こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

殿様の通信簿

2006-09-20 00:00:00 | 未分類
磯田道史さん『殿様の通信簿』を読みました。
一応断っておきますが、小説じゃありません。
元禄期に書かれた『土芥冠讎記(どかいこうしゅうき)』という本の一部を解りやすく紹介している本です。
公儀の隠密が探索してきた諸大名の内情を幕府の高官がまとめたものらしいです。

徳川光圀は、「女色に耽りたまい、ひそかに悪所(遊郭)に通い、かつ、また、常に酒宴遊興、甚だし」
と書かれているそうです。ただ、著者の磯田氏によると好奇心旺盛な光圀は、
学問・芸能はもとより、名高い人物にも、一通り会ってみなければ、気のすまない性質だったので、
遊郭などで会っていたのではないかということです。

浅野内匠頭と吉良上野介の不幸は、前者が城持大名としてのプライドを持ち、
後者が高い官位にこだわりぶつかったということもあった。
更に「内匠頭の無類の女色のため昼夜を問わず奥にこもりきり、政道は幼少の時より成長の今に至るまで、家老の心にまかせている」というように、家老の大石内蔵助が政道を
みていたようです。
このままでは「家を滅ぼす」なぜ主君を諌めないのかと家老を不忠の臣として名指しで批判しているそうです。
「赤穂浅野家は近いうちに改易になるだろう」とも言われていたといいます。
四十七士が内蔵助に簡単に従ったのも、政道を内蔵助がみていて、家臣が従うという構造が
できあがっていたからという話でした。

他にも、岡山の馬鹿殿様と幕府に思われていたらしい池田綱政公の話や、加賀の前田家の悲劇なども
書かれていて、興味深いです。

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拒絶空港

2006-09-19 00:00:00 | 未分類
内田幹樹さん『拒絶空港』を読みました。

パリ発成田行きのボーイング機が離陸したあとに、滑走路上にタイヤの破片らしきものが
散乱しているとの連絡が管制塔に入った。
破片の量からして、2本バーストしている可能性が高いという。
胴体着陸の可能性も考えつつ日本へ向かっていたのだが、パリのカウンターで放射能が検出され、
この206便に、放射線物質が運び込まれた可能性が高いという。
もしも着陸に失敗したら、あたりに「死の灰」を撒き散らすことになる。

まず「成田整備がシップへの連絡は、SATCOMが通じてからあとはこちらで連絡します」と言ったことを、
こちらで処理するから黙っていなさいと言われたと憤慨され、先が思いやられると感じました。
病人が発生するは、シャルル・ド・ゴール空港のターミナル1が放射性物質の件で閉鎖され、
連絡はとれなくなるは、羽田運行統制本部も連絡がとれなくなるはで、緊張感が高まりました。

さらに、成田に着陸させられないから、日本の領海外に着陸させるという柳沢には、
憤りを覚えました。話の内容からすると責任逃れでしかありませんから。
海への着陸は、かなり危険らしいですね。
飛行機側で対応策をようやく考えたのに、邪魔して燃料を浪費させて本当に腹の立つ・・・。
でも、そんな中でも次善策を考えて成功させた時には、思わず拍手しちゃいました。

全体として、安全な着陸を願う現場と会社の保身しか考えない上層部と政府の物語でした。
テロの多い昨今、このようなことが起こらないとは限らないんだと、つくづく考えました。

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共鳴者

2006-09-18 00:00:00 | 未分類
水樹和佳子さん『共鳴者』を読みました。

亜門斎木(あもんゆぎ)は、強い共感力を持っている。
家は神社、本人は嫌がっているが、宮司を継ぐものとみなされている。
ある日、十七歳のシンガー『瑠那』の歌を聴いた斎木は、彼女にもシンパシィ能力があり、
それを制御できていないと感じた。
後、彼女のコンサートでファンに刺されそうになった瑠那を助けた斎木は、
保護者であり学者であり政治家の多賀家臣に出会う。

それから斎木は、政治、新興宗教、児童虐待など、社会の暗部にかかわる事件に巻き込まれていく。

ジャンルとしては、オカルトかホラーですね。
斎木の力がすごいというばかりでなく、懥霊(ちれい)という怨霊を浄化するのに
門と鍵と門番という御門の一族3人の力がいるというのも面白いしいい設定だと思いました。
最後に、敵だと思っていた者が、闇の実力者の罪を暴いてしまうのも小気味いいと感じました。

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虹の裏側

2006-09-17 00:00:00 | 未分類
台風が吹き荒れ、2、3分の停電が5分おきに起きる中、パソコンも使えず、
ほとんど家にこもっていました。

読書は、眉村卓さんの短編集『虹の裏側』を読んでいました。
作品のほとんどが60年代~70年代のものなので、多少古さを感じつつ、
日常の側にあるかもしれない不思議を感じさせてくれて、楽しく読めました。

特に気に入ったのが、不器用な青年の幻想的な話『蝶』ある意味恩返しの話『ネズミ』
幽霊話の『奥飛騨の女』パラレルワールドの物語『名残りの雪』です。
久々に眉村さんの短編集を読んで、やはり短編が好きなんだなぁと感じました。

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愚者のエンドロール

2006-09-16 00:00:00 | 未分類
米澤穂信さん『愚者のエンドロール』を読みました。
このシリーズも図書館の他館から取り寄せで借りたもので、こんなに遅くなってしまいました。

二年F組の体育会系の生徒が、文化祭の展示として制作した映画の試写会を
古典部に見て欲しいと言われたと千反田が誘いに来た。
見た後率直な意見を聞かせて欲しいと言われたが、映画は未完成だった。
ジャンルとしてはミステリ。
台本を書いた本郷が、神経性胃炎で書けなくなったという。

そこで奉太郎達に依頼されたのは、この話の続きがどうなるのか推理して欲しいということ。
映画のスタッフである生徒たちの推理を聞いて考えて欲しいということだった。

助監督の中城は1時間しかないのだから、ドラマさえ撮れたらいいという意見。犯人は窓から逃げたという。
ミステリオタクの羽場は小道具班、犯人は二階から入ったと言う。
広報班の沢木口は七人目がいるという。

今回ショックだったのは、一般的に『十三日の金曜日』をミステリに入れているということ。
あれは、ホラーだー!
確かに、私の知人にも探偵小説はミステリじゃないという無知な人がいました。
じゃあ何がミステリかと聴くとホラーやサスペンスを挙げましたものねー。
むしろ狭義のミステリが探偵小説なはずなんですが。
SFも元々ミステリから派生したものでしたっけ?

さて、奉太郎の推理はなかなか冴えていてよかったのですが、後日談がまた人を喰ったもので、
面白かったです。
なるほど!だから『愚者のエンドロール』なんですね。
最後の方になるまでタロットの解釈が現れなかったので、自分自身のタロットカードカードを
後で見直してみようと考えていました。

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