大学に行けないというパターンを打破することが出来ました。
 自販機でなくとも、コンビニでもいいでしょう。できるだけ近所で、何かちょっとした快を与えてくれる場所を見つけて、そこに行くことを習慣化しましょう。ただし、あまり心地よく長居できてしまう場所はやめましょう。快適なソファがあって何時間も居られるような喫茶店などはお薦めできません。部屋でダラダラする代わりにそこでダラダラするだけになる可能性があるからです。

(2)教室に知人がおらず、欠席時の授業関連情報を入手する出来ない人
 留年してしまうと、同じ授業を取っている知り合いがいなくなってしまうことが増えてきます。そうなると、欠席したときの授業のノートや試験情報などが人づてに入りにくくなります。
 教室に知人がいないのなら、声をかけて作ればいいということなのかもしれませんが、実際のところ、知らない人に声をかけて欠席時の授業について尋ねたり、ノートを見せてくれるよう頼むというのは、かなりの人間力を要求する課題です。授業に出る以上にハードルが高いと感じる人もいるでしょう。
 そこを超えていくための今どきの方法にネット利用があります。
 代表的なものが、kyoto-u.comという京大生のためのコミュニティサイトの談話室でしょう。学部によっては、留年学生の情報交換のためのライングループがあるところもあります。
 ネット利用の強者で、先生の名前や科目名でツイッターを検索し、ヒットしたツイートの中から、現在受講中と思われる人を見つけて、メッセージを送り、必要な情報を教えてもらったという人もいます。
 高校時代の知人が(あるいは知人の知人でも)京大に来ているなら、SNSで連絡を取って、誰か同じ授業を取っている人を知らないか尋ねてみるという手もあります。
 現実の人間関係とネットとを併せてフル活用し、必要な情報を求めることです。

(3)普通の生活、潤いのある生活を
 留年からひきこもりへというパターンを避けましょう。生活のリズムを建て直しましょう。大学の外でもいいので、どこか出かけて活動できる場を持ちましょう。アルバイトでも、ボランティアでも、趣味の活動でもいいです。本業の領域とは無関係の資格や検定に取り組むのもいいでしょう。
 とても憂うつだったり挫折感に打ちひしがれているときは、ひきこもって休むことも必要です。けれども、ある程度休んで、ちょっと元気が回復してきたかなと感じたら、何か活動を始めることを考えてください。ひきこもりの長期化は、悪循環を加速してしまいます。
 そうした普通の生活を続けながら、元気が出てくるにつれて、ぼちぼち大学について考えていきましょう。


留年・中退というキャリア
 もしあなたが「留年したら終わりだ」とか「中退したら破滅だ」とか、悲壮な思いで考えているとしたら、冷静になって欲しいと思います。全国平均で、大学を中退する人は入学生の1割ぐらいいます。つまり、毎年、おおよそ5万人の大学中退者が生み出されているのです。留年する人も2割ほどいます。それだけの数の人が、中退、留年という学歴をもっているのです。厚生労働省の「21世紀成年者縦断調査(2012年調査)」によれば、在学中の者を除く 20 歳代の若者の10 人に1人は中退者(高校・短大・専門学校などの退学者も含む)だということです。
 児美川孝一郎(2013)によれば、高校入学者が100人いるとしたら、そこからの経歴において、留年歴も中退歴もなく就職して3年以上勤めている人は、41人に過ぎません。残りの59人のうち、6人は大学院進学者ですが、53人はどこかで留年、中退、ないし退職しているのです。ストレートな経歴で就職した会社に3年以上勤めているという人は、100人のうち半分もいないのです。
 留年中の人は、中退してしまったら就活で不利になると恐れている人もいるかもしれません。たしかに、企業の採用方針の狭量さゆえに、現在のところそういう現実があることは残念ながら否定できません。調査では、大学中退者は、全体として非正規雇用就労者の割合が高いということが示されています。調査からは他にもさまざまな面で大学中退者の困難な就労状況が読み取れます。詳しくは「大学等中退者の就労と意識に関する研究」(独立行政法人 労働政策研究・研修機構、2015)を参照してみてください。こうした現実を客観的に知ることは、進路を決める上で大切なことです。
 しかし、そうした不条理な現状を踏まえた上で、だからといって中退したら人生が終わりだとか、破滅だとかいうわけでは決してないということにも目を向ける必要があります。上に挙げた調査でも、大学中退者が全員失業しているとか、誰も正社員になれないとかいう結果が出ているわけではないのです。あのスティーブ・ジョブズも、ビル・ゲイツも大学を中退しています。Facebookを立ち上げたマーク・ザッカーバーグ、ソフトバンクの孫正義もそうです。タモリ、秋元康、堺雅人などなど、大学を中退して社会で活躍している人はたくさんいます。こうした著名人に限らず、当たり前に普通に働いてこの社会を支えている大学中退者はいくらでもいるのです。留年経験者なら、なおのこと、たくさんいます。

