こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

殿様の通信簿

2006-09-20 00:00:00 | 未分類
磯田道史さん『殿様の通信簿』を読みました。
一応断っておきますが、小説じゃありません。
元禄期に書かれた『土芥冠讎記(どかいこうしゅうき)』という本の一部を解りやすく紹介している本です。
公儀の隠密が探索してきた諸大名の内情を幕府の高官がまとめたものらしいです。

徳川光圀は、「女色に耽りたまい、ひそかに悪所(遊郭)に通い、かつ、また、常に酒宴遊興、甚だし」
と書かれているそうです。ただ、著者の磯田氏によると好奇心旺盛な光圀は、
学問・芸能はもとより、名高い人物にも、一通り会ってみなければ、気のすまない性質だったので、
遊郭などで会っていたのではないかということです。

浅野内匠頭と吉良上野介の不幸は、前者が城持大名としてのプライドを持ち、
後者が高い官位にこだわりぶつかったということもあった。
更に「内匠頭の無類の女色のため昼夜を問わず奥にこもりきり、政道は幼少の時より成長の今に至るまで、家老の心にまかせている」というように、家老の大石内蔵助が政道を
みていたようです。
このままでは「家を滅ぼす」なぜ主君を諌めないのかと家老を不忠の臣として名指しで批判しているそうです。
「赤穂浅野家は近いうちに改易になるだろう」とも言われていたといいます。
四十七士が内蔵助に簡単に従ったのも、政道を内蔵助がみていて、家臣が従うという構造が
できあがっていたからという話でした。

他にも、岡山の馬鹿殿様と幕府に思われていたらしい池田綱政公の話や、加賀の前田家の悲劇なども
書かれていて、興味深いです。

コメント
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