京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

 「青色の体」

2012年06月05日 | 催しごと

           
 朝ぼらけ 有明の月とみるまでに 吉野の里に ふれる白雪    坂上是則

夜の明けの月がまだ残ってそのあたり一面を煌々と照らしているかのように、吉野の里には一面に雪が降り積もっている ― 百人一首にも収められているので、良く知られるところだろう。
深く険しい吉野の谷々を埋め尽くす積雪。神秘的なまでの美しさを想像して深く印象に残ったのは、高校時代の古典の授業でのことだった。それが、吉野を知った最初だったと思う。

いよいよ明日。役小角(えんのおづぬ)を開祖とした修験道の根本道場・蔵王堂のご本尊ご開帳にあたって、参拝のためのバスツアーに参加する。これまで、夕日の入りの吉野、月光が照りわたる吉野はもちろん、紅葉も、桜の季節でさえ訪れたことはなかった。初めての吉野ということに期待は膨らんでいる。

ご本尊は桜の木で作られているのだそうだ。吉野の人々は、さくらの枝を折ることは蔵王権現の指を1本折ることにも等しいこととして、桜の木を大事に守り育てて来られたという。この、花の山が「山岳宗教のメッカ」ということになる。吉野からその背後の熊野へとは「大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)」が続いている。
桜がない時季でよかったと思いたい。桜がない分、きっと見えるものは増えるかも知れないからだ。目を凝らし心凝らして吉野への一歩を印そう。


   I hung the doll under the eaves by the window.
     I wish for good weather~

コメント (6)
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