 京都大学は難関校です。当然のことながら周囲の人たちは退学を勧めないでしょう。何とか頑張って、何年かかっても卒業するよう勧めることが多いでしょう。たぶん、あなた自身もそう考えることが多いでしょう。本当に卒業したいのであれば、それは当然のことであり、有意義なことです。
 でも、正直に言えば大学生活に意味を感じられず、退学したいし、その方がいいんじゃないかと思っているけれども、退学したら「人生破滅」だという恐怖のイメージから、やはり退学はできないという考えに傾いている人もいるかもしれません。自分には合っていない、やめたい、という心の声がしても、いったん始めたことを途中でやめるのは意気地なしだとか負け犬だとかいう考えのために、その心の声に耳をふさいでいる人もいるかもしれません。期待してくれている親やお世話になってきた先生に申し訳ないという思いから、どうしても退学は口にできないと考えている人もいるかもしれません。
 続けるという選択を支えている根拠の大きな部分が、やめられないという理由にあるのなら、一度、やめるという選択肢を落ち着いて現実的に考えてみてはどうでしょうか。大学をやめてできることを考えてみましょう。胸の奥やお腹の底から聞こえてくる心の声にじっくり耳を傾けてみましょう。そういう作業を十分に経た上で、やっぱり続けるという選択になる場合もあるでしょう。その場合でも、やめるという選択肢を検討することは無駄ではないはずです。やめるという選択肢を十分に検討することで、続けるという選択は、より積極的で能動的なものになることでしょう。
 みなさんの人生の時間は有限であり、貴重なものです。みなさんが有意義な決断をされることを願います。日本の社会の現状において、こうした判断は誰にとっても難しいものです。人生の岐路において、絶対に失敗のない完璧な決断などありえません。迷って当たり前、たじろいで当たり前です。必要ならば一緒に考えていきましょう。それとともに、大学における進路変更がより自由に安心してできるような社会をみんなで実現していきたいものです。


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TPP国会決議違反「明白」 日本政府交渉官,明治大学農学部 作山巧准教授

2016-12-08 08:57:10 | 社会問題

 明白な違反があっても、成立させられていく。

 政治の悲しい現実。


**************************************
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016120890070154.html 

【政治】


TPP国会決議違反「明白」 事前協議時の交渉官が指摘


2016年12月8日 07時01分


 環太平洋連携協定(TPP)の承認案と関連法案は九日の参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立する公算だ。本紙は承認案について、コメ、麦を含む「重要五項目」の関税を維持する「聖域の確保」などを求めた国会決議に反する疑いがあると報じてきた。TPPの事前協議に日本政府の交渉官として携わった明治大学農学部の作山巧(さくやまたくみ)准教授(50)=貿易政策論=は本紙の取材に、重要部分で明白な決議違反があると語った。(清水俊介)

 農水省の国際交渉官として二〇〇七年から、経済連携協定などの交渉を担当した作山氏は一〇年十二月からTPP専従に。他の参加国からの情報収集や交渉参加に向けた事前協議を担当した。一三年三月に安倍晋三首相がTPP交渉参加を表明した後、退官した。

