こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

狼の一族

2007-04-19 00:00:00 | 未分類
『異色作家短編集18狼の一族 アンソロジー/アメリカ篇』を読みました。

フリッツ・ライバー氏著『ジェフを探して』は、酒場に現れる女の幽霊の話。
手当たり次第に男を誘惑しているように感じられるが、その目的は?
ということで、女の望みが果たされて気分はスッキリ。
男の人にとっては、嫌な話かもしれません。

ジャック・リッチー氏著『貯金箱の殺人』では、十二歳くらいの少年が
父方の大おじの殺人依頼をする話。
実際に大おじは殺され、依頼されたヴィザビーは、ある事から殺人の容疑者にされる。
ヴィザビーは少年にはめられたのか?少しずつ謎が明かされていく過程が気持ちいいです。

チャールズ・ウィルフォード氏著の『鶏占い師』は、小さな島の別荘で出会い、
死を宣告したおいぼれ占い師との物語。
常に死の影におびえて暮らさなければならず、色々と思うこともあるでしょうけれど、
ある意味、恩人かもしれません。

ハーラン・エリスン氏著の『どんぞこ列車』は、運も金も無くした元ミュージシャンが、
ただ乗りした貨物列車で再び取り戻した男気の物語です。
いい結果が待っているとは思えませんが、精神的に得るものがありそうです。

ロバート・クーヴァー氏著の『ベビーシッター』は、ベビーシッター自身とその恋人と、
依頼した家族を巡る出来事を、断片的に多方向から切り取りでたらめに並べたような物語です。
結構残酷な物語なので、あまりお勧めできません。

ウィリアム・コツウィンクル氏著の『象が列車に体当たり』は、文字通りそのままです。
象から見た列車って、そんなものかもしれませんねぇ。
そして、サバンナの仲間たちの態度の変化も笑えます。
このアンソロジーの中では、一、二位くらいの面白さだと思います。

ジーン・シェパード氏著の『スカット・フォーカスと魔性のマライア』は、小学生の
喧嘩ゴマの物語です。
アメリカの小学生って、こんなにも残酷で容赦ないのでしょうか?ギャング以外の何者でもないですね。
だからこそ、マライヤやウルフが現れたというように思えます。まさに魔性です。

R・A・ラファティ氏著の『浜辺にて』はうすぼんやりしたオリヴァーが、
出会った貝と共に送った不思議な人生。入れ子構造のようですね。彼にとっては
幸せだったのかな?おだやかなファンタジーです。かなり好み。

ジョン・スラデック氏著の『他の惑星にも死は存在するのか?』はSFスパイ小説です。
ピーターは、コンピュータをプログラムする道具を手に入れるために、時を越え、
敵から逃亡するために奇想天外な方法を駆使します。その突飛さが面白いです。

トーマス・M・ディッシュ氏著の『狼の一族』は、狼男に生まれてしまったアーレスの物語。
人間として生き、同時に狼としても生きていこうなんて、無理な話なのでしょう。
悲しいけれど、好きな物語です。

アヴラム・デイヴィットスン氏著の『眠れる美女ポリー・チャームズ』は、
見世物小屋で見せ物にされている、三十年眠り続けている美女を見物に行き、
その正体を明かそうとする物語です。
結局、本物だったのでしょうか?

コメント
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