 国会決議は一三年四月、衆参両院の農林水産委員会で行われ、八項目を政府に要求。作山氏は八項目のうち「重みのある三つ」が守られていないと説明した。

 一つは重要五項目を「除外又(また)は再協議の対象」とするよう求めた決議項目。重要五項目は五百九十四品目のうち百五十五品目で関税率が維持されたが、「精米」「玄米」のようなくくりで見れば、いずれも低関税や無関税で輸入する枠が新設されたり拡大されたりする。作山氏が今年三月に学会で指摘し、政府側も国会審議で認めた。作山氏は「(事実上)税率を維持した品目はなく、『除外』は存在しない」として、決議に「百パーセント違反している」と述べた。

 作山氏は聖域が確保できない場合、「脱退も辞さない」よう求めた項目も守られていないと指摘。交渉官時代、これまでの貿易交渉よりかなり高い関税撤廃率を求められるなど厳しい条件を突きつけられた経験から「日本は手足を縛られたような交渉を強いられ、重要項目でも影響が少ない順に関税を見直していった」と分析。明らかに聖域は確保されなかったのに「脱退もしなかった」と話した。

 国会や国民に、交渉に関する情報公開を求めた項目も守られなかったとした

 守られたのは食品表示での安全・安心の確保、企業や投資家が貿易相手国を訴えられる「投資家と国家の紛争解決手続き(ISDS)」条項の乱用防止など三項目で、残り二項目は「守られていないが、それなりに対応した」と評価した。

 政府側は「国益にかなう最善の結果を得られた。決議違反ではない」と国会審議などで主張している。

(東京新聞)

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今国会成立の重要法案のひとつ:民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律

2016-12-07 19:51:14 | NPO・地域力

 今国会(2016.12.2)で成立した重要法案のひとつ:民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律(第190回国会衆法第43号)

 休眠預金をNPO活動などの資金として使えることを許すことを可能にする法律。

 全文は長いので、目次、目的、定義、提案の理由のみ抜粋。


****************************
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/192/pdf/t051900431900.pdf 


第一九〇回
衆第四三号

民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律案

目次
第一章 総則(第一条・第二条)
第二章 休眠預金等に係る資金の移管及び管理等
第一節 休眠預金等に係る資金の移管及び管理(第三条-第八条)
第二節 預金保険機構の業務の特例等(第九条-第十五条)
第三章 休眠預金等交付金に係る資金の活用
第一節 総則(第十六条・第十七条)
第二節 基本方針及び基本計画(第十八条・第十九条)
第三節 指定活用団体(第二十条-第三十四条)
第四節 休眠預金等活用審議会(第三十五条-第四十一条)
第四章 雑則(第四十二条-第五十四条)
第五章 罰則(第五十五条-第六十一条)
附則

第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、休眠預金等に係る預金者等の利益を保護しつつ、休眠預金等に係る資金を民間公益活動を促進するために活用することにより、国民生活の安定向上及び社会福祉の増進に資することを目的とする。

(定義)
第二条 この法律において「金融機関」とは、次に掲げる者(この法律の施行地外に本店を有するものを除く。)をいう。
一 銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第二条第一項に規定する銀行(第四十三条第二項において単に「銀行」という。)
二 長期信用銀行法(昭和二十七年法律第百八十七号)第二条に規定する長期信用銀行(第四十三条第二項において単に「長期信用銀行」という。)
三 信用金庫
四 信用協同組合
五 労働金庫
六 信用金庫連合会
七 中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)第九条の九第一項第一号の事業を行う協同組合連合会(第四十三条第二項において「信用協同組合連合会」という。)
八 労働金庫連合会
九 株式会社商工組合中央金庫
十 農業協同組合法(昭和二十二年法律第百三十二号)第十条第一項第三号の事業を行う農業協同組合
十一 農業協同組合法第十条第一項第三号の事業を行う農業協同組合連合会
十二 水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号)第十一条第一項第四号の事業を行う漁業協同組合
十三 水産業協同組合法第八十七条第一項第四号の事業を行う漁業協同組合連合会
十四 水産業協同組合法第九十三条第一項第二号の事業を行う水産加工業協同組合
十五 水産業協同組合法第九十七条第一項第二号の事業を行う水産加工業協同組合連合会
十六 農林中央金庫

2 この法律において「預金等」とは、一般預金等(預金保険法(昭和四十六年法律第三十四号)第五十一条第一項に規定する一般預金等をいう。)若しくは決済用預金(同法第五十一条の二第一項に規定する決済用預金をいう。)又は一般貯金等(農水産業協同組合貯金保険法(昭和四十八年法律第五十三号)第五十一条第一項に規定する一般貯金等をいう。)若しくは決済用貯金(同法第五十一条の二第一項に規定する決済用貯金をいう。)(主務省令で定めるものを除く。)をいう。

3 この法律において「預金者等」とは、預金者その他の預金等に係る債権を有する者をいう。

4 この法律において「異動」とは、預金等に係る次に掲げる事由をいう。
一 当該預金等に係る預金者等その他の主務省令で定める者が当該預金等を利用する意思を表示したものと認められる事由として主務省令で定める事由
二 前号に掲げる事由に準ずるものとして主務省令で定める事由のうち、当該預金等に係る金融機関が、この法律に基づく業務を円滑に実施するため同号に掲げる事由と同様に取り扱うことが必要かつ適当なものとして、主務省令で定めるところにより、行政庁の認可を受けた事由

5 この法律において「最終異動日等」とは、預金等に係る次に掲げる日のうち最も遅い日をいう。
一 当該預金等に係る異動が最後にあった日
二 将来における当該預金等に係る債権の行使が期待される事由として主務省令で定める事由のある預金等にあっては、当該預金等に係る債権の行使が期待される日として主務省令で定める日
三 当該預金等に係る金融機関が当該預金等に係る預金者等に対して次条第二項の主務省令で定める事項の通知を発した日(当該通知が当該預金等に係る預金者等に到達した場合又は当該通知が当該預金者等に到達したものとして取り扱うことが適当である場合として主務省令で定める場合に限る。)
四 当該預金等が預金等に該当することとなった日

6 この法律において「休眠預金等」とは、預金等であって、当該預金等に係る最終異動日等から十年を経過したものをいう。

7 第五項の規定の適用については、同一の預金者等に係る他の預金等を原資として当該預金者等の指図によらずに受け入れた預金等は、当該他の預金等と同一の預金等とみなす。


〇理 由
国民生活の安定向上及び社会福祉の増進に資するため、休眠預金等に係る預金者等の利益を保護しつつ、休眠預金等に係る資金を民間公益活動を促進するために活用する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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行政は、なぜ、情報を出さないか?その理由がわかる事例。この情報があれば、当初から築地再生だった。

2016-12-06 10:01:34 | 築地重要
 このような黒塗り情報が、最初から開示されて議論されていれば、もともと無茶な話であった豊洲移転に迷走することなく、当初から築地市場の再生で結論が出されたはずです。

 情報を出さないことの理由の本質が、わかる事例です。


******朝日新聞(2016.12.01)*****************************



豊洲買いたい、都の説得劇 用地売買交渉、黒塗り部分を開示

2016年12月1日05時00分

 東京都の豊洲市場(江東区)の用地購入や土壌汚染対策工事をめぐり、所有者だった東京ガスと都との交渉記録が情報公開請求に対して開示されたことが分かった。これまで大部分が黒塗りだったが、情報公開を進める小池百合子知事の方針で、一部の固有名詞を除いて明らかにされた。都が築地市場(中央区)の豊洲移転にこだわった経緯が具体的に見えてきた。▼1面参照


 開示されたのは、1998~2005年と11年の交渉記録など。約140枚の文書で、同社と都の計31回の交渉内容が記録されている。土地売却や追加の土壌汚染対策工事に消極的だった東京ガス側に対し、都が説得を続ける様子が分かる。共産党都議団の請求に都が応じた。

 豊洲市場用地をめぐる交渉記録文書は、これまで都議会などで資料要求や情報公開請求がされてきたが、大部分が黒塗りだった。しかし、「移転を決めた石原慎太郎知事時代の責任を調べる」とする小池氏の方針を受けて、都が東京ガス側と協議し、同社側の固有名詞を除いてほぼ開示された。


 ■渋る東ガス「負担は」 副知事「水面下で」

 「土地を売る気はない」。1998年9月21日の記録に東ガス担当者の発言が残されている。当時、都は移転を念頭に豊洲の東ガス所有地を調査。東ガスへの説明なしに進めていたため、都の部長ら2人が本社を訪ね、謝罪していた。

 東ガスは当時、所有地での再開発を計画。99年11月には福永正通副知事が訪ね、その後も「豊洲の先端部を含む地域が最適地」と頼み続けた。「先端部」は今、豊洲市場の主な建物が立つ地区だ。東ガスは「先端部は譲れない。東側であれば検討する」と繰り返し、交渉は平行線をたどっていた。

 2000年10月4日、石原氏の最側近、浜渦武生副知事が同社を訪ねた。

 浜渦氏「無茶(むちゃ)な話とは思うが、1200万都民の台所への協力をお願いする」

 東ガス「基本的には協力するが、経営判断できる条件が示されていない。土地価格や開発者負担金を示してほしい」

 浜渦氏「そのことは、水面下でやりましょう」

 「(秘)」と記された開示記録には、浜渦氏が都職員に対し、「株主に損をさせない仕組みづくり」「『公共事業に協力する』という社是に沿った移転受け入れの格好をとる」などと、東ガスに配慮した決着を指示したと記されている。

 この後、東ガスが土壌汚染を公表した翌月の01年2月、浜渦氏と伊藤春野・東ガス副社長名で、移転の諸条件について協議を始める「覚書」を作成。同7月には、都と東ガスで「基本合意」に至った。


 ■土壌汚染対策の範囲、攻防

 03~05年、都と東ガスの11回の交渉記録が残る。土壌汚染対策を巡る激しいやりとりが明らかになった。

 都「(東ガス工場の)操業由来の部分は全部処理するとの理解だが違うのか」

 東ガス「全部処理するのは難しいと言ってきたし、都もそれで了解しているはずだ。売却時には土壌汚染が残るということだ」

 03年4月3日、都庁であった交渉では、汚染除去工事をめぐる認識の食い違いがあらわになった。東ガス側は01年の基本合意に基づき、「都の環境確保条例を満たす対策のみをする」との見解を示した。

 東ガスに追加対策を望む都は「汚染土壌を処理しないまま売買すれば、都も東京ガスも社会的責任を将来にわたって言われる」(03年10月30日)と説明した。都は03年12月、除去工事の費用負担を求める東ガス側に「議会での説明がもたない」と返答。その後、汚染除去の箇所数について見直し作業をした。同月、東ガス側が、工場があった地面より2メートル以上深い土壌について「(環境基準の)10倍以下の汚染が残ってもよいか」と尋ねると、都は「東京ガスの判断だ。市場施設建設では、その下は掘り起こす可能性はない」と応じた

 その後、08年に環境基準を大幅に超えるベンゼンが見つかり、都は大規模な汚染対策工事を実施した。


 <市場移転の経緯> 老朽化した築地市場(中央区)の移転先に豊洲が浮上したのは、1998年。東京都が東京ガスの工場跡地に目を付けた。当時はまだ、大規模な土壌汚染は知られていなかった。99年に石原慎太郎知事が就任すると移転への動きが加速した。


*****************************
http://digital.asahi.com/articles/ASJCZ546PJCZUTIL021.html

豊洲用地、渋る東京ガスを説得 都側「無茶な話だが…」

2016年12月1日05時05分


 東京都の豊洲市場(江東区)の用地購入や土壌汚染対策工事をめぐり、所有者だった東京ガスと都との交渉記録が情報公開請求に対して開示されたことが分かった。これまで大部分が黒塗りだったが、情報公開を進める小池百合子知事の方針で、一部の固有名詞を除いて明らかにされた。都が築地市場(中央区)の豊洲移転にこだわった経緯が具体的に見えてきた。


 開示されたのは、1998~2005年と11年の交渉記録など。約140枚の文書で、同社と都の計31回の交渉内容が記録されている。土地売却や追加の土壌汚染対策工事に消極的だった東京ガス側に対し、都が説得を続ける様子が分かる。共産党都議団の請求に都が応じた。

 豊洲市場用地をめぐる交渉記録文書は、これまで都議会などで資料要求や情報公開請求がされてきたが、大部分が黒塗りだった。しかし、「移転を決めた石原慎太郎知事時代の責任を調べる」とする小池氏の方針を受けて、都が東京ガス側と協議し、同社側の固有名詞を除いてほぼ開示された。まだ非開示の文書もあり、交渉の全容が判明したとは言えない。

 豊洲への移転決定の経緯について、当時の知事だった石原氏は小池氏の質問に「(当時の資料を)全て公開し、何が行われたかご覧いただくしかない」などと回答。小池氏は資料の調査を続ける方針を示している。

 「土地を売る気はない」。1998年9月21日の記録に東ガス担当者の発言が残されている。当時、都は築地での再整備を中断し、移転を念頭に豊洲の東ガス所有地を調査。東ガスへの説明なしに進めていたため、都の部長ら2人が本社を訪ね、謝罪していた。

 東ガスは当時、所有地での再開発を計画していた。99年11月には福永正通副知事が訪ね、その後も「検討の結果、豊洲の先端部を含む地域が最適地」と頼み続けた。「先端部」は今、豊洲市場の主な建物が立つ地区だ。東ガスは「先端部は譲れない。東側であれば検討する」と繰り返し、交渉は平行線をたどっていた。

 2000年10月4日、石原氏の最側近、浜渦武生副知事が交渉役になって同社を訪ねた時は、東ガス側の態度に変化があった。

 浜渦氏「無茶(むちゃ)な話とは思うが、1200万都民の台所への協力をお願いする」

 東ガス「基本的には協力するが、経営判断できる条件が示されていない。土地価格や開発者負担金を示してほしい」

 浜渦氏「そのことは、水面下でやりましょう」

 「(秘)」と記された開示記録には、浜渦氏が都職員に対し、「株主に損をさせない仕組みづくり」「『公共事業に協力する』という社是に沿った移転受け入れの格好をとる」などと、東ガスに配慮した決着を指示したと記されている。

 この後、東ガスが土壌汚染を公表した翌月の01年2月、浜渦氏と伊藤春野・東ガス副社長名で、移転の諸条件について協議を始める「覚書」を作成。同7月には、都と東ガスで「基本合意」に至った。

■土壌対策めぐり激しいやりとり

 03~05年、都と東ガスの11回の交渉記録が残る。土壌汚染対策を巡る激しいやりとりが明らかになった。

 都「(東ガス工場の)操業由来の部分は全部処理するとの理解だが違うのか」

 東ガス「全部処理するのは難しいと言ってきたし、都もそれで了解しているはずだ。売却時には土壌汚染が残るということだ」

 03年4月3日、都庁であった交渉では、汚染除去工事をめぐる認識の食い違いがあらわになった。東ガス側は01年の基本合意に基づき、「都の環境確保条例を満たす対策のみをする」との見解を示した。

 一方、東ガスに追加の対策を望む都は「汚染土壌を処理しないまま売買すれば、都も東京ガスも社会的責任を将来にわたって言われる」(03年10月30日)と説明した。東ガスは「処理計画は条例に適合する。(追加対策が必要な理由は)用途が市場だからで、費用は都が負担すべきだ」と反発している。しかし、都は「金額面での支援はできない」との姿勢は崩さなかった。

 都は03年12月、再び除去工事の費用負担を求める東ガス側に「議会での説明がもたない」と返答。その後、汚染除去の箇所数について見直し作業をした。

 同月、東ガス側が、工場があった地面より2メートル以上深い土壌について「(環境基準の)10倍以下の汚染が残ってもよいか」と尋ねると、都は「東京ガスの判断だ。市場施設建設では、その下は掘り起こす可能性はない」と応じた。

 その後、08年に環境基準を大幅に超えるベンゼンが見つかり、都は大規模な汚染対策工事を実施した。都は10年度に東ガス側に土地購入代金計535億円を支払った。
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火の用心、おうちや実家の再点検を!

2016-12-06 09:07:26 | 防災・減災

 朝日新聞が、火事に備えて、おうちや実家の再点検の場所をご教示下さっています。

 ご参考までに。

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イタリア首相辞意について:改憲の方向性が誤っていたから、国民投票で敗北したのではないかと感じますが…

2016-12-05 09:07:08 | シチズンシップ教育

 テレビのニュースで、ちらっと見た時、このような憲法改正、本当によいのかと疑問に思っていました。

 上下院が全く同じ権限を持つ現状から、差をつけるところまではよいとしても、イタリアの今回の改正案では、実質的に一院制を目指すものです。

 政治で、最も大事なことは、「均衡の上でのバランス」だと思います。
 上院が下院をきちんとチェックすること、野党が与党をきちんとチェックすること、政策の競い合いの中から、より良い政策が誕生すると考えます。
 時間はかかるかも知れないけれど、民主主義のコストです。

 バランスを欠いたところに、政治の傲慢が出て、おかしな法案がまかり通るようになります。


 改憲の方向性が誤っていたから、国民投票で敗北したのではないかと感じます。

*********朝日新聞****************
http://digital.asahi.com/articles/ASJD176JNJD1UHBI03B.html

国民投票敗北、イタリア首相が辞意 「改憲反対」が優勢

2016年12月5日08時41分

 イタリアで4日に行われた上院の権限を大幅縮小する憲法改正案への賛否を問う国民投票で、地元メディアが伝えた出口調査では、レンツィ政権が訴えた「賛成」が劣勢との結果が出た。開票はまだ途中だが、レンツィ首相は敗北の責任を認めて辞意を表明した。

 投票は4日午後11時(同5日午前7時)に締め切られた。直後に複数のメディアが伝えた出口調査では、賛成が45%前後、反対が55%前後だった。

 改革案は、上下院が全く同じ権限を持つ現状を改め、上院の定数を315人から100人に削減し、選挙ではなく地方議会の代表や首長などで上院を構成するなど、実質的な「一院制」に近づける内容。第1党に過半数を保証する選挙制度と合わせて政権を安定させ、改革を進める狙いがあるが、中央集権化が進むとの批判もあり、「五つ星運動」など野党は反対に回った。(ローマ=山尾有紀恵、青田秀樹)



*********朝日新聞****************
http://digital.asahi.com/articles/ASJ9W1RKYJ9WUHBI001.html

イタリア、12月に国民投票を実施 憲法改正の是非問う

喜田尚

2016年9月27日10時27分

 イタリア政府は26日、議会制度を事実上の一院制に変える憲法改正の是非を問う国民投票を12月4日に行うことを決めた。改正案は2年の審議の末、野党の反対を押し切って今年4月に議会を通過。レンツィ首相はかつて「国民投票で否決されれば辞任する」と発言しており、結果次第で政権の命運が左右される可能性がある。

 改正案は上院の定員を今の315人から100人に減らして地方の代表者などで構成させ、議決権をほぼ下院に集中させる内容。1947年の憲法公布以来、上下院が全く同じ権限を持つ現在の二院制は、審議の長期化を招き、不安定な短命政権やイタリア独特の「決められない政治」の原因とされてきた。

 国民投票は当初、10月にも実施されるとみられた。ずれ込んだ背景には、議会通過後に改正に反対する市民勢力「五つ星運動」が地方選挙で躍進し、6月の英国の国民投票では欧州連合(EU)離脱派が予想を覆して勝つなどの内外情勢があると指摘されている。(喜田尚)

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